ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

今日、後楽園ホールで

2007年10月15日 | 国内試合(その他)
「亀田問題」で世間が大きく揺れたこの日、協栄ジムの興行が
(あくまで世間的には)ひっそりと行われた。しかしそこには、
ボクシングファンが注目すべき選手が登場していたのだ。

メインは瀬藤幹人福島士(まなぶ・学から改名)の日本ランカー対決。
そしてセミには、世界挑戦が内定しているサーシャ・バクティンの試合。


「無冠の強豪」瀬藤は福島を5ラウンドKOに下し、これで
山中大輔下田昭文に続き、後の日本チャンピオン(山中、下田)
あるいはかつての日本チャンピオン(福島)を3人破ったことになる。
現在の日本王者は下田。両者の再戦が楽しみだ。一方、ジムを移籍し
リングネームまで変えて臨んだ福島だが、残酷な結果となってしまった。

ただ(僕は試合を見ていないのでよく分からないが)、福島は
ダウンした後も意識はしっかりしており、ちゃんとファイティングポーズも
取っていたのに10カウントを数えたレフェリーの処置に対しては
疑問の声も上がっているようだ。


サーシャは、日本人ノーランカーに圧巻の2ラウンドKO勝ち。
「前哨戦」を軽々とクリアした。12月に予定されているという
WBA世界バンタム級王者ウラジミール・シドレンコへの挑戦。
渋い技術戦になると思っていたが、これで2連続KOと攻撃力も
ついてきたサーシャだけに、意外と打ち合う場面も増えるかも。

「反則問題」に処分

2007年10月15日 | その他
ここ数日、マスコミがこぞって報道している「亀田選手の反則問題」。
JBCの、亀田側に対する処分が決定した。

まずは東日本ボクシング協会がJBCに対して要望を出し、
それを考慮しつつJBCが最終決定を下すという形になった。
迅速に意見をまとめ、決定に漕ぎ着けた協会およびJBC関係者に
まずはご苦労様と言いたい。


<東日本ボクシング協会の要望>

亀田史郎トレーナー・・・セコンドライセンス無期限停止
亀田興毅選手・・・・・・選手ライセンス停止(期限はJBCに一任)
亀田大毅選手・・・・・・選手ライセンス停止(期限はJBCに一任)
金平桂一郎会長・・・・・厳重注意

<JBCの決定>

亀田史郎トレーナー・・・セコンドライセンス無期限停止
亀田大毅選手・・・・・・選手ライセンス1年停止
亀田興毅選手・・・・・・厳重戒告
金平桂一郎会長・・・・・クラブオーナーライセンス3ヶ月停止

協会の要望と比較すれば、おおむね妥当な処分である、と
言えるのだろうか。興毅選手への処分は軽い気もするが・・・。
 

ただ、僕はこれが軽いのか重いのか、よく分からないというのが
正直なところだ。日本のボクシング界で、反則による処分が
ここまで大事(おおごと)になった例がないからだ。

また、処分の内容が分かりにくい部分もある。例えば、

・無期限停止の処分は、どのようなことがあれば解除されるのか。
・厳重戒告とは、具体的にどういう処分なのか。
・オーナーライセンスが停止されると、興行にどのような影響があるのか。

こういった点を、JBCなりマスコミなりがしっかり説明
すべきなのではないだろうか。


処分の軽重はさておき、これで亀田家に対する、ひいてはボクシング界の
不正行為に対する監視の目が厳しくなるのなら、歓迎すべきことだ。
ボクシングにそれほど興味のない一部マスコミは、亀田を叩いて
盛り上がればそれでいい、と考えているかもしれないが、選手にとっては
こういったことが再発しないようにすること、それが最も重要
なのではないだろうか。

処分が出たことで、この問題は取りあえず内藤選手の手を離れたと
言ってもいいだろう。本人も、「もうネチネチ言うつもりはない」と
言っている。「もう勘弁してくれ」というのが本音なのだろう。
これもまた、「面白がり」なマスコミが蒸し返す可能性はあるが、
とにかく内藤選手には、ゆっくり休んで欲しいものだ。

僕個人も、こういったことでボクシングが話題になるのは
ちょっとうんざり、という気持ちがある。僕は基本的に、リング上で
行われる素晴らしいボクサー同士のやり取りを見たいのであって、
リング外のゴタゴタにはあまり興味がない。反則問題に時間を
割くのもいいが、同じくらいの時間を使って、他の世界戦や
その内容についても報道して欲しいと切に願うのである。

