goo blog サービス終了のお知らせ 

イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

安くて美味しい、英国の晩春の味覚の歓びぺちゃんこモモ!

2025年05月29日 19時26分42秒 | 英国の野菜、果物

またまた、ぺちゃんこモモの季節がやってきました。

英語でフラット・ピーチ flat peach またはドーナット・ピーチdoughnut peach と言います。

10年前にストックポート日報で紹介した時、「見たことがない、食べてみたい」という友人からの個人的な反応がいくつもありました。

日本では市販されていないことを確認、その後何回か「また、ぺちゃんこモモの季節がやってきました」ではじまる記事を載せています。

どうやら、今では日本でも福島県を中心に栽培されているそうですね。

ただ、まだかなり珍しいため、見つけても1個1,000円以上するとか!供給もー定していないようですね。

ー時、日本の「コストコ Costco」で少し安く販売されていたという情報も目にしました。ちなみに、英国にもある Costoco は英語で「コッスコー」と発音します。

 

今回は、そう言えば今まで(なぜか)ストックポート日報に載せたことがなかった、ぺちゃんこネクタリーン Flat/ doughnut nectarine もいっしょに買いました。

どちらもドイツ系安売りスーパーマーケット、リドル Liddle で5個が1ポンド28ペンス(249円)。

輸送しやすい、持ち歩きやすい、そしてもちろん食べやすいことから、今では(私の知る限り少なくとも20年ぐらい前から)普通の丸いモモやネクタリーンよりも人気があるようです。

原産は中国、日本産のものも中国同様、蟠桃(ばんとう)というそうですね。

英国で出回っているぺちゃんこモモ/ネクタリーンはスペイン産が多いようです。以前はイスラエル産もあったように思います。

それにしても、こんなに欧州で人気の中国原産のモモがとなりの国、日本であまり知られていないのが意外です。

ネクタリーンにはモモにあるうぶげがなく、つるんとしています。モモより果肉が黄色っぽく、味はねっとりしています。

どちらも皮をむかずにパクっとくわえてひと回しすると真ん中の小さなタネの周りに薄く果肉を残してあっという間に食べ終わります。

日本の「水蜜桃」(なつかしい!!)のようにぽたぽたと汁がたれるようなみずみずしさはありませんが、しっとりとした口当たりで水蜜桃に負けないぐらいの強い甘みがあります。

お行儀悪くしゃぶったタネを庭の、グレープ・ハイヤシンス(ムスカリ)の球根が埋まっている植木鉢の土に突っ込んでおきました。

芽が出て木に成長して、庭にぺちゃんこモモがたわわになれば一攫千金が狙えるかもしれません(桃栗三年...でしたよね?)

ネコのティブの頭の後ろにちょこっと写っているのは、自慢の「パイナップルの木」です!

DIYショップで枯れかかっていた鉢植えを3分の1の投げ売り価格で売られていたのを衝動買いし黄色くなった葉を取り去り、土を替えたら蘇生しました。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

信じる者は救われる!布教天国マンチェスター(言論の自由を謳歌する言いたい放題陰謀論)

2025年05月26日 06時00分00秒 | 英国の、生活のひとコマ

土曜日、マンチェスターに買い物に行きました。

人との待ち合わせもなく、のんびり1人です。

買い物客でいっぱいのメインのショッピングエリアでは、いくつかの宗教関係の団体がキャンペーン活動を繰り広げていました。

(最初の写真2枚は、メインのショッピングエリアではなく、私の買い物の主な目的地、ノーザン・クオーター Northern Quarter です)

2年前にも同じような状況に行き合わせたことがありました。ストックポート日報で取り上げたその時の記事のリンクです☟

陰謀論この世の終わり宣教人権..主張したい人全員集合、夏日が続くマンチェスターにて

道行く人々に揃ってお尻を向け、地面にひれ伏してお祈りをする、コーランや布教パンフレットの配布をしているイスラム教徒のグループ。

 

道行く人々ににこやかに声をかけつづけ、避けられがちだったキリストの福音を説く2人。

メンバーの1人がキリストのように十字架を担いで人通りの多いショッピング街を歩き始めました。

背負ったスピーカーから大音量でフォーク調の福音ソングを流し続け、注目度バツグン!...迷惑です。

ずいぶん足取りが軽いと思ったら十字架に車輪がついていました...インチキです。

 

前回、私が通りかかった時には休憩中らしくおしゃべりをしていた大道芸人の芸が今回見られました。

よくある「静止芸」ですが、下からの風にあおられた状態で固定された衣装や髪形と、もちろん静止ぶりが見事でした。

「投げ銭」したかったのですが、いかんせん、現金の持ち合わせがなく写真だけ取らせてもらいました。

 

インドのヒンズー教の女神、クリシュナを讃えるハーリー・クリシュナ。

30年以上前には東京でもマンチェスターでもたびたび見かけた街頭の布教活動を近ごろ見ることはありません。

道行く人々にふるまうビーガン食の準備中でした。太鼓のリズムにのって歌い踊る「ハーリハーリ♪」が久しぶりに見たかったのですが今回は食育活動だけだったのかもしれません。

 

前回は見かけなかった、「イスラム教徒です 何でも聞いてください」と書いた看板を掲げる若い男性グループ。

質問をしに近づいていてくる人を待つだけではなく、道行く人々に積極的に話しかけていました。

 

小さなテーブルに聖母マリア像や聖人のメダル、きれいなビーズのロサリオなどをパンフレットといっしょに並べて道行く人々と対話をはかっていた、カトリックの女性2人。

興味を示した女の子に、それぞれの意味を説明していました。

「形から入る」信仰ってところでしょうか、いいと思います。

 

厚い人垣で全く見えなかった大人気のパフォーマンスです。

歌やダンスでないのは見えなくてもわかりました。時々歓声が上がる、人垣の中で繰り広げられていたこの無言の芸は何だったのでしょうか。

曲芸か、手品?...写真を見て気がついたのですが、手を上にあげてビデオを撮っていた人たちのスマートフォンの画面をのぞき見すればよかった!その場では思いつきませんでした。

 

買い物をして帰りのバスに乗るために通りがかった公園、ピカディリー・ガーデンズから...(同じバス路線なのに到着と出発の乗り場が離れているため、来た時には通らなかったのです)

パワフルなゴスペル・シンガーの唄声で、アメージング・グレイスが聞こえてきました。

歌っているところがみたくて行ってみると歌声はスピーカーから流れる録音でした。水のとまった広い噴水版を独占するキリスト教の説教師が音楽をとめて話し始めるところでした。

私が芝生のふちの段に座って、買い物の入ったリュックサックの中をちょっと整理し始めた時に...

