T.N.T.-SHOW

メカデザイナー山本薫のBlogです~2006・11・30 お仕事募集中 sp2q6z79@polka.ocn.ne.jp

R-MACS ミル アリヨール

2008-01-28 22:48:50 | 設定画

 引き続き、ガングリフォン・アライドストライクから。ロシアのAWGS R-MACS アリヨールです。

アリヨールは、ロシアが過去の戦訓を元に開発した輸出機体で、HIGH-MACSの

半分の価格と同等の武装、はるかに高速の飛行性能を持っています。

  •  Photo

  ● R-MACS 前

非常に細い印象を与える前からの絵ですが、これでもいくらか太めに修正してあります。

このメカに限らず、アライドストライクで私がデザインしたAWGS陣は、正面からの眺め

に適していません。理由としては、航空機の特徴を大幅に取り入れたため、側面や上面

で特徴が出やすくなっており、斜め前方がベストアングルになっているからです。

 これは、とりもなおさず立体にして見栄えがよい物を狙ったためであり、見せる演出にも

注意が必要だと言えます。

Photo_5

 ● R-MACS ラフ

 これは今描いたラフです。このように見せれば特長的な外観をアピールできます。

しかし、当時の製作スタッフはガンダムなどに慣れ親しんだ方達で、ロボットは

正面立ちポーズが基本であると言う固定観念を持っていたふしがあります。

 ゲーム内の機体のセレクト場面では、残念ながらその辺が裏目に出てしまい、

大失敗となりました。

  • Photo_7

 ● R-MACS 飛行形態

 旧ソ連では、海面効果船と呼ばれる特殊な飛行機の研究を行っていました。

その特徴は、地面すれすれから数10mまでの飛行高度で、地面と主翼の

間にはさんだ空気層をクッションのように使う飛行方法にあります。

 ロシアのAWGSと言う事で、それを特徴的に使う事を考えデザインを進めました。

脚部分は単なる降着装置であり、走るのは苦手です。実際の戦闘ともなれば、

高速で飛行して一撃離脱を繰り返す事になるはずでしたが、ゲーム上のそれは

高速で肉薄して着地・横移動で攻撃を繰り返すものであり、華麗に飛行する

私のイメージとは、いささか異なるものだったのは残念なところであります。

  • Photo_8

 ● R-MACS 改稿

コクピットが狭いのではないかと指摘を受け、改稿を描きました。

造形スタッフの方々は、捉えにくい胴体の形状を良く再現して下さいました。

 私はゲームのデバックに参加し、一ヶ月あまりをゲームの操作に費やしました。

操作の仕方によっては、非常に高等な戦闘場面を演出できるゲームでしたが、

少々やった程度では真価を引き出す事は難しく、プレイヤーを選ぶと感じました。

 

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A-MAX ブラック・フット 2

2008-01-13 22:46:26 | 設定画

  ●HIGH-MAX 初期ラフ

 A-MAXは、最初は新ガンガングリフォンとして考えてデザインされていました。

実際に仕事を契約する前からアイディアをまとめに入り、完成度を高める努力を

していますが、これは多くの仕事の場合、普通に行うプロセスです。

 日付は2001年6月13日とあります。

Hightmax_2

  •  

 ● HIGH-MAX 構造図

 大体の形を考えるため、内部構造やブロックの組み立てをラフでメモ

して行きます。プロポーションやイメージから入る場合もありますが、

ガングリフォンの場合、実際の兵器のリアルさを反映した緻密さが求め

られていましたので、このような手順を踏んだのです。

 エンジンとリフト・ファンを中心としたフレームが全体を持ち上げるように

強固な構造を持っていると言うアイディアと、コクピットが円筒形の脱出

モジュールになっていると言うアイディアが、このメカの骨子になりました。

ただし、それがゲーム中で反映されるかどうかは、この段階では判りません。

可能な限り世界観を膨らませておき、打ち合わせの段階で妥協したり削除

したりする事を覚悟しておくのです。

Highmax

Hightmax_3

  •  

 ● HIGH-MAX 第四ラフ

 一通り細部のアイディアを出すと、それをプロポーションに反映させ、

見た目の統一をはかります。見た目のちぐはぐさを解消するのが目的

ですが、この段階で新しいアイディアが加算される場合もあります。

 この場合、主翼の折りたたみ機構や顔の造形、排気管の形などが

加わり、全体に重量感が強調されています。

 このラフの前にも、何点かのラフを描いています。

Hightmax_4

  •  

 ● HIGH-MAX 第五ラフ

 さらに10点ほどのラフの後、ステルス・デザインを徹底させて、

飛行形態に見合った軽快さをデザインに取り入れるべく思案します。

この段階で、ようやく先代のガングリフォンと肩を並べるレべルに目処

が立ち、クリンナップに入る事となりました。

 このように、非常な労力を注ぎ込んで完成したデザインですが、

どこから情報が漏れたか、某アニメに類似したデザインが出てしまい

ゲームの制作期間の長さも手伝って、後塵を拝する結果となったのです。

Hightmax_5

  •   

  このゲーム自体が不評で、このデザインは半ば抹殺される形で忘れ去られました。

私にようやく巡って来た主役級のデザインワークでありながら、評価もほとんどなく、

このような結果となったのは、誠に無念でありました。

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新しい年 2008

2008-01-01 22:25:30 | 日記・エッセイ・コラム

 今年は元日から働くつもりでしたが、思いもかけずアクシデント

が起こり休日となりました。そこで近所の神社と浅草寺へ参拝

することにしました。晴れて良い形の雲が出ており、浅草寺の

参拝者の賑わいも心地よく、とどこおりなく事はすみました。

 このような事は私にとって近年珍しく、大抵の場合良からぬ

横槍が入るものですが、移転した影響か悪ふざけのストーカー

ごっこも下火となっている感じを受けました。

 私は、かつては一級の作家達と肩を並べて創作にいそしむ

静かな、しかし旺盛な生活を目指していました。が、私の創作物

はなぜか守られる事なく、他の作家陣の叩き台に供され、一人

取り残される結果となったのです。なぜこのような一方的な依存

関係が構築されてしまったのか。そして、そんな私の自己犠牲の

上に成り立つ状況が長続きしないであろう事に、なぜ誰も気づかず

異議を唱えなかったのか。今となっては知りようもありません。

 しかし、今年はなんとしても正常な状態での私の創作活動を

取り戻したいと考えています。そうすることが、ある意味で健全な

周囲の状態を取り戻す事につながるとも考えています。

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