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メカデザイナー山本薫のBlogです~2006・11・30 お仕事募集中 sp2q6z79@polka.ocn.ne.jp

今年を振り返って2015 2

2015-12-31 20:18:48 | 日記・エッセイ・コラム
 2015年もあと数時間となりましたので、今年の概観などつづってみたいと思います。


 2010年代も半分を過ぎ、ようやく21世紀になったという感じがしてきたと私は思います。
日本もようやくバブル崩壊と震災後の痛手から立ち直り、東京オリンピックを目指して上がり調子
になり始めました。まだ実感はないと言う人も多いと思いますが、それは今までのような経済成長
がもうありえない時代に入ったからで、堅実な社会は戻って着ていると思います。
 アメリカでシェール革命が起きて、その恩恵が少しずつ日本へ来るようになっていますし、世界的
なテロの嵐は幸いにも日本へは波及してきていません。その一方で中国の国情に陰りが見え始め、
軍事的な拡大が懸念されています。日本にもその流れが見えていますが、これは戦後世代が社会の
大半を占めるようになった今においては自然な流れではないかと思えます。どちらかというと冷戦構造
の元での日本がいささか異常な状態ではなかったのかと私は思っています。



 ネットの中では某巨大掲示板の分裂があり、徐々にその内情が明らかになってきました。2000年
ごろから始まったネット・ユートピアは半分は幻想であることがようやく実感されてきたと言えます。
 しかし確実にネットによる社会への影響は広まって、今では特別な世界と考えずとも誰もが入れる
並行世界となっています。政府は来年に携帯電話の使用料金を引き下げるように呼びかけ、各会社は
それに応じています。今後はネットに対する法整備や正しい規制が期待できるようになりました。
つまるところネットの中も現実世界の延長線なのだという当たり前の状況になりつつあると思います。
 ゲーム業界ではソーシャル・ゲームが隆盛を極めましたが、今になってコンシューマー・ゲームへの
回帰が始まっているといいます。といってもゲーム機をネット接続してゲームに興じるわけですから
根本的に両者は同じ方向性を持って発展している訳で、いずれその境目は無くなって行くのでしょう。



 私たちの世代はサブカルチャーやオタク文化の担い手として走り続けてきました。私もその一人で
あるという自覚があります。それが社会に認められ実際に経済の一端を担うに至って、その役割は
果たせたと思います。そして、次の世代へバトンは受け継がれ新しい世界を建設しようとしています。
 80年代のようなオタク文化の大爆発は二度とないでしょう。しかし逆にこの流れが潰えるという
事はありえません。しかし、今も昔も私的に気になるのは、私のような存在が将来に負の遺産になって
残るのではないかという懸念です。私は自分の身を立てるために創作に打ち込んできましたが、それが
自分の身を救って幸福にしたかといえばそうとは言い難い。むしろその利益の生み出す方向性が故に
不正な手段の横行に手を貸したかにさえ見えます。その一連の流れが次世代の創作を志す諸君に良から
ぬ波紋を広げる事を最も気にしているのです。



 共産主義は理想社会であり、皆平等で持てる者から収奪し人民に分け与えると言いますが、結果平等
は労働意欲を奪うがために共産主義は衰退したといいます。そのような社会は結局の所ディストピア
となってしまうという実験結果がネット・ユートピアの中で再演され、斜に構えていた実利主義者が
上手く利用していたのではないかと思えるのです。つまりネット内での法整備が追いつかなかった為
に正直に創作に勤しむ者が収奪を受けるようになってしまったのではないかと。



 そうあってはならないということは理屈の上では皆分かっていても、日本社会が不況のゆえに
どうにもできなかったのが、これまでの状況だと私は見ています。常々私はなぜ同世代から放逐され
たのかと問い続けています。それは彼らがどう私を使ったら良いか持て余しているうちに、不法な輩
が目を付けて騒動の元として利用することにより集金システムに組み込んでしまったからではないか
と思えます。一度そんな流れに組み込まれたら、一般人にはどうにもできなかったことでしょう。
 これは私個人のことのみならず、創作活動に対する一般の意識ということでもあるのですが。



