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平岩弓枝著 御宿かわせみ6 「狐の嫁入り」

2019年12月04日 10時58分12秒 | 読書記

図書館から借りていた 平岩弓枝著 御宿かわせみ6 「狐の嫁入り」を 読み終えた。
御宿かわせみシリーズ」の第6弾目の作品である。

平岩弓枝著 御宿かわせみ6 「狐の嫁入り」

本書には 表題の「狐の嫁入り」をはじめ 「師走の月」、「迎春忍川」、「梅一輪」、「千鳥が啼いた」、「子はかすがい」の連作短編6編が収録されている。

「師走の月」
日本橋馬喰町の茶問屋東竜軒で 袱紗包みにした50両が消えた事件と、主人市右衛門が襲われる事件、娘おひでと船頭新三の仲、妾にされた一人娘おたつの怨念を抱く父親の畳職人鉄五郎、八丁堀同心畝源三郎と協力する御宿かわせみの女将るいと夫婦同然の八丁堀与力の次男坊神林東吾達が、事件の真相を探っていく。

「迎春忍川」
正月三日、上野護国院に初詣に出掛けた 御宿かわせみの女将るい神林東吾、かわせみの老番頭嘉助、女中頭お吉達は 人目を引く美女を見かけるが、鼈甲屋老舗加納屋清右衛門の後妻19歳のお比奈だった。清右衛門が変死、岡っ引きの伊之助が殺された事件、果たして下手人は?

「梅一輪」
東吾は兄嫁の実家(与力神林通之進の嫁香苗の実家)麻生家を訪ねた帰りに女掏摸を捕まえたが 路上で素裸になった掏摸の背中の滝夜叉姫の図柄の入れ墨に気をのまれたすきに 掏られた財布を見失ってしまった。るいから嬲られる東吾。嘉助の昔話から 殺された 掏摸の中の名人と言われた将門の彦六には 娘がいたことが分かる。目黒村のおまさ?、おもん?、丑松
文中より
源三郎は 懐から小さな枝を取り出した。梅一輪が咲いている。「おまささんが東吾さんに渡してくれっていいましてね。(神田)明神様の境内に咲いていたそうです」「馬鹿、そんなものかわせみに持ってくる奴あるか」、るいの足音が廊下を戻ってきた。

「千鳥が啼いた」
東吾通之進は 亡母の生家、斎藤家の法要の帰りに強盗に襲われた。助っ人に現れたのは伊太郎、何故ここに?蔵前の料亭鶴伊勢屋が強盗にやられる。主人平治郎と女房、倅松之助が殺害され、800両が奪われた。「ゆるせねい連中だ」

「狐の嫁入り」
御宿かわせみの居間で るいは 東吾に狐の嫁入りの話をする。
「亀戸村あたりに 毎晩出るんですって」「鬼火みたいに青い火があっちこっちで燃える狐火、その中を駕籠に花嫁を乗せた行列が宙に飛ぶように走っていくって話ですよ」。本所あたりの旗本衆から狐狸騒動不届と奉行所がねじ込まれたことも有り、源三郎と東吾は 早速真相究明に乗り出す。木曽屋万兵衛の娘およねが からっ風検校の息子の嫁になる・・・「花嫁が逃げました」・・。大芝居の末の見事な幕切れ。

「子はかすがい」
東吾の兄、与力の神林通之進、香苗夫婦は 結婚して10年経つが、子供が出来ない。雛祭りの夜、来客の麻生家の末娘七恵(香苗の妹)は 東吾に「ひょっとして おめでたではございませんかしら」と 真っ赤になって言う。正吉が 狸穴(まみあな)の方月館から泥まみれになって御宿かわせみにやってきた。母親のおとせが代官所にしょっ引かれたと泣きじゃくりながら訴えた。その正吉が行方不明に・・・、人殺し事件と 右足の甲から足首にかけて赤いアザがある赤ん坊・・
文中より
「香苗、出来たのか」、おっとりと兄嫁がかぶりをふった。「いや、しかし 義姉上はこの前 蜜柑をいくつも召し上がって・・・」(中略)
「馬鹿者、なにもわからないくせに。知ったかぶりをする奴があるか」
弟を叱りながら 通之進が奉書をそっと手文庫にしまうのを 東吾は見ない顔でちゃんと見届けていた。夕陽のさしている庭に 染井吉野が漸くの三分咲きである。



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