● Ⅳ号戦車の車体内の構造
前回説明不足だった部分を補足します。
Ⅳ号戦車の車体上面は、その下の構造によって保持されてターレットリングを支えています。
後ろにはエンジンルームの隔壁があり、前方には前回解説した梁があります。そして右側の天井に
L字断面のリブがくの字型にボルトで固定されています。梁には微妙なカーブがついており、その
上の天井に2本のリブが見えますが、これはプレス加工で作られたコ字断面の補強材である可能性
があります。そして、梁はこれとは別な位置に溶接されているかもしれないのですが、今のところ
確定できる資料がないので他の機会に触れたいと思います。
● コップを乗せるカード
さて梁に微妙なカーブがつけれれている意図に関してですが、これは上図のような方法で強度を
増す為だったのではないかと思います。
トランプを波型に曲げるとその上にコップを置いても倒れないと言う実験を昔はよく本で見かけ
ましたが、カーブをつけることで上からの応力に耐えるようにしたのでしょう。
Ⅳ号戦車が設計されたころはまだ砲塔の重量もさほどのものではなく、この方法は有効だった
はずです。しかし改良を重ねるにつれてⅣ号の砲塔の重量は増し、素人考えでも優に二倍以上に
なったと考えられます。
ざっと見てみても、装甲板は全面的に増強され主砲の砲身長は2倍になりキューポラは防御力の
高いものに変更され後部に雑具箱が増設されます。また砲塔周囲にシュルツェンと呼ばれる増加
装甲が、砲塔上面にも対空防御のスペースドアーマーが増設されました。
● 梁の変形
こうなると細長い梁の強度自体が不足して上図のようにカーブが直線に延ばされることによって
下へ歪む危険性が出てきます。これは設計ミスというよりも予期されなかった砲塔の重量増加に対応
できなかったと言うべきで、根本的な改良がなされるべきではなかったのかと思います。
しかし、どうも天井にL字やコの字の補強材をボルトどめすることでしのいでいたらしく、根本的
に梁を補強して砲塔前面の装甲を増強するまではいかなかったようなのです。その程度の設計変更も
できなかったのか、あるいはやらなかったのかは分からないのですが、少なくともパンターの設計に
フィードバックはされたようです。
また、砲塔旋回用のベアリングにどの程度の影響が出ていたかは想像するしかありません。J型で
旋回モーターが廃止されたことを考えると、影響はそう深刻なものではなかったとも考えられますが
一説では人力で旋回したほうが早く回すことができた(その時は当然二人がかりで)と言います。
考えられることは、上記のような梁の変形は運転時間によって徐々に進行して行ったと言う事です。
砲塔の前面装甲板を増強することによってその進行が急激に進むのであれば、その改良を見送ると言う
判断もあったかもしれません。
Ⅳ号戦車の寿命がそれほど長くなかった戦争後期において、それが正しかったのかどうかは私には
わからないのです。
前回説明不足だった部分を補足します。
Ⅳ号戦車の車体上面は、その下の構造によって保持されてターレットリングを支えています。
後ろにはエンジンルームの隔壁があり、前方には前回解説した梁があります。そして右側の天井に
L字断面のリブがくの字型にボルトで固定されています。梁には微妙なカーブがついており、その
上の天井に2本のリブが見えますが、これはプレス加工で作られたコ字断面の補強材である可能性
があります。そして、梁はこれとは別な位置に溶接されているかもしれないのですが、今のところ
確定できる資料がないので他の機会に触れたいと思います。
● コップを乗せるカード
さて梁に微妙なカーブがつけれれている意図に関してですが、これは上図のような方法で強度を
増す為だったのではないかと思います。
トランプを波型に曲げるとその上にコップを置いても倒れないと言う実験を昔はよく本で見かけ
ましたが、カーブをつけることで上からの応力に耐えるようにしたのでしょう。
Ⅳ号戦車が設計されたころはまだ砲塔の重量もさほどのものではなく、この方法は有効だった
はずです。しかし改良を重ねるにつれてⅣ号の砲塔の重量は増し、素人考えでも優に二倍以上に
なったと考えられます。
ざっと見てみても、装甲板は全面的に増強され主砲の砲身長は2倍になりキューポラは防御力の
高いものに変更され後部に雑具箱が増設されます。また砲塔周囲にシュルツェンと呼ばれる増加
装甲が、砲塔上面にも対空防御のスペースドアーマーが増設されました。
● 梁の変形
こうなると細長い梁の強度自体が不足して上図のようにカーブが直線に延ばされることによって
下へ歪む危険性が出てきます。これは設計ミスというよりも予期されなかった砲塔の重量増加に対応
できなかったと言うべきで、根本的な改良がなされるべきではなかったのかと思います。
しかし、どうも天井にL字やコの字の補強材をボルトどめすることでしのいでいたらしく、根本的
に梁を補強して砲塔前面の装甲を増強するまではいかなかったようなのです。その程度の設計変更も
できなかったのか、あるいはやらなかったのかは分からないのですが、少なくともパンターの設計に
フィードバックはされたようです。
また、砲塔旋回用のベアリングにどの程度の影響が出ていたかは想像するしかありません。J型で
旋回モーターが廃止されたことを考えると、影響はそう深刻なものではなかったとも考えられますが
一説では人力で旋回したほうが早く回すことができた(その時は当然二人がかりで)と言います。
考えられることは、上記のような梁の変形は運転時間によって徐々に進行して行ったと言う事です。
砲塔の前面装甲板を増強することによってその進行が急激に進むのであれば、その改良を見送ると言う
判断もあったかもしれません。
Ⅳ号戦車の寿命がそれほど長くなかった戦争後期において、それが正しかったのかどうかは私には
わからないのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます