狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

変人首相と奇人秘書

2008-01-05 18:59:28 | 県知事選

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≪「ここまで来たら、もう何が起きるか分からない。常識的には来春に予算が成立してからの解散だと思うが、“出合い頭”っていうのがあるかもしれない。シナリオはない」

 自民党幹部はこう語り、福田康夫首相がいつ伝家の宝刀を抜くのか固唾をのんで見守っている。「出合い頭」のように、ことの行方次第では、年内か年明けに突発的に解散することも考
えられるというのが、同幹部の見立てだ。≫(iza ニュース)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/100654/

 

                     ◇

上記引用は去年の記事なので、自民党幹部は遅くとも今春の解散を予想していることになる。

だが、このように断言する男がいる。

「年内解散は100パーセントあり得ない。来年の任期満了後の選挙になる」。

昨日のテレビインタビューで「官邸のラスプーチン」と呼ばれた小泉下首相の元秘書官は自信満々に語った。

長野県在の飯島勲氏の自宅でのインタビューだったが、テレビへの露出度の多さの割には飯島氏の声を聞くのは初めてだった。

インタビュアーの須田慎一郎氏に庭を案内しながら、飯島氏は次のように問いかけた。

「私は庭の植木には拘ってカシとカリンの二種類しか植えてない」

「理由が分かりますか」

須田氏は禅問答のような飯島氏の問いかけには答えられなかった。

だが答は簡単。

「貸しは作っても借りん」・・・が、その理由だそうだ。

語呂合わせのオヤジギャグの一種なのだが、

あの飯島氏がもっともらしい顔で説明すると、

何か深遠な彼の人生哲学にでも触れたような気がするから不思議だ。

で、年内解散は100㌫無い、と断言する彼の論拠は極めて明快だ。

現在参院選は民主党多数でねじれ現象を起こしている。

衆議院選挙で自民党が20議席減らしたら自民党の衆議院における3分の2議決権も失われて、実情上の政権交代になってしまう。

現在の状況で、総選挙を行えば自民党は確実に20議席失うのは明白なので、

これを承知で自民党総裁としての福田首相が年内選挙をするはずが無いというのだ。

現役政治家より永田町の動きに詳しいといわれる飯島氏の断言だけに注目したいが、この意見はテレビインタビューで初めて披露したわけではなく、

去年の12月にも長野市の講演会でこんなことを言っていた。

 1月解散、100パーセントない=飯島元秘書官

(時事通信) 2007年12月8日(土)17:46

 小泉純一郎元首相の首席秘書官を務めた飯島勲氏は8日午後、長野市で講演し、新テロ対策特別措置法案の衆院での再可決に絡んで取りざたされる衆院解散について「今月、(来年)1月の解散は100パーセントない」と述べた。>>続きを読む

秘書官辞任の理由は、昨年9月の次期総裁選挙に小泉元首相を担ぎ出すことに失敗し、小泉氏が福田支持を表明したからだというが、

これも誰のせいでもなく自分に負けたのだと説明した。

35年も一心同体に見えた小泉ー飯島コンビが何故、次期総裁候補で意見が対立したか、意見の調整はなかったのかと疑問に思う。

だが、35年間の秘書生活で小泉氏に怒られたことも無ければ、会話さえも殆どなく、いわば阿吽の呼吸でやってきたというから次期総裁候補では呼吸が合わなかったのだろう。

どうも普通の政治家と秘書の関係では考えられない。

「♪俺の目を見よ、何にも言うな♪」といった関係が、

最後の小泉再選で食い違ったのだろう。

飯島氏は時々、「小泉」と元親分を呼び捨てにしたが、これは辞任はしても今でも小泉氏のことを親分と仰ぎ、身内扱いして呼び捨てにしている感がした。

当然といえば当然のことだが、インタビューを通じて飯島氏は徹底し小泉氏を立てており、今でも小泉氏に心酔していることを画面に滲ました。

そして、昨年末の福田ー小沢会談による大連立に話が及ぶと、

「大連立とはあんなチャチなことでは不可」と斬って捨てて、大連立を本気で考えるなら、

「福田首相が衆議院から20名の子分を引き連れて民主党に行けば、衆参両院とも民主・与党になり、自民党としては否応なしに連立せざるを得ない」とも言い切った。

そして「政界再編制」の動きは100㌫始まっている」と断言した。

更に小泉再出馬に話が及ぶと、「自民党の総裁としての再登板はないが、自民党を超えて政界再編が起きた場合に旗印になるのは小泉以外にない」と言った。

そして小泉氏のことをテレビ画面に向かって「国有財産」と呼んではばからないほど元親分に今でも心酔している飯島氏は現在充電中と思える。

そして政界再編制の結果、与野党をまたいだ「小泉新党」旗揚げの折には、真っ先に馳せ参じる意欲満々と見た。

見た目にはまるで水と油にもみえる小泉、飯島コンビが35年間も一心同体であり、辞表を出した現在も事務所を通じて連絡を取り合っており、その辞表さえも小泉氏が預かりという形にしているという。

