將召兵攻亂者。安重誨曰、公爲元帥、不幸爲凶人所劫。不若、星行詣闕、見天子。庶可自明。嗣源乃南趨相州。譖者奏、嗣源已叛。嗣源上章自理。遏不得通。始疑懼。石敬瑭曰、安有上將與叛卒入城、而佗日得保無恙者乎。大梁天下都會。願先往取之。始可自全。康義誠曰、主上無道。軍民怨望。公從衆則生。守節必死。嗣源乃以敬瑭爲前鋒、李從珂爲殿、引兵入大梁。
将(まさ)に兵を召して乱者を攻めんとす。安重誨(あんじゅうかい)曰く「公、元帥と為って不幸にして凶人の劫(おびや)かす所と為る。若(し)かず、星行(せいこう)して闕(けつ)に詣(いた)り、天子に見(まみ)えんには。庶(こいねが)わくは自ら明らかにす可し」と。嗣源乃ち南のかた相州に趨(はし)る。譖者(しんしゃ)奏す「嗣源、已に叛す」と。嗣源、章を上(たてまつ)って自ら理(ただ)す。遏(とど)められて通ずることを得ず。始めて疑懼(ぎく)す。石敬瑭(せきけいとう)曰く「安(いずく)んぞ上将、叛卒と与(とも)に城に入って、佗日(たじつ)恙(つつが)なきを保(ほ)するを得る者有らんや。大梁は天下の都会なり。願わくは先ず往いて之を取れ。始めて自ら全うす可し」と。康義誠曰く「主上無道なり。軍民怨望す。公、衆に従わば則ち生きん。節を守らば必ず死せん」と。嗣源、乃ち敬瑭を以って前鋒と為し、李従珂を殿(でん)と為し、兵を引いて大梁に入る。
星行 急いで駆けつけること。 闕 宮闕。 詣 いたる、参詣の意はない。 譖者 告げ口する者。 遏 さえぎる。 理 申し開きをする。 疑懼 疑い懼れる。 佗日 他日。 怨望 怨も望もうらむの意。 殿 後づめ、しんがり。
李嗣源はすぐに兵を招集して叛乱軍を攻めようとした。部下の安重誨が言うことには「公は元帥となって、不幸にして凶悪人におびやかされてこんな事になりました。とすれば、すぐにでも駆けつけて宮中に参内して天子に目通りして自ら釈明すべきです」と。嗣源はそこで都を目指して、南のかた相州まで駆けつけた。すると讒言する者があって、「嗣源が謀叛しました」と奏上した。嗣源は相州から上書して自ら弁明したが、途中で阻止されて天子に達するに至らなかった。嗣源は始めて疑い恐れた。石敬瑭という部将が「大将が反乱軍と一緒に城に居て、あとで禍いのないことが保障できましょうか。大梁は天下の大都会です、先ず行って攻め取りなさい。それで始めて命を全うすることができましょう」と言った。また康義誠という部将も「天子は無道です。兵士も民も怨んでいます。将軍が衆望に従うならば生きられます。忠節を守られたらきっと殺されるでしょう」と言って決起を促した。嗣源はそこで敬瑭を先鋒として李従珂をしんがりとして、兵を引き連れて大梁に攻め入った。
将(まさ)に兵を召して乱者を攻めんとす。安重誨(あんじゅうかい)曰く「公、元帥と為って不幸にして凶人の劫(おびや)かす所と為る。若(し)かず、星行(せいこう)して闕(けつ)に詣(いた)り、天子に見(まみ)えんには。庶(こいねが)わくは自ら明らかにす可し」と。嗣源乃ち南のかた相州に趨(はし)る。譖者(しんしゃ)奏す「嗣源、已に叛す」と。嗣源、章を上(たてまつ)って自ら理(ただ)す。遏(とど)められて通ずることを得ず。始めて疑懼(ぎく)す。石敬瑭(せきけいとう)曰く「安(いずく)んぞ上将、叛卒と与(とも)に城に入って、佗日(たじつ)恙(つつが)なきを保(ほ)するを得る者有らんや。大梁は天下の都会なり。願わくは先ず往いて之を取れ。始めて自ら全うす可し」と。康義誠曰く「主上無道なり。軍民怨望す。公、衆に従わば則ち生きん。節を守らば必ず死せん」と。嗣源、乃ち敬瑭を以って前鋒と為し、李従珂を殿(でん)と為し、兵を引いて大梁に入る。
星行 急いで駆けつけること。 闕 宮闕。 詣 いたる、参詣の意はない。 譖者 告げ口する者。 遏 さえぎる。 理 申し開きをする。 疑懼 疑い懼れる。 佗日 他日。 怨望 怨も望もうらむの意。 殿 後づめ、しんがり。
李嗣源はすぐに兵を招集して叛乱軍を攻めようとした。部下の安重誨が言うことには「公は元帥となって、不幸にして凶悪人におびやかされてこんな事になりました。とすれば、すぐにでも駆けつけて宮中に参内して天子に目通りして自ら釈明すべきです」と。嗣源はそこで都を目指して、南のかた相州まで駆けつけた。すると讒言する者があって、「嗣源が謀叛しました」と奏上した。嗣源は相州から上書して自ら弁明したが、途中で阻止されて天子に達するに至らなかった。嗣源は始めて疑い恐れた。石敬瑭という部将が「大将が反乱軍と一緒に城に居て、あとで禍いのないことが保障できましょうか。大梁は天下の大都会です、先ず行って攻め取りなさい。それで始めて命を全うすることができましょう」と言った。また康義誠という部将も「天子は無道です。兵士も民も怨んでいます。将軍が衆望に従うならば生きられます。忠節を守られたらきっと殺されるでしょう」と言って決起を促した。嗣源はそこで敬瑭を先鋒として李従珂をしんがりとして、兵を引き連れて大梁に攻め入った。