たけじいの気まぐれブログ

記憶力減退爺さんの日記風備忘雑記録&フォト

藤原緋沙子著 「蛍籠」

2024年05月21日 16時31分24秒 | 読書記

図書館から借りていた、藤原緋沙子著 「蛍籠(ほたるかご)」(廣済堂文庫)を、読み終えた。本書は、著者の長編時代小説、「隅田川御用帳(すみだがわごようちょう)シリーズ」第3弾
「第一話 忍び雨」「第二話 通し鴨」「第三話 狐火」「第四話 月あかり」の連作短編4篇が、収録されている。
「隅田川御用帳シリーズ」は、縁切り寺「慶光寺」の御用宿「橘屋」の女主人お登勢(おとせ)に雇われた、元築山藩藩士の浪人塙十四郎(はなわじゅうしろう)が、「慶光寺」の寺役人近藤金吾や、橘屋の番頭藤七等と共に、縁切りを求めて「橘屋」に駆け込んでくるいろいろな女達の様々な事情を探り、絡み合う悪事や謎を解明、愛憎乱れる 女と男の深い闇を、人情と剣とで見事に解決していく、悲喜こもごもの物語である。

「第一話 忍び雨」
▢主な登場人物
万寿院(駆け込み寺慶光寺の主、前十代将軍家治の側室お万の方)、春月尼、
幸助・お筆・光太郎、
青山兵庫・千春・大五郎、勘助
戸塚豊後守(旗本、御小納戸頭取)、山崎左内、虎蔵、
▢あらすじ等
寺入りしていたお筆が出産、誰の子?、寺入りした原因は?、押して不義?、一方で、十四郎は、行きあった中間勘助から辿っていくと、御小納戸頭取旗本戸塚豊後守の権力を振りかざした悪行が明らかになってゆき・・・・・・、
   「許せぬ」・・・・、
十四郎の胸に、怒りがふつふつと沸くのだった。


「第二話 通し鴨」
▢主な登場人物
八兵衛(裏店の大家)、柳庵
伊勢屋茂兵衛(茂助)・おくら・初太郎、
政蔵、愛川鉄次郎、伊八、おるい、
伊勢屋長吉、
▢あらすじ等
木綿問屋伊勢屋茂兵衛の女房おくらが、橘屋に駆け込んできた。その理由が不明?。一方で、伊勢屋長吉が殺害され、その関連性は?、十四郎、藤吉、金吾等が調査開始。引き籠もる茂兵衛、
何故だ?、黒木屋?、500両?、次第に真相が明らかになってゆき・・・、おくらが拐かされ・・・、

   お登勢は両手を胸に併せて言った。「通し鴨というらしい」、
   「取り残されて、次の冬まで地にとどまったいる鴨のことだ」、
   金吾が物知り顔で言った。

   十四郎の脳裏に、ふと茂兵衛夫婦の姿がよぎった。

「第三話 狐火」
▢主な登場人物
おふく・忠太、おさよ、政五郎(大工の棟梁)
石川将監(火付盗賊改)、松波孫一郎(北町奉行所吟味方与力)
富田屋(材木商)、おふじ、般若面の仙蔵、
▢あらすじ等
江戸に、狐火?による火災が頻発し、その都度、無実の町民が火付け下手人にでっち上げられ処刑されており、橘屋と縁の有る大工忠太も捕縛された。お登勢、十四郎、藤吉が、忠太救出のため、真相解明に動くが、相手は旗本、火付盗賊改石川将監、ライバル意識高い北町奉行所も威信を掛けて動き・・・、商人とグルになった悪巧みが明らかに・・・。
   十四郎は、静かに刀を抜いた。・・・・・・・、
   すすり泣きが聞こえる。そこには、忠太が、藤七と並んで膝をつき、
   絞り出すような声をあげていた。


「第四話 月あかり」
▢主な登場人物
菅井数之進(元築山藩御徒組藩士)、梶川兵庫(元築山藩御火之番)
豊原伊予守、
楽翁(元老中松平越中守定信)、俊明院(前十代将軍徳川家治)、
万寿院(駆け込み寺慶光寺の主、白河藩奉公女中松代、家治の側室お万の方)
早苗(十四郎の母親)
久喜次郎左衛門(元築山藩国家老)、白石頼母(元築山藩江戸家老)・うね、
万吉
▢あらすじ等
「お武家様、お助け下さいませ」、十四郎は立ち止まって辺りを見回した。紫の御高祖頭巾をかぶったどこかの女中風の女が暗闇からすいと出てきた。十四郎は数人の武士の前に立ちはだかり・・・。
女は、旗本豊原伊予守の屋敷から逃げてきた美代といい、籤(くじ)にあたり、生贄(いけにえ)にされる?、言う事を聞かないと殺される・・・という。???。一方、十四郎の前に、元築山藩の藩士菅井数之進が現れ・・・・、不穏が動き?、楽翁に、築山藩取り潰しの経緯、真相を問う十四郎、

   「物事には、表と裏が有ることを知れ」
お美代が殺害され、「お登勢殿、お美代の敵、俺に任せろ」、・・・・。
   「お聞きしました。万寿院様から・・・・」
   「しらばっくれて。でも、わたししか知りません。安心して、大切なお品、
   見せて下さいな」、
・・・・・・・・・・・・・・・、
   「十四郎様」
   お登勢の声が追っかけて来た。
   十四郎は、後ろも見ずに仙臺堀に向かって駆けた。


この記事についてブログを書く
« 花鳥に名を尋ねつつ爺散歩 | トップ | 民謡をたずねて・その5 »

読書記」カテゴリの最新記事