たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

石が伝える記憶

2017-04-01 10:06:36 |  無社殿神社2

<下村・矢倉神社 しもむらやぐらじんじゃ>

 

下村・矢倉神社へと続く石段は、

これまで訪れた無社殿神社の中でも、

とりわけ長くて急峻な参拝道でした。

ゆるいカーブを描きながら、

神社のある深い森の中へと

吸い込まれるようにして伸びるその様子は、

熊野古道の雰囲気ととてもよく似ています。

「石は人の思いを溜める」などと言いますが、

こうして無社殿神社の石段を登っていますと、

近年作られたコンクリート製の階段では感じられない、

古代の人々の思いが足元から伝わってくるようです。

 

全国各地から熊野の地を目指して人々が集まるのも、

そんな「古い記憶」に触れたくなるからなのでしょう。

古の時代、この祭壇を築き上げた人々は、

どんな思いを込めながら石を積み上げ、

どんな思いを込めながら神と向き合ったのでしょうか…。

もしかすると、千年後に訪れるであろう日本の様相や、

千年後に訪れるであろう私たちの心の中まで、

はっきりと見透かしていたのかもしれません。