塩原温泉に牡丹の花で有名な妙雲寺がある。
寺の裏山の墓地には牡丹が植えられ、花の時期には観光客で賑わう。
ところが、寺の前に一つだけ墓石がひっそりと建っており、牡丹は植えられていない。
これは与助という飲兵衛のお墓である。
昔、塩原に与助という男がいた。 男は米や野菜などを食べずに、酒ばかり飲んでいた。
だから年中、酒臭かった。
酒におぼれて、若くして亡くなった。 ところが、与助は死んでもなお、酒臭かった。
そこで村人たちは、妙雲寺の墓地へ葬ろうとして寺の門前まで遺体を運んだ。
しかし、お寺は、【葷酒山門に入るを許さず】という所なのだ。
与助の遺体は酒臭いから、山門を通ることは許されないのだ。
村人たちはやむを得ず寺の外に埋葬した。
これを憐れみ、墓石を建てようとした人が現れた。
雅号を「桃林舎枕石」と名乗る文人である。
枕石は与助があの世でも酒を飲めるようにと、徳利型の墓石を建てたのであった。
箱膳型の台石に五升徳利と盃のお墓
寛政七卯□ 呑空禅定門 八月十一日
裏面に 俗名与助
台石の前・右・左に歌が刻まれてある。
世をはやく逃れたる人ぞ 徳利たれ
今は浄土で 後生らく飲 枕石
説明板
五升徳利で後生らく飲みとは
枕石さんはユーモアがあるなあ。
与助は小原庄助さんと
飲んでいることだろう。
観光客も徳利のお墓に気付かずに素通りですね。
私もお墓素通りでした。
今度行ったとき探してみます。
小原庄助さんの徳利墓より古いものです。