見た目には別れた二人だが根っこの部分では繋がっている。

見た目も育ちも水の油の二人が固く信頼で結びついている理由は、二人が負けず劣らずの奇人変人だからであろう。

二人の「♪俺の目を見ろ、何にも言うな♪」の関係は35年前の小泉氏の秘書採用面接の時に始まる。

 苦労して夜間高校を出て東京電機大学短期大学電気科を卒業した後の1972年、小泉純一郎のの秘書採用面接の際の時飯島氏の運命は決まった。

飯島氏は面接時に、苦しかった生活のことや家族のことを小泉に話したが、三代に渡る政治家の家庭に生まれたお坊ちゃまそ育ちの小泉氏には理解されないと思っていたという。

だが、小泉氏は黙々と飯島の苦労話を聞き、最後に一言「よし」と一言で採用が決定した。

その瞬間、飯島氏は「この人のために生涯頑張りぬこう」と決意したという。

小泉氏の御祖父さんが背中に彫り物のある男気のある政治家だったというが、それを受け継いだ小泉順一郎氏と飯島氏は初対面の時から、「♪俺の目をみろ、何にも言うな♪」の世界だったわけで、

35年間を通じて殆ど会話もなかったという言葉もこの二人なら理解できる。

更に硬い絆で結ばれた変人小泉と奇人飯島がタッグを組んで、ついには正解の頂点まで上り詰める話はまさに「兄弟仁義」の世界で興味は尽きない。

蛇足:兄弟仁義 http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND15246/index.html

北島三郎・唄  星野哲郎・作詞  北原じゅん・作曲

(一)親の血を引く兄弟よりも かたい契りの義兄弟・・・

(二)省略

(三)俺の目を見ろ何にもゆうな  男同士の腹のうち ・・・

インタビューを見たコメンテーターの感想は、

「雰囲気から見る飯島氏の印象は権謀術策に長けた官邸のラスプーチンといったイメージだが、インタビューで見る飯島氏は政治に対してピュアな信念を持った人」。

これには同感できた。 

もっとも「見た目の割には」という但し書き付きだが。

変人小泉と奇人飯島の今後の動向に注目したい。

 

【おまけ】

政界再編にはいろんな動きがあるようで、谷垣氏が抜けて平沼氏が加わった「真・保守政策研究会」は支持したい。
中川元幹事長「大連立、衆院選後に協議加速」1.5 14:09

だが、この男だけは勘弁して欲しい。↓

「大連立か政界再編、避けられない」 自民・山崎拓氏

 

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再挑戦!地元新聞の元旦社説を読む 【追記】1月6日

2008-01-05 07:34:31 | 未分類

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一昨日(2日)のエントリーが原因不明の消失をして正月早々へこんでいましたが、気を取り直して記憶を辿りつつ同じエントリを再構成してみました。

必ずしも全文一致ではありませんが内容は消失した2日のエントリー、琉球新報と沖縄タイムス 元旦社説読み比べ」 と同じですが、一部加筆したので、もう一度付き合って頂けると大変幸です。

以下は再掲になります。

                      ◇

沖縄ブームである。

テレビメディアで、特に芸能タレントの口を介して紹介される沖縄のイメージは「癒しの島」や「長寿の島」といったキーワードで代表される。

そんな沖縄を琉球新報は次のように紹介している。

◆琉球新報社説(1月1日)

新年を迎えて 真の「癒やしの島」を/将来像は一人一人の英知で   

≪ゆったりと時間が流れ、あくせくせずに物事に対処する柔らかな精神性は、寛容さにつながる。それらが美しい自然と相まって発揮され、沖縄を訪れる者に居心地の良さを感じさせるようだ。観光にも貢献しているのは疑いない。≫(新報)

