「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

この時代に防災に取り組む者が出発点とすべき10のキーワードは何だろうか

2015-07-28 23:48:10 | 防災学
午前中、沼津消防のお二方が研究室を訪問された。
少し先になるが、11月に沼津市で行う講演会について、少し突っ込んだブレストとなる。
基本的には「DIGのワークショップなら受けるが講演はお断り」している「旅の坊主」であるが、
義理のある沼津消防からの依頼ということであれば、そうも言ってはいられない。
全体で1時間30分。つかみに5分かけ、質疑応答に15分を確保すると実質70分。
何を話せばよいのか、お二方の反応も見ながら、いろいろと考えてみた。
で、暫定的な答えとして思い浮かんだのが(実際、これで十分行けるとも思っているのだが)、
キーワードを10並べるというものだった。

間違った防災の常識に毒されていてはならない。そこからの脱却を考えるためにも、
特に静岡の地で、また静岡以西の太平洋沿岸地域で、地震と津波の防災を考えるならば、
その基本線を示すべき10のキーワードくらいは、とっくの昔に考えていてしかるべきテーマだったと、
今さら気づくような体たらくだから、我ながら困ったものであるが……。

ともあれ、思いつくままに、幾つかを並べてみた。
さて、拙ブログに関心を持って下さっているみなさま、ピンときて下さるでしょうか?

○立地と構造:
やはり防災の出発点は立地と構造、これに尽きると思うのだが……。

○周期性と準備期間:
海溝型巨大地震にはある程度の周期性が期待できる。
駿河トラフ・南海トラフの地震は90年~150年(あるいは100年~150年)に一度の発生で、
今年2015年は直近の発生から70年。
余裕をみても15年程度の準備期間は期待できるだろう

○レベル1とレベル2:
「あるもの」として覚悟しておくべきはレベル1。
レベル2という考えは理学者の「間違った責任感」が作ってしまったもの。
災害対策を進める上ではほとんど参考にならず、むしろ現実的な災害対策を妨害するもの。

○マクロとミクロ:重要なのは「着眼大局」
駿河トラフ・南海トラフ地震の全体像把握の重要性。
外部からの支援は、ほとんど期待できないという現実を理解せよ。

○ダブルパンチ:
家が潰れるような揺れの後の津波。
かつ、東日本大震災に比べて津波襲来までの時間的余裕はごくわずかでしかないことを理解せよ。

○「家族を捨てて職場に行くことを美談とするな」:
職務として災害対応に従事する者も被災者になり得る。であればこそ、
まともな立地にまともな構造の建物(耐震性ある建物)を建てることこそ防災。

○現在形の防災と未来形の防災:
あなたの災害対策は、「今起こったらどうしますか?」にとどまっていませんか?
準備期間を活かして、地震や津波に見舞われても被害の出ないまちをつくることこそ、
取り組むべき最大の課題のはず。

○個人としての防災と社会に対する働きかけとしての防災:
準備期間を活かすにあたって、個人として、その時までに何ができるかと共に、
社会に対して、どれだけのことを働きかけられるか、を、考えるべきではなくて?

○全国どこであれ震度6強の揺れはあると思え!:
建物の構造と築年次(建築基準の厳しさ緩さ)を踏まえた全壊率テーブルの活用を。
まともな構造(耐震性)ある家であれば、立地がまともならば震災後も十分使用に耐えられる。

○避難所に行かないことが防災!
避難所への経路確認が防災、などという、本質を外した、つまらんレベルの防災からは、
一刻も早く脱却すべき、と思うのだが……。

うーん……。もう少し頭を整理する必要がありそう……。
少なくても順番については、要再検討であるな。


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