「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

四半世紀後の下田市と、そこに襲いかかってくる巨大災害をイメージする

2015-01-12 20:04:00 | 防災学
三連休の最終日を、卒論生S君と共に研究室で過ごす。

S君は卒論の原稿書き。「旅の坊主」は彼とのキャッチボールもしつつ、
越年してしまった研究室周りの整理整頓。

下田に生まれ、高校までを下田で過ごしたS君。
「旅の坊主」の下で防災を学んだ後、この春からは下田市の職員として地元に戻り、
そこに骨を埋めることになるであろう学生。

彼が卒論のテーマとして選んだのが、
四半世紀後の下田市の姿を描き出し、そこに襲いかかってくる巨大災害をイメージした上での、
「揺れと津波を受けても耐えられるような下田市をどうやって作っていくか」という、
四半世紀の準備期間の活かし方を考える、というもの。

いわば、市役所職員としての自分はこれから先、いかに生きていくべきか、を
ま正面から文章化しようとしている訳で、まさにこうあって欲しいよね、というもの。

もちろん、取り組まなくてはならない課題の大きさに比べ、
学部4年生の力は遠く及ばないのが現実ではある。

指導教員としては申し訳ないながら、
求められているものに比べ、S君の卒論がどこまで「歯が立つ」ものかを問われるならば、
現実的には、どれほどのことが出来るだろうか、と、言わざるを得ない、とは思っている。
でも、たとえ「力はるかに及ばず」であろうとも、
これから先の社会人人生では、常のこの問題と取り組まなければならない訳で、
いわば「初心」として、しっかり整理しておいてもらえれば、と思っている。

多分、卒論の構成はこんな感じになるのだろう。
またそれは、S君の卒論のみならず、伊豆半島以西の太平洋沿岸の市町村が、
本来あるべき社会資本整備を考える上での、基本的なひな形になるものだろう、とも思っている。

1 下田市(○○市町村)の現状

2 現時点での下田市(○○市町村)が抱えている問題
⇒「災害は、そのコミュニティが抱えている基本的な方向性を加速化させる」との
防災学の基本的なテーゼに鑑みての、ベースライン理解となる。

3 2040年時点での下田市(○○市町村)の姿
⇒増田寛也さんらの研究が手がかりの一つになろう。
もちろん、総合計画や地域防災計画がこの種の将来像を具体的に描いていればよいのだが、
まず間違いなく、そのような計画にはまず巡り会えないだろう……。
高齢化、少子化、財政悪化、インフラ老朽化、等々が行き着くところまで行き着いてしまった
そんな地域社会の姿をどこまでリアリティある形で描き出せるかの勝負。

4 2040年(前後)に襲いかかってくる巨大災害による下田市(○○市町村)の被害様相

5 予見出来る被害に見舞われないようにするため、四半世紀の時間をどう活かすか
⇒地震や津波の発生は防げないが、高台移転などにより、
自然の猛威を受けても被害の出ない地域にすることは、少なくても原理的には可能。
そのためのまちづくりのビジョンや、中長期的計画作りこそが求められている。
そこをどこまで書き込めるか。財源まで含めて書ければベストだが……。

今日のところはぼつぼつ店仕舞い。次の議論は木曜午前。
それまでどう変わってくるか。期待して待っていよう。


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