去年から相模市で就職している娘が正月休みで帰省している。

初めての県外の生活で彼女が遭遇したヤマトンチュで辟易することは、初めて会う人毎に沖縄出身だというと次のようにオーバーに反応することだという。

「わー! 沖縄ですか、癒しの島ですよね。 うらやましいなー」

そして、決まって聞かれることは沖縄の観光情報や歴史・文化に関することだが、答えられない不勉強を後悔してるという。

オノレの不勉強は自業自得だとしても、次のような言葉が続くと、さすがのおとなしい娘も「ムカッ!」とくるらしい。

「沖縄はのんびりしているでしょう。 癒しの島なので、何も悩みはないでしょう」

だが、娘よ、同僚達の無知を怒ることはない。

連日テレビで流される沖縄紹介番組が、何かというと泡盛を酌み交わし、三味線に乗ってカチャーシーを踊る県民の映像だったとしたら、

職場の同僚が「沖縄人は何の悩みもない」と思っても無理はない。

テレビメディアの偏ったイメージ操作のせいなのだ。

だが、時代は変わった。

一昔前の沖縄には「癒しの島」のイメージなんて無かったはずだ。

一方、同じ沖縄でも新聞メディアが伝える沖縄は全く別のイメージになる。

琉球新報によると別の沖縄は次のようになる。

米軍機の爆音禍、パラシュート降下訓練による危険性の増大と拡散、最新鋭戦闘機の一時配備や外来機の飛来など、基地に苦しめられる「軍事の島」の実態は相も変わらない。
 政府は県民の負担軽減で際立つ鈍感さとは裏腹に日米合意を金科玉条にかざし、日米軍事一体化路線になりふり構わない。普天間飛行場の移設作業が着々と進み、2月には環境影響評価(アセスメント)調査が着手される。≫(新報)

ここに登場する沖縄人は常に徒党を組んで、赤旗を掲げ、こぶしを天に突き上げながら怒りのシュプレッヒコールを叫ぶ姿。

そう、基地の存在に怒りの声を震わせ、歴史わい曲は怪しからんと集会で演説する「戦う県民」のイメージだ。

このようにテレビの伝える沖縄と新聞の伝える沖縄は180度イメージが違う。

筆者が若い頃東京で学生生活を過ごしていた頃は、沖縄出身者だと聞くとヤマトンチュは決まって次のように反応したものだ。

「戦争では大変だったでしょう。 今は米軍基地で大変でしょう」

何が大変なのか、とにかく沖縄出身者というとワンパターンの反応しか出来ないほど沖縄の情報は一般にはなかった。

「沖縄戦」や「基地公害」といっても全ての沖縄人が直接体験しているわけではなく、戦火が激しくなる前にかなりの数の学童が九州各地に疎開しており、戦後沖縄に戻った人もまたそのまま留まった人もおる。

又基地公害といっても基地に隣接して住んでいる人はともかく基地公害を日常的に意識しながら生活している沖縄人はそんなに多くはない。

更に琉球新報は、防衛省の汚職事件や食品偽装にも触れて次のように嘆いて見せている。

≪かつて自明の理であったはずの倫理観や道徳観といったものが揺らぎ始めている。他者への配慮や目配りなどを欠いた意識や風潮がはびこる。≫

だが、倫理や道徳を教育に取り入れようとすると、戦前の歴史を暗黒の歴史として全否定する日教組が猛反対し、その日教組を支援してきたのは沖縄の新聞メディアではなかったのか。

≪脅かされる美質
 社会の根っこにある善良性、良識などの美質が脅かされているのではないか。あしき兆しを多くの国民が感じ始めている。
 言い換えれば、社会を支える目に見えないシステム、大切なつっかい棒が危うくなりつつあることへの不安感である。≫

朝日新聞流に言わしてもらうと、

ちょっと待って欲しい。

「戦後レジーム」の打破を掲げ、安倍前首相が目指したのが「美しい日本」であり、

「脅かされる美質」とは、まさに沖縄の新聞メディアがバッシングした「美しい日本」ではなかったのか。

「美しい日本」を自ら罵倒し、脅かしていながら、その発言者が退場すると、今度は態度豹変、

脅かされる美質」と叫んで、<社会の根っこにある善良性、良識などの美質が脅かされた>と嘆いてみせる。

「マッチポンプ」はマスコミの習性とはいえ、琉球新報は新年早々見事に典型的な「マッチポンプ」の見本を見せてくれた。

「マッチポンプ」に主義主張はあるの?

