ロック,フォーク,Jポップ,演歌,アイドル,合唱,フュージョン,オーケストラ,吹奏楽,フォルクローレ…。アンコールって、ジャンルによっても、いろんな流儀がある(と思う)し、それぞれの団体や個人によっても、独特なスタイルってもんがあるだろう。
でも、"アンコール"って難しいんだよね…本当に難しい。特に、日本の場合はね。
昔、小さい頃に読んだ音楽雑誌のインタビュー記事の内容が、今も忘れられないでいる僕がいる。海外のミュージシャンから見た"日本でのコンサート,日本の観客,そして、アンコールについて…" それが、誰だったのか?は、昔すぎて忘れてしまったんだけど、中身だけは、ハッキリと覚えている。
"僕たちも、日本で、コンサートをする度に思うんだ。日本の観客って、すごく礼儀正しくて、マナーもいい。それに、いつも沢山の拍手をくれる。実際、やりやすい…やりやすいんだけど、時々、不安になるんだ。「本当に、僕たちの音楽を聴いてくれてるのかな?」って…。正直、「今日は最悪だった」って大反省してしまうぐらいのステージをしてしまった時だってある。でも、日本の会場では、前回と変わらない拍手がもらえる。これは、日本以外じゃ、絶対に無いことなんだ…"
僕は、この時、"恥の文化"という言葉も同時に知ったんだけど…。
とにかく、アンコールについて考える際には、先の音楽雑誌の事と、"恥の文化"という言葉…この2つをどうしても思い出してしまう。
でもなぁ…"舞台上の人に恥をかかせない"っていう発想は、日本人独特の美徳でもあるだろうから、一概に全否定できねぇんだよなぁ…。
でもなぁ…それは、エンタテインメント的には?? だから、"(日本での)アンコールって難しい"って思ってる。
さて、AKB48…。AKBの場合は、総選挙,じゃんけん選抜,専用劇場…etc。今までにはなかった斬新+革新的なチャレンジが数多く試されている。
でも、"ガチ,ガチ,ガチ,ガチ"言ってるわりには、肝心なところは、予定調和だらけだと思う。
生誕祭,アンコール,休演(?)…。特に、アンコールに関しては、曲名まで発表しちゃってるし…。
ぶっちゃけ、そんな予定調和団体…他には無いよ。それは、志村けんさんが、よく言ってる、"偉大なるマンネリ"とは、チョット毛色の違うものだと思うし…。
でも、それが、「アイドル」ってものなのかなぁ??? それって、逆に、古いんじゃないのかなぁ?
僕はね、AKB当局が、"劇場公演は大切"と言うならば、(特に、劇場での事は)アンコールも含めて、もっともっと、独自路線を行ってもいいんじゃないか? そう思ってるんだ。
"3分ルール"??? 違うと思うな。
"2分58秒で、アンコールかかって良かったぁ~" もし、こんなのが、頭の中、0.01%でもあるんだったら、それは全然違うと思う。
それは、メンバーにとってもファンにとっても、「脅迫」だよ。その日のステージの出来不出来とは何ら関係ないし、そこに、成長なんてあるわけがない。
もっと自由に,もっと熱く,もっと攻めてほしいなぁ…時には、意外性も含めてさ~。
あの日の(ラスト)アンコールの「初日」が、何故、あれだけ心にしみたのか? あれは、単に、「最後」だから…じゃないよ。期待はしているけど、予定外だったからだよ。
おそらく、AでもKでも、同じ様な事があったはず…。
そして、それが答えなんだよ…きっと。
ここで、1つ、僕が今までに観てきたコンサートの中で、最も印象に残った"アンコール"を紹介させて下さい。AKBも彼女のように自由に、そして、魂を持って進めばいい。
それに、海外に行くんでしょ…腰を据えてやるんでしょ。
2005年3月セリーヌ・ディオン大阪公演、開演5分前の場内アナウンスより・・・
"本日は、(中略)…ありがとうございます。尚、本公演は、セリーヌ・ディオン本人の意向により、アンコールは行いません。よろしくお願いいたします"
