*中国当局が香港でホトンド自由に人権を侵して目標人物を拘束する、中国にはとてもジャナイが住めない、という実感がある、香港に行くのも要注意?
【香港=粟井康夫】中国共産党に批判的な書籍を扱っていた香港の銅鑼湾書店の関係者5人が相次ぎ失踪していた事件が新たな展開を迎えた。約8カ月ぶりに香港に帰還した店長の林栄基氏が記者会見を開き、中国当局による拘束の実態を初めて暴露した。言論・出版の自由を香港に保障した「一国二制度」への疑念が広がっている。
「私一人だけの問題ではない。すべての香港人の自由に関わる問題だ」。16日夜に記者会見した林氏は中国当局による拘束は人権侵害であり、一国二制度に違反すると強調した。
林氏の説明によると、昨年10月24日に香港から広東省深圳に入境したところで取り囲まれ、目隠しされ手錠をかけられた状態で浙江省寧波市まで列車で連行。「中国本土に書籍を発送するのは中国の法律に違反している」として小部屋に軟禁され、24時間体制で監視された。同氏を拘束したのは通常の公安当局ではなく、党指導部に直結する「中央専案組(特別捜査班)」だったという。
当局側は中国本土内の発送先など書店の顧客リストが入ったハードディスクを持ち帰ることを条件にいったん釈放。林氏は14日に香港に入り、当初は中国本土に戻るつもりだったが、多くの市民がデモに参加して書店関係者の解放を求めていたのを知り、香港にとどまって真相を明かすことを決断したという。
香港では中国共産党内部の権力闘争や指導者のスキャンダルを扱う書籍が自由に流通している。こうした書籍は中国本土では販売が禁じられているが、香港を訪れた観光客が土産物に購入するなど高い人気を集めていた。林氏の告白は習近平指導部が「発禁本」の本土への流入に神経をとがらせ、書店関係者を連行したとの見方を裏付けた。
林氏はハードディスクを入手するため李波氏に接触した際、同氏が「(中国当局に)香港で拉致された」と話していたことも明らかにした。事実であれば中国の捜査機関が香港で活動したことになり、一国二制度の明白な違反となる。李波氏は17日、自らのフェイスブックで「そのようなことは言っていない」と否定した。
李波、張志平、呂波の3氏は3月に香港に帰還したが「株主の桂民海氏に対する捜査に協力するため、自らの意思で本土に入った」と説明していた。香港メディアでは「李氏らは中国本土にいる親族に危害が及ぶのを恐れ、中国当局の意向に沿って口裏を合わせている」との見方が強い。
香港政府の袁国強・法務官(閣僚)は17日夕に記者会見したが、「現段階で詳細を論じるのは難しい」と論評を避けた。民主派が事件の真相究明を求めるデモを計画するなど、社会には再び波紋が広がっている。9月に予定する香港立法会(議会)選挙にも影響を与える公算が大きい。