夢職で 高貴高齢者の 叫び

          

飲兵衛・与助の墓

2014年09月01日 | 飲兵衛の徳利墓

 

 

 

塩原温泉に牡丹の花で有名な妙雲寺がある。

寺の裏山の墓地には牡丹が植えられ、花の時期には観光客で賑わう。

ところが、寺の前に一つだけ墓石がひっそりと建っており、牡丹は植えられていない。

これは与助という飲兵衛のお墓である。

 

昔、塩原に与助という男がいた。 男は米や野菜などを食べずに、酒ばかり飲んでいた。

だから年中、酒臭かった。

酒におぼれて、若くして亡くなった。 ところが、与助は死んでもなお、酒臭かった。

そこで村人たちは、妙雲寺の墓地へ葬ろうとして寺の門前まで遺体を運んだ。

しかし、お寺は、【葷酒山門に入るを許さず】という所なのだ。

与助の遺体は酒臭いから、山門を通ることは許されないのだ。

村人たちはやむを得ず寺の外に埋葬した。

これを憐れみ、墓石を建てようとした人が現れた。

雅号を「桃林舎枕石」と名乗る文人である。

枕石は与助があの世でも酒を飲めるようにと、徳利型の墓石を建てたのであった。

 
    箱膳型の台石に五升徳利と盃のお墓

 


   寛政七卯□ 呑空禅定門 八月十一日

 


   裏面に 俗名与助

 


   台石の前・右・左に歌が刻まれてある。

     世をはやく逃れたる人ぞ 徳利たれ 

        今は浄土で 後生らく飲    枕石

  


   説明板

 

五升徳利で後生らく飲みとは

枕石さんはユーモアがあるなあ。

与助は小原庄助さんと

飲んでいることだろう。