最初気づかなかったが、これはかの名店、高田馬場夢民を彷彿とさせる、いわゆるインスパイア系ではないだろうか。定番メニューがふわたまチキンの時点で気づくべきであった。まだまだ修業がたりぬ。
夢民は昔、吉祥寺にも支店があって、よく通っていたので、余計になつかしい。
町田の「アッチャ」にて、チキン野菜カレー、1200円。
駅からは歩くとけっこう距離がある。町田街道の往来を横目に見ながら、歩道をホテホテとしばらく歩いてゆくと、ぼんやりと「カレー」の看板が見えてくる。シャッターが下りる古びた建物の一角だけが煌々と明かりがついていた。
店に入ると、饒舌なインド人のマスターがメニューの説明をしてくれるが、初めての人はチキン野菜カレーをまず食べてほしいということで、迷わずにそちらを注文。手際よくキッチンの中で料理を始めるが、その間も饒舌は止まらず、配膳の合間になぜかウクレレを弾きだしたりもしていた。なんだか強烈なキャラクターだが、とても陽気で悪い人では無さそうだ。笑
カレーが到着。
見た目にはわかりにくいが、意外と深めなお皿にどっさりとライスと野菜、そしてそこにスープ状のカレーがかけられている。ボリュームはかなり多めな印象だ。「カレーの薬膳効果が薄れてしまうので、カレーを食べている間は水を飲まないほうが良い」というマスターのアドバイスを受け、いざスプーンをカレーに沈めてゆく。
サラサラとしたカレーは、いわゆるカレー味というよりは、あっさりしたスパイススープといった印象で、少し辛めに調整してもらったものの、刺激もそれほど強くない。思ったよりも素朴な味わいで、野菜などの優しい旨みがしっかり出ているように感じる。チキンや野菜は細かくブロック状にカットしてあるようだ。玉ねぎ、にんじん、大根か冬瓜のようなものも見受けられる。スープに浸ったライスと一緒に食べ進んでゆくと、なんだかお茶漬けをいただいているような感覚にも似ている。
アーユルヴェーダ、薬膳効果を強く意識したスパイスらしく、刺激はそれほどでもなく、あっさり目のカレーなのに、じわじわと身体の芯から汗をかいてくるのを感じる。マスターは東インドの出身だそうで、いわゆる北インドのものとも南インドのものとも違う、独特のカレーだ。
それにしてもすごいボリュームで、ようやく食べきるとお腹はパンパン。食後のチャイのサービスもあり、一息つきながらいただいていると、またマスターとのトークが盛り上がってしまった。
なんとも独創的なカレーで、いわゆるカレー味を求めると面喰ってしまうかもしれないが、思い出すとまた食べたくなる独特の美味しさ、ぜひ一度試してみてほしい。
カレーの店「アッチャ」(町田)
東京都町田市中町2-11-10
042-710-9677
12:00~15:00(L.O. 14:30)、18:00~売切れ次第終了
定休日:木曜日
★★★
柴崎の武蔵野うどん「一彩」にて、昭和のカレーうどん、750円。
うどんと言えば、コシのある讃岐うどんや、つるつるとした細めの麺の水沢うどんなどが有名だが、東京西部や埼玉県界隈で伝統的に食べられているご当地うどん、武蔵野うどんというものがある。
やや褐色がかった太めのうどんは、なかなかに硬めに仕上げられており、ゴツゴツとした食感が特徴的。非常に食べごたえのある麺だ。
そこにかかっているカレーは、昭和のカレーうどんと銘打っていることからわかるように、懐かしさを感じるような素朴なカレー感のスープ。出汁の旨みを感じられる優しいカレー味のスープはとろみがしっかりついており、ゴツゴツした麺にもしっかり絡む。
中央線豊田の駅前には、大きなイオンモールがある。その名も「イオンモール多摩平の森」。たくさんのテナント専門店と大きなスーパーマーケット、そして大きなフードコートを揃えているのは、どこのイオンモールも一緒だろう。フードコートに軒を連ねるお店も、おそらくどこも似たり寄ったり、、、と思いきや、この多摩平の森のイオンモールは違う。フードコートの奥から漂う本格的なスパイスカレーの香り。ファーストフードや丼、ラーメン、フライドチキンや讃岐うどんなどの有名チェーン店にまじって、どういうわけか、本格的なインドカレーとドーサ、ビリヤニが楽しめるお店が入っている。それが、この「アナス ドーサ ビリヤニ」だ。
さすがにフードコートらしく、インド人が手書きで書いたようなメニューは置いていないが、そこに並ぶのは、カレーセットにビリヤニセット、タンドリーチキン、カレーはサグだのコルマだのバターチキンだのと、これは完全に本気のインドカレー店だ。
というわけで、3種のカレーセット、950円。カレーは、南インドのチキンカレー、ほうれん草とチキンのカレー、カラヒラムカレーの3種類をチョイス。
しっかり焼きたてのナンが供され、スパイシーな香りを漂わせながら、フードコートに一人陣取るのはちょっと勇気がいるけれども、そのレベルは折り紙付き。一般受けなど度外視したかのように、しっかりスパイスの効いたカレーは満足度抜群だ。
せっかくなので、店名になっているドーサやビリヤニも試してみたいところ。意外とこういうところから、異文化の料理というのは市民権を得てゆくものなのかもしれないなあ、なんて思うとありがたくもある。
