<真砂・宝山神社 *まなごほうざんじんじゃ>
人の気配も生活の「彩」も無くした廃村で、
その朱の鳥居はひときわ強い存在感を発し、
そばでは聖域の「生」を象徴するかのように、
可憐な梅の花が咲きほころんでいました。
鳥居の脇には、サッカーボールほどの
大きさの丸石が無造作に置かれており、
地元の人以外は滅多に訪れないこの山深い里でも、
熊野特有の信仰が息づいていることを教えてくれます。
鳥居の向こうには、薄く苔を纏った急な石段が
小高い丘の上へと太鼓橋のように続き、
社殿はおろか空しか見えない状態です。
ところどころで呼吸を整えながら、
波打つように積み上げられた階段を、
神様の頂へと足を進めて行くと、
ほどなく頭上から覆いかぶさるように鎮座する
色彩豊かな本殿が見えてきました。