「今日1万円チャージすると200ポイントが入るんだよ」とルンバがケッケツケッと笑う。
オホホやアハハではなく、私にはケッケッケとしか聞こえないオゾマシイ笑い声。
その妖(あやかし)を車に乗せて10キロ先のスーパーへ向かうのだが、往復20キロのガソリン代を考えると、全く得したとは思えない。
彼女が無事に200ポイント手に入れて買物している間、私はカット専門の理容室で散髪。
確か今年に入って初めての散髪だから、久しぶりに自分との御対面だ。
そこに映るのは自分であって自分では無い顔。
目や頬など、全ての構成部品が引力に負けて下方へ垂れている。
最初はタブであったHNを顎が二重になっていると娘に云われタブタブに変更したが、さらに変更してタブタブタブにしようかと思いながら、鏡に映る自分と別れる為に目を閉じた。
帰宅して娘に「オレではないオレが床屋の鏡に映っていた」と話したら
「あの大きな鏡は真実を映すからねぇ」と云って慰めるでもなくケッケッケッと笑った。
どうやら我が家にはもう1匹の妖(あやかし)が生息しているらしい。