*株価葉下落傾向、米肥満症薬市場が現状は案外小さい、特許切れのカバーには当面はムリ?
エーザイ株価推移 3900 前日比-40(-1.02%)
高値4675 5/14 安値3625 1/9
エーザイ、米で肥満治療薬 20年に売上高1000億円目指す
*日経、2013/5/8 23
エーザイは8日、米国で肥満症治療薬を6月上旬にも発売すると発表した。米国で13年ぶりに承認された成分を使った肥満症治療薬で、満腹中枢を刺激することで食べ過ぎを防ぎ、血糖値を下げる特性もあるという。今後はカナダや中南米でも発売、2020年に年間1000億円の売り上げを目指す。米国以外にも潜在的な肥満症患者は多いため、需要は大きいとエーザイでは見ている。
新薬「ベルヴィーク」(一般名ロルカセリン)は満腹中枢をつかさどる物質の1つを活性化させ、満腹感を得られやすくし、過剰に食べないようにする仕組み。血糖値を下げる特性もあり、糖尿病の合併症を持つ患者にも使える。運動や食事療法と組み合わせ、1日2回服用する。使用後3カ月で5%減量できなければ処方をやめる。
エーザイによると、現在米国で既存薬を使って肥満を治療している患者はすでに210万人程度いる。ベルヴィークの発売などで治療を受ける肥満症患者は新たに60万人程度増えると見ており、需要は大きいという。 米国の肥満薬市場は1億8千万ドル(約177億円)程度とみられる。エーザイは21年には20億ドル超の市場に拡大するとみて、米国子会社の医薬情報担当者(MR)200人を充てて販促し、需要を取り込む考えだ。エーザイはピーク時に売上高が年3000億円以上だった認知症治療薬と同1700億円以上の抗潰瘍薬の特許が順次切れており、新たな大型薬としてベルヴィークを育成したい考えだ。
肥満ではエーザイのほか、武田薬品工業が米国で臨床試験(治験)を実施中。13年後半の申請を目指している。武田は日本で別成分の肥満症治療薬も承認申請中だ。
米国において成人向け肥満症治療剤「BELVIQ®」を新発売へ
-米国麻薬取締局によるスケジューリングが確定-
エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、肥満症治療剤「BELVIQ®」(一般名:lorcaserin hydrochloride)について、米国麻薬取締局によりスケジュールIV医薬品に分類され、現地時間5月8日に連邦官報に公表される予定となりましたことをお知らせします。これを受け、本スケジューリングの発効日(2013年6月7日)後速やかに、米国子会社のエーザイ・インクより本剤を新発売します。
本剤は、2012年6月27日(米国現地時間)、FDAよりボディ・マス・インデックス(BMI)が30kg/m²以上、あるいは少なくとも1つ以上の合併症を患うBMIが27kg/m²以上の成人患者様の体重管理を目的とした食事療法と運動療法に対する補助療法として承認されました。本剤は、米国で肥満症治療のための処方薬として13年ぶりに承認された新規化合物です。
本剤は、アリーナ社創製の新規化合物セロトニン受容体アゴニストであり、選択的に脳内セロトニン2C受容体を刺激することにより摂食を抑制し体重を減少させると考えられています。本剤は、食事療法と運動療法を併用することで対象患者様において持続的な体重減少効果を示し、また、II型糖尿病を有する肥満症患者様において、HbA1c(ヘモグロビンA1c)および空腹時血糖値を統計学的有意に減少させる効果が認められています。また、タイトレーションを必要としない10mg錠の1日2回の服用であり、服薬コンプライアンスの向上も期待できます。
申請に用いた3つの臨床第III相試験は、合計約7,800人の患者様を対象に実施され、食事制限および運動に加えて本剤を服用した患者様群は、食事制限および運動のみのプラセボ群と比較して、1年後に5%以上体重が減少し、その後1年間体重減少を維持した患者様が有意に多く認められました。主な有害事象(5%以上かつプラセボより多かったケース)として、糖尿病を有さない患者様では、頭痛、めまい、けん怠感、吐き気、口渇、便秘、糖尿病を有する患者様では、低血糖、頭痛、腰痛(背部痛)、咳嗽、けん怠感が報告されました。
米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)によると、米国成人の3分の2以上は肥満又は過体重であるとされ、肥満の割合は、1980年から2010年にかけて2倍以上(約15%から約36%)に増加しています。肥満又は過体重は、糖尿病、脂質異常症、高血圧症といった合併症を引き起こす可能性があり、肥満又は過体重の増加は大きな社会問題となっています。当社は、本剤の発売により、肥満症治療に対する新しい選択肢を提供し、同疾患の内科的治療分野におけるアンメット・メディカル・ニーズの充足と、患者様とそのご家族のベネフィット向上に、より一層の貢献をしてまいります。