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島尻vs伊波の事実上の一騎打ちである参院選を5日後に控え、沖縄タイムスの紙面から「伊波一歩リード、追う島尻」など「伊波有利」を印象付ける観測記事が消えた。 代わりに過去に起きた米軍の犯罪・事故を大きく取り上げ、「海兵隊撤退」を主張する伊波候補の応援報道に徹している感触だ。
共産党が主導する「オール沖縄」による政権奪還は、民進党、共産党ら革新系野党による「革新共闘」のモデルケースといわれた。
国の安全を守る国防問題で意見の異なる野党が共闘するのは野合だと批判されたが、野合に対する説得力のある反論はこれまで聞いたことがない。
それどころか、テレビ討論などで共産党幹部が「人殺しの防衛予算」とか「自衛隊は憲法違反で解体すべき」などとこれまでメディアが隠蔽してきた共産党の本音を次々と国民の前に自白する結果となった。
皮肉なことに、共産党員がメディアで発言すればするほど、「野合」の信憑性の証明となった。
安倍晋三首相は防衛問題で水と油の野党共闘を、後は野となれ山と慣れの無責任な「野合」と厳しく批判してきた。
共産党が自衛隊は憲法違反の組織で段階的に自衛隊の解消を図ると主張していることを踏まえ、「民進党の岡田克也代表はおそらく選挙で応援してもらっているから黙っているが、これは世の中では無責任という。民進党は共産党みたいになってきた」と批判した。
さらに首相は「自衛隊は熊本地震でたくさんの命を救い、北朝鮮の脅威から日本を守っている。(自衛隊に向かって)『お前らは憲法違反で将来は解散するが、しばらくは命をかけて頑張れ』ということが通じるはずがない」とも強調した。
民進党が「オール沖縄」をお手本にした「共産党との共闘」が効を奏するか、それとも共産党との野合に民進党の信頼が地に落ちるか。
そんな矢先、時事通信が世論調査を行った。
やはり国民の共産党に対するアレルギー反応は、予想外に強かった。
時事通信07/03
自民、単独過半数うかがう=改憲勢力3分の2微妙-参院選終盤情勢【16参院選】

10日投開票の参院選について、時事通信は全国の支社・総支局の取材や世論調査などの情報を基に終盤情勢を探った。自民党は改選50議席から上積みし、公明党と合わせ改選過半数(61)の勢いで、27年ぶりの単独過半数(57)もうかがう。与党におおさか維新の会と日本のこころを大切にする党を加えた「改憲勢力」で、改憲発議に必要な3分の2(162)の確保は微妙だ。改選45議席の民進党は30議席程度に低迷。共産、おおさか両党は改選議席を大幅に増やしそうだ。
【特設ページ】参院選2016~立候補者情報、図で見る各党公約比較~
ただ、世論調査で3割程度が態度未定と答えており、投票日に向けて流動的な要素が残る。
参院定数は242で3年ごとに半数(121)を改選する。安倍晋三首相は勝敗ラインを与党で改選過半数と設定。自公両党の改選議席は59のため、2議席上積みすればこれをクリアする。
自民党は選挙区に48人、比例代表に25人を擁立。32の「1人区」のうち20選挙区で議席を固め、山梨、愛媛、大分でもやや優勢。また、青森、福島、新潟、長野、三重で野党を僅差で追っている。13ある改選数2~6の「複数区」は1議席ずつ確保し、千葉、東京は2議席目を視野に入れる。比例は前回2013年の18議席に迫る17議席を獲得しそうだ。
公明党は、選挙区に擁立した7人のうち5人が議席を固め、2人もやや優勢。比例は7議席が見込まれ、改選9議席を上回る勢い。
一方、民進党は選挙区に33人、比例に22人を擁立したが、苦戦が目立つ。1人区は青森、宮城、福島、山梨、長野、三重、大分を除き、自民党に水をあけられている。複数区では北海道、東京、愛知で2議席目をうかがう。比例は13議席程度の見込み。
共産党は、東京、神奈川で議席を確保しそうで、比例も6議席と堅調。改選3議席を大幅に増やす見通し。おおさかも改選2議席に対し、大阪と兵庫で計3議席を固め、比例で4議席を獲得する可能性がある。社民党は改選2議席の維持は困難な情勢。生活の党、こころ、新党改革は議席確保のめどが立っていない。野党統一の無所属候補は岩手、山形、沖縄で議席を固め、新潟でも議席をうかがう。
世論調査は今月1~3日、全国の18歳以上の男女2000人を対象に電話で実施した。(2016/07/03-19:24)
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>野党統一の無所属候補は岩手、山形、沖縄で議席を固め、新潟でも議席をうかがう。
「共産党との共闘」の本家沖縄では、沖縄2紙の全面的支援を受け伊波候補が「議席をかため」としているが、共産党の恐怖に目覚めた「オール沖縄」内部にほころびが見え始めている。
