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メカデザイナー山本薫のBlogです~2006・11・30 お仕事募集中 sp2q6z79@polka.ocn.ne.jp

 Ⅳ号戦車 改造案

2008-12-31 00:27:46 | スケッチ

 ここ半年ほど、Ⅳ号戦車の改造案を考えていました。

きっかけは某所に掲示された宮崎駿主催のⅣ号戦車改造コンテストの記事です。

20年近く前、モデルグラフィック誌上で催されたプラモデル改造コンテストであり、

宮崎氏自ら模範解答(?)をイラスト化して掲載し出品者をなで斬りにする結果と

なっておりました。

 彼の弁によると、「そんな事ができるならドイツ技師がやっている。」のだそうですが、

あえてそれに挑んだのが今回の私の改案です。

 ●Ⅳ号戦車

  • Photo

 図は写真トレースを若干修正したものです。

Ⅳ号戦車は第二次大戦中にナチスドイツ陸軍によって使用された戦車です。

ドイツの戦車と言うとタイガーやパンターが有名ですが、真の意味で主力をになった

戦車がこのⅣ号戦車です。

 初登場は1937年ごろで、最初は支援戦車として砲身の短い主砲を備えていましたが

やがてそのキャパシティーの大きさから数々の改良を受け、A~H型の進化の過程で

大幅な戦力増強を果たしました。

 しかし、さすがに戦争中期以降は各国の新型戦車に見劣りするようになります。

それは主に主砲や装甲板の増強が限界に来ていたことによります。ことに最も

被弾率の高い砲塔前面装甲が薄く、ここがⅣ号のウィークポイントでした。

 ●Ⅳ号D型 内部人員配置

  • Photo_2

 図のように最初は短い主砲を載せていたので、内部は余裕がありました。

ポイントは、主砲の真後ろに車長が座っている事です。この配置ではもっと長い

主砲を載せようとするとバランスが取れなくなって無理が出ます。

車長をどこかへ移動させないとより大きな主砲の搭載は難しいでしょう。

 ●Ⅳ号戦車砲塔改案

Photo_3 Photo_4

 上図のように車長を移動させればスペースに余裕が出来ます。

しかしそのために必要なのが砲塔の大改造です。天井の一部と後面を撤去し、

あらかじめ製造しておいた砲塔バスルを溶接します。

また、砲塔前部の一部をカットし軽くなった重量を砲塔前面の装甲厚に加算します。

こうする事によって、良好な被弾径始を図る事も可能になるでしょう。 

 ●75mmL70の搭載

  • 75mm70

 装甲強化の段階を経た後、主砲の強化を考えました。

上図はパンターと同一の主砲を搭載する案です。パンターの主砲はⅣ号と同じ

直径75mmの砲弾を発射しますが、その砲身の長さは約1.5倍で発射に使う

火薬も多く、実質的にワンランク上の大砲と言えます。

 ●75mmL70搭載砲塔

70 70_2

このように以前とは全く別の砲塔に見えますが、共通部分は多く前後のバランスも

とれています。問題は砲塔全体の重量増ですが、Ⅳ号戦車自体はまだ重量増加に

耐え得るキャパシティーを持っています。それはⅣ号車台を使った自走砲群を参考に

重量に余裕があると言う結論に達したのです。

 ●砲塔内部

  • Photo

 内部の人員はこのようになっています。

問題だった車長の位置は左に少しオフセットしています。

主砲の発射後、オートマチックで排出された空薬莢は、防止板に当って

車長の横の空間へ飛び込みます。砲塔後部のドアを開けることが可能な状態なら

薬莢はそこから車外へ飛び出して行きます。なぜこのようになったかと言いますと

主砲が余りに大型なのでバスケット内に落とす事が不可能だったからです。

これはケーニヒスティーガーとまったく同じ機構で、問題はないと思われます。

 ●車体前面 増加装甲板

  • Photo_2

最後に、車体前面の増加装甲です。ここは整備用ハッチが剥き出しでⅣ号の弱点の

一つだそうです。宮崎氏はボルトオンのスペースドアーマーを提案していますが、

戦車の砲弾はほぼ水平に飛んで来るので、上図のような作り付けの装甲で充分でしょう。

 ●Ⅳ号K型

Photo_3

  以上のような改造を経た結果です。 Ⅳ号K型と銘々しました。

Ⅳ号戦車はJ型まで作られていますが、I 型は欠番になっています。

操縦席周りの改造については又次の機会にしましょう。

 ●K型シュルツェン

  • Photo_4

 おまけです。戦争後期になるとⅣ号戦車はシュルツェンと呼ばれる

スペースドアーマーを装着するようになります。主に成型炸薬による

メタルジェット対策ですが、Ⅳ号と言うとこれ、と言うほど有名なアクセサリー

なので描いてみました。

 今年はこれで最後の更新になるかもしれません。

一年間ご覧頂いてありがとうございました。 良いお年を。

コメント
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