そんなの関係ねぇ!・・・か。

 

                      ◇

◆沖縄タイムス社説(2008年1月1日朝刊)

【将来像】開発主義を見直したい

小泉改革の置き土産は、日本全国どの地方へ行っても「格差問題」として姿を現す。

例にたがわず沖縄でも「地域格差」は町の衰退という形で現れているが、

沖縄タイムスの元旦社説はこれを次のように記している。

≪地方都市はどこも大型商業施設とコンビニとファスト・フード店の並ぶ似たような街並みになった。その一方で、旧商店街は空洞化し、シャッター通りと化している。≫

≪社会の構造変化は沖縄においても顕著だ。都市部では、地域との濃密なつながりで成り立っていたマチヤ(雑貨店)が消滅し、隣近所付き合いもめっきり減った。≫

なるほど、復帰後日本の一県となった沖縄は一つの歯車となって日本経済に組み込まれ、沖縄といえども日本全国を襲う地域格差の例外にはなれなかった。

だが、ここでもう一度待って欲しい。

「格差」と対極をなす「平等」といえば、結果や機会を問わず平等をイデオロギー化する左翼勢力の得意分野である。

今年は「格差社会」や「ワーキングプア」がキーワードになると思われるが、

左翼勢力がこれにつけ込んで、問題をことさら先鋭化させて勢力拡大の手段にすることが危惧される。

昨年末NHKは「格差社会」と「ワーキングプア」という左翼勢力の得意分野に焦点を合わせ特集を放映している。「※NHKスペシャル「ワーキングプアIII 解決への道」の感想こはちら」

そして、格差解消やワーキングプアといえばこのサイトが黙っていないと思ったら、JanJanも昨年末こんな記事を書いていた。日米両国の貧困層、ワ...

沖縄県は復帰後、生活基盤整備の立ち遅れを国の援助を仰ぐことで解消してきた。

地域の「発展」は県民の生活の質の向上を意味していた。

≪だが、利便性を高めることが直ちに生活の質の向上につながるかといえばそうでもないことが次第に明らかになってきた。≫

そこで沖縄タイムスは去年の「教科書兼営意見撤回」でも示した得意技のアンケートを持ち出す。

≪朝日新聞社と沖縄タイムス社が昨年、復帰三十五周年にちなんで実施した県民世論調査で、興味深い結果が出た。沖縄の経済振興に、より重要と思う要素は何かとの問いに対し、「国の支援」と答えた人が37%、「県民の努力」と答えた人が48%だった。≫

世の中には「本音」と「建前」がある。

米軍占領時代以来、経済的自立が叫ばれながらも、国の支援なしには沖縄の発展は有り得ず、それは現在でも変わっていない。

これまでの反基地闘争には、基地撤去を叫びながらも「国の支援」を期待する条件闘争的意味合いもある。

アンケート結果は、県民の本音と建前を使い分ける県民の強かさを見事に示しているのでは。

それで、沖縄タイムスの結論はこのようになる。

≪開発主義に対する反省と国依存体質からの脱却。この二つの課題を達成する方向に沖縄社会の構造を転換していく必要がある。≫

一応納得できるが、当たり前すぎてわざわざ新聞の元日の社説として掲載するには陳腐であり、何の現実的提案も無い建前論で、

昔から繰り返されてきた念仏のようなものである。

日頃事あるごとに琉球独立を臭わすような記事を書いてきた沖縄タイムスが、このような陳腐な経済自立を真面目に述べる裏には、

政治的自立、つまり琉球独立を隠しているのではないかと穿った考えもしたくなる。

琉球独立なんて夢物語を煽らないで、沖縄の経済自立に対しては、

昨年の「集団自決」に関する「教科書問題」や「大江・岩波訴訟」で示したタイムスのエネルギーのせめて半分でも注げば、

もっと具体性のある提言がでてくるのではないかと思うのだが。

 

【追記】1月6日

マスコミを中心にした沖縄インテリと一握りの沖縄シンのパヤマトンチュが造り上げた、「癒しの島」や「闘争の島」といった一面的な沖縄像を木っ端微塵に打ち砕き、返す刀でその「幻想」に酔いしれるウチナンチュをも一刀両断。

これまでにない「沖縄論」『沖縄を撃つ!』を紹介します。

作家・花村萬月が、日本人と沖縄人の共犯関係で出来上がった「癒しの島」幻想を徹底的に解体しながら、既存のイメージとはまったく違った沖縄の姿を克明に描き出す。日本人であることの加害者性を露悪的なまでに引き受けたその眼差しは、南の島を過剰に持ち上げたり、そこに逃避したりする日本人と、純朴な仮面を自ら進んで被ろうとする沖縄人に対しても、等しく冷淡であり、かつ挑発的である。二〇年以上にわたって沖縄取材を繰り広げてきた小説家による、もっとも苛烈で真摯な沖縄論。


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