イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

ブラックプールの楽しみ方(ピアの他の観光施設)

2024年05月28日 05時01分20秒 | イングランド北部

ブラックプール Blackpool の観光案内、続きです。

英国の海辺の観光地の典型的な娯楽施設、ピア pier の他にもブラックプールには貴重な観光財源があります。

1894年に完成したブラックプール・タワー the Blackpool Tower

パリのエッフェル塔のようなランドマーク的建造物をわが町にも!と意気込んで建てられた、ヨーロッパ中に名がとどろいた素晴らしい建築企画だったそうです(建築当時)。パリに張り合うとはいい度胸ですが。

10年前の夏、当時は男の子だった娘とそのお友達を連れて、日帰りでブラックプールに行った時、展望階、Blackpool Tower Eye に上がったのでした。

その日の写真を、創刊翌日ストックポート日報 に載せています!「展望階のガラス張りの床」の写真をその翌年、夫と冬の海を見に再度訪れたブラックプール記事から転載しました。

前回は夫と入らなかったタワーに入場するつもりだったのですが、残念。展望階は閉鎖でした。夏の観光シーズンを前にメンテナンス中のようです。写真を撮って娘に見せたかったのですが。

展望だけの基本料金が大人1人、£16-50( 3,305円;他のアトラクション付きなど料金のオプションは多彩)は高い!

その記事には、「世界で100番目に高い建造物」とあります。当時、たぶんウィッキピーディアで調べて書いたはずですが、10年たった現在125番目に降格しています!

タワー土台のレンガ建てのビルの2階には世界的に有名な、ボール・ルーム・ダンシング(社交ダンス)の殿堂、ブラックプール・ボール・ルーム the Blackpool Ball Room があります。

ブラックプール・タワーの宣伝ウェッブサイトから勝手に借りた写真です

ゾウのエルマーにもペイントされていた、ブラックプールが世界に誇る名所のひとつ!

リアルなタッチのゾウが後ろ脚で立って踊っている不気味なイラストが描き込まれています!

社交ダンスの国際競技会場としても知られる、競技者にとっての憧れ、愛好家にとっても「聖地」みたいな場所らしいです。

ダンス・ルームの入場は £11-50 (2,303 円)、これもただ素晴らしい建築造形を見るだけにはボッタクリ値段!...私はちょっと払ってもいいかと思ったのですが、もちろん夫は却下。今回もタワーには入場しませんでした。

このお値段には「ティーダンス tea dance(午後のダンス)」への参加が含まれています。世界的に有名な1929年製のウリッツァ・オルガン Wurlitzer organ の生演奏の時間を調べて踊りたい人がダンスシューズ持参で入場します。利用し放題の年間料金が £99-00 ...毎日でも踊りたい人はお得ですね。

ウリッツァ・オルガンの古風な電子オルガンみたいなにじんだ音色はとても素敵です。(YouTubeで聞くことができます)踊らなくても座ってお茶を飲みながら優雅に踊る人々をながめる(アフタヌーン・ティは£16-00から)のもいいんなぁと思いました。ダンスの常連はお年寄りが多いみたいですが。

 

タワーの裏側は、かなり充実したショッピングエリアです。英国中どこの町にもあるチェーン店が軒並み揃っています。ちなみにタワーの1階部分は通り抜け自由、トイレも公衆便所として開放されています。

 

もうひとつ、とても有名な観光名所があります。

ここ、英国北西部で昔から「遊園地 amusement park」といえば...1996年に開業したブラックプール・プレジャー・ビーチ Blackpool Presure Beach

いちばん南のピア、South Pier の斜め前にあります。

25年ぐらい前(今の夫に出会う前)、2歳の息子とシングルマザー仲間の友人親子とー緒に来たことがあるのですが...園内の記憶がありません。

ただ、今でも手元にある、自動的に撮影された滝を下るジェットコースターに乗った写真を高かったにも限らず購入したため、かすかに記憶をたどることができます。

遠く離れた北端のノース・ピアからも見える当時も今もヨーロッパ最大(最高部が66m)のジェットコースターthe Big One は、タワーと並ぶブラックプールのランドマークにもなっています。。

開園以来、長らく入園無料でした。ブラブラ歩き回ってクレープを食べたり、子供たちが何かのご褒美として乗せてもらえるライド(乗り物)を楽しむ間、親はコーヒー・タイム...というように、地元の人にも大人気の気楽な遊び場だったそうです。ニコニコ顔が刻印された「トークン(コイン)」をいくつか買って、ライドごとにそれぞれ決まった枚数を払う仕組みでした。

ところが2011年に経営者が変わって以来、ディズニーランドなどのテーマ・パーク風の運営になり、高額の入園料(現在£50-00 )をとるようになりました。もちろん入園後、すべてのライドに乗り放題。採算重視とともに、園内での主にドラッグがらみのフトドキな行為を阻止するための措置だそうです。地元の人たちは当然のように寄り付かなくなりました。

残念です。

1日乗り放題のトラム(路面電車)のチケットで南端の終点まで乗ってサウス・ピアで降車...プレジャービーチの外観を懐かしくながめ...と言いたいところですが、25年前の記憶は皆無です!今回見た園外の壁はカリブ海沿岸のコロニアル風の家々(?)を模した...ディズニーランドを思いっきりちゃちっぽくしたような外国の街並みを模した造りになっていました。海賊が出没する舞台のつもりなのだと思います。

 

英国の子供たちは海賊が本当に好きですね!

町の中心にあるコーラル・アイランド Corlal Island という海賊がテーマの大規模なゲーム・アーケード(レトロなゲームセンター)です。☟

友人親子と来た2年後に、夫と息子と来て入った記憶はかなり鮮明です。(私は2番目の子を妊娠していました)

息子に、撮った正面写真を見せておぼえているか聞いたら...おぼえていませんでした!。中にある大人のメニューも充実したファミリーレストランでは、海賊船が天井に張り巡らせたモノレールの上を動き回りテーブルそばまで来ると海賊が紐を伝って下りてきました。子供が乗れる天井から下がるゴンドラのようなライドもありました。

反対側の入り口です☝

今回は行ってみなかったので、現在どうなっているかは不明ですが、外観は夫と息子と来た時の記憶の通りです。

英国の海岸地での伝統的な楽しみのひとつ、ジプシーの手相占いの非常に繁盛しているらしいビジネスを見つけました。

おそらく、ジプシーの家族が営業していたと思われる「ドンキー・ライド donkey ride 」(派手な鞍や鈴をつけたロバに子供をのせる伝統的な海辺の娯楽)を見かけなかったかわりに...

妙にマヌケくさいシンデレラのカボチャの馬車のような観光馬車を見かけました。

3日にわたる滞在中、利用している観光客を見かけたのはたったの1度。お客は中国人らしい若いカップルでした。料金も走行ルートも知りません。セントラル・ピアの斜め前あたりで、同じ馬車と御者数人がいつも客待ちをしていました。

結婚式などで使われるタイプの普通の4人乗り馬車も客待ちをしていました。

夫と2人で冬の海を見に行った時のブラックプールの記事4本です☟観光地の面影を全く感じさせない暗い冬の日のブラックプールの荒々しい海の写真と、ブラックプール・タワーに関して今回書かなかった情報も少し含まれています。☟☟

海辺の観光地、ブラックプールに思い立って、冬の海を見に行く。風の強い平日の午後

ランカシャーの誇り!世界で100番目に高い建造物、ブラックプールタワー(エッフェル塔のまね)

海辺の観光地、ブラックプールに思い立って、冬の海を見に行く その3

ブラックプールに冬の海を見に行った日の、その翌朝

 

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ブラックプールの一番新しいピア、海辺の週末

2024年05月27日 00時22分26秒 | イングランド北部

イングランド北西部最大の海辺の観光地、ブラックプール Blackpool観光案内、続きです。

 

ブラックプールには英国の海辺の休暇シーンにはなくてはならない遊興施設「ピア(遊歩桟橋)」が3本もあります。

ー番古いノース・ピア the North Pier 。☟☟

前回までのブラックプール記事のリンクです☟

家を離れる理由があった、晴天続きの週末に行った北西部有数の海浜行楽地、ブラックプール

かつてのお金持ちの海岸保有地、ブラックプールの古き良き時代の面影を残す古い桟橋

南下するにつれ大衆化がすすむブラックプールのピア2本目

ー番南のサウス・ピア the South pier は一番新しいピアです。...と言っても完成は1893年。19世紀も末、お金持じゃなくても海辺で休暇が過ごせるようになってき始めた頃でしょう。