実は、このアナウンスには、伏線と理由がある。つまり、セリーヌファンは知っているんだ。彼女が、ライヴ当日、ほとんど、声を発しないことを…,リハーサルもポイントポイントだけ…,インタビューは、もちろん別日…。すべては、本番2時間の中で、"その想い"を爆発させるために…。だから、ファンは、納得する。大爆発の2時間…お腹いっぱいのキッカリ2時間。
そして、公演ラスト曲のラストで、30秒近いのばし(ロングトーン)…いや、"絶叫"って言った方がいいのかも!?目を"カッ!"と見開いて、最後のとどめ(?)に観客を圧倒したまま、公演は終わる。
"この曲で、ぶっ倒れてもいい,みんな…最後の最後まで詰め込んだわよ,私のステージにデザートは必要ないわ" そんな彼女の信念と心意気が、京セラドームに充満していた。
そして、予告していた通り、アンコールはなし。そのかわり、カーテンコール(?)を4回,5回…ありったけの笑顔でね…(でも、チョットだけ、足元がフラついた)。 まさに、完全燃焼。
そして、リアル.ジャンヌ・ダルクだった。
これは、1つの例。ただ、アリだと思う。
AKBも、セリーヌ以上に、自分の道を行ってほしいな。今は、最も遠い所にいるような気もする…実は。なんて、思ったりしてるんだ。
じゃあ、"最高のアンコールって何だろう?"
一応、僕なりの答えは持っている。
きっと、それは、"アンコール!アンコール!"っていう掛け声じゃなく、一定間隔の手拍子でもなく…。
僕は、それ、「長い拍手」だと思っている。
それも、段階的に増幅していくやつね…。
たぶん、それが、グローバル・スタンダードなんじゃないのかなぁ~!?
そして、こういうのを、ファンの方から仕掛けてみても面白いかな!?な~んて思ったりしてるんだ。
結構、本気だよ。
"アンコール、いっくぞ~" この予定調和を崩すのもいいかな!?な~んてね。
そしてそして、こういうファン発信の試みが開拓されて、カタチになっていくのは、「B」だと思っている。理由は、いい意味で、最高にかたまっていないから…。
でもさぁ、これだけ書いといて言うのもなんなんだけど…。
やっぱ、"アンコール"って、難しいよね~。
僕なんて、いっつも悩みまくっているもの。
"アンコール、どうしよっかなぁ~?"
"いや、その前に、メインの曲(ラストの曲)の出来だろ! しっかりしろ、自分!"
"いやいや、準備ぐらい、ちゃんとしとかなきゃ…"
『ザ・堂堂巡り』…。
全ては、ラストの曲が終わった時のお客さんの拍手と目の輝き…そして、"どよめき"が決める。ラストの曲が終わり、一旦、舞台下手にはける時、左耳で聞く…観客数人、OFF気味の"スッゲェ~" そして、2回目の"どよめき"が来る。しばらくは、お客さんに、「アンコールの態勢」なんか…絶対にとらさせない。指揮台から、僕が消えた事で、言いやすくなったラスト曲の本音の感想を、隣の人と2分でも3分でも喋っていてもらう。
僕は、アクエリアスを飲みながら、アンコール(カーテンコール)で出て行くタイミングをはかるよ。早すぎても遅すぎてもダメ…。"よし! 次回は、元気よく小走りで再登場してみよっかな?"
そして、(そういうのは)舞台に立っている側の人間でコントロールするんだ(どんなアンコールをしてもらうかさえもね)。ただし、お客さんに、それを気づかれてはならない。基本的には、全て計算ずく…それが舞台の構成。
"アンコールしなきゃ…" "アンコールされなきゃ…" 劇場公演、そんなおかしなプレッシャー・・・いずれは、「0」の世界になるといいなぁ。
最後に一言・・・
"思いつき"って、面白いし、周りの人は振り回されるんだけど、(確かに)強くはなる。
しかし、それは、「依存」を生みやすい環境でもある。プラス、本人だけが気づかない事多し…いろいろとね。
なんか、ところどころ、上から目線で、ごめんなさいね。