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イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

私にとって英国の味の原点、日本でも驚きの知名度らしい、「ウェールズのウサギ」興味深い名前のチーズをのせたトースト料理

2021年10月31日 06時32分00秒 | 英国の食べ物、飲み物
以前に2回は話題にしている英国の人気料理、ウェルシュ・レアビット Welsh rarebit (英国人が巻き舌で早口で発音するとラビットと聞こえます)


思い立って、作ってみました。
ビールで溶いた苦くて辛いチーズソースがこんがり焼けたチーズ・オン・トーストの古くからあるバリエーションです。

ウェリッシュレアビットのカタカナ表記で検索してみたら、びっくり!日本語のレシピやアンソロジーがザックザクとヒットしました。

インターネット時代の情報網ってすごいですね。
私が英国に来たばかりの頃、30年前におそらく初めて現地で食べた「英国料理」だったはずです。
名前を聞くのも初めてですし、チーズをとろけさせる料理法も私には斬新でした。

(当時の日本ではチーズと言えば熱に溶けないプロセスト・チーズが一般的でしたから)

南海岸の国際観光地(夏にEU諸国の若い人たちが英語を3週間学びに来るので有名な場所だったのです、ブレクシット完了後の以後の事情は知りません)、イーストボーン Eastbourne の英語学校に通っていたころ、学校の近所の静かなカフェで見つけて食べてみて大いに気に入りました。
観光地のカフェですので、値段はけっこう高かった記憶があります。
それでも時々行って、ウェルシュ・レアビットばかり食べていました。
なじみになったカフェのご主人に、ウェルシュ・レアビットを注文するたびに発音をなおされました。

私にとって、英国の味の原点なはずなのですが作ったことがなかったのです。
以前に載せたストックポート日報の記事にも「カフェで食べた」という話題ばかりなはずです。

先週、テレビで作り方を紹介していたのを見て食べたくなりました。
材料はメモしなかったので、最も権威ある(と私が信じている)BBC FOOD というレシピのウェッブサイトを見て作りました。

材料です。


英国では一般的なものばかり。
卵も牛乳もパセリも使わない、私が見た限りこれが一番シンプルなレシピです。

4人分の作り方を紹介します。
50gのバターを小鍋に溶かし、小麦粉を入れて弱火で炒めてルーを作ります。



ぬるく温めた250mlの強いビールを少しずつ加えてソースを作ります。
250gのおろした「味の濃い」チェダーチーズ(extra strong / extra mature Chedder) を混ぜて溶かしかなり硬めのネトネトのソースにします。

ウースターソースを大さじ2杯、イングリッシュ・マスタード(粉の辛子)を小さじ2杯を混ぜ、黒コショウをたっぷりふります。...ソースの出来上がり。

色がつかない程度に軽くトーストした食パン(私は家にあった、タイガー・ブレッドを使いました)にどっぷりソースを塗りつけてグリルで焼き色がつくまで(焼けた表面がブツブツ膨らんで泡立ち、はじけるまで)焼きます。



(うっかりお鍋の底をちょっとだけ焦がしてしまいました)

出来上がり。


調理すればビールのアルコール分が抜けてアルコールが摂取できない私もじゅうぶん楽しめます。
アルコール分は抜けてもビールの深い薫りと苦みがつーんと残る大人向きの料理です。
食パン一枚でもチーズソースがこってりしているのでお食事としてじゅうぶん食欲が満たされます。

日本ではまず「味の濃い」チェダーを調達することが難しいかもしれませんね。
日本語のレシピには「できればチェダー」にこだわっているものが多いのですが、どうせ「味の濃い」モノを手に入れるのが無理そうですので、とろけさえすればもうなんでもいいと思います。
粉辛子も「イングリッシュ」でなくてもだいじょうぶでしょう。


ウェルシュ・レアビットという名前の起源には諸説あるらしいのですが、「ウェールズ発祥」であるという確証は全くないということははっきりわかっているそうです。
古くはラビット Rabbit (ウサギ)とつづったことから、「ビンボーで粗野なウェールズ人はパンにチーズを塗って、(中世の頃にはごちそうだった)ウサギの肉を食べたつもりになっていた」という偏見に基づいた命名であるという説に信ぴょう性があります。

アメリカの南西部料理のウシの睾丸のフライ!!を「ロッキー山脈の牡蠣 Rocky Mountain oysters 」、ニシン料理を「ノーフォークのカポン(グルメ食材、去勢したオンドリ)」、レバーを固めたウェールズ料理を「ウェールズのキャビア」とよぶなど、土地の名前を冠したびんぼったらしい郷土料理の名前と同列の揶揄的料理名だ...と例付きで挙げていたウィッキピーデアの英語版、お見事。
どれも初耳です(ウシの睾丸料理に興味津々です)