ボクシングニュース

2007年10月14日 | その他
・坂田は来月4日にV2戦

 「内藤vs亀田」の話題にかき消されてはいるが、「もう一人の
 フライ級の雄」WBA王者の坂田健史も忘れてはいけない。
 来月の4日、2位のデンカオセーン・カオヴィチット
 2度目の防衛戦を行う。

 恒例のハワイキャンプも消化し、順調に練習を積んでいるようだ。
 ボクシングファンが本当に見たいのは、坂田と内藤の統一戦では
 ないだろうか。この両者は2001年に日本タイトルマッチで
 引き分けており、実現すれば「因縁の再戦」という話題性もある。


・バレロの対戦相手が変更

 先月、WBA世界スーパー・フェザー級王者エドウィン・バレロ
 WBC世界フェザー級王者ホルヘ・リナレスが、メキシコで防衛戦を
 行うという記事
を書いたが、バレロの相手がどうやら二転三転
 している模様。先月下旬の発表ではフェルナンド・トレホが挑戦者と
 されていたが、今月13日には、ファン・カルロス・サルガド
 「ほぼ決まり」であることが明かされた。

 全勝全KOという戦績が恐れられているのか、対戦者候補に次々と
 断られているようだ。ただこのサルガド、無敗でKO率も高く、
 もしかしたらそれなりの強敵かもしれない。

 なお、リナレスの相手は、現在のところガマリエル・ディアス
 変わりないようだ。


・噂の強打者が日本初登場

 来月3日、日本フェザー級王者、粟生隆寛の2度目の防衛戦が
 上野則之を挑戦者に迎えて行われるが、その前座に、一部の
 ボクシングファンの間で話題になっている14勝全KO勝ちの
 強打者、ローマン・ゴンサレス(WBA世界ミニマム級1位)が
 帝拳ジムと契約し、日本のリングに初登場することになった。
 相手は、新井田豊との2試合でお馴染みのエリベルト・ゲホン
 つまりこれは、世界ランカー対決ということになる。

 ミニマム級は、ボクシングの階級の中で最も軽いクラス。
 このクラスで全KO勝ちというのは、極めて稀な戦績だろう。
 その強さは、果たして本物なのか。ミニマム級ではWBA王者の
 新井田、そしてWBC王者イーグル・デーン・ジュンラパンと、
 2つのベルトが日本にある。将来の挑戦者候補として興味深い。


・ファン・ディアスがライト級3冠統一

 WBA&WBO世界ライト級王者のファン・ディアスが、
 IBF王者のフリオ・ディアスに9ラウンドTKO勝ちし、
 3冠の王座統一を果たした。

 この階級の王者にはなぜか「ディアス」が多い。WBC王者の名も
 デビッド・ディアスなのである。ややこしいことこの上ないが、
 これで「ディアス」が一人消えたわけだ。せっかくなので
 4団体全て統一して、「最強のディアス」を決めて欲しいものだ。

反則

2007年10月12日 | その他
注目の世界戦から一夜明けて、話題は亀田が犯した反則に集中した。
選手が故意に反則を犯すだけでも悪質だが、こともあろうに
その反則をセコンドの父親(史郎トレーナー)、そして兄
(興毅、前WBA世界ライト・フライ級王者)が指示をして
いたというのだ。あまりのひどさに驚いてしまう。

その様子は、映像にも記録されていた。11ラウンドの前の
インターバルでの指示である。

史郎「大殻、勝たへんかったら、分かってるよな?なあ。」
  「玉打っても構へんから」(ローブローの意と思われる)
興毅「おい、大殻。ヒジでもいいから目入れろ」
  「目ぇもっと打てよ 目もっと重点的に」

といった内容だったらしい。僕にはよく聴き取れなかったが、
東日本ボクシング協会の事務局長である北沢鈴春氏(北澤ジム会長)は、
それを「確認した」と明言している。

(誤解しないでいただきたいが、パンチで目を狙うこと自体は
 反則ではない。グローブの親指部分で目を突く「サミング」や、
 肘を使うことが問題なのだ。)

これに関し、JBC(日本ボクシングコミッション)は、15日に
倫理委員会を開き、事実関係を検証するとともに、反則を犯した
本人である大毅、およびセコンドの史郎氏、興毅、所属する金平ジムの
金平桂一郎会長らに何らかの処分を課すことになりそうだ。

