春雷
2009-04-01 | 人間
夜更けて窓の外は雨のようです。
春雷を聞いて、思い出した光景があります。
憧れの先輩が卒業したあと、駅のホームに一人で立ち、「憧れの先輩は、憧れのまま
“永久の人”になってしまった」 ことを、乾いた心で考えている私がいました。
遠くに春雷が聞こえました。
雨をもたらさない春雷は、私の乾いた心そのものでした。
涙を流すほどの思い出も残さず、卒業していった憧れの人。
駅のホームで遠くの空を見る制服姿の少女は、間違いなく自分自身なのに、
今の私には、まるで絵画を見るように、後姿の少女が見えるのです。