ひよりの音楽自己満足

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猪俣猛さん ドラムメソード

2009-10-05 07:15:21 | ジャズ
 JAZZ界の重鎮であり日本のトップドラマーのひとりである<猪俣猛さん>。その猪俣先生が1969年に結成した<猪俣猛とサウンド・リミテッド>。JAZZとロックの融合を見事に成功させ、70年に発表したデビューアルバム「サウンド・オブ・サウンド・リミテッド」も大好評。当時TVやラジオに引っ張りだこだったとか。
 今回紹介させていただくアルバムは1972年に発表された「ドラム・メソード/Drum Method」。元々はドラムの教則レコードとして制作されたようで、アルバムにはライナーノーツの他、猪俣先生が書かれた曲ごとの要所の譜面やワンポイントアドヴァイスが書かれたノーツも同封されています。
 鬼気迫る感じの鋭い眼光でドラムを叩いているジャケット、凄みがありますね。
1曲目は「Runaway Child」。ジャングルの動物の鳴き声のような音とタムドラムからはじまって、いきなり葬送行進曲のフレーズが飛び出してビックリ。そしてタム中心のパワフルなドラムソロのあと、アップテンポのファンキーなリズムがパーカッションとともにはじまってホーンセクションのパワフルなリフとエレキギターのハードなソロが。続いてはSaxソロ。中盤ではギターリフをバックにキーボードのアヴァンギャルドなソロも。そしてリフのあとに短いドラムソロも。ラストは再び葬送行進曲のフレーズが。
 2曲目は「Smack Water Jack」。アップテンポのファンキーな楽しいリズムからはじまってホーンセクションのリフとオルガンのフィルが。まずはリズミカルなオルガンソロ。リフのあとはテクニカルなドラムソロが。
 3曲目は「Child of Storm」。オルガンとギターリフからはじまるアップテンポのファンキーでノリノリのかっくいい曲。まずはホーンセクションがメロを。リフのあとはトランペット、そしてギターのアグレッシブなソロが。終盤では力強いタム中心の短いドラムソロも。
 4曲目は「Pourquoi, Pas?」。ミドルテンポの力強いドラムからはじまって、オルガンのけだるい感じのソロが。バックではホーンセクションのパワフルなリフが鳴って。中盤ではパワフルなバンドリフとドラムソロの掛け合いが展開されます。そしてオルガンリフをバックにアグレッシブなワウギターソロも。
 5曲目は「Where Do You Go From Here」。力強いオルガンリフ&ベースラインからミドルテンポでホーンセクションの哀愁ただようリフがはいって。中盤にはエモーショナルなギターソロも。ゆったりとした穏やかで心地よいバラード風の曲ですね。
 6曲目は「Drum Concert 1」。ドラの音が鳴り響いて、そしてゆったりとしたリズムでパーカッションとともにドラムソロが。どことなくチャイナ風ですね。オリエンタルな雰囲気を感じます。
 7曲目は「Fibonaccis Number」。スネアロールとオルガンサウンドからはじまって、ワウギター&ホーンセクションのアップテンポのパワフルなリフが。変拍子のリズムにのってパワフルなSaxソロが。中盤にはスネア主体のテクニカルなドラムソロがたっぷりと。
 8曲目は「Blue Round A La Turk」。キーボードのリズミカルなリフからはじまって、そこに女性コーラスも加わって。とっても爽やかで華やかな感じですね。アップテンポの変拍子リズムのとっても楽しい曲です。
 9曲目は「Maiden Voyage」。ピアノの穏やかなメロディのリフからゆったりとはじまって、美しい女性コーラスが響いて。とってもエレガントでおしゃれな曲ですね。バックではドラムがタムを叩きまくってます。終盤には優雅なピアノソロも。
 10曲目は「Drum Concert 2」。アップテンポのファンキーなリズムでパーカッションとともにはじまるドラムソロ曲。めっちゃスリリングでパワフルですね。凄いっす。
 11曲目は「Sleeper」。アップテンポのオルガンリフからはじまって、ミドルテンポでSaxとともにムーディな雰囲気を醸し出して。まずはエモーショナルなSaxソロ、続いては力強いトランペットソロ、そしてSax&ペットのユニゾン、さらにはミュートでのペットソロも。ラストはオルガンソロでFin。
 12曲目は「Seven Four」。アップテンポのノリのいいビートで明るく楽しくはじまります。7拍子なんですけどおもわず踊りだしたくなっちゃうくらいです。中盤にはアグレッシブなSaxソロ、リズミカルなピアノソロが。終盤にはギター&ピアノのリフをバックにパワフルなドラムソロも。 
 猪俣先生はその後、76年に「リズム・クリニック・センター(RCC)」を設立し、若手育成に務め、また94年にはバンドを率いてニューヨーク公演を行い、カーネギーホールやアポロシアターでライブを行って喝采を浴びたそうです。2005年には音楽生活55周年を迎えて、記念コンサート開催やDVDの発売も。そして現在も音楽活動はもとより、音楽家協会理事や大学の客員教授も勤めておられます。
 自分は2007年に横浜で開催されたJAZZフェスティバルで猪俣猛バンドのライブを観たんですけど、そのムダのない華麗なスティックさばきとタイトなドラミング、そしてなんといってもそのヌケの良い音に感動しました。1936年生まれで現役バリバリの猪俣先生の今後の活躍も期待したいっす。