それでも、工場などで働く労働者階級がおおぜいブラックプールにやってくるのは、鉄道が普及した1920年以降ですから、まだまだ先ですね。

大衆娯楽路線を前面に押し出した、サウス・ピアの入り口です。

「家族向けファンフェアfunfair(=小規模の移動遊園地)入場無料」と書かれています。

「ファンフェア」の写真は撮りませんでした。

 

土曜日に、1日乗り放題のトラム(路面電車)のチケットを使って、南端の終点まで行ってみました。

トラムの終点はサウス・ピアを通り越し、10分ほどの海岸線を少し離れた住宅街の中にありました。1度降車してまた乗り直し、町の中心まで戻り、夫がビールを飲みたがったのでサウスピアに入ることにしたのです。私は お酒が飲めない人がパブで注文する定番 のフルーツドリンク、J2O (ジェイトゥオー)でお相伴です。

 

ゴーカートやジェットコースター、回転木馬などなど、派手にペイントされたレトロで小規模なライド(乗り物)が盛りだくさん。1枚1ポンド10ペンスのチケットを何枚か買い、ライドごとに違う数だけ渡す仕組みです。

ライドに乗れるのは子供だけ、なのはちょっと特筆ものです。

海に突き出した後半分がファンフェアのエリアで、残りはホットドッグや揚げたてドーナツ、アイスクリーム、チップス(ポテトフライ)、綿あめなど身体に悪そうなスナック類を売る楽しい出店や、ぬいぐるみなどが景品にもらえるにぎやかな縁日の屋台風のゲーム設備がありました。

写真を撮るのを忘れた...

ジプシーの手相占い!(写真はサウスピアの宣伝ウェッブサイトから勝手に借りました)

これ...当たるんですよ。

30年以上前、北東部の海岸地、スカーボローのずらりと並んだ小屋掛けの一軒で水晶玉をのせたテーブルを前に、貫禄のあるおばあさんに手相を見てもらいました。学生時代です。前の夫との結婚、離婚、そして再婚を予言されました。(ドンピシャリです)その10年近く後、まだ結婚していなかった今の夫と2人の子供とスカーボローに行った時に、また見てもらいたくて、あのおばあさんを探したのですが見つかりませんでした。ジプシーの不法ビジネスは町から撤退させられ、市の鑑札を受けたジプシー占いだけが許可を得て店開きをしていたとのことでした。

けっきょく、夫にバカにされつつ見つけ出した別の「認可」ジプシー占いになにも事情を話さずにみてもらったら...「今の相手はいい人だから信頼してよし」とお墨付きをもらいました。それを夫に伝えるとひどく感激して「見てもらってよかった」と態度をがらりと変えて喜んでくれました。結局そのあと結婚して今にいたります。

金曜日のセントラル・ピアのファンフェアはガラガラでしたが、さすがに土曜日、シーズン前だとは言え子供連れでけっこうにぎわっていました。

アストロターフ(人工芝)を敷き詰めた屋外バーでー休みしました。

暑くも寒くもなく、潮風が顔にあたり気持ちよく過ごせた屋外バーでした。が、やはりサービスなのでしょう、ポップミュージックが大音量で鳴り響いていました。

いちばん最初の写真は、このバーから撮った町の中心部の眺めです。見えているのは真ん中のセントラル・ピア。

定期的に、震度1程度の微震のような揺れを感じました。グラスに入った飲み物の表面にもさざ波が立っては消えます。砂浜の上7mぐらいの高さに築後百数年たった細い鉄の脚で支えられた床がいつ崩れてもおかしくない気がしてきて不安になりました。夫は、私も揺れを感じると知ってホッとしていました。細かな揺れが体調不良のための目まいなのではないかと心配になっていたそうです。

 

セントラル・ピアの「付け根」の部分の屋外バーも、このバーも使い捨てではないしっかりした造りのプラスチック製のグラスを使っていました。「酔った勢いのケンカの武器に使われないように、治安の悪いエリアのパブはプラスチック製のグラスを使う」と夫が言っていましたが...ガラスの破片が砂浜に落ちたら危険ですよね。海浜エリアならではの安全策でしょう。

 

サウス・ピアの鉄柵はすべて味気のないこの「グリッド(建てに並ぶ棒)」タイプでした。

19世紀、ビクトリア時代の建築の面影は全くなし!

 

土曜日の午後、サウス・ピアのあたりの砂浜やファンフェアにはなぜか、ヒジャブをまとった女性を含むムスリム(パキスタン系)の人々をものすごく多くみかけました。子だくさんの家族のほか、年齢まちまちの女性ばかりのグループも多かったです。

イスラム教の祭日か何かなのか?わかりません。独自の言語で話している集団もあり、ー般の英国人はなんとなく敬遠しているようでした。

私たちが夕食を終えた日暮れ後には、日中あれほど多くいたムスリム集団が完全に消滅していました。

そう言えば日没後、外出しているムスリム女性を見かけないのは国中どこも同じです。男女問わず飲酒は宗教上のタブーですし、飲んで浮かれている人たちとの同席も避けているのかもしれません。日帰りの人は帰宅、泊まりの人はホテルに引き上げたのでしょう。

土曜日の夜、海辺の歓楽街でナイトライフを楽しむ英国人のはしゃぎぶりと好対照です。

結婚を間近に控えた女性を囲んで女性だけで夜の町に繰り出すヘン・ナイト hen night (メンドリの夜会)の集団や、その男性版のスタッグ・ナイト stag night (雄鹿の夜会)と思われる男性グループにもたくさん遭遇しました。ブラックプールはそういう需要も満たす町らしいです。

ノース・ピアで見かけた「bride to be もうすぐ花嫁」と書かれたタスキに友人たちに贈られたベールとティアラ、無駄にセクシーなドレス...と非常にわかりやすい身なりの花嫁を擁するヘン・ナイトの集団です☟

男女別に集まる結婚の前祝いの集団は道で歌をうたったりダンスをしたり、おどけたポーズで写真を撮ったり大はしゃぎでしたが迷惑ではありません。むしろ周りはほほ笑ましく見ていたはずです。祝福の言葉をかける通りがかりの人もたくさんいました。

英国に来てから34年... 私は道やベンチや電車の座席で酔いつぶれて寝ている人を見かけたことがありません。道に残ったゲロは見たことがありますが、公道で嘔吐している人を見かけたこともありません。

私が住んでいたころの日本では日常茶飯事でしたが。(今は違うのでしょうか)

 

ブラックプール・タワー the Blackpool Tower の向かいの金ぴかタイル張りの建物の1階は観光案内所ですが、1階が、「結婚登記所 wedding registry office」なのです。

英国では2人の証人をたてて市の係官の前で宣誓する儀式をしなければ結婚が成立しません。海の前に市役所の出張所があり簡易結婚式ができるなんてステキです!

土曜日の夜にヘン・ナイトやスタッグ・ナイトで羽目を外した翌日の午後、ここで式を挙げたメンドリや雄鹿もいたかもしれません。婚約者同士のヘン・ナイトとスタッグ・ナイトが遭遇するのは縁起が悪いそうなのですが...どちらかのグループが隣町に行けば解決!

ブラックプール、続きます。

 

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南下するにつれ大衆化がすすむブラックプールのピア2本目

2024年05月26日 04時22分14秒 | イングランド北部

イングランド北西部最大の海辺の観光地、ブラックプール Blackpool観光案内、前回の続きです。

ブラックプールには英国の海辺の休暇シーンにはなくてはならない遊興施設「ピア(遊歩桟橋)」が3本もあります。

前回記事にしたノース・ピア から、約800m。セントラル・ピア  the Central Pier の目印は、巨大な観覧車。

私たちが最初に入ったピアがこのセントラル・ピアです。その名のとおり、三つのピアの真ん中に位置するピアです。

 

入口の佇まいから大衆的な遊興施設臭がプンプンします。

ピアの入り口の横に「歌謡ショー」を常演しているショー・バー show bar(ライブハウス)の入り口がありました。

プレスリー、フレディ・マーキュリー、マイケル・ジャクソンなどの有名なロック・シンガーのトリビュート・アクト(モノマネ)を日替わりスケジュールで上演しています。

正面の「ゲーム・アーケード(ゲームセンター)」を通り抜けてもピアに出られますが...

