みかんの山を登りながら決意をしたのです、
昭和46年ころに父が母に買ってもらったらしい、
大好きな高橋和巳さんの書いた河出書房新社版「邪宗門」を、
もう一度読んでみようと思ったのでございます、
なんで母に買ってもらったことが解るのかと申しますと、
実は本の中にそのことが書いてあるのです、
お値段はは消費税も勿論無しで破格の750円であります、
されど現在に置き換えれば、
なんと1万円近いものになるのです、
それにしても滅多なこと余計なことは書かないに限ります、
父の依存体質と貧乏さ加減が、
とんでもないところでまたしても露呈してしまいました、
かれこれ45年前の「邪宗門」の頁を捲ったら、
青年の匂いが致しました、
突然の風が吹いてきたのです、
眠くなった私が身体を、
ぶるぶるっと震わせたのです。