夢職で 高貴高齢者の 叫び

          

映画;母 小林多喜二の母の物語

2017年09月04日 | 映画演劇など

     映画;母 小林多喜二の母の物語  

           原作 三浦綾子 『母』

 

 昭和8年2月20日、『蟹工船』の作家、小林多喜二は特高の拷問で虐殺された。「武器を作るお金で、皆に白い米のご飯を!」と、反戦を訴えてきたことが、治安維持法に触れたのだ。

 三浦綾子は多喜二の弟や多喜二の知人などから取材を行ない、多喜二の母をモデルに、小説『母』を書いた。そして今年・2017年に映画化された。

   

 

   (三浦綾子著 『母』より抜粋)

 布団の上に寝かされた多喜二の遺体はひどいもんだった。 首や手首には、ロープで思いっきり縛りつけた跡がある。 ズボンを誰かが脱がせた時は、みんな一斉に悲鳴を上げて、ものも言えんかった。 下っ腹から両膝まで、墨と赤インクでもまぜて塗ったかと思うほどの恐ろしいほどの色で、いつもの多喜二の足の二倍にもふくらんでいた。 誰かが、

「釘か針かを刺したな」

と言っていた。

 ------ああ、いやだ、いやだ、あの可哀相な姿は思い出したくもない。 思い出したからって、どうしてやりようもない。

 よくまあわだしは、気絶もしなかったもんだ。 それどころかその時わだしはこう言ったんだと。

「ほれっ! 多喜二! もう一度立って見せねか! みんなのために、もう一度立って見せねか!」

ってね。 多喜二のほっぺたに、わだしのほっぺたばくっつけていたと。

わだしは多喜二が死んだと思いたくなかったのね。 ほんとに生き返って欲しかったのね。 

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 今年の夏、図書館で、大きな活字の本の中から、小林多喜二の『蟹工船』が目に止まった。 小説をあまり読んでこなかった私であるが、なんとなく気がひかれて読んでみた。 それから、三浦綾子が多喜二の母を書いた小説、『母』を読んだ。

   

 新聞で、『小林多喜二の母の物語』が鹿沼市で上映されたことを知ったのは、三浦綾子の『母』を読んでいた時のことである。

 ネットで検索し、9月2日から15日まで、宇都宮市のヒカリ座で上映するとを知った。 偶然が重なり幸運なので、映画へ出かけた。

   


栃木県総合文化センターで歌舞伎

2017年07月12日 | 映画演劇など

 

栃木県総合文化センターへ歌舞伎鑑賞に出かけた。

中村橋之助改め八代目中村芝翫襲名披露。

「熊谷陣屋」では芝翫が熊谷直実を演じる。

平家物語の一の谷の合戦で、熊谷直実が平家の公達敦盛の首を取ったことをもとにした歌舞伎である。

この歌舞伎は平家物語のあらすじと異なり、「寺子屋」を思わせるところがあるので、勉強不足の俺には理解が難しかった。

けれども、イヤホンガイドを聞きながら、歌舞伎の様式美を楽しむことができた。

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栃木県総合文化センターでは年に一度、松竹大歌舞伎が開かれている。

この文化センターにはエレベーターがない。

階段は急でかなりきつい。

車椅子での入場は別口にあるが、その都度、付き添いの人の連絡でスタッフがドアを開けている。

スタッフが常時いるわけではない。

昨年は歌舞伎に行ったときも、ギックリ腰だったので、階段は困難だから、車椅子用の入り口から入りたいと申し入れたが断られた。

今年もギックリ腰なので、特別の入り口から入りたいが、交渉しても昨年と同様に断られて不快な思いをするだろうから、杖をつきながら無理して階段を使った。

 

いつもながら、歌舞伎公演では高齢者が大半を占めている。

杖を持っている人が多いのも特徴だ。

トイレに行くには長い階段を下って行かなければならない。

文化センターという名のこの建物は、足腰の弱い高齢者にとって、少しも文化的でない。

 