☟まず、外にしつこくたっている「バー」というのぼりにひかれてピアの外からも入れる屋外の砂浜に突き出したビア・バルコニー(ビアガーデン)に入りました。(夫がビールが飲みたいというので)

金曜日の午後、学校が終わって遊びに来た近所の子供たちでしょう☟

晴天の日の、日差しが気になる屋外席です。夫は頑として顔に強い日差しがあたるところに座りたがりますが紫外線が苦手な私のために、半分日陰の壁のそばの角席に落ち着きました。

どこに座っても、複数のスピーカーから話をするのが困難なほどの大音量で雑多なチョイスのポップミュージックや、夏の休暇を盛り上げるラテン調の曲がガンッガンかかっていました。ブラックプールでは屋外カフェやバーのみならず、土産物店や立ち食いカウンターなども通りに聞こえるように客引きのポップミュージックの騒音を垂れ流しているのです。

いつもなら夫は、音楽が大きな音量でかかっている飲食店には入りたがらないのですが...

苦情を言わずにいったん座ったら...私たち2人とも、喧騒もひと足早い夏の海辺のホリデームードのー環としてけっこう楽しめてしまいました。

ビアガーデンからピアに直接入ることもできますが、私たちは入ったところ(ゾウのエルマーが立っているところ)からでて、ショー・バー横の入り口からピアに入りました。

射的や、アヒル釣りなど縁日のようなレトロなゲーム設備と、半常設の遊園地設備(ファンフェアー funfare )があります。

ブラックプール名物のフェリス・ウィール ferri's Wheel (観覧車)は常設です。

 

ノース・ピアにあったのと全く同じ、昔ながらのヘルタースケルターがありました。

先まで行くと、見晴らしの良い先端の屋外席のあるバーがありました。ここに入ればよかった!とちょっと後悔しました。夫は何杯でもビールが飲めますが、アルコールが摂取できない私はダイエットコーク缶を1本飲めば数時間はソフトドリンクを飲む気がしません。(このバーも大音量で音楽を流していました)

金属製の古いベンチの背もたれが右左に残っていました。

中央にギリシャ神話の海馬(seahorse はタツノオトシゴという意味です)。お尻の部分が流麗にくるんと巻き上がってアラベスク模様を作り上げているのがとっても素敵です。下を泳ぐサカナのリズム感もいいですね...これを見ると、セントラル・ピアの歴史もけっこう古いのかもしれないと思いました。

ホテルに帰って調べてみると開設が1868年、明治維新の年ですよね。

あれ、今、気が付きました。開設した当時は海に向かってー番左(南)の現サウス・ピアはなかったので、このピアがサウス・ピアと呼ばれていたということですが...

海馬の両側のアラベスク模様に埋もれたイニシャルは「CP」Central Pier ?あれぇ。セントラル・ピアと改名したのは現サウス・ピアがー番南に建設された1893年以降なはずです。建造当時のオリジナルではないのかな??

手入れされてきれいだった部分を写真に撮りました。サビたり塗装が剥げたりでぼろっちくなっていた部分が多かったです。

保存指定建築のノース・ピアと違って、建造当時の状態を保存しようと努力する気もあまりなさそうです。

安全上、必要不可欠な味気ない柵が取り付けられていた先端部分です。亡くなった故人をしのぶ金属の小さな板がここでも床板に取り付けられていました。

 

最初に開設され好評だったノース・ピアが大人の社交上だったため、家族連れが利用できる施設として建設されたピアだそうですが...やはり、当時のターゲット層は19世紀に都会を離れて海岸の保養地に滞在できる裕福な人たちだったそうです。

こっちは建築物保存令の縛りとかがないものですから...

こういうものが並んじゃうんですよね。

海辺の名物、フォト‐スタンド‐イン phpo-stand-in という記念写真用の通俗風景パネルです。お下劣すぎて言葉がありません。

息子が子供の頃来た冬期もふくめて2回とも乗った砂浜のロバ...英国の海ベの伝統的な風物詩なのですが、今回1頭も見ませんでした。ドンキー・ライド donkey ride ... もうやっていないのでしょうか。

実は私たち、ノリノリで背後に立って顔を出し、お互いのバカバカしい記念写真を撮り合ったのですが、夫が「ブログに私たち家族の写真を載せないでほしい」と強く主張するので...正面からはっきりと写った私たちの顔を「抜け面」に見えるように塗りつぶしました!

それとこれ!公衆便所の男性、女性用の表示の大胆さ。

「パイレーツ・ベイ」というファミリー・バー(子供歓迎のバー)があるので、海賊がテーマなのは納得です。写真に写っていない男性トイレの扉はごく普通の海賊のイラストで表示されています。セクシーなミニスカートの女性海賊も疑問ですが、まあいいとして...

義足の身障者海賊...いいのかなぁ、この表現...?

それに、英国では通常はっきりと「身障者 disabled 」と公衆便所などに明記されることは現在ほとんどありません。車いすマークや、「アクセシブル Accecible (バリアフリー)」の表示が普通です。

とにかく、上流、中流階級の紳士淑女とその家族が休暇を過ごす19世紀の静かな海辺の保養地のイメージぶち壊し!

今ではブラックプールは大衆の娯楽を提供する楽しい遊興施設のある観光地だということがわかっていただけたでしょう。

 

ああ、また長くなった!

サウス・ピアとブラックプールのその他の遊興施設に関しては、また次回に。

 

 

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かつてのお金持ちの海岸保養地、ブラックプールの古き良き時代の面影を残す古い桟橋

2024年05月24日 03時28分23秒 | イングランド北部

イングランド北西部最大の海辺の観光地、ブラックプール Blackpool観光案内、前回の続きです。

ブラックプールで有名なのはまず、ピアpier。 日本語で「遊歩桟橋」と言うようです。

英国の海辺の、ある程度の規模の観光地にはかならずと言っていいほどある遊興施設、海岸から海に向かって突き出した、散策できる長い桟橋です。飲食施設やゲーム・アーケード(=ゲームセンター)があります。

ブラックプールには、3本もあります!

 

海に向かってー番右側(北)にブラックプール・ノース駅 Blackpool North Station から海岸までまっすぐ歩いたらすぐ目の前にあるノース・ピア the North Pier

ブラックプールを通って長い海岸線沿いに南北18kmにわたって走っているトラム tram(路面電車)がそれぞれのピアの前で停まります。£6-60 (6ポンド 60ペンス=1,322 円)で1日乗り降り自由の1日乗車券 day rider ticket がお得です。車内で車掌さんから買えます。

撮り忘れたので、ノース・ピアのちょっと古風な正面の写真をブラックプールの観光ウェッブサイトから勝手に転載します☟

完成は1863年、3本のうち最も古い由緒あるピアです。高名な建築家の初期の作品例だとかで、第二級保存指定建築。他2本のピア(後述)に比べて建造当時の外観をよく保っています。

海辺での滞在が経済的に余裕のある階級に独占されていたという19世紀半ばに建設された、紳士淑女が潮風を浴びて散策をする上品な社交スポットだったそうです。瀟洒なティールームや音楽を演奏するホールがあったそうです。

20世紀以降の鉄道の発達で、海辺ですごす休日がー気に大衆化して以来、多くの海岸エリアは「上品な保養地」とは程遠い庶民の遊興地と化しています。ブラックプールはその代表格です。

ノース・ピアも例にもれずかなりの通俗化です。入り口のゲーム・アーケード、ケバケバしいお土産屋さんや、チッピー(フィッシュ&チップスバー)、などなど... 桟橋の途中にはかつてブラックプールの名物だったというジプシーの手相占いの小屋までありました。(1950年頃全盛だったようです)

ブラックプールに到着した日の夕方、夕食前にふらっと立ち寄りました。

7時半をすぎた夕暮れの太陽に向かった逆光の写真です。

先端近くの右側のプロセッコ・バーがかつてのティールームだと思われます。左側には19世紀建造の木造のシアター(劇場)がありました。

ロックコンサート、コメディやミュージカルを上演しているようです。入ってみなかったのが悔やまれます。上演時間外は無料で入場できるようです。

右側に見えるのは、英国の海辺の観光地の定番、ヘルタースケルターというらせん状の高いすべり台です。25年以上前、2歳だった息子といっしょに私もすべったものと...おそらく同じモデルだと思うのですが...は思えない状態の良い新しいヘルタースケルターでした。当時は危ないとも思えなかったのですが、これ、おそらく現在の安全基準ではアウトなのでは...?

