Kantele-Suomiho-Fuga

フィンランドと音楽(カンテレ、音楽療法)をキーワードに!

なぜ音楽をやるのか?

2008-02-21 21:28:56 | 音楽療法
<なぜ ぼくら人間は 音楽をやるのか>
新聞でこれと思う記事があると、とりあえず切り抜いて手元においておく。たまった切り抜きを整理していたら、坂本龍一のコラムがでてきた。最近には程遠い日付だが(朝日新聞 2005年9月10日)。

職業として音楽に関わる人なら、誰でも一度は必ず抱く疑問。音楽を提供する側にいると究極までとことん突き詰めたい命題でもある。特に音楽療法士の私は「音楽で癒された」という反応が多く、高齢者や障害児(者)の音楽療法では、精神面だけではなく機能訓練としても良好な音楽効果があらわれるからますますのこと。まるで薬のようなサプリメントのような音楽、音楽を手段とする音楽療法はこれでもいい。でも音楽する目的はもっと別のところにありそう・・・。

音楽は人間にしか備わっていないし、最後まで感じることができる要素でもある。先日アマチュア演奏家と話をしていたときのこと。「サックスのレッスンに通ってどうするの?」と聞かれた。「どうするって、どういうこと?」「どこかで発表するとか・・・」「ぜ~んぜん、私の趣味の世界」「それって意味ある?」「エッ? 意味ないとは思ってない。とにかく楽しい!」「何か、無駄」「私は音楽を職業としているから、こんなふうに仕事から解放されて楽しめる音楽の世界があることが嬉しい。あなただって別に仕事を持っているから、同じように趣味でしょう? サックスとどう違うかなァ」「悪いけどそんなにヘタじゃないと思っている」(私の演奏をきいたこともないくせに、まるで私はヘタと言われているみたい)・・・この会話はこのまま平行線。

ところで様々な音楽が存在するニューヨークでは、「あの9月11日、ニューヨークという街から音楽が消えてしまいました。人はあまり驚いたり恐怖を感じたりすると、音楽ができないようなのです。その時ぼくは深く思いました-音楽を楽しむためには、戦争ではなく平和が必要なんだ、と」と坂本龍一は書いている。音楽は音を楽しむと書く。癒しとは言わないが、少なくとも闘いでないことは確か。演奏者も聴衆も、音楽療法士も対象者も楽しみたい、そういう世の中であってほしい。