<宇津木・矢倉神社 うつぎやぐらじんじゃ>
「その先の道を山のほうへと曲がるとな、
犬がワンワンと吠えるからすぐにわかる」
「そうやな、あの犬はワンワンと吠えるわな」
「ワンワンと吠えたらその近くにあるわ」…と、
何ともローカル色満載の説明をしてくれた、
ふたりの地元のおばさんの道案内に従い、
神社(というより犬)を目指してほどなく、
ワンワンと吠えられるよりも先に、
あっさりと神社の入り口を発見しました。
宇津木・矢倉神社は、滝の拝・矢倉神社と同様、
「紀伊続風土記」への記載がないそうですが、
その姿はまさしく「矢倉神社」そのものです。
山の麓に作られた石の祭壇と二基の灯篭以外に、
余計なものは何ひとつなく、祭壇の裏手には、
石垣が張り巡らされた広場が作られています。
細い木々の隙間からは集落の家々がのぞき、
神様と人間とが適度な距離感で
見守り合っている様子がよくわかりました。