「アナス ドーサ ビリヤニ(ANAS DOSA BIRYANI)」(豊田)
東京都日野市多摩平2-4 イオンモール多摩平の森1F
050-5594-1493
10:00~22:00(L.O.21:30)
定休日:なし
★★★
吉祥寺の駅近くにあるラーメン屋さん「よしきゅう」にて、こってり豚骨カレー、ミニラーメンセット、ミニサラダがついて723円。
吉祥寺駅から井の頭公園方向への出口を出ると、すぐに目につく「名物炙りにんにくラーメン」の赤い看板。酔っぱらった帰り道などに見つけたら、つい吸い込まれてしまいそうだが、このお店、ラーメン以外にも非常に気になるポイントがある。店頭のメニューで、妙にカレーを推しているのだ。笑
いわく、濃厚な豚骨スープをしっかり効かせたカレーだそうで、せっかくなので、ラーメンとのセットが安くなるタイムサービスの時間を狙って行ってまいりました。
カレーとラーメンが到着。
じゃがいもと人参の大きなブロックがごろごろと入った家庭的なカレーを思わせるが、見ての通り油分が多めで、豚骨の濃厚な旨みと、そしてニンニクが強めに効いている。12種類のスパイスを使っているそうだが、そこまでエッジは立っておらず、カレー自体は万人向けな仕上がりになっている。
ラーメンのほうは、豚骨を謳ってはいるものの、家系のような濃厚なスープではなく、意外とあっさりしたスープになっており、炙りニンニクの風味が効いている。意外にカレーとは好対照だ。
カレーとラーメンでがっつりとニンニクを摂取して、ひさびさにガテン系のディナーでした。
らぁめん処「よしきゅう」(吉祥寺)
東京都武蔵野市吉祥寺南町1-2-7
0422-43-0223
月~土:11:00~14:00、18:00~翌朝6:00(5:40 L.O)
日祝日:11:00~14:00、18:00~26:00 (25:40 L.O)
http://www.takasho-grp.com/
★★★
喜多見の駅からほど近く、ビートイートにて、チキンカレーのセット、1400円。本日は鹿肉のキーマカレー400円を追加オーダー。
鹿肉のカレーなんて珍しい、と思うかもしれないが、こちらのお店の黒板メニューには、イノシシ肉や熊肉なんてものも並ぶこともあるという。こちらのお店を営む竹林さんは、女性ながら狩猟免許を持っており、自ら狩りに出かけて、自らとってきたお肉でカレーを作って出しているのだ。
(詳細は後日)
「ビートイート(beat eat)」(喜多見)
東京都世田谷区喜多見9-2-18 喜多見城和ハイツ B1F
03-5761-4577
月・火・金~日曜日:12:00~15:00(L.O.14:30)、18:30~22:00(L.O.21:30)
木曜日:18:30〜22:00(LO.21:30)
定休日:水曜日
https://www.facebook.com/beet-eat-369902779706346/
★★★
国分寺の駅を出て、南口のバス通りを歩いてゆくと、やがて左手に、たくさんの蔦に覆われた古ぼけた家屋が現れる。店の扉を開けると、時間の流れが止まっているかのような、ゆったりした空間。扉が閉まり、喧騒がシャットアウトされると、すれ違うように耳に入ってくるBGMの音質が心地よい。
ほんやら洞というお店の歴史は、他にも詳しいサイトが幾つか見つかるが、簡単に紹介すると、京都の出町柳にあった同名の喫茶店をルーツとして、同様のコンセプトで1974年にオープンしたのが、この国分寺のお店だ。京都のほんやら洞は、岡林信康さんや中川五郎さんのライブが行われたり、朗読会が行われてCDになったりもしたことから、関西フォークの拠点としても名が知られている(現在は火災により閉店)。
こちらのお店は、女性フォークロックの草分けで“女性ボブ・ディラン”とも形容されたシンガーソングライター、中山ラビさんが現在もオーナーを務めている。
野狐禅というフォークユニットをやっていた頃は、遠藤ミチロウさん、あがた森魚さん、なぎら健壱さん、遠藤賢司さんなど、たくさんのフォークの伝説の方々に出会ってきたけれども、カレーを通じて出会うというケースは初めてだ。というわけで、ちょっと緊張してしまったけれども、ラビさんは昼間は不在らしい。ちょっと残念な思いを感じながら、スパイシーチキンカレー、850円を注文。
カレーはサラサラとしたスープ状で、大き目のお皿になみなみと注がれている。そこに小島のように、レーズンの載ったライスがちょこんと浮かんでいる。
しっかりと時間をかけて煮込まれているのだろう、繊維質を感じるカレーは、複雑なスパイスの風味がピリリと舌を刺激して、濃厚なコクのあるカレーを引き締めている。そのスパイスの奥に、チキンと玉ねぎの甘味もしっかり感じられる。ライスも、このカレーの海にあってちょうどいい硬さだ。舌触りはやや辛めといった感じだが、気づくとじんわり汗をかいていることに気づく。
つけ合わせで供される玉ねぎのアチャールもまた美味しくて、トータルで非常にレベルの高いカレーだ。都内でも屈指のカレーと言っていいだろう。
「ほんやら洞」(国分寺)
東京都国分寺市南町2-18-3 B09
042-323-4400
12:00~25:00
定休日:なし
★★★★