 

バーから、ヘン・ナイト hen night (めんどりの夜会=結婚を控えた女性が独身時代最後の羽目を外したナイトライフを楽しむ女性だけのパーティ)のー団がゾロゾロ出てくるところでした。

主役の女性は「もうすぐ花嫁 Bride to be」と大書されたサッシュ(タスキ)を肩から斜めにかけています。週末のブラックプールはこのヘン・ナイトのパーティで大人気のようです。少なくとも7~8グループを見かけました。

最先端は、残念、工事中で立ち入り禁止でした。

402mもある長いピアです。

真夏のシーズン中になると、入り口からヘルタースケルターのあるあたりまでブラックプール名物のトラムの復刻版ミニチュアモデルが、走行します。

25年前に息子と乗ったはずなのですが...乗った記憶が欠落しています。

☟またまた、ブラックプールの観光ウェッブから勝手に借りて転載した写真です☟

シングルマザーだった当時、イギリス人の友人親子と1泊泊りがけで来たのでした。その2年ぐらい後、寒い冬に4歳ぐらいになった息子を連れて、今の夫とまた来た当時のブラックプールには、まだ古い型の木の床の、ほこりくさい匂いのする座席のトラムが普通に走っていました。

特に行くあてもなく、名物のトラムに乗りたかっただけの理由で、海岸沿いを行ったり来たりした記憶があります。その時は1日乗車券はなかったはずです。

両側にズラッと並ぶ鉄製のベンチの怖い顔をしたギリシャ神話の図像のイルカと、大文字のBに小文字のpを組み合わせた(Blakpool?)デザインが瀟洒です。

ベンチの下には、亡くなった人を記念する真鍮のプレートが打ち付けてありました。

たぶん...改修の際に寄付でも募ったのではないでしょうか。英国の公園や広場などには、故人の思い出に捧げるプレートが打ち付けられた寄付ベンチがとても多いのです。

それにしても、記念日だか命日だかに供えられたはずの花束がすべて造花なのが...安っぽくて悲し気です。

 

10年近く前に娘とそのお友達を連れて日帰りでブラックプールに来た時は、ノース・ピアの木の板張りの床がガタピシしていました!しかも板の端がすり減って隙間だらけではるか下の砂浜が透けて見えたのが怖かった記憶が...。

現在、床板の修理中です。

修理部分はもちろん、柵でかこわれていました。(柵のすき間から撮った写真です)

どのくらいの頻度で修理するのでしょうか。あれから10年近くもずっとボロボロ状態だったとしたら...というか、ボロボロ度も進化したことでしょうし、滑りやすい雨降りの日なんかはものすごく怖かったのでは?

 

今回は、補修された床の上を歩きました。右側が工事中の部分です。

さすが、保存指定建築、文化財!観光物件とは言え、できるかぎり建造時の状態を忠実に保つべくていねいに修復されているらしいことに感心します。

 

満潮のブラックプール海岸です。

日中、水平線がはるかむこうに見えていた遠浅の砂浜はどこに行っちゃったんだ?!といぶかるほどの、潮の満ち引きによる景観の変わりようには、脅威です!

現在の、モデルチェンジしたモダンなトラムです。

古いタイプのトラムも休日など観光目的で走っています。滞在中の土曜日、日曜日に何度か目撃しました。(機会があれば後述します。写真もあります)

ブラックプール名物のトラムの、郷愁を誘う旧式モデルを模してペイントされたゾウのエルマーがノース・ピアの斜めまえに設置されています。

ペイントされたゾウのエルマー(絵本のキャラクター)79体を町中に配置した子供向けのチャリティ・イベントが開催されていました。

 

海岸線を海に向かって左(南)に5~6分歩くと、セントラル・ピア Central Pier があります。南に行けば行くほどピアは通俗、大衆化します!!

3本のピアを比較するつもりでしたが、ノース・ピアについて異常に長く書いてしまいました。

次回、他の2本のピアと、ブラックプールの「遊興施設」紹介、そして、やたらに写真に写り込んでいる絵になる鉄製の塔に関する記述が全くないのが絶対に不自然ですね!「地球の歩き方」にも載っていたはずの、エッフェル塔を模したイングランド北西部有数の観光資源だという...(!)ブラックプール・タワー the Blackpool Tower についてもちょっとふれます。

 

 

 

 

 

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家を離れる理由があった、晴天続きの週末に行った北西部有数の海浜行楽地、ブラックプール

2024年05月23日 04時51分52秒 | イングランド北部

先週金曜日から日曜日にかけての週末、英国北西部で最大の「大衆的な享楽地」、通俗な海辺の観光地、ブラックプール Blackpool に行ってきました。

 

帰宅したのは日曜日の夕方、連日晴天のブラックプールに2泊しました。

娘が週末に自宅でインターネットゲームの会合(合宿)をするので、私たち両親は2晩だけ家をあけ渡したのです。

なぜ、ブラックプールか...はずみで決定したようなものでした。

自宅の最寄り駅のある路線の終着駅が、バクストン Buxtonと、ブラックプール・ノース Blackpool North 。バクストンは20分ほどで着く山岳地帯(ピーク・ディストリクト)の鉱泉の湧く古い町、しょっちゅう行っています。泊まるほどの距離でもありません。

じゃあ、電車で1時間40分、泊まる意味は大いにある、反対方向の海辺の町、ブラックプール...選択肢の貧しい深く考えない決定でした。何回も行っています。ストックポート日報でも記事にしています。

金曜日の晩から宿泊するホテルの予約をしたのが木曜日の午後。部屋を埋めるための直前格安価格でダブルサイズの「海の眺望付き sea view 」とうたった、ダブルルームが予約できました。

 

終点駅、ブラックプール・ノースから海岸に向かって少し歩き、海岸沿いを北(右)にホテルまで30分以上も歩きました!

 

海岸沿いの遊歩道 promenade です。上の車道から浜ベまで何層も道があります。

ずい分歩いてから、町の中心を振り返ったところです。

 

車道から1段下がった通りには数十メートルおきにへっぽこギリシャ神殿のような柱が並ぶ、風よけ休憩所のような車道の下のくぼみがあります。そこを通ってスロープを上がれば車道に出られるのですが...

ボロッボロ。

1930年頃のコンクリート製です。最後に修繕したのはいつ?

 

海岸沿いをブラックプール名物のトラム tram(路面電車)が18kmにわたって走っています。

 

私たちがとまったクリフス・ホテル Cliffs Hotel はトラム停車場のすぐ前でした!乗ればよかった!!

時刻表の上では15分間隔ですが、特に観光客が多い時期などは5~8分間隔で頻繁にやってくるトラム、1日乗り放題 Day rider チケットがたったの6ポンド60ペンス!3日間の滞在中、大いに利用しました。

 

1920年代ごろ建造の、建物がリッパなクリフス・ホテルですが5☆が満点の公式評価ランキングが「☆☆(星二つ)」の低さ(その実、清潔で快適でした)。

客層も典型的な「ブラックプール常連」タイプの庶民的な人ばかりでした。(日焼け効果メイクに頭のてっぺんで髪をまとめた女性やサッカーチームのトップを着た男性...いずれも肥満体...と言った見かけが代表例の)

町で働く「労働者階級」が海辺の町に遊びに行くのが流行り出したのは鉄道での旅行が身近になった1930年代ごろ。英国中どこでも同じような現象が起こっているはずです。特にここ、マンチェスターを中心に(綿)工業が非常に発展した北西部では労働者人口は群を抜いて多かったのです。そして必然的に、鉄道の便のいいブラックプールの観光地化がー極集中的に発展しました。

 

 

海岸沿いをホテル目指して歩き始めたあたりで、町の中心を振り返って写真を撮ったら、知らない人がポーズをキメてくれました☟

 

(ちなみに、英国では労働者階級は山岳地域での休暇は好まないという偏見めいた通説があります)

ヨーロッパ大陸への航空旅行が身近になった1970年代には、ギリシャやスペインなど暑くて物価の安い地中海沿岸国での海辺のホリデーがー般化しはじめ、英国内の海岸の観光地としての人気がどんどん下がりはじめます。

ブラックプールにも盛衰はあったようですが、それでも遊園地やゲーム・アーケード(ゲームセンター)などの享楽設備とナイトライフ、そして特筆ものの演芸・パフォーマンスの充実ぶりなど、庶民階級をひきつける娯楽要素たっぷり、現在でもじゅうぶん賑わっています。

 

実はストックポート日報は、「イギリス観光ブログ」なのです。ご存知ない方も多いでしょうけど。

原点に立ち返って、次回からは観光案内記事をしばらくお送りします。

 

夜の9時、ホテルの部屋の窓から水平線に沈む美しい夕日が連日見られました。

「地球の歩き方」にも載っているはずのブラックプールは格好の観光ネタ!

ただ、ブラックプールには ... 日本人に人気のロンドン、コッツウォルズや湖水地方、オックスフォードやケンブリッジなどと違い、古い街並みや文化、自然景観の美しさやショッピングの楽しみ...など、ー般の日本人が期待する観光要素が圧倒的に欠落しています!

それでも、長く滞在する機会がある方にはぜひぜひ寄ってみてほしい、ー味違う英国体験、いかがでしょうか。英国人の生活を理解するうえで欠かせない見ものがたっぷりです!