 ともあれ今後世の中は、ネットを存分に使って落ち着いた方向に行くのではないかという予測は、
充分にありえます。
 2015年というのはジェッターマルスの年だとか言われていましたが、実際には少し違った方向に
ロボットは発展し、5年もすればもっと身近になるでしょう。その時また、文化的に違った流れが
生み出されるかもしれません。
 
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今年を振り返って2015

2015-12-31 02:26:00 | 日記・エッセイ・コラム
 ●クリスマスケーキ

 毎年ケーキを作っているのですが、毎年グレードアップするのでサイズが大きくなっています。
カロリーがすごいのでダイエットシュガーでクリームを作ったりしていますが、食べるのも大変です。
 それで今年は少し技巧に凝ってみることにしました。市販のウェハースをナイフのノコギリ状の部分
を使って切断し、チョコを使って接合して、家を作ってみました。
 チョコはお湯で暖めながら接着剤のように使って肉盛りして行きます。このあたりはプラモデルと
似ていますがウェハースは破損しやすく繊細な作業になりました。

 クリームを使い切るためにケーキは二つつくりましたが、右のは一回り小型です。
市販のロールケーキとスポンジを元にして適当にクリームを塗って楽しみました。

 ● ザク

 何の事かと思われるでしょうが、9月6日にザクを\100で入手したので改造してみたものです。
このモデルはランナーに1999の刻印のある廉価版ガンプラで、成型色も一色でポリキャップもない
過去の遺物でした。
 それを使って私は兼てから考えていた肩の動きを試してみました。このアイディアを考え付いたのは
およそ20年前ですが、スケッチを残すこともなくずっと頭の中にあった物です。というのも20年も
たてば市販のガンプラが進化してとっくの昔に再現したと思われた動きを、いまだに実現できていない
と知ったので、自分でやってみようと思い立ったのです。このような僕の頭の中にだけある未発表の
アイディアは他にもたくさんありますが、ほとんど実現されていないのです。
 ● ザクの改造箇所

 詳しくは書きませんが、改造箇所は白いプラ板を使っているので分かると思います。
アニメやコミックで見られるマシンガンを体の中心で両手保持するポーズの再現となります。
驚いたことに私がやらないとこれができなかったようなのですが、探せば膨大な作例の中にこのポーズ
の再現に可動で成功した例はあると思います。(固定ポーズでは既にあるようですが。)
 ただ、うっかり某掲示板で図解付で書き込んだ所、某メーカーにコンセプトを持っていかれた様で
油断もすきもあったものではない、と後悔しております。誠意があるのなら是非ご連絡してください(笑い)

 アニメの第一話の人の視点で見上げるアングルだと迫力ありますね。
この他、ガンダムのアイディアもありますが前述の理由から凍結します。

 今年の概観に関しては頁を改めます。
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なぜⅣ号戦車の砲塔前面装甲板は50mmのままだったのか 2

2015-12-23 20:33:11 | スケッチ
● Ⅳ号戦車の車体内の構造

 前回説明不足だった部分を補足します。
 Ⅳ号戦車の車体上面は、その下の構造によって保持されてターレットリングを支えています。
後ろにはエンジンルームの隔壁があり、前方には前回解説した梁があります。そして右側の天井に
L字断面のリブがくの字型にボルトで固定されています。梁には微妙なカーブがついており、その
上の天井に2本のリブが見えますが、これはプレス加工で作られたコ字断面の補強材である可能性
があります。そして、梁はこれとは別な位置に溶接されているかもしれないのですが、今のところ
確定できる資料がないので他の機会に触れたいと思います。
● コップを乗せるカード

 さて梁に微妙なカーブがつけれれている意図に関してですが、これは上図のような方法で強度を
増す為だったのではないかと思います。
 トランプを波型に曲げるとその上にコップを置いても倒れないと言う実験を昔はよく本で見かけ
ましたが、カーブをつけることで上からの応力に耐えるようにしたのでしょう。
 Ⅳ号戦車が設計されたころはまだ砲塔の重量もさほどのものではなく、この方法は有効だった
はずです。しかし改良を重ねるにつれてⅣ号の砲塔の重量は増し、素人考えでも優に二倍以上に
なったと考えられます。
 ざっと見てみても、装甲板は全面的に増強され主砲の砲身長は2倍になりキューポラは防御力の
高いものに変更され後部に雑具箱が増設されます。また砲塔周囲にシュルツェンと呼ばれる増加
装甲が、砲塔上面にも対空防御のスペースドアーマーが増設されました。
● 梁の変形

