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メカデザイナー山本薫のBlogです~2006・11・30 お仕事募集中 sp2q6z79@polka.ocn.ne.jp

孫子の兵法

2015-03-30 19:40:26 | 日記・エッセイ・コラム
 今日、学校の授業の一環でプレゼンテーションを行いました。
題材は生徒が自由に選び、それぞれが10分の時間の中でアピールをしました。
他の方々は食べ物とかレジャー関連のプレゼンをしましたが、私はこれといってお奨め
できるネタがあるわけでもないので、いつも馴染みの軍事や科学の知識を分かりやすく
解説することにしたのです。
 孫子の兵法を選んだのは、それがビジネスの指南書として現代にも生きているからで、
職業能力を養う授業に内容が合致すると考えたからでした。
 以下、ト書きも残っていますが原稿を一部手直して掲載します。
私のプレゼン時間は結局10分29秒かかりました。

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職業能力基礎 プレゼンテーション

   時間 8分~10分

 限られた時間内に自分の意見・考えを伝え聞き手に行動に移してもらうストーリー作り。



題材  孫子兵法(The Art of War)

孫武(BC5C~BC4C)

①  これから孫子「兵法」のプレゼンテーションを始めます。(挨拶。皆さんよろしく云々)
②  社会に出て自分の目的を達成しようとなさる方々、何か事業を立ち上げて成功させようとなさっている方々に、孫子の考え方を知っていただいて人生を有意義に過ごす一助にしていただくことが、このプレゼンテーションの目的です。
③  孫子と言っても麻原何某のことではありません。孫子の作者である孫武は紀元前5世紀ごろの中国の文人です。彼の実像についてはほとんど判っていません。しかし彼の「孫子兵法」という著作は今でも広く世界中で読まれています。戦争についてのハウ・ツー本であると同時に、人生の処世訓であるという人もいます。経営やスポーツの指南書として読まれていることからも、その応用範囲の広さがご理解頂けると思います。
④ ターゲット
⑤ 本文

(ア) 起
さて、兵法のテキストは非常に簡潔なもので、原稿用紙で17枚くらいしかありませんが、本日は時間の都合で全部は照会できないので、主要な5点に絞って触れてみたいと思います。
 1 戦わずに勝つのが最も良い方法である
 2 戦争は膨大な浪費である
 3 戦争は敵を欺くことである
 4 情報を集める
 5 全体が一丸になる
この5つになります。

(イ) 承
まず一点目
A 戦争をしないで勝てるのであればそれが最上の方法である
戦争の書なのにいきなり「戦争をするかどうかよく考えろ。」と言っているのが「兵法」の特異な点です。かといって絶対戦うなと言っているわけではなく、怒りや憤りなどの感情から軽々しく戦争を始めてはならない、と孫子は言っているのです。
もし戦争を仕掛けて負ければ国は亡びてしまい取り返しがつきませんし、,戦死してしまった人を生き返らせることもできません。また、一日軍隊を動かしただけで膨大な費用がかかるのです。
まず、戦争をする必要があるのかまず冷静になってよく考えて、勝てる算段をしてからから始めなさい、と孫子は言います。
これは私たちにとっても重要な提言です。私たちが会社や事業を起こそうとした時、適当に何でも始めれば良い、というわけではなく、よく計画を立てて効果が上るのか検討した上でないと失敗して徒労に終わるかもしれない、ということなのです。
 これは言われてみれば当然のことですが、世間では勢いで事業が始まるのは決して珍しいことではありません。時流とか勢いこそ大切という人もいるのです。
 1980年代、バブル景気に乗って様々な事業が立ち上がりました。
さしたる根拠もなく、みんな「この景気がいつまでも続くものだと思っていた。」と言っています。そうした世相の中ならば、いい加減な計画でもとりあえずやってみようと言う気になるのもよく分かります。
 しかし、勝算もないのに事業を起こして失敗したと言う事実もたくさんあるという事を忘れてはいけません。勝算がないのなら止める。その場の感情だけで無暗に喧嘩をして思わぬ損害を出すよりは、まず冷静に解決方法を考えてみる、という決断も重要なのです。

次に2点目
B 戦争は膨大な浪費である
 戦争というものは何も生み出さないばかりか、それをすることで莫大な費用がかかります。
 そこで戦争をするのであればできるだけ早く、短期間で済ませるようにと孫子は言っています。決着を先延べしていつまでも戦争を続けていれば、無駄遣いで国が貧しくなってしまうからです。
 また、自分の国から遠く離れた所で戦争をするのなら、物資を現地調達して本国から運ぶより安く済ませることを推奨しています。ようするに戦費を節約することも考えていたわけです。

