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年の瀬に、オリオン座のベテルギウスが超新星爆発するのではないかというニュースが
発表されました。比較的地球に近い恒星のことなので影響が懸念されていますが、今の所
正確な時期は分かっておらず、年単位の誤差がある事象のようです。
太陽のような恒星は水素を燃料に核融合反応を起こし、ヘリウムに変換する過程で膨大
な熱と光を放射しています。その期間は100憶年とか1000憶年とかいう天文学的な時間にな
りますが、水素を燃やし尽くすと今度はその燃えカスであるヘリウムを他の重い元素に転
換して燃え続けます。それから同じ様な段階を経て最終的には鉄やもっと重い元素を生成
しますが、その時になると明るさは急速に衰え大きさも縮んでいきます。ベテルギウスに
はその兆候が表れているという観測結果から上記のニュースとなったのです。
最後にあの規模の恒星は爆発を起こし、その明るさは地球上の昼でも観測される程です。
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このニュースで私が気になったのは、核融合反応の段階に応じ、その燃焼時間は短くな
って行くという点です。最終的には数百年のレベルにまで短縮されるので、重い元素ほど
核融合反応の燃料としては長続きしないという事になります。
これを聞いて、何となく文化的なエポックと似ているような気がしたのです。たとえば
TVゲームにしても、最初に家庭用ゲーム機が誕生してから次の変化までは長い時間がかか
りましたが、やがてファミリーコンピューターの時代となりCDROMとの合体で産業規模は
さらなる拡大を見せました。その後の発展はすさまじく、様々な技術的進歩が加速して行
って現在のようなネット環境との融合へ至ります。
しかし、今年になっていくつか停滞のニュースを耳にしました。それは今の所真剣には
受け止められていませんが、やがては次の大きな変化への布石になると思われたのです。
変化は三つありました。ムーアの法則の終焉、世界保健機関によるゲーム依存の指定、
スマートフォン普及が頭打ちになった事、等です。
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ムーアの法則とは、コンピューターの集積回路の密度に関する経験則で、正確には法則
と言える物でありませんが、現実が追認する形で今まで支持されてきたものです。
記憶回路の情報量が1.5年おきに倍になるという漠然とした話が出たのは今から半世紀も
前の話ですが、現実に同じ性能のPCは年々値段が下がって行き、今では数万円でタブレッ
トPCが買えてしまうのです。
ところが最近この法則が終焉したという宣言がなされました。材料工学的にもうこれ以
上細かくできない領域まで電子回路が到達し、以降は別の方策によって性能向上を考えな
ければならないというのです。コンピューター業界にとってこれは一つの転換点です。
私はなんとなくですが、水素を燃料として使い切った恒星がヘリウムを燃料にし始めた
状態を連想しました。次の方策が実行できても、それは水素ほど長くはもたないのです。
ムーアの法則の恩得はゲームにおいてはそのクォリティーに顕著に表れています。CPU
の思考力や情報量、表示されるグラフィック、操作の応答性や細やかさ。いずれも年と共
に進歩してきました。また、スマートフォンのような低スペック機器でもそこそこのグレ
ードが保障されるようになったのもムーアの法則による底上げがあったからと言えます。
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世界保健機関は今年ゲーム依存に関して正式に依存症として指定し、対策を協議するよ
うに勧告しました。ゲームのやりすぎはいけないとか、課金やガチャの問題は以前からた
びたび言われてはいましたが、これで正式にアルコールや薬物依存と並んだ訳です。
人間は機械と違って壊れたからと言って部品交換で修理するわけにはいきません。予防
こそは必要な事は分かり切っていますが、生活に深く入り込んできた嗜好品が依存症の元
と指定されることで少なからず混乱が起きたことは過去に何度もあります。
持ち運びできるスマートフォンで複雑なゲームができるようになったことと、射幸心を
煽るような仕組みのゲームが一部の人々の心の病になってしまったことで、ゲーム依存症
は人々の身近にあると言う認識が持たれるようになりました。ただし、ゲームに無関心な
人々からしてみればほとんど理解されないような特殊な症例ではあります。元々、ゲーム
に夢中になる人には社会的にそういう境遇があって、逃げ場として没入する下地があった
とも言えます。
かく言う私も以前はゲームユーザーでしたが、同人誌を始めるとそちらへ時間を吸収さ
れてしまって優先度の低かったゲームからは安々と離れてしまったのですが。(依存症に
なる吸引力のようなものは知り得るくらいのゲーマーではありましたが。)
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スマートフォンの販売台数が今年全世界的に頭打ちになり、今後は新しい方面へ開拓が
必要だとニュースで知りました。原因の第一はユーザーに一通り行き渡ってしまった事と、
前述のムーアの法則と関連して、機器の性能がアップし辛くなったことが挙げられます。
日本では毎年のようにモデルチェンジするのが当たり前ですが、世界的にはそうとも言
えないと思います。中国が中心となった新モデルの大増産のニュースは景気が良く聞こえ
ますが、かの国が使われないゴーストタウンをいくつも建設した経済的背景を考えると、
これは実態のない数字のようにも思えます。
しかしながらモバイル機器にせよ携帯電話関連の機器にせよ、すでに人類にとって無く
てはならない道具となったことは間違いありません。今後は形を変え、生産は継続される
でしょう。
このニュースも又、水素を使い切った恒星を連想させるものですが、統計学的には一旦
ピークを迎えたブームはやや下降線を描きつつ継続することが知られています。そして何
か新しい商品が考案されて人々の関心はそちらへ移って行く訳ですが、それには何らかの
ブレイクスルーが必要になります。今まではそうやって上手く流れができていたのですが、
ポスト・スマートフォンとなる物とは一体何なのでしょう?それは如何なるブレイクスル
ーの元に誕生する物なのでしょうか?
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こうした停滞のニュースとは反対に、日本のアニメの産業規模が2兆1千億に達し過去
最高になったというニュースもありました。日本における需要は数年前から下降線を辿っ
ていますが、海外に展開することによってその産業規模が拡大し急激な伸びを見せたので
す。日本のアニメは世界的にも異色の存在であり、低予算でありながらクォリティーが高
い事で知られています。その下地は故手塚治虫によって始まった連続テレビ放送のアニメ
でした。毎週30分枠に収まるように1話完結形式で製作するため、大胆な省力化と効果
的な生産体制が考案されたのです。
これに対する功罪は今でも様々に言われていますが、このエポックが現在も継承され、
低予算で予算が組みやすく発注の容易なコンテンツとなって今の規模を築いたのです。
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来年は更に東京オリンピックを控えており、そのさらに先に大阪万博があることは明る
いニュースと言えます。しかし私には大きなイベントは表層であって、本当に明るい未来
を望むのであればもっと根本的な部分が必要だと思います。たとえば量子コンピューター
やAI技術や核融合が初歩的な成功を収めていますが、それが次のステージに進むような科
学技術の進歩とブレイクスルーがあって、人々の暮らしに具体的な恩得があることが形と
して実証される等のステップが必要なのです。
それにはまだ何年かかかると思います。焦って急いでも解決できるものではありません。
ベテルギウスがどうなるかも気にかかりますが、日本が下降線をたどる時期とぎりぎりの
競争になる気がしてとても気になります。
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