 こうなると細長い梁の強度自体が不足して上図のようにカーブが直線に延ばされることによって
下へ歪む危険性が出てきます。これは設計ミスというよりも予期されなかった砲塔の重量増加に対応
できなかったと言うべきで、根本的な改良がなされるべきではなかったのかと思います。
 しかし、どうも天井にL字やコの字の補強材をボルトどめすることでしのいでいたらしく、根本的
に梁を補強して砲塔前面の装甲を増強するまではいかなかったようなのです。その程度の設計変更も
できなかったのか、あるいはやらなかったのかは分からないのですが、少なくともパンターの設計に
フィードバックはされたようです。
 また、砲塔旋回用のベアリングにどの程度の影響が出ていたかは想像するしかありません。J型で
旋回モーターが廃止されたことを考えると、影響はそう深刻なものではなかったとも考えられますが
一説では人力で旋回したほうが早く回すことができた(その時は当然二人がかりで)と言います。

 考えられることは、上記のような梁の変形は運転時間によって徐々に進行して行ったと言う事です。
砲塔の前面装甲板を増強することによってその進行が急激に進むのであれば、その改良を見送ると言う
判断もあったかもしれません。
Ⅳ号戦車の寿命がそれほど長くなかった戦争後期において、それが正しかったのかどうかは私には
わからないのです。
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なぜⅣ号戦車の砲塔前面装甲板は50mmのままだったのか

2015-12-20 22:08:37 | スケッチ
 ● 砲塔前の車体内の梁

 先週、Ⅳ号戦車の車体の強度について、弱い部分があったのではないかと考察しました。
その部分について調べたところ、やはりⅣ号はその部分が強度的に弱かったらしいと分かりました。

 Ⅳ号戦車は操縦士の操作性を確保するためギアが右にオフセットされておりエンジンも右よりに
セットされています。それとバランスをとるため砲塔が逆に左にオフセットされていますが、この
ため砲塔の旋回ベアリングは車体左側面に近くなっており、右側には若干の空きがあります。
車体内の天井を見るとその部分にL字断面のリブ(上図の赤いL字)がボルトで取り付けてあり、
後から補強した様子が伺えます。このL字断面のリブは機関室の隔壁から上図の梁までくの字型に
設置されていますが、なぜここを補強する必要があったかと考えると、車体上面の強度不足が考え
られるのです。
 Ⅳ号戦車の車体上面板は14.5mm厚だったものが25mm厚に増強されていますが、梁が
強化された気配はなく、丸い肉抜き穴が塞がれた形跡があります。梁には微妙なカーブをつけて
強度を増していますが、右図のパンターのようなリブはありません。
 パンター戦車の梁はよりアーチ状に近く、リブがT字型に溶接されてさらに補強されています。
70口径という長砲身と重い砲塔の動揺を受け止めるため、この部分は重要な部分だった事が
伺えます。最初から洗練された一体構造だったパンターの車体では、このような構造ができた
わけですが、上下の車体を別々に作りボルト結合していたⅣ号では、思い切った補強ができなか
った可能性があります。

 Ⅳ号とよく似た構造のタイガー戦車では、このような強固な構造の梁になっています。
厚いリブがブリッジとなって肉抜き穴がいくつも開けられています。
 この構造を見るにつけ、なぜⅣ号の梁にもリブをつけなかったのか疑問に感じるのですが、
理由はわかっていません。おそらく強度を出すために微妙なカーブをつけたのが返ってアダと
なって補強しにくかったのかもしれません。

 一方、Ⅳ号と同時期に開発されたⅢ号戦車では、上部車体の幅が砲塔幅と同じくらいに絞られ
ており、砲塔前のハッチもないため、強度的に充分であったと思われます。
 Ⅳ号が砲塔前面装甲を50mmから増強できなかったのに対し、Ⅲ号では57mmと若干
厚いレベルまで増強しています。もっともこれはⅢ号の主砲が60口径50mm砲止まりだった
関係もあると思うのですが。
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Ⅳ号戦車 改造案の別案 2