説教師が「カトリックやイスラムの信者は、自分の意思ではなく、親が信者だったから入信しただけ。それは本当の意味での信仰ではない!その点、我々は...」とマイクロフォンで拡大された大音量で話し始めました。

何を言っているんだこの人は...!! と次の言葉を待っていると、白人の若者が議論を吹っかけるために説教師に近づいていきました。説教師はマイクロフォンのスイッチを切って対応していましたが、遠くて会話は聞き取れません。

 

公園入口の、ヴィクトリア女王の晩年の座像の下でウガンダの政治犯を釈放するように呼び掛けるグループがキャンペーンをはっていました。

署名を集めて、政府にプレッシャーをかけてもらおうという主旨なのでしょうか。バナーには「ウガンダ政府への途上国支援はやめろ」とも書かれています。

こんなキャンペーン、当事国、ウガンダではとうぜんできるわけがないですよね。

広い世界には言論、思想、信仰の自由を制限する怖ろしい国がけっこうたくさんあることに思い当たりました。言いたい放題言っても身の危険を感じない日本や英国に住んでいれば、言論の自由のありがたみはすぐにマヒしてしまいます。

 

言いたい放題といえば...

またいた!

コロナワクチンの危険性を道行く人々に熱心にうったえつづける「ワクチン攻撃派」(陰謀論者のー派)のこの人たち、2年前にも同じ場所でキャンペーンをはっていましたっけ。

その時の記事のリンクです☟!私のワクチン危険説に対する反論が書かれています。

ムリがあるコロナワクチン危険説、それでも私たちのことを心配してくれている?

写真を撮っていたら、やはりフレンドリーなメンバー(今回は男性ばかりでした)の1人がまた、「これ読んでね~」とにこやかにカラーコピーをしたような素朴なリーフレットをくれました。

ワクチン接種後に死亡したり重篤な後遺症を発症したりした、著名人、ー般人のリストが2年前より増えていました。前回、注目のメダマだった、プリンセス・ケイト(ケイト王太子妃)の写真ポスターが消えていましたが!

そういえばあの時もらったのは、両面印刷の紙1枚でしたが、今回はホッチキスで綴じた3枚の両面印刷...!

「極悪製薬会社の片棒担ぎ」の科学者、医者、ジャーナリストなどの実名、写真、年収入りのリストまで加えられていました。

でも、今なぜ?

いつまでも「社会不正」と闘っていたい熱い血潮のたぎる人たちなのでしょう。道行く人々の心配をしてくれるのもよくわかります。

ほとんどの人がもうワクチンを打つつもりもないはずの今、いらない情報なのですが...何のための活動なのでしょうか?

言論の自由ってほんとうに素晴らしいですね!(...と、とってつけたようなセリフでまとめてみました)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ストックポートで目にした奥の深い移民文化!英国で脈々と受け継がれていくナゾの異国食文化!

2025年05月24日 01時55分31秒 | 英国の、生活のひとコマ

ストックポートのタウンセンターを走る交通量の多い、国道A6。

ロンドン(の近く)と、バクストン、ストックポート、マンチェスターも通ってイングランドの北限で、スコットランドとの国境の町、カーライル(の近く)を結ぶ、長い長い、しかも古い道路です。

古代ローマ人が基礎を築いたというA6の、ストックポートのタウンセンターからロンドン方面に2㎞ほど行ったあたりは現在、かなり国際色豊かです。おなじみのインド、中華、をはじめ、トルコ、キプロス、ギリシャ、ジャマイカ、アメリカ南部、南米、そしてイタリア料理のレストランやテイカウェイ(持ち帰り)ショップが数㎞にわたり点在しています。

 

娘を歯科医の診療所に送って行った後、診察が終わるまで近隣をぶらつきました。

見つけてはいったのが比較的あたらしくオープンしたらしい、「複合食文化系」スーパーマーケット。このあたりは「景観条例無法地帯」みたいですね。

インド、イラン、アフガニスタン食料品店と書かれています。

広い!

見なれない、エキゾチックでナゾに満ちた食材がいっぱい!

件のイラン食品店にあった、イラン製のリンゴ酢やザクロのお菓子がありました。紅茶をよく飲むというイラン人向けの充実した紅茶売り場もありましたが夫が探すダージーリン茶葉はありませんでした。

彫りが深く浅黒い顔立ちのインド系らしい男性が店番をしていました。インド人経営の、やはり主にインド系住民をターゲットにした店なのでしょう。

 

日本の、「コシヒカリ」とか「ナントカホマレ」のような産地による銘柄の違いとは違い、長いの丸いの、茶色いの...と米粒の形状が違う、どうやら品種が違うらしいインドのお米...種類の多さに圧倒されました。

かわいいお米袋のデザインが気に入りました。

イラストの、はだしでお買い物する若奥様が手に持つ同じお米袋には同じお米袋を持つ同じ若奥様のイラストが、そのイラストのお米袋にも同じお米袋をもつ若奥様が描かれていて...キリがありません。

別のお米バージョン。丈夫な素材でできた、持ち手付きのこの袋、買い物袋としての再利用が可能です!