 


あこがれのホーム

2017年03月22日 | 映画演劇など

 

二人でハーモニーホールへ行った。

朝日さわやか寄席を楽しむためだ。

桂文珍、柳家三三と栃木県出身の漫才コンビ・U字工事が出演。

桂文珍の落語の演目は「あこがれのホーム」

95歳と93歳の老夫婦の会話に大笑い。

お隣さんは、お二人で三食付きの豪華老人ホームへ引っ越して行く。

自分たちもホームへ入りたいが、お金がない。

どうしようかと考えると、名案が浮かんだ。

三食付き、介護付きで無料の所がある。

それは刑務所。

入所するには何かやらなくてはならない

婆さんが考えたのは銀行強盗。

 

爺さんが銀行で刃物を振り上げたら、

「カードをお入れください」と。

ATMを知らない爺さんは強盗失敗。

今度は爺婆二人で銀行へ

「強盗だ!」と叫ぶと「後藤さんですか?」と尋ねられ、

「金出せ!」と叫ぶと「金田さんですか?」と訊かれる。

爺さんがカバンから取り出して振り上げたのは、包丁と間違って持ってきた大根のおろし金。

銀行員があわてて押した通報ボタンで逮捕。

これで刑務所行きは確約と喜ぶ老夫婦。

しかし、警察官から「おろし金を振り回しただけなのに、銀行員が間違ってボタンを押してしまった。これは強盗ではない。逮捕は出来ない」と言われた。

その上、警察署から良い防犯訓練になったからと感謝状をいただく。

あこがれのホームに入れず、気落ちして帰る老夫婦。

 

婆さんの胸が熱くなる話や、二人の視力検査の話しなどで、

会場は笑いの連続。


映画;沈黙 = サイレンス

2017年02月01日 | 映画演劇など

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映画「沈黙―サイレンスー」を観ようと女房に誘われた。

若い頃、遠藤周作の小説「沈黙」を読んだそうで、概略を聞いてから出かけた。

時代は島原の乱が鎮圧されたあとの長崎。

密かに信仰を守って暮らすキリシタンとポルトガルから密航してきた宣教師の物語。  

役人に拷問され、死んでいく多くのキリシタン。

苦しむ信者たちを見ながら苦悩する宣教師。

しかし、神はなぜ沈黙しているのか?

役人に捕らわれ、棄教せよと責められる宣教師ロドリゴ。 

踏み絵の前に立たされるロドリゴの苦悩。

人間の生き方を問われる作品。

 

 


シネマ歌舞伎 阿古屋

2017年01月11日 | 映画演劇など

 (YouTube借用)

 

シネマ歌舞伎を観に女房と宇都宮へ行った。

映画館の前で玉三郎の扮する「阿古屋」のポスターを見ていたら、80代と思われる夫婦も、ポスターを見に来た。

挨拶を交わすと、婆さんは若い頃、玉三郎の歌舞伎を観たことがあると、嬉々として話す。

爺さんは、「この帯はどのようにして織ったのだろうか?」と言いながら、ポスターを見つめている。

歌舞伎には興味がないし、映画を観るつもりもないが、帯の織り方を知りたいと言うのだ。

かつて織物関係の仕事をしていた人であろうか。

 

