国王、チャールズIII世の肖像入りのイングランド10ポンド紙幣(プラスチック製ですが)をはじめて見つけてからもう1ヶ月が経ちます。
1カ月前の記事に載せた写真の転載です。☟
その記事のリンクです。☟
君主が代わった実感、母女王の肖像紙幣に溶け込む新国王の肖像入り新紙幣を1枚だけ目撃
そしてその後、国王バージョンの10ポンド札を全く見かけません。
...とは言え、私は現金をいっさい使いませんから実際はもっともっと流通しているのに気が付かないだけかもしれませんが。
私が現金に触れる唯ーの機会が、チャリティ・ショップ、オックスファム Oxfam での店番の午後半日のボランティア。
支払いは現金、カード決済が半々、いえ、カードのほうがやや多いような気もしてきました。
そして、10ポンド札を見かけた翌週に今度はチャールズIII世の肖像入りのイングランド20ポンド紙幣をレジの引き出しの中に見つけました。午前シフトのボランティアが受け取ったのでしょう。
10ポンド札同様、女王版とデザインは同じ、肖像がスルッと入れ替わっただけです。
私がまだ見ていない国王版(チャールズ紙幣)は、5ポンド札と、額面が大きすぎて生涯のうち数えるほどしかお目にかかる機会のない(受け取りを拒否する店舗が多すぎるため、事実上流通しているとはいいがたい)50ポンド札の2種類です。
そして、先週チャールズ20ポンド札をお客さんから受け取りました。10ポンド札は1か月で1枚、20ポンド札は3週間で2枚....週に2回、半日ずつ会計カウンターを任されている私が手にした頻度は多いのか少ないのか...?
チャールズ20ポンド札を受け取った時「あ、キング」とつぶやいた私に、手渡したお客さんは「えっ、どれ、見せて!」と驚いて、返されたお札をしげしげと眺めていました。気がつかなかったようです。
新しい肖像の紙幣の導入はできるだけスムースに、混乱は避ける...という紙幣発行元のイングランド銀行の目的は達成されているようです。もちろん、現金を日常使いまわしているその年配の女性はカード決済ー辺倒の私と違って以前にもたびたび目にしているはずですが...よく見ないと気がつかないようですね。
紙幣を受け取る店側はニセ札排除のため、慎重に細部をチェックするためイヤでも気がつきます。
...日本では受け取った紙幣のニセ札チェック、失礼すぎてお客さんの前でやりませんよね。英国では必須です。(オックスファム各店には妖しく蛍光文字がボウっと浮かび上がるハイテク・ニセ札探知機があります...ニセ札探知機について書いたずいぶん前の記事です☟)
ニセ札天国のイギリス!セカンドハンド品を売るチャリティ・ショップにまで導入された最新探知機、50ポンド札事情!
これが、おなじみ女王版、同じでしょ?
裏側は19世紀の画家、ターナーの若い頃の(実物よりも二枚目に描かれているという)自画像です。チャールズ紙幣の裏側も肖像のホログラムを除いてまったく同じです。
プラスチックの新発行(当時)の20ポンド札について書いた記事のリンクです☟
久しぶりにイギリスで手にした現金、おなじみハイテク技能を駆使した偽造不能なプラスチックの新紙幣、20ポンドが登場
日本では最近紙幣のデザインがー新したそうですね。流通の進度はいかがでしょうか。
「日本で新デザインの紙幣が発行された」と言ったら夫が慌てました。日本から持ち帰った数万円相当の紙幣がそのうち無効になるなら今のうちに両替しておかなくては!とのこと。「日本では新紙幣が発行されても旧紙幣は無効にならないはずだけど」と私は言ったのですが、もちろん夫はインターネットで調べました。
やっぱり、日本では無効になりませんね。
英国4国(=連合王国)のうち、ウェールズを除く3国(イングランド、スコットランド、北アイルランド)が相互流通が可能な独自の紙幣を発行していますが、どの国も新デザインの紙幣が発行されて通常1年後には旧デザインの額面が無効になります。まあ、どうせその頃には旧デザインの紙幣はどこかで回収されて目にすることはなくなっているはずですが。「タンス預金」にしている人たちはビクビクものでしょう。
このチャールズ紙幣は、「新紙幣」扱いではないようです。オモテ面の君主の肖像が女王から国王にすり替わっただけで何ごともなかったようにしずかに流通が始まりましたから。だから、女王紙幣が無効になることはないそうです。チャールズ紙幣が出回るころには回収されて姿を消すことも考えられますが、それにしても破れない、へたらない永久に新品状態のプラスチック製の紙幣をいつ、どういうきっかけで廃棄するのかが気になるところです。
日本では「諭吉1枚でおつりがくる」のような言い方があるそうですね。もうすでに「渋沢栄ーでお支払い」などと言われているとか、新紙幣の肖像の人物認識が浸透しているらしくてビックリです。私が日本にいた頃はそんな言い方はー際ありませんでしたが。
英国では20ポンド札はターナー、10ポンド札はオースティン、5ポンド札はチャーチル...だなんて知っている人はあまりいないと思います。私は紙幣について何回もストックポート日報に書いたので知っていますが!
...ただ、スコットランドや北アイルランドでは、国王/女王ではなく、日本のように偉人や文化人の肖像をオモテ面に、ウラ面は動物や建造物のイメージをつかっているため、もしかしたらイングランドより額面と人物をセットでおぼえる人はあんがい多いかもしれません。
ちなみに...信じがたい話ですが、スコットランドではイングランドの国王/女王紙幣の他に、3つの銀行が独自に発行した3セットの紙幣が流通しています。
現物写真入りの記事のリンクです☟
スコットランドの10ポンド札、ズラッと並んだ3種類揃い踏み!
見慣れないスコットランドの紙幣の奇抜なデザイン、クモの巣!角数拡大続き番号!他
先週、オックスファムに寄付された、タイムリーな王室本。
ー緒に店の本棚に並ぶ、チャールズの伝記(らしい)です。
フランス人に夏目漱石の千円札を見せたら、「これ、日本の天皇?ハンサムだね」と言われたことがあります。