チャツネィ chutney とピックル pckle の種類の多さにも圧倒されます。

全てインドのレシピかどうかは確認していませんが、ありとあらゆる種類の果物や野菜のチャツネィや酢漬けの瓶詰め(ピックル)が売られています。

チャツネィは、植民地だったインドから取り入れた、野菜や果物をスパイスや甘味料でトロトロに煮込んだ、英国ではおなじみのソースです。

ハムやチーズに添えて、サンドイッチの具に塗って、またローストしただけの肉の付け合わせとして...単調なイギリス料理に複雑で濃厚な味わいを加える効果バツグンです。

我が家の冷蔵庫には、カラメライズド・オニオン caramerised onion (砂糖で煮詰めたタマネギ)とライム・ピックルlime pickle(細切れにしたライムをトウガラシ他のスパイスと煮込んだ酸っぱいジャム)の2種のチャツネィが常備してあります。あと、カリフラワーなどの野菜をカラシソースで和えたピカリリ picalilli などもー般的なのですが、それがすべてではなかったのがわかりました!

本家本元、インドにはこんなにたくさんの種類があったとは...

日本ではおなじみのニガウリ他、一般では流通していない見慣れぬナゾ野菜も売られていました。

チャツネィのラベルにもナゾ野菜のイラストをいくつか散見、奥が深そうです。

マサーラの種類の多さに夫が興奮していました。

マサーラというのは各種スパイスを混合したインドの粉末調味料です。マサーラと言えば「ガラム・マサーラ」しか知らない英国人一般には驚きの、食材や調理法によってどうやらぜんぜん違うマサーラを使うらしいインド料理の奥の深さに衝撃を受けました。

カレー粉と炒めたタマネギをトマトで煮込む「英国家庭料理」の定番カレーにガラム・マサーラを加えれば、あーらふしぎ!私にも作れちゃう本格インドカレー!なんていい気になっていた英国人ー般(と私)に克を入れられた気分です。

夫がイジワルにもスペリングの誤まりを見つけて、鬼の首でも取ったようにはしゃいでいました。

「このチリー(chillie )パウダー(=粉末トウガラシ)を食べると涼しく(chilly)なるらしい!」と。マサーラの箱にもこの誤まりスペリングは散見されました。

店の看板のみならず、店内に並ぶ商品ラベルの南国ムード満載な強烈な色彩も楽しく、ワクワクしました。

 

楽しげなのは色彩だけではなく...

信仰の対象の偶像のごちゃ混ぜ感覚も特筆ものです。おおらかなのかもしれません。インド人と仲が良くないパキスタン人が主に信仰するイスラム教はこんなユルいことを許容しないのではないかと思います。

インド固有の宗教、ヒンズー教の神様とキリスト像が同じ色彩センスでいっしょの棚に並ぶおおらかさ...製造元も同じかもしれませんね。

色使いがケバく、ヒンズー教の偶像と驚くほど調和したスーパーマン・カラーの聖母マリアの肖像もありました。

 

「ドラッグストア部門」も見ごたえがありました。

「全ての眼病に効く処方」と書かれた、主成分らしい緑の木の実と目のフージョンのグラフィックが怖ろし気な...

ナゾの生薬「目薬」。

下に少し見えているインド美人の厚紙パネルには「全身に塗って、お風呂で洗い流す」ナゾのボディケア生薬製品の小箱が両面テープでくっつけられて売られていました。69ペンス(133円)は安い!

ロレアル社の製品に似せて、ヨーロッパ風に洗練されたグラフィックスの「自然由来のヘア・オイル」のー群です。

ガーリック(ニンニク)オイルが主成分のヘアオイルを購入しました!!夫はやめてほしそうにしていましたが。日本で買ってきて愛用していたツバキオイル配合のヘアクリームを使い切ったばかりで、ちょうどよいタイミングでしたので。

蓋をとってニンニクの匂いがしないことを確認、人工的なナゾの甘い香りです。4ポンド(772円)は納得できる値段です。

Vatika はインドの化粧品会社のようです。ラベルにはEU市場むき製品のように、ヨーロッパ主要8か国語の説明が印刷されています。

パサついた毛先にちょんちょんとつけてのばすとべたつかず、いいかんじです。使用説明によれば、地肌から毛先までじゅうぶんに潤う量をたっぷりつけて、一晩、あるいは数時間おいてから洗い流すようにとのこと。少量をヘアクリームの代用に髪にのばして1日過ごしてもよさそうです。そのうち説明書き通りの使用法も試します。

ラベルには正しい英語で英国の商業規格に適応した表示と説明、それに問い合わせ先の英国の代理店のウエッブアドレスがプリントされていました。

 

アルミフォイルの容器に入った、きいたことのない(インド料理屋では提供されていない)ナゾのカレーの冷凍食品も買いました。帰宅後、夫がオーブンで温めてくれたのを日本のあまりご飯といっしょに昼食に食べましたが、思ったよりもコクがなく、ものたりませんでした。

あんがい、インド本国や移民社会ではこんなあっさりしたものを食べているのかも...と納得しました。

英国人は、「われわれは、植民地支配した国々の移民や彼らが持ち込んだ文化を受け入れて自分たちの文化をより豊かにしてきた」なんてことを得意そうに言っていますが、実は融合しているはずの移民たちは英国人ー般の知らないところで自分たちの文化や食生活を自分たちのコミュニティだけのやり方で継承していたことが今さらながら理解できた気がします。

夫は支払いの時に経営者らしい男性に「いいお店ですね、きれいで明るいし品ぞろえが素晴らしい」とお店に対する高評価を伝えました。

経営者は大感激でお礼を何回も言ったついでに(夫がニンニクヘアオイルを本当に買うつもりかと私に念押ししたタイミングで)私の髪がきれいだと言ってくれました!...また絶対行きます。ナゾのチャツネィをいくつか買って試すつもりです。

 

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神秘の泉が湧く町、肌寒い週末のバクストンで水くみ、写真撮影、思い思いに楽しむ人々

2025年05月23日 07時00分00秒 | ピーク・ディストリクト

バクストン Buxton、続きです。

前回記事です☟

ピークディストリクトの古い町、バクストンで堪能したヒツジの匂いと暑苦しい羊毛イベント(夏にやる!)