ウェールズ起源だと証明されないのに「ウェールズのウサギ」と呼ばれるのはやっぱり不可解ですが。











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イヌ連れ歓迎、内装とメニューも一新、客寄せ効果は向上か?個性を失いつつある英国の観光地のカフェ(一般論)

2021年10月29日 08時00分00秒 | 英国のイヌ
かつて湯治場として栄えたピークディストリクトの町、バクストン Buxton の番外編。



今日の話題はイヌ

ハイドロ・カフェ The Hydro Cafe and Restaurant という、私が30年前に最初に来た時にもすでにあったおなじみのカフェです。


ひさしぶりに行ってみたらテーブルの間隔をゆったりとった余裕のあるアレンジに変わっていました。(コロナ対策でしょう)



(上の写真は、帰る間際に私たちが通された離れのような別部屋から撮ったメイン・エリアです)

それと、イヌが2匹もメイン・エリアの床に寝そべっていました。

私たちが通された、奥の離れのようなエリアには英国でも大人気のフレンチ・ブルドッグのネリーがいました。


このカフェはいつの間にか「イヌ連れ歓迎」ポリシーを掲げ始めたようです。

イヌ用のメニューがありました!

イヌ用ソーセージとビスケットがどちらも60ペンス。

ネリーも1匹前、「ソーセージ」を注文してもらったようですが全く手をつけていません。
飼い主が「どうしたの、食べないの?」としきりに犬なで声で話しかけていました。



鈍いピンクの日本特有の魚肉ソーセージセージのような棒状の物体が輪切りにされてインド料理屋でカレーソースを出すのに使うステンレスのボウルに入っています。
(まずそう)

イヌ連れが他の町と同じですごーく多いバクストンです。
イヌ連れ歓迎の飲食店はたいへん重宝なはずです。

フレンチブルドッグのような小さくて人気のイヌは外につないでおけば盗まれる可能性が高いようですし。
もちろんしつけの良い清潔なイヌに限られるはずですが、イヌの匂いのするところで食事をするのがイヤな、あるいはイヌが嫌いな客も一定数いるはずですから客寄せ効果としてはちょっと賭けでもありますね。



最初、ネリーは飼い主のカップルのテーブルの下におさまるようにひき紐を短くたぐってつながれていました。

斜め後ろに座った私がイヌをかまいたがるたちの客だったので、名前を聞いて撫でて写真を撮る許可をもらった時に私たちのテーブルのそばに来られるようにひき紐を緩めてもらっていました。



イヌ歓迎のカフェでも、自分の飼いイヌが人の迷惑にならないよう心配りができる思慮深い飼い主です。

ちなみに、「イヌ歓迎」ポリシーの他にもこのハイドロ(ギリシャ語で水の意;鉱水療法のことを英語でハイドロセラピーといいます)・カフェに劇的な変化がありました。
2年前に最後に来た時にはテーブルと椅子がぎゅうぎゅうにたて込んだ庶民派カフェでした。

その時は選手のサインがあるプロのサッカーチームのユニフォームと、歌手のサインがあるLPレコードが額装されてかかっていました。
故ダイアナ妃の写真が焼き付けられた絵皿がかかっていたような気がしないでもないのですが、どこかよその庶民派カフェの装飾と記憶がごっちゃになっているかもしれません。

今回、街のランドマーク的重要建築物の「クレセント Crescent 」の大改修工事が完了し、5つ星☆スパー・リゾート・ホテルとしてオープンしたのを機にハイクラスの客を目当てに経営方針のグレードアップを図ったようです。

経営者の個人的趣味を物語るダッサい装飾品はすべて取り下ろされて、壁中なぜか鏡がいっぱいかかっていました。
がんばってニュートラルなテイストにしたんでしょうね。

時期的な約束事のようなハロウィーン装飾も加えられ、テイスト上の混乱ははなはだしかったのです。

とつぜんの大雨、屋内にいた私たちはものすごくラッキーでした。
(ドカンと置かれた細工なしの生のカボチャに注目)


以前あった真鍮細工の飾りや、ギリシャ観光みやげの壺のコレクションもしまい込まれてなんだか面白みがすっかり失せたのですが、それでも今時の「おっしゃれー」なカフェにはどうしても見えません。

メニューも様変わり、お値段も上がりました。


かつてはサンドウィッチをたのむと小さめのお皿にレタスと輪切りにしたトマトをひと切れ添えて、ポンと出てきたものでした。
お酢か小袋に入った「サラダクリーム」がついてきたように記憶しています。
今では、大き目のお皿に彩りよく広げるように盛り付けてドレッシングも選べるようになっています。

(見た目が華やかになっただけではなく、実際とてもおいしかったですよ)

私はよく行く場所では値段が手頃で気の置けない雰囲気のいわゆるオアシスのような行きつけのカフェを目当てにするのが好きなのです。
意図しない「レトロ」や「キッチュ」で雑多な装飾であれば言うことなしなのですが、この頃そういう楽しいカフェやパブは減ってきているような気がします。

どこもかしこも「オシャレ」にすれば客が増えて値段もあげられるのを当て込んでいるような...英国全体のあまり楽しくない風潮です。

このハイドロは今も以前もコーヒーがおいしいことに変わりのない「良質カフェ」なので、中途半端なオシャレ志向をとやかく言うのはやめましょう。
また行くつもりです。

話を戻して...