2015-12-13 21:18:47 | スケッチ
 ●Ⅳ号戦車の砲塔前面増加装甲板

 前回、Ⅳ号戦車の砲塔の前面装甲の強化について内部に装甲版を追加する案を紹介しました。
その際、砲塔の旋回ギアがあるのでプランの変更が考慮されると書きました。
今回はその変更案です。
 プレス加工で25mm厚の装甲板をこのような形にして溶接することにより、旋回ギアボックス
に干渉しないようにしました。
 ●装甲板の加工

最初の内左図のような二枚の組み合わせを数通り考えましたが、プレス加工で一体成型した方が
手間が少なくて済むと考え右図のような手順を考えました。
 25mmの板をプレスで曲げられるか他の例を探したのですが、パンター戦車の転輪等は
20mmの鋼板をプレスして作られているところから、この程度の加工は可能だと考えました。
 プレスは二回に分けて行われていますが、一回目のプレスで三次曲面を作るので次の工程と
分けたほうが良いと考えたのです。
 この後、バリ取りと溶接面の角度調整を経て熱処理工程へ送られますが、前回のプランの様な
単純な一枚の平板なら表面硬化処理した鋼板を切断するだけで済むので、砲塔右側の増加装甲は
そのようにすべきだと思います。また、Ⅳ号戦車はJ型になると砲塔旋回モーターを省略した
ので邪魔になる旋回ギアも簡略化された可能性があります。そうすると面倒なプレス工程は省略
できることになります。
 ドイツでは複雑な形の部材の表面硬化を行うために、高周波電流による加熱方法を開発した
そうです。おそらく電子レンジのような密閉空間で加熱した後、水を噴霧して急冷することで
硬化処理したはずですが、部材が平面ならもっと簡単なトーチによる加熱ができたはずです。
 ● 水圧プレス機

 プレス加工はこの当時すでによく用いられた技術でした。
プレス型で金属板をサンドして複雑な三次曲面を加工したり、上図のような機械で二次曲面の
曲げ加工を行ったりしました。
 現在でも造船の現場では複雑な船体のカーブを巨大なプレス機械を使って加工しています。

 もし、Ⅳ号戦車の増加装甲板を作ったとすると月産300両の新造車両と既に配備されている
車両に取り付けるために一日当たり20セット以上を生産する必要があります。工程が複雑に
なれば他の部品の生産を圧迫するので、できるだけシンプルな方法を考える必要があるのです。

 ● なぜⅣ号戦車の砲塔前面装甲板は50mmのままだったのか

ヒトラーがⅣ号戦車の前面装甲板を80mmに増強するように命令を出した後も、砲塔の前面
は50mmのままでした。
世間的にはサイズの関係上それ以上厚くできなかったと言われていますが、キャタピラを使った
応急の増強の例があるので方法が全くなかったとは考えにくいと思います。
 では、以前に触れた砲塔のバランスの関係はどうだったのかと言うと、シュルツェンや
砲塔上面のスペースドアーマーの設置がされているので、まだ余裕があったと考えられます。
 そこで考えたのですが、上図のような関係で砲塔の旋回リングが曲げ応力を受けて旋回に
影響が出たためではないかと推測しました。

 Ⅳ号戦車はF型から長砲身の主砲に換装し、装甲の増強も継続されていました。
そのため、砲塔前縁の車体上面に負担がかかっていたのではないかと思います。
 少しオーバーに書いてありますが、急ブレーキをかけたり大きな障害物を乗り越えたり
すると、砲身の振幅の為に負担がかかります。車体には二つのハッチがあるため、開口部
があり強度的にも弱くなっています。内部には鉄板で梁が設けられており、この部分の
強度を保っていますが、砲身を保持するトラベリング・クランプのような装備は砲塔内に
あったため、繰り返し曲げ応力を受ける事になりました。その結果、走行時間によって
砲塔のペアリングにゆがみが生じ、おそらく各々の車両によって旋回にばらつきがあった
のではないかと考えられるのです。
 これが問題の部位の直上の装甲を増強できなかった理由ではないかと考えたのです。
 しかし、もしパンターのように車体前方にトラベリング・クランプがあったなら、
こういう事態は防げたはずですが、そういう処置はとられていませんでした。それに
車体内部には柱や梁で補強するスペースがあるのに、それも行われていません。

 結局のところ、なぜ50mmのままだったのかという問題に関して確証はまだ得られて
いないのです。



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