パビリオン・ガーデンズと、パビリオン、オペラハウスと並ぶ、ランドマーク的観光スポットは...

バクストン・クレセント Buxton Crescent

その名のとおり 半円(cresent )形の、1780年から1789年にかけて建設された、ジョージアン建築の最高傑作のひとつです。

鉱泉を飲み、ぬるい鉱泉に浸かる「鉱泉療法」が流行した18世紀、湯治を理由に長逗留して社交を楽しむ上流階級の宿泊、社交施設でした。

その後、鉱泉療法が廃れ、上流階級の足が遠のいた20世紀初頭以後は地元のもてあまし建築に位置付けが急落し、100年近くのあいだボロッちくさびれるー方。

...1951年には保存指定最高ランク( Glade I listed Building )に指定され、取り壊しもできなくなり倒壊防止の応急修復措置を施されつつ哀しい姿をさらし続けていました。

2003年に宝くじ地方振興基金 The National Lottery Comunity Fund の資金援助で修復作業が始まるも予算の破綻その他の事情で難航し、実に17年の歳月と、とんでもない費用をかけて大修復が完了しました。

パンデミックのさなか、2020年に5つ星の超高級スパー・ホテルとして開業しました。

通りかかったこの時、ゲインズボローの絵画に出てくるようなジョージアン・スタイルの時代衣装をまとったモデルの「素人撮影会」のような謎のイベントが進行中でした。

参加者は本格的なカメラ持参で、予告されていた企画のようです。が、帰宅後、検索してもこのイベントに関する記述は見当たりませんでしたし、参加者がたったの10人程度...

時代衣装に興味を持つ人たちには思えないおじさんがほとんど...昔、日本でやっていた「水着(ビキニ)撮影会」みたいなものだったりして...いや、違う!

衣装は本格的でカメラマンのポーズの注文にこたえるモデルも(駆り出されたホテルの従業員などではなく)プロのようです。

 

修復にまつわるいきさつを含め、クレセントについて調べて詳しく書いた以前の記事2本のリンクです☟

かつての温泉町、おなじみのバクストンのパンデミックのさなかに修復が完成した建築史上の大傑作クレセント

今に残る湯の町の歴史、三日月の裏まで手抜きナシ、大改修後のバクストンの名物建築をすみずみまで堪能

 

クレセントの正面向かいには、鉱泉をくみ出し鉱泉浴を施す「パンプ・ルーム Pump Room 」があります。古いモザイクタイル張りの浴槽が残っています。(1894年建造、第二級保存指定)

現在はカフェやギフトショップもある観光案内所です。

その横の、これまた人だかりがしているのが...

Saint Ann's Well (聖アンナの泉)

日に100万リットル以上湧出する、マグネシウムを多く含む天然のミネラル水(鉱水)「バクストン・ウォーター Buxton Water 」がいつでも汲める慈善の井戸!

欧州には、中世以来、町が住人に無料の水を提供する 共同井戸/給水所 public water fauntain が多数ありましたが、水道の普及により需要がなくなり現在では観光目的以外の多くは撤廃されているようです。

この給水施設はいまだに健在!なばかりではなく需要大で大人気!!

たいてい誰かがブロンズのライオンの口からじょぼじょぼと吐き出されるバクストン・ウォーターを持参の空き瓶に詰めています。

この地下あたりにある源泉が古代ローマ人に発見されて以来、2,000年間この場所で汲み続けられてきたバクストン・ウォーター、常温27℃のぬるま湯です。中世の頃は地中から温かい水が湧くのが神秘的な現象だったようです。

16世紀に「全国の鉱泉はすべての人が無料で汲めるようにすべし」という法案が議会で通って以来、万病に効くとされた鉱泉が鉱泉療法を受ける余裕のないー般庶民でも自由に飲めるシステムです。

1,992年からバクストン・ウォーターを瓶詰めにして販売するすべての権利を独占するネスレィ社 Nestle も意義を唱えることができません。(バクストン・ウォーターは英国中のスーパーマーケットやコンビニエンスストアで広く販売されています)

それにしてもこの人たちは、つめすぎでは?こんなに持って帰ってどうするのでしょうか。運びやすいように段ボール箱まで持ってきてるし!そばに停めた左側に立つ女性のクルマのトランクには20本ぐらいの4リットル瓶がぎっしりと並んでいました。

...飲むんじゃない?と思われるでしょうが、こんなにたくさん飲みきる前にくさりませんか?まさか沐浴でもするんじゃ...

 

後ろのこんもりした緑の丘は、1811年に造園のその名も、スロープス the Slopes (坂)という「景観公園 landscape gardens」です。しかも第二級景観保存指定公園 Grade II Listed Landscape Park!

St. Ann's Cliff (聖アンナの崖)とも呼ばれる自然の丘陵の利用、バクストンの地形を生かした特徴ある庭園です。

すぐ前のクレセントからの景観を考慮した、町の喧騒を遮蔽する目的のデザインだそうです。

見晴らしが最高、小道をたどって丘の上の古いマーケットのあるエリアに出られます。

今回昼食を食べたカフェの席がスロープスの反対側に面していました。

 

ついでに、サラダの量がすごかったベーコンとブリーチーズのサンドイッチの写真のご披露

4年前の記事からの転載、中腹の戦没者慰霊塔のある見晴し台から眺めたクレセント写真です。町をかこむピークディストリクトの山並みの眺望が絶景!

同じく鉱泉の湧く古代ローマ人が建設したイングランド南西部の世界的に有名な観光地、バース Bath みたいな「町ぐるみ世界遺産」ではないのでショボい景観も目にしてしまうのはご愛嬌ですが、国選の保存指定建築であふれ返った石造りの街並みが素晴らしいバクストンです。

バクストン起点の丘陵地帯の山岳ハイキング、丘の上の古いパブなども含めストックポート日報で実に30回近くもバクストンについて取り上げています。

日曜日に撮った、これもこれも...