 私たちが自分で会社を始めようと考えると、まず初期費用というものが掛かります。会社の運転資金も必要になりますし、最初のうちは思うように収益が上がらないかも知れません。また、売りになる新商品を販売しようとすれば、開発にかかる費用も必要になります。
 そういう状態が長く続くと出費が増えてゆくばかりです。早く事業を軌道に乗せないと損失がかさんで起業が失敗するかもしれません。
 そこでまず、どれくらいの出費がかかり、どのくらいの期間で回収できるのか、また、早く成功を収めるにはどうしたらよいのか、という事を考えなければならないのです。

3点目
C 戦争は敵を欺くこと
  「兵とは詭道なり」と孫子は言っています。
 詭弁という言葉がありますが、戦争は嘘・偽りの道なのです。
 敵をだます事は卑劣だと普通の人なら考えるでしょう。しかし、戦争に負ければこちらが滅ぶという状況の中で、馬鹿正直に正々堂々と戦えと云うのはナンセンスではないでしょうか。それに、うまく敵を騙すことができれば戦いそのものを回避できるかもしれません。
 孫子は、自分より強い敵と戦うには、正面から挑むのではなく、思いもよらない方法を使って翻弄し、こちらに有利な状況を作り出せば勝てると言っています。

 企業の多くは社外秘を持っています。会社内の情報は知られないようにしておかないと、これから会社が何をするのかが分かってしまって競争相手に負てしまうかもしれません。しかし逆に偽の情報を流せば競争相手が対応を間違ってこちらが勝つかもしれないのです。
 また、競争相手が思いもよらなかったヒット商品を作り出すことができれば、こちらのアドバンテージになりますし、なにもしていないフリをしていきなり新商品をリリースできれば、その分だけ相手より抜きん出ることができるのです。
 このように現代の競争社会では孫子の教えが当たり前のように繰り返されているのです。
ただ、私たちが孫子を応用する場合は、騙してよいのはあくまで「敵」だけだという点は注意が必要だと思います。友人を騙したりすると例えその場は勝てても信用を失ってしまいますから。

4点目
D 情報を集めることが大切である
これまで話してきたことを実行する為には、情報の入手と管理が重要です。
情報を手に入れるために戦争ではスパイを使いますが、我々はインターネットやマスコミを通じて情報を集めることができます。また、人伝えに聞く事も有効な情報収集の手段と言えます。
 手に入れた情報を包括的に分析したり検討してみれば、敵の状況がよく分かるはずです。そして、敵の企てを事前に察知して避けるような手を打っておけば、不利な状況で戦う必要もなくなると孫子はいっています。
 また逆に、こちらが有利な状況の時を選んで戦争を仕掛けることもできるので、主導権を握るには情報収集が不可欠だと言えます。

最後に5点目
E チームが一丸になる
  人心の掌握術について孫子は重要性性を説いています。全軍が一体となって勢いを作り出すことで自分より強い敵を倒すこともできるのです。今まで話してきた戦争の計画性の上に、強い勢いが加われば、不利な状況を打破して敵に勝つことができると孫子はいっています。
 言うまでもありませんが、起業は人のつながりによって行われることであり、会社組織は人の集まりです。孫子が現在でも読み継がれる大きな要因は、当時の戦争の形が今の競争社会によく合致しているからだと思えます。
 チームワークを発揮して一丸になって仕事に当たれば、競争に負けることなく成功を収めることができるかもしれません。

(ウ) 転
 応用 

(エ) 結
 以上、孫子の大まかな考え方を述べましたが、わかって頂けましたでしょうか。
 内容を大分省略しましたので、詳しく孫子を知りたい方は書店や図書館で入門書などをご覧いただければよろしいかと思います。
以上で私の   のプレゼンテーションを終わります。
⑥ 質疑応答

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ビジネスに役に立つであろう部分を私が抜粋したものなので、抜けている部分もありますが
ご容赦ください。
 この文書はWordで書かれましたが、4月にMOSというWordの検定試験を受ける予定です。
うまくいけばその後、試験と最終的なプレゼンテーションを経て脩業となります。
 その後は就職活動に戻り、デスクワークを中心に求職する予定でいます。
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ボギー転輪の疑問

