たぬきニュース  国際情勢と世界の歴史

海外のメディアから得た情報を書こうと思います。

6巻13-15章

2024-06-21 11:00:29 | 世界史

【13章】
ぼう大な数の敵は自分たちの表面的な優勢を信じ、がむしゃらに攻撃を開始した。かけ声勇ましく、彼らは短槍を投げた。しかし近接戦になり、ローマ兵の闘志に燃える表情を間近に見ると、彼らは陣形を維持できなかった。最前列が引き下がると、続いて次の列が退き、最後に後列の援軍までが退いてしまった。その時ローマの騎兵が襲ってきて、彼らは新たな恐怖を感じた。あちこちで戦列が崩れ、全軍が動揺し、兵士たちは次々に逃げ始めた。前列の兵士が倒されると、後ろの兵士は次は自分がやられるると思い、後ろを向いて逃げ出した。ローマ兵の激しい攻撃にもかかわらず、抵抗した兵士たちもいて、その場合が敵の戦列をを切り崩した。やがて、ヴォルスキと同盟軍の兵士全員が武器を捨て、あらゆる方向に逃げ出したので、騎兵隊に追撃命令が出た。「一人ひとりを追いかけずに、集団をまとめて倒せ」。
騎兵は逃げ道をふさぐため、槍を投げ、前方を走り回った。敵兵がおびえている間に、ローマの歩兵が追い付いてきて、敵兵を次々に倒した。敗残兵の始末は日暮れまで続いた。同日、ローマ兵はヴォルスキの陣地を占領し、戦利品を獲得した。捕虜以外の戦利品はすべて兵士に与えられた。捕虜の大部分はヘルニキ族とラテン人の貴族だった。平民は傭兵と思われ、戦力の中心は貴族だった。ヘルニキ族とラテン人が国家としてヴォルスキ族を応援したのは明らかだった。捕虜の一部はキルケイの市民とヴェリトラエの植民者だった。捕虜はローマに送られ、元老院の重鎮が素性を調べた。捕虜が語った言葉は独裁官への返事と同じだった。彼らは祖国を捨てると言った。言い逃れのためそう言ったわけではなく、それが彼らの本心だった。
【14章】
元老院はヘルニキ族といくつかのラテン都市に宣戦布告するに違いなかったので、独裁官は陣地を引き払わなかった。ところがローマ市内の混乱が悪化し、独裁官が呼び戻された。反乱の首謀者の活躍が目覚ましく、騒動は異常なレベルになっており、日に日に悪化した。M・フリウスの動機は彼の行動から明らかであり、庶民のためという主張は手段に過ぎず、真の目的は冒険的で危険な革命であった。
優秀な兵士である百人隊長が借金のために引き立てられて行くのを見ると、M・フリウスは多くの支持者と一緒に中央広場に行き、高利貸しの無慈悲さを糾弾した。「高利貸しは惨めな平民を容赦しない。貴族は横暴で、平民を助けようとしない。私の戦友である市民が鎖につながれ、奴隷として売られるのを見ると、私が砦と丘を救ったことが無意味に思える。高利貸しと政府はガリア人と同じだ。彼らは私の友人を逮捕し、売り飛ばすのだ」。 
言い終わると、フリウスは百人隊長の債権者に負債金を支払った。支払われた銅の重量が確認され、百人隊長は自由になり、家に帰ることを許された。百人隊長はフリウスに感謝し、神々と人々に訴えた。「私を解放したマンリウス、平民の守護者であるマンリウスに報いてほしいい」。
群衆はがやがや言いながら百人隊長の周りに集まった。百人隊長はヴェイイ戦、ガリア戦そして最近の戦争で負傷していた。彼がそれらの傷の跡を群衆に見せると、群衆はさらに興奮した。百人隊長は語った。「私が戦場にいた時、また家を再建していた間、私は利子を払っていた。私が払った利子の合計は元金に相当する。しかし元金を払わない限り、再び利子が生まれ、負債は増え続ける。私は借金に押しつぶされ,地下に葬られた気分だったが、マンリウスのおかげで生き返り、再び地上の光を見ることができた。マンリウスは父親が子供に対するように親切にしてくれた。私は再び昔のように中央広場と仲間を見ることができる。私はマンリウスに私の残りの人生を捧げる。私にとって大切な家、祖国、神々を支えているのは彼だ」。
百人隊長の言葉は平民の心をつかみ、彼らはマンリウスの熱狂的な信奉者となった。ちょうどこの時さらに大きな混乱を引き起こす事件が起きた。マンリウスは自分の土地を競売にかけた。その土地はヴェイイにあり、彼の遺産の主要な部分だった。彼は言った。「私の土地がある限り、借金をかかえた市民が債権者に引き渡されることはない」。
人々は感激し、市民の自由を守る指導者の盲目的な信奉者となった。行く先が地獄であろうと、彼らはマンリウスについて行くつもりだった。マンリウスの扇動はこれで終わらなかった。彼は自分の家で演説しや;彼の家は中央広場の集会のようになり。大勢の市民が集まった。マンリウスは徹底的に元老院を誹謗中傷した。中でも彼は怪しげなことを臆面もなく断言した。「ガリア人がかき集めた黄金はどこへ行った。貴族が隠し持っているのだ。貴族は国家の土地を奪うだけで満足せず、今や国家の資金を盗んでいる。この事実が明らかになれば、平民の借金はきれいさっぱり消滅するだろう」。
