|耐震課外授業耐震補強実績授業実践マニュアルアンケート調査報告書お問合せ 2006年度防災教育
 チャレンジプラン選出
 詳しくはこちら

私と伝統構法の出会い

私が伝統構法に関心を持ったのは今から8年前です。
古い木造住宅で耐震性に不安があるという相談を大井川町主催の耐震相談会で頂いたのがきっかけです。
(私は相談員として参加していました。)

その後、相談を頂いた方(所有者)の住宅を実際に調査することになります。
調査の際、私は不思議い古いと思いませんでしたし、今の新築住宅より品格があるように感じました。
理屈はありません。そう私が感じたのです。

今にして思うと、調査した住宅は伝統構法と呼ばれる建築物の中でも特に状態や使用している材料が良かったこともあったかもしれません。
それも幸運だったと思います。

所有者に話をよく聞くと、娘がこの家をとても気に入っているので何とか残したい。今の新築住宅よりよほど価値があるというので、耐震改修を検討することにしたということが分かりました。
私は、そういう考えをもつ若い女性がいるということが、とてもうれしく思えました。

一方でこうも思ったのです。
この住宅を他の住宅のように補強してよいのかと。
これも漠然と最初は感じただけでした。とにかく、この美しい住宅を極力損なわないで補強できないものかと思ったのです。

この疑問がスタートとなり、私は伝統構法というものを時間があるときに調べるようになります。
伝統構法という言葉を知ったのもこの頃です。

試行錯誤の上、私が採用した耐震改修については、このブログでも何度か紹介しています。
今、読み返すのは少し恥ずかしいですがが、方向性に間違いを感じたことはありません。

この住宅の耐震改修後、しばらくして駿河湾沖地震が発生しました。
早朝の地震でしたが、私はすぐにこの住宅に足を運んでいます。
たぶん、7時前には到着していました。

所有者の方は起きていて、私が何かありましたかと質問すると何もないと元気に答えてくれました。
ほっとしたのをよく覚えています。

昨年にまた別の仕事を頂きましたが、所有者の方が当時のことを懐かしくふりかり、依頼して良かったというありがたい言葉を頂きました。私こそ、私が建築士として生きる方向性を与えてくれたことに感謝しなければなりません。
そして、それはきちんとお伝えしました。
私が今、こうやってなんとか建築士として生きているのは、この住宅のおかげです。

もう一つ、伝統構法の出会いで欠かせない出来事があります。
先ほどの住宅を改修してしばらく後、このブログを読んだというアメリカ在中の日本人の方(元歯科医)から伊東市に伝統構法と思われる親戚の住宅があるので診断したもらいたいという相談をメールで頂きました。

その方から私は大きな影響を受けることになります。
考え方や姿勢など、とにかく仕事をする上で必要なこと全てです。

限界耐力計算や伝統構法への考え方について、私よりその方は熱心に勉強されていました。
私と一緒に改修内容について試行錯誤した日々は今も忘れられません。

最後は伊東市まで泊りがけで補強工事を行いました。
この補強で、はしご型フレームを採用したことも私にとってはよい経験になっています。

私が限界耐力計算をしっかり学ぼうと思ったのは、この方のおかげです。そうでなければ、私はいまでも他の計算法を愛用していたでしょう。現在もアメリカ(サンフランシスコ)にお住まいで、ときどきメールのやりとりをしています。

そして、大工職人である父の存在も忘れてはなりません。
小さいころから父が木材を加工している姿をみていましたから木に対する愛着や大工職人の技術には誇りのようなものを息子としてもっていました。
もし、父親が大工でなかったら伝統構法に強い関心を示さなかったかもしれません。

その後もいろいろな伝統構法に関わり、ときには兵庫まで足を運んで伝統構法の実大実験を見学、ついには限界耐力計算をきちんとマスターするために大阪まで勉強に行くようになるなど、気が付けば8年間、コツコツと知識や経験を積み重ねていました。

今後も初心を忘れないで、真摯に伝統構法に向き合いたいと思っています。
この積み重ねは工事経験は、きっと今後私にとって武器になるという確信があります。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« はぴパン フ... 天窓取付 »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。