2015-03-01 23:19:23 | スケッチ
 戦車のボギー転輪の研究は私が好奇心からやっていることですが、日本では当然の事
ながら資料が少なくネットで外国のサイトを閲覧する等しながらの思索となっております。
分からない部分はとりあえず飛ばして先へ進む場合も多々あり、後になって間違いに気づく
という事も多いのです。
 
● ダブルボギーという名称
 普通に検索してもゴルフ用語が多数ヒットするばかりで、英語で検索してもトラックの
サスペンションが出てきます。私がダブルボギーと言っている根拠は大日本絵画のシュピールベルガー氏の著作「パンター戦車」の一文のみです。
 抜き出してみますと
「しかしⅢ号戦車の車体は後にとりわけ初期生産型のダブルボギー式走行装置が有効でない
と実証され、改良が加えられて以降重宝されるようになった。」
とあります。これはⅢ号戦車の先行量産型の中のB型からD型をさしていると思われます。
転輪が8つあり2個づつのボギーになっておりそれぞれが板バネで支えられている物です。

これはマチルダ戦車のダブルボギーで2つのボギーをバネで連携した典型的な形の物です。
Ⅲ号戦車の場合、板バネの位置に試行錯誤があってこのように割り切った物ではなく、結局
は失敗してトーションバー式へ移行しました。
 ダブルボギーはリンクの配置によって一つの転輪が乗り越えた高さが1/4以下になって
車体へ伝達される特性があり、その分類のためにも特別な名称がついていて然るべきだと
思うのですが、今ひとつはっきりしないのが私の現状です。
記事を閲覧なさる方はその点にご留意下さい。

 去年の年末に発表したスローモーション・サスペンションに関しても異説があり、
バレンタイン戦車の三輪ボギーがスローモーション式という訳ではなく、スプリングが
斜めになっているので「斜めのアクション」と言う意味らしいです。これもはっきり
させなくてはいけませんが、今の段階では資料がなく、なんとも言えません。

● 身近なボギー転輪、自転車
 と言っても一種の思考実験なのですが。

 ご覧のように前輪が起伏に乗り上げた事点では後輪は持ち上がっていません。と言う事は
その中間の位置は1/2aの高さしか持ち上がっていないと言う事になります。
これがボギー転輪のサスペンション効果の原理です。
二輪ボギーを二つ並べさらにシーソーのようなアームで連結するとさらに1/2になり・・
これがダブルボギーというわけです。
 現実の自転車では図の矢印のようにハンドルから腕を伝って頭へ衝撃が伝わるので、
この効果はあまり実感されませんが、1輪車に乗るようにペダルの上に直立したと仮定
すると、純粋に1/2の効果が現れるはずです。
 私は実際に後サスペンションのある自転車でその効果を実証しましたが半分手放し状態
で前後のバランスをとるのは難しいのでお奨めはできません。

● M4シャーマン戦車のサスペンション

ボギー転輪についての記事の中でM4戦車のサスペンションは独立懸架と書きましたが、
よく調べてみたところ図のような機構らしいと分かりました。
 最初のT5軽戦車の時はリンクでしっかり連結されて上からバネで押さえる形だった
のですが、重量が増したM3のあたりになるとばねも強くなり、リンクが省略されて「へ」
の字型のバーが転輪の連動をさせています。このような機構はフリクション(摩擦)や
整備性の点から良い方法とは言えないのですが、後に改良されるまでホルストマン式の
ような割り切った形にはなっていません。
 時間的余裕がなくT5の実績を受けてこうするしかなかったのか、あるいはパテントの
問題でもあったのか、なぜこうなったのか理解に苦しむのですが、一つの可能性として
鉄道のサスペンションからの技術流用があったのではないかと思えます。

● 鉄道技術からの技術流用
 戦車ができる以前から鉄道は普及しており、多くの技術が流用されたはずです。
ボギーという考え方も鉄道車両の4輪ボギーが先行していて、キャタピラも無限軌道と言う
日本語に訳されたりもします。軌道とは鉄道線路のことで戦車も鉄道の上を走る車両という
見方ができます。
 鉄の箱で作られた重量物という点でも共通するところが多く、イギリスが戦車開発を
始めていたころは技術者の移転も盛んではなかったのかと想像できます。
 それらは今後の研究課題です。何か分かったらここで発表いたします。
 


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