この写真☟に写るすべての建造物も...

 

すべて保存指定建築です(いずれもII級)。他にも多数...

 

前を通っただけの...

Devonshire Royal Hospital として知られる、長く病院として使われていたこの、デボンシャー・ドーム Devonshire Domeは、ー級上の、第二級特級(*星つき)指定。世界最大の支えなしで自立するドームだそうです!(議論の余地ありの記述多数)

クレセントの宿泊客のウマを120頭まで収容する車庫付きの厩舎+同行の召し使いたちの宿泊施設だったそうです。現在はダービーシャー大学の福利厚生施設として使われていて、公的資金をつかって修復したため一般公開されています。

壮大なドームの内観は必見!私は35年前、サビれてガラ~ンとして声がよく響く病院だった頃と、20年前、大学に摂収されたばかりの修復直後に入ったことがあります。2度目は夫の提案で大学所有の「振り子の原理」の実験設備を小さかった子供たちに見せに行きました。

駅とデボンシャー・ドームはマーケットのある丘とは反対側の、町を見下ろす丘の上にあります。

日曜日はたびたび電車のキャンセルがある、不都合な英国の鉄道!

私たちは乗るつもりだった毎時2本発のマンチェスター行きの電車がキャンセルされたことを知り1時間帰宅を繰り上げました。

 

観光穴場スポット紹介として、ストックポート日報の多数のバクストン記事から厳選☟

ついに見た!念願のリトルマーメイド、これがまさかの自然科学郷土博物館の展示品、ウケねらいか?天下のグロ物件

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピークディストリクトの古い町、バクストンで堪能したヒツジの匂いと暑苦しい羊毛イベント(夏にやる!)

2025年05月21日 08時00分00秒 | ピーク・ディストリクト

日曜日、ピークディストリクトの古い町、バクストン Buxton に行きました。

ストックポート日報 でも実に数多く取り上げている、紀元1世紀ごろ、古代ローマ人によって建設された鉱泉の湧くかつての「温泉街」です。

連日の晴天と、気温が25度前後のすがすがしい夏日和が続いた週末、油断して薄着で行ったら肌寒くて閉口しました。

自宅の最寄り駅から直通電車1本、45分で手軽に行ける外出先なのですが、標高の高いピーク・ディストリクトなのでストックポートよりいくぶん気温が低いのです。

編み物フェア、というか毛糸などウール手芸関係の商品をあつかう小規模なビジネスが出店するバクストン・ウール・ギャザリング Buxton Wool Gathering という「物品販売」のような催しに、編み物の会で知り合った日本人の友人と行きました。

1年に1度、毎年初夏のこの時期に暑っ苦しいウール関係の催しがあるのが日本人の季節感にはピンとこないのですが、あまり英国人は気にしないようです。ウールのセーターや手袋などを夏に編むニッターは多いですし!

 

パビリオン・ガーデンズ Pavilion Gardens という、美しい広大な庭園の傍らに長く伸びるように広がってたつ瀟洒なガラス張り建築、パビリオン Buxton pavilion の...

おしまい部分の大きなドームを載せた八角形の、その名も オクタゴナル the Octagonal(Octagon Room )という日の差し込む明るい部屋が使われていました。

日曜日は土曜日に比べて人がずっと少ない、と聞いてきただけあってあまり広くない会場をゆったりみてまわることができました。それでも温室効果で会場はけっこう暑かったです。

 

小さな舞台があり、1970年代までは演芸や音楽の演奏などに使われていたエンターテイメント用のホールだったようですが、今ではもっぱらイベントの貸し出し施設として使われているようです。

定期的に開催されるアンティーク・フェアをやっていた時に夫と立ち寄ったことがあります。

残念ながら、フェアなど開催中は入場料をとるのでフラッと見てまわることはできません。

何回も来ているという友人は目当ての店や買う目的のものがあったようですが、はじめての私は特に「これを買って、あれを編もう」という計画もなくブラブラと見てまわっただけです。それでもかせで売られている手染めのハンパ毛糸と、染色されていない羊毛、計3本をいずれも驚きの格安値段で衝動買いしました。

満足です。

舞台の上は、紡ぎに特化した売り場でした。

買いもしないのに、刈りたての(梳いていない)羊毛が詰まった袋に顔を近づけて、脂臭い獣臭をたっぷり堪能しました。

未脱脂のウール製品も多数売られていたせいもあり、ヒツジくさい温かなにおいがうっすらと充満した会場でした。

物品販売の催事に入場料をとることに少し疑問がありました。7ポンド(13,50円)は高いですし。

ただ、専門性や地域性の高い零細ビジネスの負担を軽減し、支援する意義もあるのでしょう。いつもはオンライなんかでしか買えないあまりー般性のない手染めや手紡ぎのウールなどを手でさわって出品者と話せて(匂いもかげて!)買えるこういった趣味のフェアに行く価値はじゅうぶんにあるはず、と行ってみて納得しました。

入場の時に手首に巻いてもらった破れない紙のブレスレットを見せれば何回でも会場を出たり入ったりできます。

ひととおり見て、町に昼食を食べに出ました。短い目抜き通りの店も少し見て歩きました。日曜日なのに営業しているチャリティショップ(寄付品を売って収益を慈善事業にあてるセカンドハンドショップ)がとても多くて見ごたえがあります!

 

オクタゴン正面の、バンドスタンドです。日の長い英国の夏の伝統、公園のブラスバンド演奏を楽しむ人々でにぎわっていました。

パビリオンの建造は1875年、ガラス張りの温室みたいな建築は当時の流行です。

カフェ、充実したギフトショップ(おみやげと地元アーテイストの工芸品)、そして19世紀風のエキゾチックで古めかしい温室があります。催事をやっている時のオクタゴン・ルーム以外、無料で入れます。

オクタゴン・ルームの反対側の道路に面した端には、1903年~4年建造の建築様式がちょっとちぐはぐのアールヌーボー風のバクストン・オペラ・ハウス Buxton Opera House がくっついています。

文字通りオペラ劇場として建設されたこの劇場は、開業後しばらくして改装され、長いあいだ映画館として使われていたそうです。現在は再改装され、ライブ上演の劇場に戻されています。

パビリオンの各部分はそれぞれ、第二級保存指定建築 Grade II Listed Building ですが、このオペラハウスはー級上の、第二級特級保存指定 Grade II * listed です!