海水浴シーズン前の、長い長い海岸(フィルダ・コースト Fylde Coast ) の海の景色は圧倒的に素晴らしかったですよ。

 

 

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タットンパークのファームと言えば、お気に入りのブタ見物(荒んだ心も癒される)

2024年05月14日 02時04分08秒 | 英国の動物

タットン・パーク Tatton Park のファーム the Farm(農場)、前回の続きです。

私が大好きなブタ特集です。

若い頃に熱中したブタの小物収集にはここ20年ほど興味を失い、コレクションの多くも手放しましたが...ブタを見るのはあいかわらず熱狂的に好きです。

 

広大なタットン・パークの隅にあるファーム は、戦前の典型的な動物農園を再現し、動物とのふれあい体験も提供している教育/娯楽/観光設備です。19世紀の終わりごろに建設されたと思われる実際の農園の施設を利用しています。入場料は大人1人9ポンド、安くはありません。

英国では1960年頃を境に近代農業が採算効率を重視し始め、家畜の品種改良が急激に進み国や地域に固有の品種が次々に絶滅に追い込まれていったそうです。世界的にも(少なくとも先進国では)同じような現象が起こっているはずです。

タットンパークのファームでは、ノスタルジックなテーマのもとに絶滅しかかっている古い英国固有種の家畜を繁殖しています。

いちばんの見ものは...やはりブタ!

 

☟は、バークシャー種の ドッティ。

放牧地というか、草がぜんぜん生えていない「ブタの運動場」でしょうか。ブタを草地に放すと草を食べつくし鼻で掘り起こしまくって鋤を入れて耕した農地のようになります。

金網の向こう側(右)に生い茂った雑草を食べようとひしゃげた鼻先を突っ込んでガフガフやっていました。

緑の草地の囲いの中には納屋風のアクティビティセンターがあり、周りの草地も見学者が座ったり散策したりできるようになっていました。囲いの開いているところから入って、ドッティが草を食べるお手伝いをしました。

引き抜いた雑草を差し出すとブゴブゴッと鼻を鳴らして指までガブッとやられそうなすごい勢いでくらいついてきました。とんがった歯がおっかない。

 

アクティビティセンターから出てきた小さい女の子が私たちを見て、自分も抜いた雑草を差し出そうとしたので...

「咬まれるかもよ」と教えてあげました。そばにいたお母さんが慌てて「見るだけにしようね」と止めていました。...私たちも子供がマネすると危ないので雑草差し出しはやめることにしました。

 

豚舎の内部です。

ラージ・ホワイト large white のルーナと仔ブタたちは大人気。

ラージ・ホワイト は、同じくピンクの肌で躯体が大きい ランドレース  landrace に次いで世界で2番目に多く繁殖しているブタの種類です。

とんがった耳がピン!と立っているのが特徴です。英国、ヨークシャーが発祥の家畜ブタの原点ともいえる古い古い豚種です。

(ヨーロッパ大陸原産のランドレースは英国で改良発展した近代種だそうです。大きな三角の耳が折れさがって顔のほとんどを覆っているのが特徴です)

 

黒とピンクのコントラストが美しい ブリティッシュ・サドルバック British suddleback のスージィ。

スージィも子持ちですが、乳離れしていたずら盛りの仔ブタたちは別の囲いに離されていました。

生後2か月ぐらいの子供たちは元気いっぱい、「疑似交尾」と言われる行動でしょうね...兄弟の背中を前脚ではさんで怪しい動きをする仔ブタがいました。寝ていたのにはさまれた仔ブタは本気で嫌がってにげまわっていました。

 

柵の中にいたのは3匹だけ...いっしょに生まれた仔ブタは少なくとも10匹はいたはずです。どこに行っちゃったのか...あまり考えないことにします。

もう1頭、スカイという名のサドルバックがいました。スカイは前回(5年前)来た時もたしかにいました。ブタは15年ぐらい生きるそうなのですが...入れ替わりが激しいですね。

前回見た、まだ若かったであろう他のブタたちがどこへ行ったのかも考えないことにします。

動物園ではなく「ファーム」ですし、飼育の目的は「ふれあい、展示」と希少種の繁殖だけではなく畜肉の生産もあるはずです。ブタはペットではありません。

 

ところで、サドルバック の スージィの仔ブタたち、鼻がしゃくれているような気がしませんか。

「サドルバック交種 saddleback mix 」標識が出ていたことから父親が サドルバック ではないのがわかります。

 

父ブタは...

この、男らしいハンク。豚舎ではなく、L字型のメインの豚舎のある開けたエリアに通じる門舎 gatehouse の建物わきに雄ブタ2頭を収容するメンズクラブのような囲いがあります。現在となりの囲いはカラッポで、ハンク1頭でオスブタの仕事をしているようです。

帰ってから写真を見て気が付きました。ハンクの名札には「middle white x landrace bore 」と書かれています。( bore は去勢されていないオスブタのことです)普及種のランドレースの入った混血のミドル・ホワイトだったのでした。

豚舎にはちゃんと、純血の古来種、ミドル・ホワイト middle white のマーサがいました。

 

世界中の家畜ブタの原種と言われるアジア系のブタのDNAが混ざっているという古い系統のブタ!

ハンクの鼻が純血のマーサほどしゃくれ上げっていないのは混血だったからなんですね...納得。

この ミドル・ホワイト は ラージ・ホワイト と同じ、英国、ヨークシャー原産の希少な英国固有種です。現在、産業飼育されているのは本国英国と、日本だけだそうです!日本では「中ヨークシャー」と呼ばれているそうです。ラージ・ホワイトは「大ヨークシャー」と呼ばれた時期もあったそうですが、ラージ・ホワイト の和訳「大ホワイト」と呼ばれることもあり混乱が生じたので現在は「大ホワイト」に統ーされたとか。ミドルホワイト も、ラージホワイト もどちらも遠い祖先にアジア系の原種を持つ、同じ系統のヨークシャー種です。

あれ?写真をよく見たらラージ・ホワイトのルーナの子供たちも鼻がしっかりしゃくれています。ハンクの遺伝子、スゴイ。

 

私たちが豚舎にいる間に、ご飯タイムがありました。

飼料を運ぶ手押し車の音がきこえたのか、全ブタがいっせいにブピーブピーがっがっがともの凄い鳴き声をたてはじめました。

ルーナは仔ブタをほったらかしてエサ入れに突進しました。

 

ここで、ずいぶん前にソーシャルメディアで仕入れたとっておきのトリックをご紹介します。私が撮ったビデオを掲載できなくて残念です。

ブタの背中の中央をはしる、かすかにくぼんだ背骨のラインを腰のあたりから指でスーッとなでおろします。シッポの付け根で指をとめ、軽く押すと...あら、不思議。くるんと巻いたシッポがダラっと垂直に垂れ下がります。しばらくすると、ゆっくりとまた巻き戻ります。

垂れ下がる前より、いくぶん巻きが強くなった気がします。ブタに触れる機会があればぜひお試しください。大人ブタにも効果があります(前回、息子とためしました)

 

ファームで一番エラそうなのは何と言ってもニワトリ!

好きな場所を歩き回り、他の動物のエサも食べ放題。ファームハンド(飼育員)も見てみぬふり。

 

パーク内のこの小道を行った先にファームがあります。両側の緑地はヒツジの放牧場です。

 

門舎から奥の豚舎をながめたところです。

ハンクの部屋は左側にあります。

 

ニワトリのエサは飛んできたハトに横取りされます。

 

前回の記事のリンクです☟。記事中にファームのようすがもっと詳しくわかる5年前の記事のリンクが貼られています。

仔ヒツジにさわれる!もちろん母ヒツジにもロバ、ヤギ、ブタ、なんでもさわり放題の観光農園(再び)

 

 

 

 

 

 

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仔ヒツジにさわれる!もちろん母ヒツジにもロバ、ヤギ、ブタ、なんでもさわり放題の観光農園(再び)

2024年05月13日 01時05分02秒 | 英国の動物

放牧された母子ヒツジたちの話題に続いて、今回は「観光農園」。ヒツジと、仔ヒツジに...さわれます!...さわりました!

 

ナショナル・トラスト National Trust が所有するチェシャーのナッツフォード Knutford 近郊の広大なパーク、タットン・パーク Tatton Park の中にあるファーム (農場 )The Farm に行きました。

以前にも記事にしています。息子がスペインに移住する前の2018年ですね。

広大な邸宅の敷地内、イギリス伝統の再現農場、動物なんでもおさわりし放題!

 

タットンパーク, イギリスの食生活に偉大な貢献をしてきた 今日はブタ!