なお、亀田陣営は早速コメントを発表。セコンドが反則を指示した
ことを否定したが、映像に証拠が残っている以上、これは苦しい
言い逃れでしかないだろう。またそれ以前に、内藤に対する謝罪、
およびボクシングを冒涜したことに対する謝罪の言葉すらないことが
納得行かない。

史郎氏「反則は故意ではありません
興毅「あれは亀田家のボクシング用語


なおこれに関連し、25日に予定されていた興毅の試合が中止に。
興毅の処分も避けられない状況になったための措置であると思われるが、
もとより対戦相手がなかなか決まっておらず、それが一応の公式な
理由となっている。今回の件とは関係がないが、これもおかしな話だ。
「たかが」ノンタイトル戦である。相手などいくらでもいそうな
ものなのだが・・・。


そして勝者の内藤陣営も、亀田側がレフェリーも気付かないほど
巧妙に、執拗な反則を仕掛けてきたことを糾弾。怒りは収まらない様子。

それも当然だ。ボクシングで、しかも世界戦のリングで、これは
絶対にあってはならないこと。勢い余って反則をしてしまう例は
珍しくないが(昨日の内藤がそうだっただろう)、ここまで
計画的に、セコンドぐるみで反則が行われるなど言語道断だ。
ルールがあってこそのスポーツなのに、最初からそのラインを
逸脱しているのである。


繰り返しになるが、これは極めて異例なケースである。重い処分を
求めたい。選手の処分も当然ながら、最も責任を問われるべきは
史郎氏だ。自分の選手に反則を指示するなど、スポーツマンシップの
かけらもない。ましてやそれは、我が息子でもあるのだ。ボクシングの
トレーナーである以前に、親としての資質すら疑われる。

あまり感情的になるべきではないと思うが、内藤ファンとしては、
正直はらわたが煮え繰り返る思いだ。

僕はこの問題を、ただスキャンダラスに面白おかしく
騒ぎ立てたいわけではない。また、この騒動が内藤の勝利を
汚すものでは全くないことを最後に言っておきたい。

WBC世界フライ級TM 内藤大助vs亀田大毅

2007年10月11日 | 国内試合(世界タイトル)
内藤が大差判定で亀田を破り、初防衛に成功した。
「キャリアの浅い、ランク下位の挑戦者を危なげなく下した」、
文章で書けばただそれだけのことなのだが、この試合には
尋常でないことがあまりに多かった。

試合内容に関しては、どう書いていいのか正直分からない。
お互い「負けられない」という気持ちが先走りすぎたのか、
荒れ気味のファイトとなってしまった。そのせいかどうかは
分からないが、僕の文章も乱れ気味になってしまうことを
許していただきたい。


まず会場の雰囲気。従来の世界戦とは明らかに違う、怒号にも似た
内藤への歓声。平日ということもあり決して満員とは行かなかったが、
物凄い声援の大きさだ。

数々の非礼な振る舞いから「憎まれっ子」となった亀田が
無様にブチのめされる姿を期待するファン。そして内藤自身も
それを「国民の期待」とまで言って自らの責任感を強めた。
そういったことが重なり、内藤には明らかに力みがあった。


1ラウンド、ジャブも出さずにガードを固めて前進する亀田。
サークリングし、自在に手を出していく内藤。亀田は接近戦を
仕掛けたいのだろうが、突っ込み過ぎていい距離が取れない。
そして内藤はクリンチ。早くも「上手く行かないな」とばかりに
首をひねる亀田。

内藤とすれば、乱戦、そしてバッティングは避けたかったのかも
しれない。クリンチ際に、亀田の頭を抱え込む場面が多い。

3ラウンド早々、内藤が一気に攻めて出る。しかし亀田はなかなか
打たれ強いようだ。平然と前に出てくる。亀田のパンチも時折
当たっており、思ったよりはやるなあ、という印象。しかし
手数が少なすぎる。またこのラウンドで、内藤が右目上をカット。
これはパンチによるものと判断された。もともとカットしやすい
内藤だけに、これは心配だ。

4ラウンド。大きなパンチを立て続けに3発ミスする内藤。
左手で亀田の頭を押さえつけ、レフェリーに注意もされた。
執拗な亀田の前進に、少し手を焼いているような印象だ。
ただし、パンチはコンスタントに上手く当てている。

