安慶田副知事の辞任で、今朝の沖縄タイムスは合計7面を使って大発狂である。
ただ、見出しを一瞥した印象は、潔白を主張しながら辞任する副知事への疑念が満ち溢れている。
街の声の「潔白なら辞める必要はないのでは」「説明責任を果たすべきだ」など厳しいコメントが、辞任だけでは納得できない県民の本音を象徴している。
翁長知事の曖昧な対応も県民の不信感を増幅した。
翁長知事は20日の定例会見で、「安慶田副知事に確認したところ、教育委員会への働き掛けを行った事実はないということだ」(21日付琉球新報)
また「今後調査はするか」との質問には、「副知事も職員も信頼しつつ県民の理解も得ながらやるにはどうしたらいいのかと考えている」(同)と答えただけで、事実上調査を打ち切った。
疑惑の証明に当事者に聞いただけで、一件落着を宣言しても県民が納得するはずはない。
翁長知事に取って、第三者調査委員会による公正な調査を行って真相を明らかにすることは、任命権者としての最低限の責任だ。
にもかかわらず、「被疑者」である安慶田氏本人の話だけで幕を引こうとしたのだ。
翁長知事の「幕引き」を急ぐ対応に副知事の「口利き」疑惑は晴れるどころか、益々信憑性を帯びてきた
さらに分裂選挙の宮古島市長選での敗北や「自衛隊配備の賛否」についての説明責任を果たさず、加えて安慶田疑惑でも真相究明の責任を果たそうとしない翁長知事。
トカゲの尻尾きりのように副知事の辞任だけで、任命責任や説明責任を果そうとしない県知事の政治的命脈は尽きたといわざるを得ない。
さて、本日の沖縄タイムスから関連見出しを抜粋・紹介しよう。
■一面トップ
安慶田副知事が辞任
教員採用介入疑惑で引責
翁長県政に大打撃
「混乱招いた」
新証言「依頼あった」
教委再調査 きょう発表
■二面トップ
事実解明 険しい道
「説明不十分」指摘も
調査の進展見通せず
自民 事実解明要求
与党、信頼回復 再発防止訴え
知事の求心力に影響
■三面トップ
一転辞任 県に痛手
■第二社会面トップ
説明責任 どこへ
曖昧な幕引き許されぬ
■社会面トップ
突然の辞任になぜ
副知事「不安与えた」
口利きと人事介入は否定
知事痛恨 盟友去る
「寝耳に水」県庁 大慌て
辞表決済 僅か1時間
沖縄タイムス+プラス ニュース
2015年実施の沖縄県教員採用試験で特定の受験者を合格させるように依頼したなどの疑いが持たれている問題で、沖縄県の安慶田光男副知事は23日午後、「熟慮した末、翁長雄志知事に辞意を伝えた」と述べ、辞任の経緯を説明した。県庁で会見した。
安慶田氏は「今回の報道で多くの県民に不安を与え、県政を混乱させた。翁長県政のイメージダウンをもたらし、辺野古新基地問題や予算編成の重要な時期に、行政運営に混乱と停滞を招いている」と理由を説明。「辞した方がいいと結論づけた」と語った。一連の疑惑はあらためて否定した。
安慶田氏は20日に会見した際、「公務にまい進したい」と述べていた。
沖縄県宮古島市長選は来年の知事選の情勢に影響を与える首長選挙の先駆けとして注目され、県政野党の自民は推薦した下地敏彦氏の当選を勝ち取り、2月の浦添と4月のうるま市長選に勢いを得た格好だ。名護市辺野古の新基地建設に反対する翁長雄志知事と「オール沖縄」を構成する県政与党は、それぞれ別の候補を推した分裂選挙で苦杯をなめ、今後にしこりを残しかねない痛撃となった。
「オール沖縄」勢力は社民、社大が地元の選考委員会が選出した下地晃氏を推薦する一方で、翁長知事は元与党県議として協力したことなどを理由に奥平一夫氏を応援。一本化は実現せず、知事は与党が難色を示す中で現地に2回応援に入りテコ入れを図った。
知事サイドは選挙後は「ノーサイド」として、浦添やうるまに向けた勢力の結束を図りたい考え。だが、社民、社大の中には県政を支えているにもかかわらず政党として看板を傷つけられたとの遺恨を口にする幹部もおり、関係修復は容易ではない。
名護市辺野古新基地問題への影響も大きそうだ。知事の埋め立て承認取り消しを巡る訴訟は最高裁判決で県が敗訴した。県政は知事の持つ別の権限を行使し行政手続きで阻止を実現する考えだが、その最大の後ろ盾は「民意」だ。2014年の衆院選、16年の県議選、参院選では辺野古反対の民意が示された。一方で、市長選では知事が応援した候補が16年1月の宜野湾に続いて敗れ、辺野古阻止のマイナス要因となる可能性もある。
自民は「オール沖縄」に対抗する保守系9市長でつくる「チーム沖縄」のトップを務める下地氏を守りきった。
ただ、県連の宮古地区支部長を務めていた座喜味一幸県議が、保守の対立候補を応援するため離党した上での辛勝という側面もある。全県を舞台にした集票合戦となる知事選を考えれば、挙党態勢の再構築が課題として残っている。(政経部・銘苅一哲)
☆
沖縄タイムスら一連の「口利き」疑惑報道について安慶田副知事はこれまで、「報道に指摘された口利きの事実はない」として疑惑を否定してきた。
だが23日、メデォアの取材に対し、「この問題が長引くことで翁長知事の県政運営を停滞させており、迷惑をかけている。翁長知事に職にとどまるよう説得されたが、おととい辞任する意向を固めた」(NHK)と述べて、翁長知事に辞任する意向を伝えたことを明らかにした。
だが、今回の副知事辞任劇とこれに対する翁長知事の対応に納得する県民はいない。
先ず、安慶田副知事は疑惑を否定しながら、翁県政に迷惑をかける、という理由で辞任する理由が不可解なのだ。
「潔白なら辞任の必要はない」というのが大方の意見だ。 疑惑は浮上した当初安慶田副知事は「私の名誉の問題」と気色ばんで告発者の名前を誰何していた。
自分の潔白を証明しないままの辞任は、辞任自体が「口利きの証明」になるのではないか。
つまり、「逃亡による疑惑隠し」である。
また翁長知事の今後の疑惑解明の対応にも県民の目が光っていることを忘れてはいけない。
当初、疑惑報道で沖縄タイムスに遅れを取った琉球新報も、沖縄タイムスと並んで副知事辞任劇で「徹底解明」の社説を書いている。