 

タットン・パークの動物農場、最終回 (ニワトリの種類の多さにおどろく)

写真が充実した3本の記事です。あけて読んでみてください。

 

呼び物はやはり、英国の春から初夏にかけての季節の風物詩、ラミング lambing (ヒツジの出産期)です。上にリンクを貼った前回の訪問もほぼ同じ時期でした。(あ、言い忘れました。じつはこれ、ピーク・ディストリクト訪問の2週間前のはなしです。つまり、ここでおさわりし放題を体験したあとに、放牧されたおさわり不可能な母子ヒツジたちを見てきたというわけです)

以前は、ホーム・ファーム Home Farm と呼ばれていたこのファーム、現在はもらったチラシにもタットンパークのウェッブサイトにもザ・ファーム と記されています。

タットン・パーク全体が、貴族が住む邸宅、庭園、荘園として機能していた戦前(1930年代)の典型的なファームを再現した体験施設です。学芸員がいるということでしたので、博物館的な機能も持つ施設かもしれません。古い農具の展示やデモンストレーションもあります。

じっさいの動物農場としての機能も、まだじゅうぶん果たしています。

絶滅危惧種のウマ、ブタ、ニワトリなどの英国の伝統的な畜産動物の繁殖、飼育に力を入れています。

...今回、ウシは見ませんでした。

特にファームに常駐する名前のついたヒツジは、いないはずです。

今回、仔ヒツジにさわれるラミングの体験イベントのために広大なパーク各所の放牧地で放牧されていたヒツジたちの母子をかき集めてー時的に囲いの中に入って、訪問者に見てさわってもらう仕事をしてもらっているのだと思います。

母ヒツジの脂っぽくて、みっしりと弾力のあるフリースに指を入れて暖かい皮膚に触れてみました。もちろん仔ヒツジの柔らかくて細かい巻き毛の薄いフリースの中にも指を突っ込んでやさしくなでてみました。親ヒツジに比べてずっと皮膚が薄くなめらかで体温もいくぶん高めだったように思います。

ここでは仔ヒツジにさわっても母ヒツジは気にしないようです。「うちの子にかまわないでよ!」と手の届かない柵内の奥の方へ連れて行ってしまうこともありませんでした。さすが「観光(と言うか教育)施設の農園」に所属するヒツジ、仕事をわきまえているようです。

黒い頭、黒い脚にクリーム色のモコモコフリース(羊毛)の母ヒツジの子供たちはなぜだか全身真っ黒です。母ヒツジのモコモコをズルっと刈り取れば顔、首、脚をつなぐ胴体も真っ黒なのかもしれません。

 

前回はいなかった、じーっとしているロバが2頭いました。

同じ屋根の下の仔ヒツジ の囲い(上の写真とは別の群れ)に人気が集中、誰も気にするひとのいないロバの周りにはジミ~なオーラが漂っていました。(ロバは気を悪くしていなかったと思います)私たちはロバも大好きですから、じっくりとさわってきました。

ウマのつややかでスベスベした毛並みと違ってガサガサ、ゴリゴリした長めの体毛が心地いいのです。

 

鋤を引く農耕馬、荷車を引く荷馬車馬としてかつては英国中どこにでもいたという、シャイヤ・ホース shire horse の3頭です。

競走馬や乗馬用のウマと違いずんぐりむっくりしています。囲いに名前と誕生日が書かれた札がつけられていました。少なくとも2頭は6年前に来た時にもたしかにいたはずです。

ヤギも前回いましたが、メンバー(個体)が変わった可能性は大ありです。

この3頭はゴールデン・ガーンジィ Golden Geursey という英国固有の伝統種のヤギだそうです。

 

長いあごひげと、細かくカールしたフリース(毛皮)が特徴的なベティという名の、女王様のようにエラそうな態度のヤギはおやつの時間にもお気に入りの「山」の上から下りてきませんでした。

英国固有種ではなく、アンゴラ Angora goat です。

ヤギもロバも1頭ずつの仕切りや囲いと名札がなく、どれが誰だかはわかりませんでしたが、それぞれちゃんと名前があるようです。ベティはスタッフに名前を呼ばれていましたが無視を決め込んでいました。

 

ヤギのベティよりもずっと偉そうにしていたのは、雑多な種類のニワトリたち!

ファーム内を傍若無人に歩き回り他の動物のエサもかすめ取り放題。

 

 

土曜日だったので、子供を連れた家族連れでいっぱい!子連れじゃないのは私と夫の2人だけでした。

 

続きます(次回はブタ!)

 

ナショナル・トラストは自然の景観や歴史資産(庭園邸宅など)を保護管理する私営のボランティア団体です。

タットン・パークに関して、過去10年間に10回ぐらいは記事にしています。自宅からクルマで20分、天気が良くて暇なときにふと行きたくなる散策スポットです。

パークへの入園は、徒歩と自転車なら無料。クルマでの入園は1台につき9ポンドから。ファームや、庭園(なんだかおかしい日本庭園がみもの)邸宅見学にそれぞれ入場料をとられます。

8.1平方kmもの広大な敷地にかつての持ち主だった貴族の邸宅(2軒)、庭園、森林、2つの湖、広大な緑地と家畜の放牧地、狩猟用のシカの生息地、無数の池、それにどうでもいいショボい巨大迷路があります。

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仔ヒツジの跳ねる季節!鳴き交わす母子ヒツジの放牧風景と池端の黒いウシ

2024年05月10日 06時19分28秒 | ピーク・ディストリクト

前回の続きです、ヒツジのべビーブーム!

英国の春の風物詩とも言える、ヒツジの出産ブーム lambing がー段落、母ヒツジといっしょに放牧されるかわいらしい仔ヒツジが国中の牧草地で見られる初夏です。

前回の記事のリンクです☟(投稿以後、写真を数枚あらたに加えました)

季節の風物詩、ヒツジのベビーブーム!仔ヒツジ見物ならやはりここ!

 

ピーク・ディストリクトの静かな田舎町、ホープの古いパブで昼食をとり、またクルマに乗って同じくピーク・ディストリクトの観光客で大賑わいの「ハニーポット・ビレッジ」、カースルトンを走り抜け...

...1~2㎞ほど行くと私たちが帰り道に必ず寄るスポットがあります。

道路の左側に、丘陵の放牧地に続く細道に入る、クルマが2台ぐらい停められそうな小さな空き地があります。そこにクルマを停めて...

苔むした古い古い石塀(ドライストン・ウォール drystone wall)に沿って徒歩で細道を3分ほど歩くと...

 

ドンッと視界が開けて放牧場に出ます。

「巨大なレゴ・ブロックの写真、撮れば?」と夫が勧めたので写真におさめました。なんだろう、このコンクリートのかたまり...?

 

ちなみに、この場所は農地(放牧場)の持ち主所有の私有地です。クルマの乗り入れは禁止ですが、徒歩の通行は許されています。

ピーク・ディストリクトのようなナショナルパーク規模の景勝地に限らず、英国ではすべての人に農地を通行する権利があるとして、一定以上の広さを有する私有地の所有者に「パブリック・フットパス public footpaths」という通り道をもうけることを義務付けた法律があります。

この農地に乗り入れるトラクターが通り抜けられる幅がある道は「パブリック・フットパス」ではなく、徒歩とともに乗馬の通行も許している「パブリック・ブライドルウェイ public bridleway 」でした。

 

左側は、広く開けた丘陵の放牧場です。

べへ~べへ~と鳴きかわす母子ヒツジの鳴き声のうるさいこと!

 

ここで、英国の牧羊事情です。

「牧羊農家はヒツジの毛(羊毛=フリース fleece )を売って生計を立てている」と思っている人は英国人にもけっこういます。間違いです。ここ英国では、かつては花形産業だった毛織物の生産はほぼ廃れ、一般の牧羊農家の生活の糧はほとんど、仔ヒツジを繁殖させ食肉として売ることで生計を立てています。

1950年代には1㎏が14ポンド程度で取引されていたフリースが現在は、70ペンス前後(1ポンドは100ペンスに相当します)とめっちゃくちゃな暴落ぶり!パンデミックを経て、2023年には30ペンスにまで落ちたそうです。30ペンスあれば、ニンジンが4本ぐらい買えます。

その後、回復の兆しはありますが農家にとってはやってられない値段なので今では多くの農家が刈った羊毛は焼くかコンポストとして土に埋めるかして土壌に還元するエコロジーな方法で処分しているそうです!!!