7ラウンド、出血が激しくなりドクターチェックを受ける内藤が、
亀田のバッティングをアピールする。頭から突っ込んでくる亀田に、
相当苛立っているようだ。また亀田の方も、一発いいパンチを
当ててもすぐにクリンチで攻撃を寸断されることで、苛立ちを
深めていった。

8ラウンド終了時の公開採点では、ジャッジ2人が6ポイント差、
1人が4ポイント差で内藤。インターバル間にテレビ画面に映し出された
亀田の目は虚ろ。試合開始当初とは全く異なっている。恐らく、
この辺りで勝ち目が薄いことを悟ったのではないだろうか。
9ラウンドから、いよいよ亀田のラフプレーが目立つようになる。

クリンチ際に内藤を投げ飛ばし、あろうことかガッツポーズまで
見せる亀田。再びもみあって倒れた内藤にヘッドロック。
さすがに切れた内藤が亀田を小突いてしまい、レフェリーはここで
内藤に1点の減点を与えた。

内藤とすれば、「どうして亀田には減点しないんだ」という思いが
あったに違いない。もし亀田が内藤を投げ飛ばした時点で減点が
与えられていたら、その後の大荒れの展開はなかったかもしれない。

そんな荒れ模様の中でも内藤が的確にヒットを重ね、迎えた12ラウンド。
内藤を投げ倒したとして亀田についに減点1。そしてその直後、
今度は内藤を担ぎ上げて投げ飛ばそうとする亀田。
この悪質な反則に対し、さらに2ポイントの減点。1ラウンドに
3ポイントも減点されるなど、滅多にないことだ。その後も2~3度
両者がもつれあって倒れるなど、荒れに荒れた最終ラウンドとなった。

判定を聞いても、内藤に笑顔はない。判定にしろKOにしろ、
きれいに勝ちたかったという気持ちがあるのだろう。


振り返ってみると、若さと勢いのみが取り柄の挑戦者の突進に
手を焼きつつも、ベテランらしい老獪さでその勢いを封じた試合
だった、と言えるだろうか。両者の間にあったキャリア、技術の差は
明白だった。

亀田のパンチも当たっていたし、見た目には健闘したようにも
思えるが、最終ラウンドの反則も含め、ボクサーとして世界戦に
上がれるような完成度の選手ではなかった。

ただし、その肉体的タフネスや左フックのタイミングなどには
光るものがあった。それでも全体にいびつな印象しか持てなかったのは、
いいキャリアを積んでこなかったせいだ。例えばその辺の4回戦の
選手でも、「いいものを持っている」と言われることはあるだろう。
それをそのまま世界戦のリングに上げてしまったような印象なのだ。

あまりにも自己中心的な、独りよがりのボクシング。変な言い方だが、
ボクシングとは対戦相手とのコミュニケーションでもある。
リング上で相手とやり取りをし、リズムやタイミングを読む。
そして時には、相手の嫌がることをしてリズムを崩す。
自分のいいように戦える相手とばかり戦い、そういったことを学んで
来なかったため、自分の思うように行かないとキレてしまったり、
ただ前に出ることしか出来なくなってしまうのだ。


今回内藤が苦戦したように見えたとしたら、それはこの
「コミュニケーション」が通じなかったせいだろう。
フェイントにも全く反応せず、ただ突っ込んでくる亀田。
「リング上の会話」がまるでないのだ。内藤が苛立つのも
無理はない。恐らく内藤は、「何か気持ち悪いなあ」と
思いながら戦っていたに違いない。

試合中のコミュニケーションが濃密であればあるほど、
試合後の選手たちはお互いの健闘を称え合えるものなのだと思う。
この試合でそのようなシーンがなかったのは、当然と言える。

厳しい言い方をすれば、これは凡戦だった。そしてそれは、
両者のボクサーとしての「ステージ」が、あまりに違いすぎた
せいではないかと思う。亀田には悪いが、いくらなんでもここまで
下手糞なボクサーだとは思わなかった。これでは噛み合うはずもない。


やはり全くまとまりのない文章になってしまったが、とにかく
内藤がベルトを守ったこと。そしてこの狂乱の日々がようやく
終わったことで、内藤ファンの僕としてはホッとしたと
いうのが正直な気持ちだ。そして内藤にも、ゆっくり休んでもらいたい。
この数ヶ月、精神的にも色々疲れたことだろう。

