インドネシアの複合企業でテレビ局事業運営大手の「MNCグループ」が、ジャカルタ南方のボゴールにインドネシア最大規模のテーマパークを開発する。広さは55平方メートルの予定
このほど傘下のMNCランドが中国冶金科工と契約を締結、開発は、シンガポールの「ユニバーサル・スタジオ」などアジアのテーマパーク建設で実績のある中国の「中国冶金科工」が行う予定。
MNCグループのCEOインタビュー
タヌスディビョ:「我々はインドネシアで最も大きなメディアグループだ。伝統的なメディアからニューメディアまで網羅している。視聴料を取って儲ける有料モデルもあるが、もうけの主体は広告だ。インドネシアでは企業が広告展開する際、ほとんどの場合テレビを使う。広告費全体の7割がテレビだ。理由は明確。インドネシアには島がたくさんあり、ほかのメディアでリーチするのは現時点では難しい。我々は3つの放送局を持ち、21の地方局を持っている。カバー率としては40%に及ぶ」
「広告事業はインドネシアの経済の中でも最も大きなカテゴリーになる。金額ベースで毎年15~20%で成長しており、いまだにマーケットが広がり続けている。当然、我々の会社も2002年に設立以来、成長し続けている。今年で10年目。マーケットの拡大に後押しされながら最大のメディアグループに成長した」
「一方で、広告とともにコンテンツ事業にも力を入れている。我々が持っているコンテンツ量はこれもまたインドネシアで最大。12万時間分のコンテンツを持っており、毎年1万~1万5000時間のコンテンツを作りだしている」
「我々は自前の衛星を持つ。現状、有料契約型の衛星放送を10局持っており、今年はビジネス、ニュース、エンターテイメント、ライフスタイル、スポーツの5局の衛星放送を加える。衛星で88%のエリアをカバーし、ケーブルテレビで地理的な問題を抱える12%のローカルエリアをカバーしている」
「そのほか新聞、34局のラジオネットワークもある。全社員は1万5000人ほど。そのうち500人がシンガポールやマレーシア、香港、ベトナム、中国の北京や上海に散らばっている。我々がどれだけの影響力を持つかが分かってもらえただろうか」
「EC事業には投資を惜しまない」
―― 伝統的なメディアで収益を上げながら、インターネットメディアにも投資を惜しまないのはなぜか。
タヌスディビョ:「新しいメディアも急速に伸びているからだ。ニューメディアを開花させるためには投資が必要だ。インドネシアのインターネット浸透率は20%。まだまだ伸びしろが大きい」
「若年層の増加がこれを加速させている。インドネシアの70%の人口が40歳以下だ。ソーシャルメディア、サーチエンジン、EC(電子商取引)、インターネットTV、ゲームなど様々なニューメディアへの投資は惜しまない。その中でも若年層の多いインドネシアで特に成長するのが目に見えているのは『インターネットTV』『ゲーム』『EC(電子商取引)』の3分野だ」
「既に我々はインターネットTVの試験的な会社を設立した。現在13局のチャンネルを持ち運営を始めている。ゲーム事業にも既に手を打っている。インドネシアはフェイスブックのユーザー数が世界で3位だ。こういう背景を見てもインターネットを基盤としたゲームメディアが今後も伸びるだろう」
「そしてEC(電子商取引)。この分野では日本最大手の楽天と「楽天ベランジャオンライン」を立ち上げた。開始から7カ月で、インドネシア国内の競合を押さえて最も大きい取引額を実現した。利便性を大きく評価された結果だが、現経営陣がとにかく頑張ってくれているのが大きい。まだ始まったばかりだが、今年はさらに加速して成長するだろう。我々はそのための協力を惜しまない。日本のAKB48の姉妹グループ『JKT48』を使ったプロモーションに加え、ラジオ、オンラインのニュースチャンネル、印刷媒体、テレビなど包括的なチャンネルでシナジー効果を出していけるはずだ」*日経ビジネス、