映画が始まった。

歌舞伎座の客席からは、見ることができない舞台裏が映る。

役者たちの稽古や化粧の様子などだ。

舞台装置を作る人たち、衣装やかつらの整理をする人たちなど、裏方の活動などが紹介される。

大勢のスタッフに支えられながら、役者が舞台に登場する様子が映された。

花道から役人たちに引き出されてくる遊女・阿古屋。

女形・玉三郎の登場だ。

着物の前には帯を垂れ下げている。

帯はクジャクに桜の花をあしらっている。

代官・重忠の前に引き出される阿古屋。

阿古屋は恋人の平家の武将・景清の行方を知っているだろうと問い詰められる。

しかし、阿古屋は景清の行方は知らぬ存ぜぬと応える。

そこで重忠は、阿古屋に琴、三味線、胡弓を奏でるように命じる。

もし、音色に乱れがあれば心の乱れ、景清の居場所を知っているはずと重忠は推理する。

琴攻め、三味線攻め、胡弓攻めだ。

しかし、阿古屋は乱れることなく三つの楽器を弾きこなす。

重忠は、楽器を狂うことなく演じた阿古屋は、うそ偽りを言っていないと判断し、無罪放免とする物語だ。

 

見せ場は、玉三郎の琴・三味線・胡弓の演奏。

現在、阿古屋を演じることができる役者は玉三郎ただ一人とのこと。

玉三郎のしなやかな立ち居振る舞いに魅せられた。

 

阿古屋が胡弓を膝に置いて演奏しているとき、クジャクの羽の織物が動くのを見つけた。

羽は平面的な織り方ではない。 

一枚一枚織られているか、一枚一枚刺繍されているように見える。

クジャクの羽は立体的に重ねて作られているのだ。

だから、帯へ胡弓の力がかかった時、羽が一枚一枚動くのだ。

映画館の前で、爺さんがポスターを不思議そうに見つめていたのは、重ね織りに気が付き、帯の織り方に興味を持ったのではなかったろうかと考えた。

爺さんのすごい眼力に驚く。

 

シネマ歌舞伎を今回初めて観た。 

銀座の歌舞伎へはなかなか行けないが、シネマだったら気軽に行けそうだ。

2月は片岡仁左衛門の「女殺油地獄」とのこと。


(ポスターをガラスごしに撮影しました)

 

2017-01-10


ニューイヤーコンサート

2017年01月09日 | 映画演劇など

 ニューイヤーコンサート

👈拡大

 

那須野が原ハーモニーホールでニューイヤーコンサートが開かれた。

第一部はパイプオルガンの演奏。

何度かパイプオルガンの演奏を聴いてきたが、重厚な音色に魅せられる。

それから、山田耕作の「この道」の独唱はソプラノ。

すごい歌唱力だ。

 

第二部はオペラ「カルメン」。

事前にネット検索で予備知識を得ておいた。

オペラが始まった。

第1幕の子供たちの合唱は、地元の少年少女合唱団。

子供たちは誇りに思ったことだろう。

オペラはフランス語だ。

理解できるはずはない。

しかし、幕間に解説があるので助かる。

解説を聞きながらオペラを楽しむ。

 

⇓ 参考動画 ⇓

https://www.youtube.com/embed/ulWFtoU1v-k 

 


曽根崎心中とシャイニー

2014年10月05日 | 映画演劇など


宇都宮文化会館のポスターより

     この世の名ごり 夜もなごり  死にに行く身をたとうれば 

     あだしが原の道の霜  一足づつに消えて行く 

     夢のゆめこそ哀れなれ

 

近松門左衛門の曽根崎心中の名台詞に魅せられて、人形浄瑠璃文楽を観に宇都宮文化会館へ行った。

人形浄瑠璃はテレビで観たことがあるが、舞台で観るのは初めてである。

人形遣いの操りにより、細かなしぐさをする人形。一体の人形を三人で操っているのだ。人形の細かなしぐさから感情が伝わってくる。

三味線を伴奏に太夫が語る。太夫の語りは難解だが、字幕を読みながら理解していった。

濡れぎぬを着せられた醤油屋の手代徳兵衛と、恋仲の女郎お初が冥途への道を行く場面がクライマックス。

 

     あれ数うれば暁の  七つの時が六つ鳴りて 

     残る一つが今生の 鐘の響きの聞き納め 

     寂滅為楽(じゃくめついらく)と響くなり

 

二人はひもでしっかりと体を結ぶ。

お初を刺し、返す刀で首を突く徳兵衛。

のけぞるお初を抱きながらくずれる徳兵衛。

     長き夢路を曽根崎の 森の雫と散りにけり

 