1950年ごろに比べ、羊毛の質が落ちたわけでもヒツジの種類が大きく変わったわけでもないそうなのに今では繊維としては売れないそうです。緩衝材や断熱材として建築業者に引き取ってもらうこともあるそうです。ぐうぜん毛刈りのために羊の群れを集めていたところを通りがかったことがあります。その時に農場主に聞いた話です。

編み物が趣味の、私が使う毛糸はたいていオーストラリア、トルコ、シリア(今は供給が困難かもしれません)あるいは中国が原産の国外産です。国内で紡いで英国産毛糸として生産したものもありそうですが。

国内の篤農家が特別に育てている伝統種の高級羊毛用の羊の毛を紡いだけっこう高価な毛糸も1玉、2枷ずつ買って小物を編んだこともありますがセータ―が編める量を買うのは勇気がいります。

牧羊農家にたのんで捨てるフリースを譲ってもらえないか...と考えたこともあります。自分で紡いで毛糸にする...過程は考えてみたらムチャクチャめんどくさそうです。まずきれいにするのがものすごく高いハードル...

 

ヒツジの毛を夏前に刈り取るのは、単にヒツジの健康のためだそうです。

暑っ苦しくモコモコ生やしておくと暑さで体調を崩すのみならず、皮膚病や虫に卵を産み付けられるなどぞっとするような害があるそうです。

 

モコモコフリースの大人ヒツジが見られるのも今月あたりまで...夏前にすべてのヒツジは毛刈りされクリクリ坊主の細っこい裸体をさらすことになります。

 

仔ヒツジの食肉産業は、比較的人道的に思えます。私は「英国の農業を支援しよう」というような趣旨の、ブタやウシやヒツジなどの動物がいっぱい出てくるドキュメンタリー番組を見るのが大好きです。

そこに出てくる農家はすべて、仔ヒツジが10ヶ月近くになるまで、春夏の明るい屋外で母ヒツジとともにすごさせています。母ヒツジが次の仔ヒツジを孕む秋冬頃には仔ヒツジはすっかり親ばなれします。その時には出荷されるオスの仔ヒツジたちへの母ヒツジの愛着もすっかり薄れています。

中近東や中国などでは大人のヒツジも食べるようですが、ここ英国では1歳を迎える前の仔ヒツジ肉しか一般の販売ルートには出てきません。大人のヒツジの肉は臭みがありますものね...40年ぐらい前に日本でジンギスカン料理を食べて以来口にしたことがありません。

ラム肉のミンチのシェパード・パイや、ミントソースを添えて食べるラム・ローストは私もよく作って食べます。

 

私たちは、ここで30分ぐらいヒツジを見て過ごしました。

この牧草地のことを私たちは「ベルテッド・ギャロウェイ・フィールド」と、クルマを停めてから歩く細道のことは「ベルテッド・ギャロウェイ・ウェイ」と勝手に名付けてよんでいます。

なぜか...。

(9年前の同じ場所の写真です)

強烈な見た目のスコットランド産の肉牛、ベルテッド・ギャロウェイという種類のウシたちがいつもこの場所で放牧されていたからです。

以前に書いた、ベルテッド・ギャロウェイについての記事です☟上の写真もそこから転載しました。

ピーク・ディストリクトにいる!スコットランド原産の、お腹にさらしを巻いた牛

残念、パンデミック後、ベルテッド・ギャロウェイは全く見かけません。放牧地をかえたのか、あるいはこの種の飼育をやめてしまったのか事情は分かりません。

 

2021年には同じ場所で別の種類の、なぜかオスウシばかりの集団が放牧されていました。その時の記事のリンクです☟(細道の写真があります)

若い牡ウシたちがのどかに遊ぶ美しい丘陵地の放牧場

 

いつもだったらまた細道(=ベルテッド・ギャロウェイ・ウェイ)を通ってクルマに戻るところですが今回は...巨大なコンクリートの「レゴ・ブロック」が写っている写真をご覧ください...牧草地から道をはさんだ左側に乗馬で抜けられるブライドル・ウェイの入り口があるのを見つけました。 エルダー・ポンド Elder Pond という池に続いていると木の標識に表示されていました。

歩いてみることにしました。

ついでにこのあたりはElder Hills という名前のあるハイキングコースだということもわかりました。(私たちにとってはあいかわらずベルテッド・ギャロウェイ・フィールドですが)

 

5分ほど歩くとビックリするほど大きな池がありました。

 

例によって、柵も、溺れる子供のへたくそなイラスト入りの安全警告立て札もない典型的な英国の自然風景です。意外ときれいに澄んだ水はかなり深そうです。

池に向かって右側の植林地に、黒っぽいウシが3頭見えました。

たいていのウシはヒツジと違って人懐っこいのですが、私が近くまで来るとゆっくりと歩き去りました。

 

ウシのいる地点から振り返って撮った池と池端に立った夫の写真です。

遠くに見えている丘が、ヒツジの放牧場(ベルテッド・ギャロウェイ・フィールド)です。

意外なことに、ウシたちがいた植樹エリアの右側はすぐ道路でした。自由に開け閉めして出はいりできる二重の木の扉(動物が外へ出ないための工夫)をあけて、道路に出ました。

道路からの出入り口にはエルダー・ポンドとエルダー・ヒルズに通じるパブリック・フットパスであると書かれた木の札が立っていました。

そして、透明プラスチックのホルダーに挟まれた注意書きが打ち付けられていました。「現在、稀少種のガーンジー牛数頭を放牧中。イヌをいれないこと、ウシのそばに寄らないこと」と書かれていました。

イヌを入れちゃダメなのに、ウマはいいんだ...。乗馬の行きつけコースらしく、池の周りは蹄鉄の跡がいっぱいでした。

道路を少し歩いて戻り、細道の入り口に停めたクルマに乗ってその出入口の前をクルマで戻ると...あら、意外、クルマの窓からキラキラ光る池の水面がはっきりと見えました!池からかなり離れた場所に移動していたガーンジー種のウシ3頭も見えました。

過去20年間、この場所を何十回もクルマで通って来たのに、大きな池があったなんて全く気が付きませんでした。

 

 

 

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季節の風物詩、ヒツジのベビーブーム!仔ヒツジ見物ならやはりここ!

2024年05月08日 04時43分03秒 | ピーク・ディストリクト

日本はゴールデンウイークだったようですね。(なつかしいなぁ)

英国も月曜日がバンクホリデー bankholiday という、年に3回ある法定休日、3連休でした。

話が古くて恐縮です。先週の平日にストックポート日報 ではおなじみのはずの、カースルトン Castleton に行きました。

カースルトンはクルマでストックポートの自宅から30分足らず、ピーク・ディストリクト Peak District の、雄大な丘陵地に囲まれた美しい小さな町なのですが...その実、観光業界用語、「ハニーポット・ビレッジ honeypot village 」の典型例として知られる地域有数の観光地なのです。

今回の話題は、カースルトンでも「ハニーポット」の概念の解説でもなく、仔ヒツジ!

 

カースルトンについて書いた以前の記事のリンクです☟「ハニーポット・ビレッジ」について簡単な解説があります。

ピーク・ディストリクトの密のツボ、実に1年と8カ月ぶりの外出! ドライブとショッピングも楽しめ大満足

英国では...ちょっと最盛期はのがしたかな、2月から4月の終わりごろまではヒツジの出産ブーム、ラミング lambing の季節なのです。

4月から5月にかけて、郊外の放牧地に行けばべへべへ~とにぎやかな鳴き声がひびき、母ヒツジの周りをピョンピョン跳ねまわりるかわいらしい仔ヒツジの姿が見られます!