フレンチブルドッグのネリーは「DIVA (歌姫、美の権化)」とシークエン(ラメ)で刺繍された筒状のセーターを着ています。
イヌのセーターって機能がナゾです。
たしかに寒さに弱いイヌもいるそうですし、暑い国が原産の犬種などは冬の長い英国で無防備に寒さにさらされると体調を崩したりするのでしょうね...防寒の意味ももちろんありそうですが、ネリーの場合は絶対にファッションですよね。



うーん、背中とおなかをしっかり覆ってお尻とハズカシい部分がしっかり丸見えって...裸のままのイヌよりもずうっとあけすけな気がしませんか。

恥ずかしそうな上目遣いの憂い顔は、フレンチ・ブルドッグの特徴ですね。











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今に残る湯の町の歴史、改修で裏側までも手抜きなし、クレセント(三日月)の裏にまわってバクストンの名物建築をすみずみまで堪能

2021年10月27日 04時40分42秒 | ピーク・ディストリクト
ピークディストリクトの鉱泉の湧く町、バクストン Buxton


5つ星の豪華なスパー・リゾートホテル、バクストン・クレセント・ホテル Buxton Crescent Hotel について、前回の記事の続きです。
(かわり映えしない写真で始まりますが、前回の記事と重複しないよう選んであります)



とぎれとぎれで修復に17年を要した、18世紀のネオクラシシズム建築の傑作、クレセント Crescent の全面を向かって右から左まで歩いてみました。
左端に行きつく直前に、反対側へ抜ける通路を発見、通ってみました。

新しく舗装された小さなスクエア(広場)に出ました。


この人がクレセントを建設し、バクストンの町おこしに大いに貢献した第五代デボンシャー公爵 the 5th Duke of Devonshire です。


改修完成に合わせてたてられた新しい銅像みたいですね。

表側と同じ規格のアーチを並べた新築の増築部分と、オリジナルのばばっちい壁が向き合っています。




表側は表面をピカピカにきれいにしたのにこっち側はなぜアオミドロ状態なのでしょうか?

歴史上悪評高い 「窓税」をまぬかれるために、窓のあるべきところに壁穴を穿たずそれでもバランスよく見えるように窓のくぼみを形どった(窓を後から塞いだわけではない)この時代特有の「窓モドキ」が新旧どちらの張り出し部分にも右左対象に見えますね。

改修、増築時のニクい心配りです。

張り出した部分をぐるっと回って...


裏に出ました。








ちなみに、2017年に訪ねたサマセットのバース Bath の、本家本元のバース・ロイヤル・クレセントは現在、ほとんどが住宅として使われていることから、裏側が思い思いの雑然とした裏庭の囲い、アメーバのように増殖した様式バラバラの増築でひどくびっくりしたものです。
その点、このバクストン・クレセントは多額の資金を一挙に使って全体を修復して一軒のホテルが独占使用しているため、スッキリ美観を保っています。

長い長い連載記事(10回連続!)を書いてストックポート日報のバースの記事は閲覧数を思いきり上げました!
さすがは世界遺産の国際観光都市です、日本人の注目度バッチリでした!


裏通りなので、あまり人目に触れないのがちょっと残念なのですが、1泊280ポンド以上(滞在は2泊から、スパートリートメント付き)の5つ星ホテルなのですから、宿泊客の目に触れる場所に一か所たりとも隙があってはならないはず...納得です。
(アオミドロ壁の部分はわざわざ裏に抜けてみようという私たちのような街歩き観光客ぐらいしか通らない場所なのかもしれません)

もう一度、クレセントの正面に戻って...


向かいにあるのが「パンプ・ルーム pump room」という鉱泉をくみ出して飲ませる施設だった建物です。
現在は観光案内所で、中を見学できます。

今回は立ち寄らなかったのですが、大きなタイル張りの浴槽が残っています。
右側にちょこっと見えているのが...

1852年にたてられたセント・アンズ・ドリンキング・ウェル Saint Ann's drinking Well。


6、000年以上わき続けているバクストンの鉱水はセント・アンズ・ウェル(聖アンナの泉)と呼ばれています。
この、聖アンナ(聖母マリアのお母さん)の銅像の足もとのライオンの口から無尽蔵に排出される常時27度の水温を保つ生ぬるーい鉱水が自由に飲めるようになっています。

ネスレィ社が独占、びんづめ販売しているバクストン・ミネラル・ウォーターと同じ成分のミネラルウォーターです(無料でくみ放題!)