集まった人々は借金が消えるという話に希望を持っただけでなく、支配者の恥ずべきやり方に怒った。ローマはガリア人に黄金を払って戦争を終わらせたが、その時、資金を市民の税でまかなった。その後ローマ軍がガリア人に勝利し、黄金を取り戻した。黄金は市民全員に返還されるべきなのに、貴族がそれを独占したのである。集まった人々は隠されている巨額の黄金を見つけ出したいと思った。ここでマンリウスは黄金がどこにあるか見当もつかなかったので、時間稼ぎをした。「黄金のある場所については、いずれ明らかにする」。
人々は黄金を探すことに夢中になり、他のことは頭になかった。もしマンリウスの話が真実だと判明したら、人々のマンリウスへの崇拝は無制限になるだろう。逆に嘘であると判明したら、人々の怒りが爆発するだろう。
【15章】
国内がこのように危機的な状態になったので、独裁官が戦地から呼び戻された。独裁官は国内の事情を聴いた。翌日彼は元老院を招集し、自分に付き添うよう命令した。また彼は集会の審判員のひな壇に独裁官の席を設けるよう言った。元老たちが護衛のように彼をとり囲むと、独裁官は役人に M・マンリウスを呼んでくるよう言った。裁判への出頭をを告げられると、マンリウスは群集に向かって、いよいよ決戦だと合図した。彼が裁判に現れると、大勢の群集が彼を取り囲んだ。元老と平民が向き合い、両者は自分たちの指導者を見つめ、まるで戦闘開始の合図を待っているように見えた。独裁官が「静粛に!」と言うと、両陣営は静かになった。独裁官は話し始めた。「すべての問題で元老院と私は平民と理解しあえると確信している。それを妨げているのは平民に誤解があるからにすぎない。誤解を生んでいる問題についてマンリウスを取り調べたい。M・マンリウス、君は借金が消えるという期待を市民に与えた。ガリア人から奪い返した黄金で債権者に支払えばよいというわけだ。現在黄金は有力貴族のところにあるからだ。私はこの計画に大賛成だ。だから私は君にその黄金を奪い返してほしい。めんどりが卵を温めるように、一部の貴族が大切にしている宝物は本来国家の物だ。だからぜひそれを取り返してほしい。もし君が失敗したら、私は君を投獄する。取り返せない理由は、君が国家の物を盗んだ者たちの仲間であるか、君の主張が嘘であるかのどちらかである。嘘の話で市民が希望を持つことを、私は望まない」。
マンリウスは次のように反論した。
「私の考えは間違っていない。独裁官が任命されるのはヴォルスキに対してではない。ラテン人でもヘルニキ族に対してでもない。私と平民に対してである。ヴォルスキと戦うことが貴族の利益になる場合、彼らは敵とみなされる。また嘘の理由をでっちあげ、ラテン人やヘルニキ族と戦争を始める。貴族はその戦争を急に中断し、私を攻撃し始めた。独裁官はたった今自分を高利貸しの保護者であり、平民の敵と宣言した。人々が私に感謝し、友情を持っていることが、私を犯罪人とみなす理由である。私を滅ぼすためである。A・コルネリウスと元老の方々、大勢の市民がが私を守ろうとしていることが あなた方にとって犯罪なのです。ならば、彼らを私から引き離せばよいではないですか。彼らに親切な行為をして、窮地から救えばよいのです。あなた方の資産の一部を彼らに提供し、彼らが債権者に引き渡されるのを防げばよいのです。また借金はなくても困窮する者たちがおり、豊富な富を用いて彼らをを助ければればよいのです。私はなぜあなた方に出費を勧めるのでしょう。金持ちはつつましい資産で満足すべきです。他人に金を貸し、利子で儲けようとしてはなりません。元金が返却されたことで満足すべきです。もしあなた方が利子を禁止したら、私の周囲に大勢の市民が集まることはないでしょう。借金に苦しむ人々について心を痛めているのは私だけでしょうか。この疑問に答える前に、渡しはもう一つの疑問に答えなければならない。カピトルの丘と砦を救おうとしたのは、なぜ私だけだったのだろう。私はあの時市民全体を救うためにできるだけのことをした。今私は一部の市民を助けようとしている。ガリア人から取り戻した黄金のありかについては厄介な問題に見えるが、実は簡単だ。あなた方は黄金のありかを知っているのに、なぜ私に探せと言うのか。あなた方が自分の財布を振ればお金が出てくるのに、なぜ他人にそれをさせようとする。あなた方が正直でないからだ。手品の種を明かせと命令したものの、観客に手品のからくりを知られてはまずいと気づいて困っている。あなた方が盗んだ物を私が見つけ出す必要はない。あなた方が市民に公表すべきだ」。

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