次回、バクストンの観光案内です。

バクストンは保存指定建築がてんこ盛りの、建築好きにとっては目もくらむような街ぐるみが宝の山なのです...が、建築ウンチクは最小限に抑えます!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

近況!ティブのハゲ、一進一退ならぬ一退一退

2025年05月17日 07時00分00秒 | うちのネコ、よそのネコ

うちのネコ、ティブの「せなかハゲ」近況報告です。

ティブの背中の「ズル剥けライン」問題は子ネコの時に母ネコリヴィーといっしょにわが家にやってきた2年後に勃発しました。

2022年の年末にストックポート日報 に載せた、わかりやすい初期の状況写真です☟

そして、現在...

現在せなかを走るくっきり直線ハゲは消滅しました。

...が、残念ながら事態は一向に改善されていません。むしろ悪化の一途...

背中は「肩」からシッポの付け根まで、お腹は前脚の付け根あたりから後ろ脚の股の部分までうすらハゲがほぼ全身にわたって蔓延しています。

毛がうすい部分の皮膚は体温が直接感じられてじっとりと温かいです。

ティブのハゲの原因は、「過剰な毛づくろい over glooming 、以下略してOG 」です。

適切な毛づくろいはもちろん、身だしなみのためです。

自分で舐めて整えるネコの毛並みはサラサラのつやつや。ネコの唾液にはシャンプーやコンデショーナーのような洗浄、保湿効果がある反面、殺菌作用もあるという弱アルカリ性で、舐めすぎると逆効果!禿げるのです。

獣医さんによれば決して珍しくないらしい 0G の主な原因は、ストレス!ネコにとっての主なストレスの原因は環境の変化!3年前の初診時に、「家に改修作業の人とか来ませんでしたか」と聞かれました。

たしかに便利屋さんが何回かに分けて来てくれましたが期間は短かったし、本格的なOGが始まったのはその人たちが来なくなってからだったような...

ストレスの原因を取り除いてもクセになってしまったOGは治らないこともあるようですね。

同じ場所ばかり執拗になめ続けて「ミステリー・サークル crop circle」のように密生した毛に縁どられた直線や円形のハゲがくっきりと浮かび上がることが多いようです。ティブも最初の3年ぐらいはそうでした。

ただ、私が日本から帰国した2、3ヶ月の間にOGパターンが変化しています。

半身を順繰りに舐め続け、しばらく舐めていない場所にうっすらとベルベットのような毛が生え始めたと思ったら、またそっちの方面も舐めはじめ...発毛が追い付きません!

一面純白の体の内側は皮膚も淡いピンクで、ズル剥け感が一層痛々しいです。

 

紙やすりのようなザラザラした舌でじょりじょり舐め続ければ当然、毛のない薄い皮膚が破れて血が滲みます。カサブタができ、かゆくなったらまた紙やすりの舌でじょりじょり...ああ、悪循環!

敵から身を隠す代わりに舐めて自分の気配を消そうとする強迫観念...説がありますが「敵」って誰よ...?

保護センターで生まれて、母ネコのリヴィーといっしょにうちで引き取ったティブは私たち飼い主に絶大な信頼を置いているように見えます。要するに育ちの良い甘えネコなのです。

座っていると膝の上にのって来てグイグイ頭を押し付けてきて頭の後ろのかゆいスポットを掻くように強要します。

要求通りに掻いてやっているとスマートフォンをもつ手に激しい頭突きをくらわせて「俺の頭に集中しろ」とすごまれます…はい、言われた通りスマートフォンをわきにおいて集中して掻いてやります。

飼い主の私たちとの間にストレスが介在する不穏な関係は存在しないと思うのですが...いったいどうしろというのか...?

 

オンラインで検索すると、コンセントに差し込む「プラグイン」タイプの電子ハーブ療法でリラックスさせる、パラボラアンテナのような医療用のカラーを装着する、服を着せる等、いろいろな対処法が散見されます。首輪を徹底拒絶するティブになにか身に着けさせるのは至難の業ですし、第ー、本人にかかるストレスが半端ではありませんので逆効果(却下)。

ハーブ療法も、3階だてのわが家で居場所が確定せず、今の季節は大半を屋外ですごすティブには現実的ではありません。

傷に効くネコ用の軟膏、それこそ手もとにあるニベアクリームなんかをべっとり塗ってやったらどうでしょうか。苦くて不味くて舐める気が失せるかもしれません。

母ネコ、リヴィーもー時は後ろ半身をカサブタに覆われ、毛の色も褪せたことがありましたが最近のノミ退治大作戦が功を奏しすっかり密生した毛に毛艶が復活、美しいおばさんネコに戻っています。

またまた連日の晴天続きです。

大木を伐ったあと、一面に陽が降り注ぐ庭でくつろぐ親子ネコです。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

暑苦しい、愛くるしい!見たのは2回目、黒いチャウチャウ

2025年05月13日 07時00分00秒 | 英国のイヌ

高級住宅街のはずれにある「イヌ連れ大歓迎」で知られるデパート、高級(目な)デパート、ジョン・ルイス John Lewis に行きました。

ちょこちょこ歩くテリア系、スパニエル系の小型犬やリトリーバーなどの大き目の、おなじみ中流階級御用達犬をポツポツ見かけた店内で、ひときわ目立った、中国原産のチャウチャウ!!