もうちょっと雄大なスケールでいっぱいまとめて見たい!...となれば、ピーク・ディストリクト。目的地はおなじみのカースルトン。パブで昼食を食べて行こうということになりました。

写真は、カースルトンの町に入るまでの道の両側いっぱいに壮大なスケールで広がる牧草地と母子ヒツジたちです。

写りがよくないので、クルマの窓越しの写真はめったに撮りません。

ただ、今回は通りかかった風景のあまりの壮大な美しさにまけていくつか撮ってみました。道路わきに少しスペースがある、クルマがとめられる場所は限られています。

 

 

 

カースルトンに入る前によく停めるスポットです。

(英国は、日本と同じで左側通行です。左側には何キロも停められるスペースがないのがわかっています)

仔ヒツジたちは母ヒツジの目に届く場所で元気いっぱい遊びます。双子が多かったように思います。私たちが柵の外に立っていることに気づくと母ヒツジたちは警告のべへべへ音を発します。それを聞いた仔ヒツジたちはいくぶん高めのかわいらしいべへべへで応え、すぐに母親のもとに走っていきます。

母子どちらも、体側にペンキの殴り書きで同じ数字が書かれているのでどのヒツジがどの仔ヒツジの親か、すぐにわかるようになっています。

自分の子供ではないよその仔ヒツジがそばに寄って来たら頭で小突いて激しく追い払っていました。...自分の子たちと遊んでいたお友達仔ヒツジなのに。

 

この後、クルマを進めてカースルトンに向かいましたが...街じゅう、クルマと人でいーっぱい!平日だったのに。

丘陵地のほぼてっぺんあたりから、谷底まで下るカースルトンに入る急な坂道の両側に丘陵がせまる景観の美しさは特筆ものです。

 

 

道にあふれた観光客の数にウンザリしました。目当てのパブも道の両側にいくつもあるカフェも人でいっぱいでした。

そのまま町をはしり抜け、3キロほど離れた、ホープ Hope という町まで足を延ばしました。農地のあいだにポツンポツンとたつ住宅の密度が高まって来たな...と思ったら次の町だった、パブ2軒、教会、コンビニエンスストアがあることからここが町の中心だということがわかる、というかんじの控えめで静かな町です。

ホープはモーターバイクでツーリングをする人たちの拠点だそうです。ノルマン時代に起源のある由緒ある教会が目立たずにたっていました。

静かなパブでゆったりと食事ができました。けっきょくカースルトンは、行きと帰りにクルマで通り抜けただけ。

長くなりますので以下、次号(控えめで静かな町ホープの話でも由緒ある教会の話でもなく、今度は帰り道にクルマを停めて見かけた仔ヒツジの写真と話題をしつこくお届けします)。

 

 

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野草の生育を促進し、自然保護活動に貢献するキャンペーン(庭仕事をなまけられて一石二鳥)

2024年05月04日 06時16分44秒 | 英国の、生活のひとコマ

5月1日に載せるべき話題でした。

2019年に始まって、今年で5年目の、英国の「自然保護キャンペーン」No Mow May, Knee High June (芝刈りしない5月、6月には膝の高さにのびた芝)をご存知でしょうか。

私は今年初めて知りました。今年はもしかしたら例年よりメディアでとりあげられる頻度が高かったのかも知れません。地上波のニュース・チャンネル2局で報道されているのをどちらもぐうぜん見かけました。

 

近年、英国の住宅地からミツバチ、チョウ、それに野鳥が減ってきています。生息環境である自然が減ってきているからだ、という指摘は間違っていません。...と言っても街路樹や公園の木々は青々と茂っていますし、公園や住宅の庭の芝生や生垣はよく手入れされて緑が目に清々しいですし、花壇も春夏には、花ざかり。

 

プラントライフPlantlife というキャンペーン主催者によれば、手入れのされたそれら人口の自然だけでは不十分なのだそうです。野草そのものも減ってきていることにも危機感を持たなければならないそうです。

というわけで、ー般家庭の庭や公共の空き地、公園、校庭などの緑のスペースで野草(=雑草!)の生育を促すために5月1日から1か月間芝刈り(lawn mowing)と草取りをやめようというというキャンペーンなのです。キャンペーンの趣旨は町に野生の自然を取り戻すこと。

自然が戻れば昆虫や野鳥も戻ってくるはずですし地球温暖化の抑制の助けにもなるはずです。

賛成!

写真は、天気のよかったー昨日撮ったわが家の裏庭(と背中ハゲネコ、タイベリウス)です。

最後に芝刈りをしてから4週間、ボサボサと草がのびはじめています。そろそろまたしなきゃと思っていたところ、キャンペーンの話を聞きました。そうだ!うちの庭は手入れが悪いのではなく、自然があふれていることにすればいいんだ!

草花の生育が早い夏になれば、毎週の芝刈りが必要です。かなり煩わしく思っていたところでした。芝刈り、やめた!(助かった)

 

もともと、うちの庭には園芸店で買ってきてじゅうたんのように敷き詰める「芝生 lawn 」ではなく勝手に生えている「青草 green grass 」を短く刈って「芝生」に仕立てています。花の咲く雑草も以前から大歓迎。(ただし、花壇に生える雑草は抜いています。ほっておくと占領されてしまいますから)

タンポポや...

 

デイジーが毎年、咲き乱れていい感じです。

バターカップのツヤツヤした黄色い花もかわいいでしょう?

1輪だけ咲いた今年最初のバターカップ。夏には庭中このバターカップで埋め尽くされるはずです。

以上、最もよく見かけるこの3種の他にもわが家の常連雑草がたくさん花を咲かせる準備中です。

プラントライフのウェッブサイトを見つけて、活動に参加の申し込みをしました。べつに申しこまなくてもいいのですが、他の会員の活動状況や野草(=雑草)に関する知識や情報をニュースレターで送ってもらえるようです。楽しみです。

ちなみに私は活動内容を、「5月いっぱい芝刈りをやめる、その後は秋まで例年よりも刈る回数を半分以下に減らす」と穏やかな方式を選択しました。「今後いっさい手を入れない(ボーボー状態にする)」選択肢もありました。...私にはそこまでワイルドな庭にする度胸はありません。

とりあえず1か月、野放し状態にしてみます。芝刈りがめんどくさいからではなく!野草(=雑草)の生育を促して地域の自然保護活動に貢献するためです!

 

 

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好きだった!伝統の園芸アートの顔、無残!

2024年05月03日 06時25分02秒 | 英国の、生活のひとコマ

昨日は、快晴の1日でした。

よく通る、高級住宅街の中の大きな住宅です。

見おぼえがあるぞ、と思われた方もいるでしょう。

 

今年1月の記事、ご記憶でしょうか。

ジャガイモ頭のような顔の形状に刈り込まれたボクサスの生垣...ヨーロッパ伝統の園芸技法、トピアリーtopiary のド素人版が道行く人々の目を楽しませていました。その時の記事のリンクです☟☟☟。

特にここ英国で、凝った形状に刈り込んで人目を惹く独自の発展を遂げた(そしてほぼ廃れた)トピアリー技法についてちょっと調べて書いた過去の記事のリンクも貼られています。

高級住宅地の端正に整った前庭に原始アートか、へたっぴなトピアリー挑戦

その時に載せなかった写真です。ね?1月には確かに顔がありました。

木の葉が芽吹く春先にかけて顔立ちがあいまいにブレ始めていました。眼窩のくぼみも浅くなって、そろそろ剪定でキリっとした彫りの深い目鼻立ちを取り戻す時期では、と思っていたら...ショック!

のっぺらぼう処置が施されているその場に遭遇しました。

顔の後ろから、奥まで続く後ろ側を電動の剪定バリカンで刈り込んでいたこの人に「えー、この顔失くしちゃうのー?がっかり」と声をかけました。

会社の名前入りのポロシャツを着たプロの園芸サービス業者です。裏庭から前庭に出てきたこの家のご主人を連れてきてくれました。

高齢の紳士でした。

顔の維持は手がかかるのでやめることにした...そうです。残念だと言ったらとても喜んでくれました。そもそも、なんで「顔」にしたのか聞いてみたら...

パンデミックのロックダウン中に、息子が送ってきたナショナル・トラスト(歴史的建造物や庭園、自然景観などを維持する私営の団体)の庭園の巧妙なトピアリー・アートの写真を見て、挑戦欲に駆られてやってみた!とのこと、意欲はスゴい!

となりのポンポンがのった角錐はなんとかプロの手助けも借りて、ナショナル・トラスト所有のルネッサンス/スチュワート王朝ふうの回遊庭園にありそうな形状で維持できそうです!ご主人は「パイナップル」にするつもりだったと恥ずかしそうに白状してくれました。

ロックダウンって、2020年の夏ですね、もう4年も前!...多くの人が外出しないでできるいろいろな新しい趣味に挑戦したのでした。

 

ところで、前述の記事で取り上げた1軒おいたとなりの家の、なぞのトピアリー疑惑物件(同じくボクサスの生垣)ですが...

5ヶ月たってはっきりしました、私の盛大なかん違いなようです。もう「ゾウ」も「コビトカバ」も「カピバラ」も「張子のトラ」も何にも見えません。思うように密に茂っていないだけなようです。ただ...左側で、サボテン状、あるいは「かっぱえびせん数本」の形にまとめようというかすかな意志がうかがわれます...よね?

同じ通りの、地方選挙 byelection の投票所 polling station の看板です。この奥にはケア・ホームがあるはずです。

英国の投票日は平日の早朝から深夜まで。ちなみに英国籍のない私は選挙権がありません。

参考までに、以前の記事のリンクです。英国の投票日についてのレポートです☟

イギリスの運命を決定する重大な総選挙の投票日、病み上がりの散歩に同行した投票所、平日に全校休校の公立小学校

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