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SHEC:歴史的建造物に対する個人的な見解

今日で一旦、建築士会SHEC活動が区切りとなります。
今年度最後のグループミーティングと慰労会が行われるからです。

そこでSHECについて個人的に感想を書いてみたいと思います。

まず、私は古い建物だから優れているとか、素晴らしいと短絡に考えることは危険と思っています。
何がどういう点からすぐれているのかを極めて冷静かつ客観的に判断する必要があり、古くから存在する建築物だから価値があるとは言い切れません。
このあたりの間隔は歴史的建造物を調査する人間には必要なのかなと思いました。

また、歴史的建造物を調査する場合、個人ではとても不可能ではないかという印象を持っています。
歴史的建造物の多くが構造と意匠が一体となっていますし、地域の歴史にも関係しています。そのため、バランスのとれた総合的な視点をもつ方の存在は必要という意見を聞いていますが、私も同感です。

問題は、SHECによって所有者に明確なメリットがあるかどうかです。
今のどころ、現状を正確に記録することで、将来再建したり、大規模修繕を行う上で参考になる資料となるとしか私の立場からはいえません。

ただ、歴史的建造物の改修については、現状をどれだけ正確に把握するかが重要です。
その作業だけでも結構な調査費用が本来はかかるはずです。
それがSHECによって無償で県内いくつかの歴史的建造物が調査されたということは所有者にとっては少なからずメリットは存在したと思っています。

しかしながら改修費に対する補助などがあれば助かるという意見も存在するでしょう。
このあたりを今後どうしていくのかについては、それこそ議論が必要であり、それを得意とする建築士も建築士会に数多く存在すると思っています。

耐震診断については、注意する点があると思っています。
それは歴史的建造物に対して、適切な診断法を採用しているのかということです。
また、どうしても老朽化していることが多く、地震で倒壊する可能性が高いという診断結果となるケースが多いでしょう。

しかし、問題にすべきは、危険度がどのくらいで改修の容易さがどの程度であるかという点です。
所有者も大きな地震があれば危険であるという認識は持っていると思います。
そこへ極端な話ですが、「その通り」とだけ書かれた御大層な診断書を提出されても所有者には新鮮な驚きはありません。
また、具体的にどのあたりを改修すれば効果的であるかといったアドバイスやおおよその必要も知りたいでしょう。

歴史的建造物の耐震性は、結局のところ完全に把握することは難しいという指摘もありますが、それは認めつつも可能な限り「不明」という言葉は避け、可能な限り正確な状況を把握するべきです。

また、耐震診断の場合は第三者チェックはとても重要です。
私は今回はJSCA関西にチェックをお願いしましたが、地盤の設定を指摘され再計算しています。
構造の場合は特に第三者に設計者による計算ミスやバラツキ防止をチェックしてもらう必要がありますし、そのための費用は覚悟しなければならないと考えています。

つまり、歴史的建造物の調査は、簡単なものでも気楽なものでもないということが今回でよくわかりました。
そういうことをよく理解した上で多くの建築士がこういった調査に関心をもつことを願っています。

なぜなら得るものもまた大きいからです。
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