「オール沖縄」こそ壮大な野合である。
沖縄県、革新共闘にほころびも
16参院選 注目区を行く(4)
普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古沖への移設反対の県民感情を利用し、序盤から優位に戦う無所属新人の伊波洋一を、現職大臣で自民党の島尻安伊子が激しく追う展開になっている。
島尻は公明党の推薦を受け、同党の比例代表候補・秋野公造と政策協定を締結、3期目の当選を目指す。ところが、同党沖縄県本部は辺野古移設反対の立場を取る。そのため、「選挙戦では普天間移設問題を封印する」というのが暗黙の了解だ。
「公明が本気で動かなければ島尻さんは勝てない」と自民党県連幹部は危機感を募らせる中、6月29日、那覇市で秋野と合同で総決起大会を開いた。
島尻は辺野古問題には触れず、沖縄担当相としての数々の実績をアピールした。沖縄振興予算で前年度比10億円増額の総額3350億円を獲得、沖縄が自由に使える子供貧困対策費を新たに10億円計上した。基地問題では、在沖米軍基地の整理縮小を積極的に行うほか、跡地利用促進法の制定など見える形での負担軽減に取り組んでいる。
島尻は「基地反対の県政にあって沖縄はどこに向かうのか心配だ」「沖縄の選挙は基地か経済の択一と言われるが、いま一度立ち止まって考えてもらいたい」と、これまでの実績と政策実行能力を強調する。
応援に駆け付けた宜野湾市の佐喜真淳市長は、「宜野湾市長を任期途中で投げ出し、知事選に出馬。次は市長選に出て負けた。それで今度は国政に出たいという。そんな人に任せてもいいのですか」と訴えた。
序盤には、小泉進次郎衆院議員が那覇市入りし、「無責任な人に政治をやらせてもいいんですか」とアピール。演説後、中年女性らの握手攻めを受けた。さらには、菅義偉官房長官、自民の茂木敏充選対本部長らが次々と沖縄入りし、「絶対に落とすわけにはいかない」と、陣営内の緊張感はますます高まっている。
一方の伊波。那覇で行った出陣式の後、真っ先に向かったのは、名護市辺野古の海兵隊キャンプ・シュワブのゲート前だ。「『辺野古新基地』を作らせない」とのスローガンを繰り返した。
翁長雄志知事をはじめ、県選出の野党国会議員5人、名護、那覇の両市長、そして、共産、社民、地域政党の沖縄社会大衆党などが支援。「翁長知事を支える」「オール沖縄で」を前面に出して、県民の支持が高い翁長の威を借り、「打倒、安倍暴走政権」で「『オール沖縄』から『オールジャパン』へ」を訴える戦法だ。
1日には那覇市で伊波の応援演説をした共産党の志位和夫委員長は、「憲法改正を絶対に許してはならない」と安倍政権批判に徹したが、同党前政策委員長が防衛費を「人を殺すための予算」と発言したことについては一切触れなかった。生活の党の小沢一郎代表は、野党共闘のために全選挙区での候補者擁立を断念した共産党を賛美した。
ただ、「オール沖縄」陣営は一枚岩ではなくなっている。県議選では共産党が1議席増やした一方で、元自民系の「新風会」の2候補が落選したからだ。1月の宜野湾市長選で革新候補が大敗を喫したことを受け、同候補選対本部長代行だった伊波の責任問題も陣営の結束に影響している。(敬称略)
(2016参院選取材班)
【おまけ】
「中国の脅威」は伊波候補の弱点と何度も書いたが、以下の記事も一種の「中国の脅威」として記録保存しておく。
香港書店関係者拘束 北京に香港政府高官を派遣へ
NHK 7月4日 20時33分

香港の書店の関係者が中国当局に拘束された問題を受け、香港政府は北京に高官を派遣して中国の警察に当たる公安省と協議すると発表しましたが、書店の関係者は、拘束は公安省の権限が限られる特別なチームが主導したとして、公安省とだけ協議しても意味がないと批判しています。
香港の梁振英行政長官は4日、記者会見し、司法長官をはじめとする高官を5日北京に派遣し、中国の警察に当たる公安省と、容疑者の情報などを相互に通報する制度の見直しに向けて協議すると発表しました。この協議は、中国共産党に批判的な本を扱う香港の書店の関係者が去年から中国本土で拘束され、香港政府が制度に基づいて関係者の情報提供を求めたものの具体的な回答がなかったため、行われるものです。
この協議について、中国本土で8か月近く拘束されたのち、香港に戻った書店の前の店長、林栄基さんは、NHKのインタビューに対し、取り調べに当たったのは公安省だけでなく、国防省やスパイを摘発する国家安全当局などから選ばれた、専門的な案件に携わる特別チームだったと証言しました。そのうえで、林さんは、「公安省の権限は非常に小さい。協議は意味がなく、誰も信じない」と述べ、特別チームに対して権限が限られている公安省とだけ協議しても、問題の解決にならないとして、香港政府の対応を批判しました。