天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

白の老婆

2013-12-20 21:35:05 | 
夜空に風が吹き渡る
ごうごうとうなる
風が吹く

冬の精がやって来る
白の老婆がやって来る

ささくれた指と
そそけだった髪を
もった老婆が

おおきなため息をついた
からっ風が吹き渡る
かさりかさりと
枯葉が音をたてて
舞いあがる

老婆の見開いた目は
生き物たちの動きを止める
草は立ち枯れ
木々は葉を落とし
蛇は眠り
蝶は幼虫のまま

老婆は
こぶだらけの杖をつく
地面は凍てつき
種は芽吹かぬ

老婆が咆哮すれば
ブリザードが吹き荒れ
すべてのものを
白く冷たい
オブジェに変える

白の老婆は
無慈悲で無情

けれども
限りなく透明

あらゆるものを
清めていく

澄んだ空気が
あたりを満たす

冬のしんとした
鏡のような朝