幕が下り、感動の余韻にひたりながら外へ出た。

 外では会館横の出入り口に長い行列が続いていた。全員が若い女性だ。男子は一人もいない。

女房が何の行列かと尋ねたら、「シャイニー」という韓国人グループのライブコンサートが大ホールで夜6時から始まるが、その前にグッズを買うために朝から並んでいたそうだ。バッグやTシャツ、キーホルダーなどのグッズを買った子は幸せそうな顔で見せてくれた。

若い子たちはグッズを買ってライブを楽しんで幸せなんだ。いいなあ。

文楽のグッズも販売していた。売り子さんが呼び込んでいた。

小ホールでの人形浄瑠璃の客層はほとんどが年金生活者である。

グッズはどれだけ売れたのかなあ?

爺も文楽のグッズを横目で見ながら通り過ぎただけだけど。

 

爺は若い子たちが夢中になるシャイニーとはどんなものかと検索してみた。韓国のイケメンか。感じのいい歌だなあ。韓国語は分からないから、字幕があればよいのになあ。


薪能 橋弁慶

2014年09月21日 | 映画演劇など

 (パンフレットをお借りしました)

那須町文化センターで薪能が行われたので出かけた。

薪能といっても屋外でかがり火をたいて演じるわけではない。

館内で電気的にかがり火をたく装置を飾りとして置くだけのものである。

最初に能・狂言の解説があるので親しみやすい。

演目は狂言の「伯母ヶ酒」と能の「橋弁慶」。

伯母ヶ酒では放蕩息子が伯母の酒を飲もうとして鬼に化け、伯母を脅して酒を飲むが酔いつぶれて正体がばれるもの。

橋弁慶は五条の橋での弁慶と牛若丸の斬り合い。

能では人を斬り回る牛若丸を弁慶が討ち取ろうとする物語になっている。

能について勉強不足なので、子供のときに聞いた物語とは反対なことに戸惑った。

演じたのは藤波重彦親子。

見事な演技に拍手。


演劇 那須野の大地

2014年09月16日 | 映画演劇など

 

先日、那須塩原市三島ホールで演劇「那須野の大地」を観ました。

演出者はプロではなく、素人の地元の人たちの「劇団なすの」ですので、顔見知りの人たちがおりました。

明治の初め、那須野が原という水の無い荒野を開拓した人たちの苦労を演じたものでした。

耕しても耕しても石が出てくる荒れ野原。

水は4キロ先の箒川まで汲みに行かなければならない生活。

生き抜くために石を掘り起し、畑を作り、炭俵を編んで売りに行く人たち。

大きな田畑を作ることを夢見て、那須疎水の掘削作業に励む人々。

そこで繰り広げられる人間模様。

出場者は日常の勤務を終えてからの稽古なので大変苦労なさったと思いますが、無事演劇が終了し、たくさんの拍手の中で満足感を得たことでしょう。

三島ホールと「劇団なすの」の旗

 

三島ホールの柱や土台は開拓当時を思わせる石を積み上げた建築。 
建物内の壁も石を積み上げたデザイン。

 

石塚(複製)

 

 石塚の説明板


宇都宮にてミュージカル他

2014年07月06日 | 映画演劇など

 

《宇都宮へ行った》 7月5日の日記

①わらび座のミュージカル「ブッダ」を観た。

原作は手塚治虫の漫画、古代インドのシャカ族の王子シッダールタ(ブッダ)の物語。

王子は「世の中は、なぜこんなにも不幸せと争いに満ちているのだろう?」と悩み、修業の旅に出る。

力強い演技に拍手。

 

②大通りで平和を願う人たちの行進に出会った。

プラカードを掲げ、静かに歩いていた。

 

③宇都宮といえば餃子。 

少し焦がしたようだが美味い。 二皿分を食べた。