ひよりの音楽自己満足

自分の好きなアルバムやアーティストを紹介させていただきます。

孔雀音

2008-07-12 07:49:01 | 70's J-プログレ
 優れた作品でありながらも、時代に合わなかった、バックアップを受けられなかった、などの理由で脚光を浴びることなく埋もれてしまった作品はいくつかあるようですが、今回紹介させていただく<孔雀音>のそのなかのひとつなのではないでしょうか。某プログレサイトでこの<孔雀音>が“ハイセンス・ハイレベルの名盤”と紹介されていたもので、すっごい興味があったんですよね。でも某オクにはめったに出てこなくて、あったとしても貧乏な自分には手の届かないくらいの高額だったりして。それでも一応チェックはしてたんですが、このたびようやくなんとか手に入れられる金額でGET!できたので超ラッキー!さっそく<孔雀音>の紹介を・・・と思ったのですが、アルバムのライナーノーツを見てもこのバンドに関する詳しい記述はなかったんですよね。なにか謎につつまれたプロジェクトのようでして・・・
 結成は82年ころのようです。そして解散は84年とか。このアルバム「夕霧楼の幻想」は、元々は84年にデモテープとしてレコーディングされ、のちにカセット・テープで発表されたそうです。(そののち、90年ころにCD化されたのがこのアルバムです。) サウンド的にはヴァイオリン主体のジャズ系テクニカルプログレのようです。レコーディング参加メンバーはキーボード<石川真澄さん>、ギター<松本元昭さん>、ベース<武士守広さん>、ドラムス<加藤史郎さん>、そしてヴァイオリン<小塚靖さん>の5人がアルバムにクレジットされています。ただ・・・アルバムには<All Composed by延上真麻音>とクレジットされています。どうやらこの<延上真麻音さん>という方がご自分で創作された曲を、スタジオミュージシャンを集めて演奏してもらった、という形態のようです。で・・・
 <孔雀音>で検索すると、作曲家の<毛利孔さん>という方のプロフィールが。毛利さんは、母親が民謡の唄い手、父親が三味線奏者という邦楽の家系に生まれたそうですが、ご自身は洋楽に目覚めてギターをはじめ、(小学校の文集には“寺内タケシの弟子になりたい”と書かれたとか。) 16歳くらいから作曲を、18歳にはJAZZの理論を学んだそうです。ところが、毛利さんは幼少のころから手足の筋力が徐々に衰えるという遺伝性の難病を発症してしまったために、成人するころにはギターの弦を押さえることが出来なくなってしまったとか。そのために演奏家としての道をあきらめて作曲家として活動を始めたそうです。そしてその作品のなかには“自己のバンド<孔雀音>”という記載が。ひょっとするとこのアルバムの全曲を手がけた<延上真麻音さん>とは、<毛利孔さん>なのかな?って。確証はありませんが・・・
 ではアルバムのほうへ。1曲目は「エリクシール」。いきなりヴァイオリンの早いパッセージからはじまり、ミステリアスな雰囲気のなかJAZZロック調でしかも美しいメロディで進んでいきますが、すぐにベースリフをバックに不協和音のような前衛的なヴァイオリンソロとピアノソロが。中盤はリズムが止まり神秘的な雰囲気のなか前衛的なインプロが続きます。終盤からは再びベースのリフがはじまってギターソロが。ラストは盛大にFin。
 2曲目は「玉鎮めの詩」。パーカッションが静かにフェードインしてきて、ゆったりと哀愁を感じるメロディが奏でられます。ギターのアルペジオのリフをバックにピアノが優雅なソロを聴かせて。フレットレスベースの裏メロもいいですねぇ。続いてヴァイオリンソロ。そしてギターとユニゾンでテーマフレーズを。後半からはヴァイオリンとギターの掛け合いのような揺れる感じのソロを聴かせ、ラストは再びユニゾンでテーマフレーズを奏でてFin。
 3曲目は「イヴニング・ミスト」。ミステリアスなフレーズがフェードインしてきて、ウインドベルの音とともにミドルテンポでテクニカルながらダークな雰囲気で進行していきます。まるで迷宮を彷徨っているかのように不安感たっぷりで。中盤からはテンポアップしてちょっぴり優雅な雰囲気に。軽快なヴァイオリンソロ、いいですねぇ。終盤は再びミステリアスムードでFin。
 4曲目は「女狐」。ポップでコミカルな雰囲気からJAZZビートではじまります。テクノドラムとネコの鳴き声のようなヴァイオリンの音色で。そしてすぐにゆったりとスローモードで艶っぽいヴァイオリンソロを奏で、そして再びJAZZビートがはじまって軽快にポップに。次はゆったりモードで艶っぽいピアノソロを聴かせてくれます。そして再びポップモードに。思わず笑顔になってしまう楽しいJAZZですね。
 5曲目は「霧雨」。ミドルテンポでヨーロピアン調のロマンティックで優雅なサウンドが奏でられます。ヴァイオリン・ピアノ・ベース・ドラムで美しいメロディを。ヨーロッパの綺麗な景色を眺めながらライン川をゆったりと船で下っているかのような、ロマンティックな世界に浸ってしまいます。
 このアルバムのレコーディングは、ミックスダウンも含めて12時間くらいという超短時間で、ほとんど一発録りだったそうです。メンバーのみなさんがプロのスタジオミュージシャンとして活動されていたからこそ可能だったのでしょう。そのテクはハンパじゃないっす。そして数回はライブもやったそうですね。その音源とかはないのかなぁ・・・