まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

思い出トランプふたたび

2021年05月07日 | 日記
図書館の本棚で見つけて
懐かしさでつい借りて来てしまった。
最初に読んだのが確か直木賞発表の文芸春秋誌だから
再読、いや、再々読になるのかも知れない。
久しぶりに読み直してその上手さに改めて舌を巻く。


向田邦子さんが不慮の飛行機事故で亡くなって
今年でちょうど40年になると言う。
そうか、もうそんなになるのかと一抹の感慨がある。
いわゆる「向田本」は今も変わらず売れていて
多くの書店で没後40年のフェアも開かれていると聞く。
辛口コラムニストで知られる山本夏彦さんが
直木賞受賞に際し「とつぜんあらわれてほとんど名人」と
最大級の賛辞を贈っておられたのを思い出す。
この文庫本の解説を書かれている作家の水上勉氏も
作家・向田邦子の「芸」と称賛を惜しまない。
小説家デビュー最初の作品集で「ほとんど名人」と言われるだけに
その人間観察の鋭さには思わず唸ってしまう。
とくに女性の細やかな仕草や心理描写は凄みを感じさせるほどで
凡人には逆立ちしても書けない技と尻尾を巻いてしまう。
私が小説家の道をキッパリを諦めたのも
向田邦子のせいである。(笑)
ただ、惜しむらくは・・・
珠玉の短編小説集ではなく
もう少し長いものも読んでみたかったなあと
叶わぬ繰り言を口にするのである。