一方の亀田だが、まずは「まっとうな」キャリアを積むことから
やり直すべきだろう。今回の惨敗は、本人というよりも
本人を勘違いさせてしまった周囲に責任があるはずだ。


  
追記:一日経って、試合を見返してみた。若干堅いながらも、
   内藤は本当に上手く戦っている。まさに、キャリアと
   技術の差を見せつけるかのような戦い方だ。

   個人的には、ボクシングにおいて最も明白に能力の優劣を
   示すのは、大差判定による勝利だと思っている。「全く通用
   しなかった」ということで、負けた選手に与える無力感や
   落胆も、最も大きいのではないだろうか。

   また、見た目のスタイルは違うが、内藤は元世界スーパー・
   ウェルター級王者の輪島功一氏に似ているとも感じた。
   変則であることと、柔らかすぎるほど柔らかい語り口。
   北海道出身であること、遅咲きのチャンピオンであること
  (輪島氏は28歳で王座獲得、30代で2度の返り咲き)も共通点だ。

いよいよ明後日

2007年10月09日 | その他
いよいよ明後日に迫ったWBC世界フライ級タイトルマッチ。
スポーツ紙のサイトを巡ってみて、面白かったのはこの記事

「地上波で生中継されたことのない、ベールに包まれた王者のボクシング」
とは・・・。ボクシングファンからすれば、むしろ大毅のボクシングの
方がベールに包まれているような気がするが、一般の人にとっては
そういうものなのかもしれない。

またこの記事では、過去に内藤と対戦した選手たちのコメントが
読めるのも個人的には嬉しい。ボクシングファンの間では
菊井、中広、小松といった名前は有名であるが、普通の人に
とっては全くの無名だろう。そういった選手たちに、多少なりとも
陽が当たることが嬉しいのだ。


11日の試合とは直接関係のない文章になってしまったが、
今さら勝敗予想などするよりも、来るべき時を素直に、
楽しみに待ちたいと思う。

池原もシドレンコ挑戦?

2007年10月08日 | その他
先日、協栄ジムがサーシャ・バクティンのシドレンコ挑戦が内定
したことを発表したばかりだが、関西のハードヒッター池原信遂
年内の挑戦を画策しているという。

確かにまだ「内定」の段階ではあるが、サーシャ自身もブログで
「多分、12月ロシアで世界タイトルマッチ!」と書いているし、
ほぼ確定したものだと思っていた。一体どうなるのだろうか。

WBCインターSフェザー級TM マニー・パッキャオvsマルコ・アントニオ・バレラ

2007年10月07日 | 海外試合(その他)
4年ぶりとなる再戦は、パッキャオが3-0の判定勝利
バレラを返り討ちにした。なおバレラは試合後、引退を表明

バレラは、攻め過ぎず引き過ぎずの巧い試合運びでパッキャオの
台風のような攻めを封じたが、自らがポイントを取るには至らなかった。
一方のパッキャオは、バレラの巧さの前にいつもの爆発力は出せずじまい
だったものの、終始攻め続けてポイントを挙げて行った。

本来こういった戦法はバレラの必勝パターンであり、これで勝てなかった
のだから、バレラが引退を口にするのも無理はない。彼にすれば、
やるだけのことはやった、という思いがあるのだろう。


試合前、僕はパッキャオのコンディションが気になっていた。
今やスーパースターの地位を築き上げたパッキャオが、慢心や
ハングリー精神の欠如から練習を怠り、不十分な体調でリングに
上がるのではないかという懸念だ。

しかし、この日の動きを見る限り、ちゃんとやるべきことは
やってきたようだ。必ずしも自分の思う通りの攻めが出来なかった
にもかかわらず、辛抱強く戦って爆発のチャンスを伺っていた。
こういう勝ち方も出来るなら、パッキャオの天下はもうしばらくは
続きそうだ。

パッキャオの目下の敵は、WBC王者のファン・マヌエル・マルケス
ということになるのだろうか。両者は3年半ほど前に対戦し、激闘の末
引き分けている。決着戦はぜひ見たいところだ。


それにしても、パッキャオには不思議な人柄の良さがある。
「リングを降りればバレラとは友達だ」と言ったり、3度に渡って
戦ったエリック・モラレスと、CMとはいえ仲良さげに映ったり
している。

