先ごろ著作権法の改正案がニュースで流れ、世間的にも話題になりました。今回の改正
はネット等での違法ダウンロードに関するもので、PC画面のスクリーンショットも範疇に
含めると言う徹底した物でした。おそらくこれはPCで閲覧した画面をスクリーンショット
で撮影して転載しても、実質的にはコピーに当たると言う判断からでしょう。
10年くらい前にPCのスクリーンショットを掲示板にアップロードしてしまうウィルスが
世間を騒がせましたが、これなどは経緯はともかく著作権法に抵触する可能性があるわけ
です。ただし、そのショットに著作物が含まれればの話ですが。
この改正案はまだ検討中のもので、まだ議論する余地があります。大勢としては厳しす
ぎるというのが共通した意見の様ですが、果たしてそう言い切れるものかどうか、私には
確信がありません。著作権法では基本的に完成された著作物が対象になります。制作中の
著作物はまだ未完成なので変化の可能性があるわけです。また、作者の意思で発表されな
かった著作物は社会の中に出ていないので物体の域を出ません。著作権とは社会の中での
権利であって存在そのものとは別な物です。
何が言いたいのかと言うと、PC上で未完成もしくは未発表な著作物をなんらかの手段で
コピー(スクリーンショットでも)して盗み出した場合、その著作権はどうなるのかと言
う問題があるのです。そんなことは単純な問題で著作者に帰属するのだろうと誰もが考え
ますが、盗んだ人間が巧妙な手段でそれを自分の著作と偽った場合、それを本当の著作者
が虚偽と証明する事は非常に困難だと思えるのです。
他人のPCのスクリーンショットを取ってそれを自分の物と称する事が違法となれば、そ
れを勝手に使う者は処罰の対象となる訳で、PC上での作業を他人が盗み見た上で記録する
あるいは自動的に転送することも、作者の意思に反しているのであれば著作権法に抵触す
る可能性がある訳です。
そんなことは当たり前の事ではないかと思えますが、いままでは明文化されていなかっ
たので罰則がなかったと言う事なのでしょう。言い換えればやり放題であったネット環境
に多少なりともメスが入るのだと言えます。これと併せて一部の二次創作を除いた創作物
の著作権は非親告罪となったので、当局が自由に取り締まる事ができるようになる訳です。
ここまでは良いとしても、問題はその先です。やはり気になるのが規制の行きすぎです。
著作者の頭越しに規制が行われるのは抵抗がある人も多いでしょう。私個人の意見として
は、自分の著作が漏洩する抑止力の範囲としては歓迎しますが、やはり全く面識も権限も
ない人間の手によって自分の著作が規制の道具に使われるのには抵抗があります。
違反があった場合、著作者に告知しその意思を反映させるといった手続きが必要となる
と思われます。