スコットランドとイングランドの国境の小さな町、ベリックアポン・トゥイード、番外編です。
滞在中、日帰りでスコットランドの首都、エジンバラ Edinbutgh に行きました。
ベリック・アポン・トゥイード駅からエジンバラ Edinbutgh Waverly 駅まで途中停車することなく約30分、便利です。
ロンドン・キングスクロス駅発、エジンバラ行の電車が1時間に1回程度ベリックにとまります。
35年前、通っていた英語学校が企画したスコットランドのお決まりの観光地めぐりの格安ツアーで行きました。なつかしい!夫も若い頃に2回行ったことがあるそうです。
雨降りの肌寒い日でしたが、さすがに国際観光地!ものすごい人出でした。
上の写真は、「英国で最も頻繁に写真をソーシャルネットワークメディアに投稿される通り」公式認定のVictoria Street です。
通りの景観は素晴らしく、絵になることこの上なしなのですがみんなが写真に撮るところを写真に撮って投稿するって...あ、私も今しているのでした。
エディンバラの中心地は18世紀以前に建てられた古い建物が並ぶ「オールド・タウン」と18世紀の都市計画をもとに整然とした街並みの「ニュー・タウン」にわかれています。
私たちが歩き回ったのはほとんど、ロイヤル・マイル Royal Mile (エジンバラ城の周りの何本かの古い通り)を中心としたオールドタウンの中でした。
ロイヤル・マイルにはキルトのレンタルショップをいくつか見かけました。スコットランド人みたいなコスプレでオールドタウン観光をするわけですね。
京都で見かけた「着物レンタル、着付け付き」サービスみたいなものでしょうか。用事で行った京都ではものすごい数の着物観光客を見かけましたが、今回エジンバラでキルト観光客をひとりも見かけなかったのが残念です。見かけたらこっそり写真を撮ろう!と思っていたのに。
キルトを着て歩くのが日本人男性であれば言うことなしだったのですが。
雨ふりのためもあるのかもしれません。重いウールの巻きスカートをはいて歩き回るのはけっこう煩わしそうです。
軍隊礼装風に本格的にキメた人をはじめ、バグパイプ演奏の大道芸人のキルト姿は至る所で見かけました。
今回、欧米人を特に多く見かけました。日本人観光客も戻っていますね。中国人はまだやはり見かけませんでした。
天気が良ければ一日中街を歩いて、疲れたら公園や広場のベンチで一休み...と言った都市散策をするあてが外れました。
数日後のチャールズ国王のスコットランドでの(ミニ)戴冠式を前に、警備や交通止めで不自由でした。
イベント会場として使われる準備がすすむエジンバラ城も入場できませんでした。(入場料を払って見学するつもりはなく、丘の上からの景色が見たかったのです)
観光みやげ物屋とツイードやタータン生地の衣料品店がならぶ、中世の街並みが残るロイヤルマイルをゆっくり歩き、途中でカフェ2軒に入りました。
そういえば...ロイヤル・マイルの写真をほとんどとりませんでした。
ロイヤルマイルの大通りからわきへ入った裏通りが興味深かったです。
裏通りを行き当たりばったりに通って出てきたところで、雨の中を歩き続けるのに嫌気がさして、観光客があまり行かないような古いオフィスビルの一階にあるカフェに入りました。
一階にカフェのあるこのゴシック風の建物とその並びが、ロイヤルマイルを中心とした「オールド・タウン」のおしまいの部分のようです。
雨降りの日の絶好の観光地イベントは、美術館見学です。
National galleris of Scotland 、雨宿りに入ったカフェの、緑地と道路をはさんだ目の前にありました。入場無料。行き当たりばったりで予備知識なしで入った美術館です。驚きの豪華アートコレクション!
「これ、ダ・ヴィンチじゃないの!...エル・グレコ!お、ティシャン(ティティアーノ)!レンブラント!」
他にもまだまだ美術史上の重要な画家の大作がいっぱい...
ただ、ルーブルや、ロンドンのナショナル・ギャラリーなどと違って「誰でも知っている」ような絵はあまりなかったような...
画集で見たことがあるような絵を見るより、ずっとずーっと得した気分になりました!!
夫とは別々のペースでゆっくりとみて回りました。時々落ち合って、気に入った作品をそれぞれ見せあって(展示してあるところに連れて行って)感想を言い合うことにしています。
中世イタリアの金ぴかバックグランドの聖画なんてゾクゾクするほどいいですね。(個人的嗜好)
夫が気に入って写真に撮るように言った、ティシャンと...
