GOVAP便り

プノンペンからモンドルキリに、その前はTAY NINH省--AN GING省--HCM市GO VAP

GDP:1000ドル/1人

2007-09-17 01:34:11 | 社会
9月5日、政府の経済会議で今年の経済成長率予測が8.4-8.5%(一人当りGOP835ドル)で10年間で最も高い数値になるとの見込みが報告され、ズン首相は2008年は9.1-9.2%の成長率目標を達成し、一人当りGDP1000ドルと貧困者比率11%以下を実現するように、と述べたそうです。

戦後日本の一人当りGNPが1000ドルを超えたのは、ベトナム戦争中の1965-6年。1ドル360円の時代。一人当り雇用者所得の前年比伸び率は60年以降16年間にわたり10%を超えていました。40年前の1ドルと今の1ドルを比べられるものでもなさそうですが、当時ラーメン50円、ハイライト70円の値段はベトナムの今のフォーやタバコの値段と変わりません。

1966年は、ダットサン・サニー、トヨタ・カローラ発売。プリンス自動車が日産に吸収合併。ビートルズ、コルトレーン日本来日。堀内開幕13連勝・巨人V2、大鵬5場所連続優勝。国鉄初乗り20円、はがき7円。当時、高校生のアルバイトが最低でも時給100円にはなりました。もっとも当時のドルに換算すれば4時間でやっと1.1ドル。

先日知り合いに聞いてみたら、レストランのウェートレスの時給は5,600ドン(40円)で6年間で10%ほどしか上がってないのだとか。この物価上昇の中では明らかに実質賃金の低下です。しかし今日の対ドルレートでは4時間で1.4ドルの計算ですから、一人当りGDPが1000ドルということから賃金水準を類推することは可能のようです。当時の日本と決定的に異なるのは所得格差です。非熟練労働の賃金が月62ドル程度。40年前の日本の中卒初任給も同程度だったようです。先週求人サイトを見ていたら大卒で2・3年経験ある専門職なら300-500ドルとの募集が少なくありません。300ドルでも年収は一人当りGDPの3.6倍。66年当時の日本で月給が10万円を超える20代のサラリーマンがどれほどいたのでしょうか。軽自動車が40万円以下の価格でした。

交通事故者数の多さや環境汚染、政治家の汚職といった経済成長に伴う負の現象は40年前の日本も同じようだったようですが、格差の拡大を伴ってしか成長を実現させられないというところに今日のベトナムの辛さがあります。ベトナムで生産・販売されているホンダ・シビックの販売価格は3万ドル以上。300ドルの月収ですら100ヶ月分です。
来年はアメリカでT型フォードの発売が開始されて100年。日給5ドルの賃金でT型フォード一台は850ドルですから年収以下で労働者が買えた価格でした。