前回記事にしたオレンジ色のチャウチャウはあの後1度、同じエリアで目にしています。それ以来の、珍犬チャウチャウの目撃です。

前回記事のリンクです☟

ストックポート日報初登場!知名度のわりには見かけない中国の原生犬

しかも、

(前回の記事と記述がー部重複します)

1980年代に日本でたびたび見かけましたが、今では日本でも珍しいのではないでしょうか。

野球選手の王貞治が、1980年に自分のホームラン試合を見て「Oh、ワン、ダフル!」と言う日立キドカラー(カラーテレビ)のハズカシイテレビCMにいっしょに出演したことから、当時、ー躍人気の犬種になったといいます。

ちょうどその頃、高校生だった私は神戸の繁華街のヤクザの事務所の入り口を狛犬のようにガードするオレンジ色と黒のー対のチャウチャウを見かけたことがあります。

外に立っていた私と同年代の若い下っ端ヤクザに「さわってもいいですか」と聞いたら「あかん!咬むで!!」と怒鳴られ飛びずさりました。

精悍で獰猛そうな犬種(例えばドーベルマンとか)を配置した方がヤクザの番犬らしくキマるのに...よりによって半泣き笑いの間の抜けた表情でムクムクのイヌを咬むように仕込まなくても...

さらに今、考えてみると(当時)神戸にはけっこういたという中華系のヤクザの組だったのかもしれません。チャウチャウは中国産のイヌの代表格です。

そう言えば、王選手も中華系ですよね。

その後たまに目にしたチャウチャウはすべてオレンジ色です。黒チャウを見たのは、その神戸のヤクザの番犬以来、実に40余年ぶり!

チャウチャウってなぜかいつも口を開けている印象です。暑いのかな。

暑苦しい見かけのこの黒チャウチャウ。店内はひんやり冷房が効いて快適でしたが、このチャウチャウも口を半開きにして幅の広いどす暗い紫色の舌を見せていました。

 

念願かなってさわらせてもらえました。

どことなくねっとりした手触りのモコモコ毛皮にグッと手を突っ込んで、毛の密生した小さな耳もつまむことができました。

おとなしく気のいいこのイヌの、残念、名前を聞くのを忘れました。勝手に「怪傑黒獅子丸」と名付けます。ぴったりしたハーネスのせいかライオン感は半減していますが。

奥の女性は高級化粧品売り場の店員さんです。2人は化粧品の話ではなくイヌの話で盛り上がっていました。

...それにしても、まだ5月の英国で、デパートに全館冷房がかかっているとは...

地球温暖化が本気で心配です。

 

 

 

 

 

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

手作りのネコのケーキ、レシピ付き

2025年05月07日 06時49分57秒 | 英国のお菓子とデザート

娘の誕生日に、リクエストの「ネコのケーキ」を焼きました。

...と言っても、ローフ・ティン loaf tin で「食パン loaf bread」型に焼いて、市販のフォンダン fondant (やわらかいアイシング)で作った顔と脚とシッポとアーモンドの目をくっつけただけですが。

私のオリジナルデザインです。

ケーキは、娘が4歳の時のお友達のお母さん...いわゆる「ママ友」ですね…の家に代々伝わる秘伝の「簡単ケーキ」、20年前に書き写させてもらった愛用のレシピです。

会う機会がいつの間にかなくなっていたそのお母さんとは、パンデミックのさなかに15年ぶりにばったり出会って、またお付き合いが再開しています。

モイラの全部いっぺんに混ぜる超絶簡単スポンジケーキ Moira's all-in-one method sponge のご紹介です。モイラというのはその友達の名前です。彼女のレシピ・ノートには「おばあちゃんの...」と書かれていたように記憶しています。

当時はインターネットでレシピを検索するなんて習慣はなく、雑誌のページを切り取ったり人に聞いて書き写したりしてレパートリーを増やしていましたね、懐かしい...

バターかマーガリン180g、砂糖180g、セルフ・レイジング・フラワー self raising flour *180g、大き目の卵3個と、小さじ1杯半(すりきり)のベーキングパウダーをなめらかになるまでよく混ぜ、ケーキ型か食パン型(loaf tin)に流しいれ、160℃のオーブンで40分焼くだけ。

(セルフ・レイジング・フラワーというのは小麦粉150gに対して小さじ2杯の割合でベーキングパウダーがすでに混ぜてある英国ではおなじみ、市販のベーキング用小麦粉です)

フォンダンで覆う前のケーキの写真を撮るのを忘れました。

...ブタみたいですね。

「スポンジ」とは言うものの、ずっしりしっとりしています。

ロウソクがなかったので、娘がオンラインゲーム仲間とこの家で集まった時に使うつもりだった花火を立ててみました。火をつける時に夫と娘は怖がったのですが、シューッと上がる白い火花に大喜び、娘はビデオに撮っていました。

来週、娘のお友達が集まってくれる誕生日のお祝いに色違いでまた作ろうと思っていたケーキですが、グループチャットにビデオを投稿してしまったようです。

「D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)」という中世ファンタジーゲームの親睦会の集まりなので何かおどろおどろしい、それでいて簡単に作れるような形を考案します。ドラゴンはややこしすぎるので却下!

ちなみに...ネコが脚をおなかの下に畳み込んで四角く腹ばいになった姿を英語で「キャット・ローフ cat loaf (ネコの食パン!!!!)」と言います。いい得て妙!本当にパンのようです。

キャット・ローフでどっしりと決めた5年ぐらい前のリヴィー(前)です。ああ、子ネコだったティブがかわいい!

食パンのポーズは古い写真に多いですね。

子ネコのティブのキャット・ローフ!