レンブラント。
2点に共通する、夫が好む女性のタイプが探れるかもしれません。
レンブラントの絵の、ベッドから起き出す女性の目線の先にムスっとした表情の夫を立たせて記念写真を撮りました。
私が個人的に気に入った作品の一部です。
学者たちを言い負かす幼児キリスト。
エル・グレコ作、サルと少年と歯茎をむいてニタニタ笑う男が炎を見つめる謎めいたアレゴリー
展示作品ではありませんが、重たい募金箱を背負わされてものすごく怒っているカメ。
見ごたえがあった、スコットランドの画家の展示室で見かけた興味深い作品。
中央右側で背中を向けて踊っている男のキルトが破れてお尻が見えているところに注目です。
これは、見たことがある!日本でも有名ですよね?
ヘンリー・レイバーン Henry Raeburn 作、ひじょうに長い題名の...略して「スケートをする男 Skating Man」。エジンバラにあったのかぁ。
18世紀の作品ですが題材も構図も手法も非常にモダンで個性的です。どうやら観光客の人気一番の作品みたいでした。
同じポーズで記念写真を撮る人も、もちろんいました。
ギフトショップには絵葉書、額絵、手帳やしおり等の文具の他、スカーフやクッション(ぬいぐるみ?)、刺繍のクリスマスツリーの飾りなど「ウォーカー牧師(絵のモデル)シリーズ」の商品ラインアップがずらりでした。
美術館の展示スペースの半分を占めるもう片側のウィングが改装のため閉まっていたため、印象派や20世紀初頭のスコットランド派などの重要な近現代絵画の収蔵品が見せてもらえませんでした。こんなことって、あんまりです...!
まあ、下調べせずに行ってルネッサンス前後、近世のあまり他では見られないスゴイ値打ち絵画を大発見、3時間近く堪能したのですから損はしていません。入場無料ですし。
マンチェスターのアートスクール留学時代からなじみのマンチェスター・アート・ギャラリーの「工夫を凝らした斬新展示」のバッカバカしさにはうんざりしきっていましたので、正統派の美術展示、大いに気に入りました!
「エジンバラに行けば、エル・グレコのサルと少年とニタニタ男の絵(例)が見られる」と目当てのお気に入りの絵が行きつけの美術館にある、なんてステキですよね。
かなり脱線ですが、マンチェスターの展示方法に苦言を呈した以前の記事のリンクです☟読み返しているとぶり返してきたイライラを皆様にもおわけしたいので、ぜひ読んでください。
3年ぶりのマンチェスター・アート・ギャラリー、さらに個性がいや増して鑑賞しにくさも増大、画期的な展示方法
高名な観光地ではなく、地元のリピーターを引き付けたいマンチェスターと、おそらく一回限りの来館者に喜んで帰ってもらうつもりのエジンバラでは美術館のマーケティングが違うのでしょう。
美術館のあるこちら側が、「ニュータウン」の始まりです。ギリシャ神殿風の建物が美術館です。
「ニュー」といっても、18世紀に発展したじゅうぶん古い(といっても、英国中どこにでもありそうな)大都会風街並みです。
ニュータウンには長居せず、オールドタウンに戻って、スペイン料理屋で軽くタパスの夕食を食べました。
最後に、坂の途中から駅に抜ける近道の石造りの建物に付随した階段をおりました。...
おお、スゴイ!ぜーんぶ違うタイプの立派な石でできている階段だ!と夢中になって写真を撮りました。
下り切ったところで振り返ってもう一枚。The Scotsman Steps というそうですね。
帰宅して調べてみました。
Scotsman という、1902年完成の高級ホテルの建物でした。そういえば、下りる途中の大きな踊り場に、ホテルの入り口に通じる廊下がありましたっけ。
そして驚いたことに、色の違う階段の石は世界中のすべての産地からひとつずつ持ち寄った大理石で、2010年にアートカウンシルに依頼された現代アーテイストのコラボレーション作品なのだそうです。えーっ?!(どこが?)です。どこかにそんな表示があったのだろうと思いますが、見落としました。
ロンドンなんかに行った後、ああ楽しかった。でも疲れたー、人に疲れた、観光地オーラにも疲れた...と感じるのと同じ倦怠感をどーッと味わいました。
電車がベリック・アポン・トゥイードに到着、駅の目の前の滞在ホテル(というか、B&B)に帰り着いた時は心底ほっとしました。
エジンバラのお土産は、夫が買った黒い折りたたみ傘と、美術館でかった来年のポケットダイアリーです。