今年はあったかいとは言え、だんだんと寒さが堪えてくる季節、やはりどうしても食べたくなるのが鍋。チゲ鍋、寄せ鍋、もつ鍋、湯豆腐、鍋にもいろいろあるけれど、たまにはもっと変わり種の鍋を‥‥ということで紹介したいのが、三軒茶屋にある「伝心望」。こちらはなんと、姫路発祥だというカレー鍋の専門店だ。
落ち着いた雰囲気の居酒屋さん風の店内では、カップルや家族連れなどで賑わっている。そこに漂うカレーの香りは、なんともミスマッチだが、食欲を刺激する。
カレー鍋は、コースで楽しむこともできるし、鹿児島産黒豚カルビ、和牛やわらかロース、大山地鶏もも肉、レタス、玉ねぎ、小松菜、しめじのカレー鍋基本セット(1850円)に、好きな具材をトッピングすることもできる。
注文し、まずはお酒と一品料理を楽しむ。しばらくして、カレースープがたっぷりと入った鍋がセッティングされ、たくさんの具材が運ばれてくる。
カレースープは、和風だしに30種類のスパイスをブレンドしたそうで、ほんのりととろみがある。カレーの風味は効きつつも、主張は控えめの、あっさりしたカレーだ。
まずは牛ロース肉を、このカレースープにくぐらせて、しゃぶしゃぶでいただく。カレーでしゃぶしゃぶをするのはかなり妙な感覚だが、あっさりめのカレーの風味がほのかに漂い、お肉本来の旨味を絶妙に引き立たせている。
続けて、野菜や海鮮、他の肉などを投入し、じっくりと煮込んでゆく。つくね、白ネギなどがカレーに入っているのもなんだか妙だが、その一方、鍋物には入らないであろうヤングコーンやトマト、揚げナスなんていう具材も、この鍋では違和感無く楽しめる。トッピングメニューは豊富で、中にはキムチ、ちーちく、ぎょうざなんてものも。
すべてカレー味になってしまって飽きるのでは、なんて不安もあったが、存在感は控えめなカレーは、なかなかどうして、それぞれの具材の風味や食感が生きて、楽しくいただける。また、テーブルには七味やガラムマサラなども添えてあり、好みで辛さや香りを加えることもできる。
そうしていろんな具材を煮込んでゆくうちに、カレースープには肉や野菜の旨味が加わり、だんだんとコクのあるカレーとなってゆく。そうしてさまざまなエキスを存分に加えたら、締めに雑炊やうどんが待っている。これが美味くないわけがない。
とはいえ、やはり“鍋くらいはオーソドックスなものがいい”という人もいるだろうから、忘新年会などですんなり受け入れられるかどうかはわからない(笑)。毎年の同じメニューに辟易しているとか、首尾よくカレー好きが集まったときなんかは、話のタネとして訪れてみるのも面白いだろう。
カレー鍋「伝心望」(三軒茶屋)
東京都世田谷区三軒茶屋2-14-12
03-3487-0751
18:00~25:00
不定休
http://www.curry-nabe.com/
★★★