押しも押されぬスーパースターでありながら(その童顔の
せいもあるだろうが)、どこか親しみやすい、人懐っこい雰囲気を
常に漂わせているのだ。

大阪の試合

2007年10月06日 | 国内試合(その他)
高山勝成vsファビオ・マルファ」「石田順裕vsハビエル・ママニ」。
大阪で行われた注目の2試合は、高山、石田ともに大差の判定勝ち
いう結果となったが、それぞれの印象はまるで異なるものだった。


文句なしで殊勲の星を挙げたのは石田。結果だけでなく、世界ランカーで
あるママニのボクシングをほぼ完璧に封じたその内容が素晴らしかった。
鋭さのあるジャブなどを見る限り、ママニの調子は決して悪くなかった
ように思う。しかし、石田の巧みな体さばきについて行けず、軽いもの
ではあるが石田のパンチをしこたま貰っていた。

石田の技術は以前から高い評価を得ていたが、後半から終盤にかけて
やや集中力が切れるという悪癖もあった。一方のママニは、クレイジー・
キムに最終回逆転KO勝ち
したことからも分かるように、最後まで
決して勝負を諦めない選手。そこに心配があったわけだが、今回の石田は
最後までしっかり集中し、危なげなく試合を乗り切った。

日本と世界との間にある、中重量級の壁。ウェルター級以上の階級では
日本の選手層は薄く、反対に世界の選手層は恐ろしく厚い。スーパー・
ウェルター級の石田が世界ランカーに技術で完勝したことは、まぎれもなく
快挙である。石田は最初から判定勝ちを狙っていた節があり、試合後の
インタビューでは「つまらない試合で・・・」と謙遜していたが、
そのボクシングはとても美しく、KOの予感などなくても最後まで
飽きずに楽しめた。

これで世界ランク入りが確実となった石田だが、強豪揃いのこの階級
では、世界に挑戦すること自体が難事業だ。しかもママニはあくまで
「いち世界ランカー」に過ぎず、決して世界チャンピオン級の選手
ではない。つまり仮に石田が世界挑戦できたとしても勝てるかどうかは
分からないわけだが、ここまで来たら是非とも挑戦にまでは漕ぎ着けて
欲しいものだ。


この日のメインは、元世界王者・高山の再起戦。敗れた後の試合、と
いうだけではなく、ジム移籍後初めての試合でもある。前ジムとの
ゴタゴタもあり(ファイトマネー未払い問題は解決されたのだろうか?)、
満足に練習に集中できるような環境になかったはずだ。

いい時に比べれば体の動きははっきりと鈍く、ムキになって打ちに行って
逆に被弾する場面も目についた。それでも、高山の勝利自体は全く
疑いのないところではあった。再起戦は、まず勝つことが最も大事だ。
今後は落ち着いて練習できるだろうから、次の試合での「完全復活」を
期待したい。

東洋太平洋Sフライ級王座決定戦 河野公平vsエデン・ソンソナ

2007年10月06日 | 国内試合(日本・東洋タイトル)
河野が、フィリピンの新鋭ソンソナの巧さに苦しみながらも
2-1の判定勝ちで王座獲得。日本タイトルに続く2冠達成となった。


僕は試合前、またよくある「日本人と噛ませ犬の東洋王座決定戦」かと
冷めた目で見ていたのだが、ソンソナは実力者だった。
ボクシングファンなら、最初の1分を見ればソンソナが噛ませ犬で
ないことが分かったに違いない。

現在18歳ながらもフィリピンの国内王者で、既に3度も防衛している
という。若さのせいか線の細さも感じさせたが、これから伸びていく
可能性は充分にある。


河野の側からしてみれば、ソンソナがサウスポーであったことも
苦戦の原因になったのかもしれない。接近して連打、というのが河野の
得意パターンだが、ソンソナのフットワークの良さもあり、なかなか
いつもの連打が出せない。それでも前に出続けて何とかポイントを拾った。

どちらの勝ちか分からないような内容で、敵地なら負けていたかも
しれない。にもかかわらず、一人のジャッジが大差(118-110)で
河野を支持していたのには驚いた。微差のラウンドを全て河野に振れば、
このような採点も「あり」なのかもしれないが・・・。

