<風宮 かぜのみや>
一昨年の内宮の遷御の儀の際に、
「神様の出御(しゅつぎょ)とともに風が吹いた」
という話をよく耳にします。
カケコー(鶏鳴三声)という掛け声を合図に、
古いお宮から御神体がお出ましになるとき、
まるで祭事の場を浄化し、
神域の杜を包み込むかのように、
御扉の向こうから、勢いよく風が吹き抜けたそうです。
神様というのは、雨・風・光など、
自然現象により意思を示すことが多く、
私自身も以前、風宮の祭典で、
神職の方が祝詞を挙げている最中、
周囲の森を揺らすほどの強い風が、
巻き起こったことを記憶しております。
その不思議な風に出合ってからは、
日常のふとした瞬間に風を感じると、
そこに「神様の意思」を
重ねずにはいられなくなるもの。
遷御の儀で神風を目の当たりにした方々も、
きっと神様の存在を確信したことでしょう。