大槻雅章税理士事務所

http://otsuki-zeirishi.server-shared.com/

№121 非上場株式の財産評価

2019-04-01 | ブログ
2019.04.01


今回は取引相場のない株式(非上場株式)の評価について解説します。

次回は非上場株式を低額譲渡した場合の課税関係について解説します。


取引相場のない株式(非上場株式)は、(1)原則的評価方式、(2)配当還元方式により評価します。

(1)原則的評価方式


原則的評価方式は、評価する会社を総資産価額、従業員数、取引金額等の要素で大会社、中会社、小会社に区分して評価をします(評基通178、180~187)。


①大会社(評基通179(1))

大会社は、類似業種比準方式で評価します。

類似業種比準方式とは、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」、「純資産価額」を類似業種株価と比準して評価する方法です。

類似業種の業種目別株価は、3か月に一度、国税庁が公表しています。


②中会社(評基通179(2))

中会社は、大会社と小会社の評価方法を併用して次の算式で評価します。

類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額×(1-L)

「L」は、評価会社の総資産価額、従業員数、取引金額に応じた割合。


③小会社(評基通179(3))

小会社は、純資産価額方式で評価します。

純資産価額方式とは、会社の総資産の価額から負債を控除し、さらに評価差額に対する法人税額等の額を差し引いた残りの金額により評価する方法です。

ただし、納税義務者の選択により、Lを0.50として②の算式により計算した金額で評価することができます。


(2)配当還元方式(評基通188~188-6)

同族株主等以外の株主が取得した株式については、その株式の発行会社の規模にかかわらず原則的評価方式に代えて配当還元方式で評価します。

配当還元方式とは、その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法です。



(3)特定の評価会社の株式の評価(評基通189)


次の①~⑤については純資産価額方式により、⑥については清算分配見込額により評価することになっています。

ただし、①~④の株式を取得した同族株主等以外の株主については、配当還元方式により評価します。


①比準要素数1の会社(評基通189-2)

類似業種比準方式の3つの比準要素である「配当金額」、「利益金額」、「純資産価額」のうち直前期末の比準要素の2つがゼロであり、かつ、直前々期末の比準要素の2つ以上がゼロである会社の株式


②株式等保有特定会社(評基通189-3)

株式等の保有割合(総資産価額中に占める株式、出資及び新株予約権付社債の価額の合計額の割合)が一定の割合以上の会社の株式


③土地保有特定会社(評基通189-4)

土地等の保有割合(総資産価額中に占める土地などの価額の合計額の割合)が一定の割合以上の会社の株式


④開業後3年未満の会社等(評基通189-4)

課税時期に開業後の経過年数が3年未満の会社や、類似業種比準方式で評価する場合の3つの比準要素である「配当金額」、「利益金額」、「純資産価額」の直前期末の比準要素がいずれもゼロである会社の株式


⑤開業前または休業中の会社の株式(評基通189-5)


⑥清算中の会社の株式(評基通189-6)


(完)


この記事についてブログを書く
« №120 所得税:上場株式等の... | トップ | №122 非上場株式を低額譲渡... »