また、1ラウンドの河野のスリップも、ソンソナのパンチがはっきりと
当たっていたので、ダウンと判断すべきだったのではないだろうか。


それはともかく、世界を目指す選手の試合にしては、やや物足りなさを
感じた。河野にとっては課題の残った試合と言えるだろう。

ボクシングニュース

2007年10月05日 | その他
・サーシャ、世界初挑戦か

 まだ内定の段階だが、元日本バンタム級王者でロシア出身の
 サーシャ・バクティンが、WBA王者ウラジミール・シドレンコ
 年末に挑戦することになるそうだ。場所はロシアになる予定。

 お互いに豊富なアマチュアのキャリアを持つ、旧ソ連勢同士の対決。
 体全体のパワーではシドレンコが、スピードではサーシャが上回る。
 ハイレベルな攻防が期待できそうだ。


・明日、高山の再起戦

 書くのを忘れていたが、元世界ミニマム級王者で、先日「真正ジム」に
 移籍したばかりの高山勝成の復帰戦が、早くも6日に行われる。
 相手は、実力者との対戦経験も多いファビオ・マルファ

 なお、この試合の前には、日本王者の石田順裕と世界ランカー
 ハビエル・ママニが対戦する好カードも用意されている。 


・長谷川がラジオDJに挑戦

 高山と同じく真正ジムに移籍した長谷川が、何とラジオのDJに。
 関西圏のFM局「Kiss-FM KOBE」での30分番組で、10月限定の
 登場ということだ(土曜21時~)。初回放送は明日になる。

ボクシングニュース

2007年10月03日 | その他
・長谷川、高山が真正ジムに移籍

 ようやく真正ジムの認可が下り、正式に移籍が承認されたようだ。
 両者とも、若くてまだまだ先が期待できる選手たち。
 少しブランクが出来てしまったが、今後は思い切り暴れてもらいたい。


・内藤vs亀田関連ニュース

 昨日の文章で「情報が少ない」と書いたが、それでも少しづつ
 出てきたようだ。また、スポーツ紙としては日刊スポーツ
 戦前特集をしている。


・坂田がキャンプから帰国

 内藤vs亀田の次は坂田。2度目の防衛戦が、もう約1か月後に
 迫っている。相変わらず亀田絡みの質問もあるようだが、
 出来れば目の前の試合に集中させてあげて欲しいものだ。


・フィリピンからまた世界王者

 30日にフィリピンのセブで行われたWBO世界ミニマム級
 王座決定戦で、ドニー・ニエテスが新王者に。これでフィリピンの
 現役世界王者は4人。いずれも今年に入ってから王座を獲得していて、
 フィリピンの勢いを改めて印象づけられる。

 なお、ニエテスの勝利により、主要4団体のミニマム級王座のうち
 2つまでをフィリピン勢が独占。他の2つのベルトは日本にある。


・6日、パッキャオvsバレラ

 このビッグマッチも、いよいよ間近に迫ってきた。
 再戦となる両者、4年前の初戦ではパッキャオがスーパースターの
 バレロをTKOで破り、世界を驚かせた。そして、パッキャオ自身も
 この試合をきっかけにスターへの道を昇っていくことになる。

 下馬評はパッキャオ有利と出ているようだが、バレラの底力も
 もちろん侮れない。どんな結末を迎えるのだろうか、非常に楽しみだ。

あと9日

2007年10月02日 | その他
開催まであと10日を切ったWBC世界フライ級タイトルマッチ。
10月に入り、いよいよ決戦ムードも高まってきた・・・と思いきや、
両選手の情報がそれほど伝わってこず、盛り上がりたくても
盛り上がり切れないような状態がある。

僕が地上波のテレビをほとんど見ないから知らないだけで、
TBSなどでは大いに宣伝しているのだろうか。

取りあえず、4日に予備軽量があるので、そこで両者の現状が
ある程度分かるかもしれない。


余談だが、専門誌「ボクシングマガジン」の来月号の発売日が
通常より1日遅れの16日となっていた。11日の試合レポートを
ギリギリで間に合わせるつもりだろうか。

そういえば、7年前の注目カード、畑山隆則と坂本博之の試合
(WBA世界ライト級タイトルマッチ)も、同じく10月11日に
行われたが、確か次の号にレポートが載っていた

ファンだけでなく、業界関係者も、11日からしばらくは
相当な騒ぎになるのだろう。


ちなみに、この2つの試合には、注目カードでありながら平日開催、
王者の初防衛戦、挑戦者のランクが14位、といった共通点がある。
単なる偶然ではあるが面白いところだ。もっとも、それ以外の共通点は
ほとんど見出せないのだが・・・。