この数字を見たのは確か一週間ほど前のニュースだった。
思わず「え?」と身を乗り出していた。
ひきこもりが知られざる社会問題となって久しいが
若者の話とばかり思いこんでいた。
先頃、内閣府が発表したデータはそんな社会常識を覆す
なんとも衝撃的な数字だった。
先頃、内閣府が初めて発表した調査結果によると
ひきこもりは40歳から64歳の年代では61万人もいて
その4分の3が男性だと言う。
今や引きこもりの主役は若者ではなく中高年なのである。
いったいなぜ・・・
その原因は「人間関係」や「病気」もあるが
一度は社会に出て働いたものの何らかのきっかけで「退職」し
そのまま引きこもってしまったケースが大半だと言う。
それにしてもなぜ・・・
今の中高年は「就職氷河期」を経験した世代が多く
再就職したくても再就職先が見つからない苦境の時を体験して
ある種の「諦め」が支配しているのかも知れない。
男性に厳しい日本社会の反映だろうか。
私がなぜこのデータに強い衝撃を受けたかと言うと
実は縁戚筋にも50歳を過ぎた「ひきこもり」真っ只中の男性がいて
決して他人事ではないのである。
彼がひきこもったのが確か大学を出て間もない頃だから
もう30年以上もその状態が続いている。
一日中ほとんど自室を出ないまま、昼夜逆転の生活が続く。
母親の年金を頼るばかりで、働く気力も生活を再建する努力もしない。
批判するのは簡単だが、どうしたらいいのか、どうすべきか。
まったく解決の糸口が蜜からないのが現状である。
それはいまの中高年のひきこもりの典型とピッタリと符合していて
絶望的な気持ちになってしまうのである。
私も布団をかぶってひきこもりたい気持ちになるのは再三だが
そういう問題ではないのである。