「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

水タバコを吸いながら……

2008-06-03 23:20:15 | 国際防災協力
 6月2日(月)午後、TDMMO(テヘラン市総合災害管理局)で部内者
向けのセミナーを行い、その後JICAイラン事務所を表敬訪問。この日の
予定はこれで終わりました。翌日はオフ(エマーム・ホメイニーの命日に
絡む連休)。というので、夜遊び?に出ることにしました。ショウさんの
案内で、まずは市の北部にあるタジュリーシュ広場へ。

 テヘランに来て、初めて人の営みに触れたような気がしました。妙な
もので、日本で言えばアメ横のような場所に行くと、なぜかホッとします。
タジュリーシュ広場近くのバーザールにはそんな感じがありました。当地
に着いてから動いた範囲では、何というか、人間臭さというか人間らしさ
というか、そういったものが感じられなかったのです。厳格なイスラム教国
だからかなぁ、と思っていたのですが、どうやら早合点だったみたい。
(ちなみに、中東最大規模と言われるテヘランのバーザールは、もちろん
まだ行っていませんが、もっとすごいのでしょうね。)

 タジュリーシュ広場からさらにタクシーで、市街地の北側に広がる山の
中に入っていき、ハイキングコースの出発点にもなっているというダル
バンドへ。かなりきつい上り坂の両側に、段々畑のように店が広がって
います。ショウさんお勧めの店はお休みだったので、谷の一番奥のミラド
という店へ。「○○と煙は……」で、最上階に行けば、いす席ではなく、
水タバコ用の絨毯席。でも聞いてみれば食事もOKとのことで、ビール
もどきのジュースを飲みつつ、ショウさんはエビのフリッター、私はケバブ。
それにサラダとバターライス。ショウさん曰くの「紙パン」なるクレープもどき
は料金に含まれているみたい。

 店に着いたのは21時近くだったと思いますが、22時を過ぎてもどんどん
人が増えるばかり。翌日が休日とはいえ、子供が多いことにもびっくり。
男同士、女同士、家族づれ、親戚、カップル等々。夜中近くになっても
みんな揃って飲み語り、でした。こちらも食後に水タバコをたのみ(タバコ
なんて10年以上かも……)、紅茶を飲みながら、そこで気付きましたねぇ。

 イスラム諸国の人はストイックだなんて、根拠のない単なる先入観でした。
絨毯に胡坐をかき、あるいは片ひざを立て、水タバコを回し飲みしながら
(ちなみに吸い口は人数分用意されます)、思いっきり吸い込んだ水タバコ
で少しクラクラしつつ、とりとめのない話に興じいつしか時間が過ぎていく。
確かに「(アルコールという意味での)飲みニケーション」ではないけれど、
イスラム圏だって、ちゃんとこういう時間の過ごし方を用意してくれていた
ことに、初めて気付きました。自分の世界の何と小さかったことか。やはり、
人と人とのつながりって、国や民族は違ってもどこかに共通する部分が
あるみたい。

 ほんの数時間の経験でしたが、イランの(広くイスラム圏の)人との
距離が一気に近くなったような、そんな一時でした。


コメントを投稿