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ネコを手放す事情ふたたび、晴天の屋外でのん気にお腹を陽にさらす保護ネコたち

2025年05月04日 06時32分10秒 | うちのネコ、よそのネコ

ネコ保護施設で飼いネコ候補のネコたちに話しかける」ボランティアに毎週欠かさず顔を出しています。

数週間前にヒマそうなので連れて行った夫は、常連ボランティアとして参加しています。

活動を支援することを決め、また...ネコをかまうのが楽しくて仕方ないようです。うちにもネコが2匹いますのにね。

先週1週間はさわやかな快晴の日が続きました。イングランド南西部で日中最高気温が29℃まで上がり、5月の英国の史上最高を記録したそうです。

ここ北西部は、その日せいぜい26℃どまり、それでもまだ5月ですから...地球規模の温暖化が心配です。

 

写真は初夏の日差しを浴びてのびのびとくつろぐネコの「お腹見せポーズ」です。いずれも晴天だった先週とその前の週に撮りました。

今週に入ってからは気温は下がり気味、昨日は肌寒く日の翳ったネコ保護施設で数時間過ごしました。

お腹をさらすのはネコがとてもリラックスした状態だそうです。内蔵のつまったやわらかいおなかを敵に攻撃されたらひとたまりもありません。この状態で危険を察知してもー瞬の判断で跳んで逃げるのも難しそうです。

「服従、降参の証」のポーズだと聞いたこともあります。

 

英国の夏はほんとうに快適です。日差しがきつく、気温が高くても日本と違って蒸し暑くないためにとてもすごしやすいです。

暗くて雨続きで日照時間がめちゃくちゃ短い冬を屋外にこもって過ごした反動か、天気がいい夏の日に大挙して屋外に繰り出す英国人(おもに白人)のギョッとするような肌の露出ぶりは...見ものです。紫外線にさらす肌の面積を少しでも多くして日焼けした美しい容貌を手に入れたい(!)というのもあるでしょう。

ネコも同じで、ふだん地面を向いて日に当たらないお腹の部分や脚の付け根のくぼんだ部分やあごの下までじゅうぶん日光を浴びたいのでしょう。(日焼け願望はないと思いますが)

ゴロンゴロンと身体を左右に転がすのは、背中がかゆいから?

 

先週、新入り母娘ネコが入所しました。

どちらも、驚くほどの美猫です。

 

どのネコも、ただネコというだけですべて可愛いのですが、やはり、特別に美しいネコとそうでもないネコがいるのはたしかです。

すらりとした肢体に小さめの頭部、目が驚くほど大きく毛並みもサラサラ。美猫の要素をすべて備えた美しいクロネコの母と英国ではあまり見かけない三毛ネコの娘です。

この母娘がこの保護施設に引き取られた経緯が英国の社会問題のー面をよく表しています。

飼い主の女性は30代、「2人掛けのソファに座れないほどの超肥満」で仕事に就けず、「ベネフィット benefit (社会保障給付金)」を受給。子供は「児童相談所」に機能が近い福祉機関にひきとられ(事情は不明)児童保護施設を経て、現在はおばあちゃんと生活。

12歳以下の子供がいるひとり親が働かなくてもいいように受給できる「ローンペアレント・アロウワンス lone parent allowance (ひとり親手当)」が受給できなくなり、事情があり就業が難しい人たちが受給する様々なベネフィットのうちのひとつを受給するも、義務である自立支援や健康支援のプログラムの参加を拒否。

ペット禁止の賃貸フラットでネコを飼い、「ゴミ屋敷」状態にしたため追い立てをくらい現在、ホームレスのための宿泊施設に滞在。そのため飼いネコはソーシャル・サービスを通じてネコ保護施設に3週間あずけられることに。

3週間以内に住む場所を見つけ、生活を立て直さなければネコ2匹の所有権は保護施設にうつる取り決めに同意...

先週は、何度も「ネコを返してほしい」とうったえていた飼い主ですが、昨日、期限前にネコをあきらめる連絡があったそうです。

母子ネコは、2匹セットで引き渡す条件で飼い主募集対象になりました。

...美しい母子ネコはびっくりするほど人懐こく、娘ネコは大音量でのどをゴロゴロ鳴らして体をすり寄せてきます。ボランティアの女性の肩にのって降りようとしなかったそうです。

感心しないライフスタイルの元の飼い主ですが、間違いなく愛情を注いでかわいがって飼っていたことは事実のようです。それは全面的に認めている保護ネコ施設の運営女性ですが...引き取った事情を話してくれた時に、住宅の「ゴミ屋敷」ぶり、ネコトイレの汚さ、喫煙習慣、肥満ぶりなどに嫌悪感を隠せない様子でした。

子供もネコも取り上げられホームレスに転落したその女性の状況を思いやって何か言うべきだったかもしれません。そこまで生活が荒んだ背景には子供の頃にうけた虐待や、精神疾患が潜んでいたり...はよく聞く話ですし。

ただ、運営女性がとりわけ嫌悪しているらしい口ぶりの「お金がないのに両手の爪にゴテゴテのネイルアート」に納得して笑ってしまいました。1箱20本入りが日本円で3,000円近くもするタバコを吸い続けて「子供の学校の制服が買えない」とぼやく低所得家庭の母親と同様のネイル・アートにまつわる、「同情不要」論ステレオ・タイプの登場です。

英国には、「(おもに)東洋系の女性が経営するネイル・サロンで派手なネイル・アートの施術を受けるのはお金がないはずのベネフィット受給者や労働者階級の人が多い」という(完全に間違った)偏見があります。

フード・バンクで無料の食糧の受給の列に並び食費を浮かしてネイル・アートにお金を使うベネフィット受給者が知り合いにいるとか、いないとか話題になっている昨今です。

母子ネコを引き取った時にうけさせた、恒例の避妊手術費用1匹 300ポンド(57,300円)は保護施設が立て替えましたが、飼い主が連れ戻すならその費用を返済することになっています。ネコの所有権を手放した今、飼い主に返済義務はありません。

娘ネコの写真ばかりやたらに多いのは、ケージの扉を開けて、締め切った小屋の中を自由に行き来できるようにしてあるものの、母ネコはケージの中にとどまってほとんど出てこなかったためです。

写真から察することができますね、この保護施設の「ゴミ屋敷」ぶりもなかなか大したものです。不潔ではありませんが。

運営女性の許可を得て、夫は何とかするつもりだと言っているのですが...難しそうです。

先週、花盛りだった鮮やかな黄色いタンポポが昨日はフワフワ綿毛にかわっていました。

 

 

 

 

 

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする