たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

守るべき距離感

2017-04-25 10:07:15 |  無社殿神社2

<宇津木・矢倉神社 うつぎやぐらじんじゃ>

 

本来神社というのは、

「神様と人」とが着かず離れずの距離感で、

共存できる場所に作られるのが最善だと思います。

神様の住処である山と、人間の住処である集落の

ちょうど境目のあたりに位置する地域の氏神は、

その土地に住む人々が神社を守るだけでなく、

神様の側からも人々を見守ることができるため、

お互いの存在を意識しながら生活できるのです。

 

もちろん、山頂や人里離れた場所にある神社が、

よくないというわけではありませんが、

修験道などによって山が開かれる以前、

日本に根づいていた古い信仰というのは、

未開の自然の中に分け入ることや、

力のある自然物を拝むことではなく、

「今いる場所から」目の前にある自然に

手を合わせることだけだったのでしょう。

 

人と神とが寄り添うような形で置かれた

熊野地方の無社殿神社の姿を見ておりますと、

私たちが守るべき「人と神との距離感」を、

無言で教えられたような気がしました。