16世紀以来、万病に効くとされた地元のマグネシウム水が住人の誰でも自由に飲めるように町中さまざまな場所に湧水施設があったそうです。
今でも利用できるのは、このセント・アンズ・ドリンキング・ウェルだけだと思います。

次回行くことがあれば、観光案内所で他にもあるのか聞いてみます。

現在は使われていない建築遺跡のような古い井戸も、クレセントのそばの目立つ場所にたっています。




湯治施設だった建物もクレセントの周りにいくつも残っています。


クレセントに併設された、クレセントの改修中もずうっと営業していた19世紀の温浴施設の残る小さなショッピング・アーケードも鉱水療法施設のひとつだった建物です。
その名も「カヴァンディッシュ・アーケード Cavandish Archade 」




デヴォンシャー公爵家の名前、カヴァンデイッシュ家からつけられています。

それにしても鉱泉療法って本当に効いたのでしょうか。

日本でも長患いをした後に温泉で病後の回復をはかるなんていうシチュエーションが戦前の文学によく出てきたように思います。
日本の温泉浴場にはかならず効能書きが掛けられています。
リューマチや皮膚疾患はわかるけど喘息や心臓病にも効くって...ほんとうかなぁ

たしかに入った直後に長年の冷え性が解消なんて話は聞きますがその効果は帰宅しても続くものなのか...?
一泊二泊ぐらいじゃあ効き目はすぐに表れないのかもしれませんね。

いずれにしても今のように医学が発達する前には慢性疾患に悩む人などには充分ありがたい...というかやらないよりはずっといい療法だったのでしょうね。


バクストンについて書いた以前の記事のリンクです☟
カヴァンディッシュ・アーケードの内部、改修工事中のクレセント、セント・アンズ・ドリンキング・ウェルのクローズアップ(と水をくむうちの夫の)写真、バクストンの他の場所の写真が載っていますので見てみてください。

平日に電車でピークディストリクトに行って山歩き、出発点は18世紀の温泉保養地、バクストン・

バクストン、古代ローマ人の愛した鉱泉の湧く町、ジョージアン様式のクレセントまである北のバース

鉱泉の湧く町バクストン、マーケット広場のある丘の上、パブのフィッシュ&チップス、人魚、他いろいろ

ついに見た!念願のリトルマーメイド、これがまさかの自然科学郷土博物館の展示品、ウケねらいか?天下のグロ物件

バースに関する実にたくさんの連載記事の中のひとつ、「窓税」に関する記事のリンクを貼りました。☟

窓もどき!天下の悪法、窓税が作り出したへんてこりんな建物の数々 バース10
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かつての温泉町、おなじみのバクストンのパンデミックのさなかに修復が完成した建築史上の大傑作クレセント

2021年10月25日 03時49分35秒 | ピーク・ディストリクト
先週久しぶりに行ってみたピーク・ディストリクトの町、バクストン Buxton の...





...ランドマーク的建築物、バクストン・クレセント Buxton Crscent


半円形(クレセント=三日月)の現在、英国に残る18世紀のジョージアン建築の最高傑作のひとつです。

(クレセントに向かって)右から左へ歩いて撮った写真です。




大掛かりな改修改築後、初めて行って見てみました。



バクストンは古代ローマ人が開発した温泉町です。

鉱泉を飲み、ぬるい温泉に浸かる健康法が大流行した18世紀に、同じく古代ローマ人の湯治場として栄えたバース Barth は長逗留する上流階級の人々のおしゃれな社交場として再び大賑わいだったそうです。

1789年、地元貴族の第5代デボンシャー公爵、ウィリアム・カヴァンディッシュがバースにあやかろうと町おこしのために建てたのがこのバクストン・クレセントです。

おおがかりな社交場のある、豪華な宿泊施設付きの病院、湯治施設です。
一階のアーケードにはズラーッとオシャレな店が並んでいたそうです。





実際、バクストンはこのクレセントを中心ににぎわったそうですが...

現在、世界遺産に登録され、国際的に有名なバースに比べるとバクストンの知名度はダントツに低いですね。
ストックポート日報によく出てくるから知った、という読者の方が多いと思います。

20世紀初頭に鉱泉健康法が廃れた後、町も賑わいを失っていったみたいです...と言うか上流階級の人々の足は遠のいたみたいですね。

バースには19世紀にはすでに復元されていた古代ローマ遺跡とか,18世紀の壮大な都市計画とかいろいろな見どころが盛りだくさんなのでした。
町の規模も全然違うし。

さて、このバクストンのクレセントです。
温泉療法を受けるために滞在する人が来なくなったあと、住宅やオフィスなどに間貸しされていたそうですが、老朽化する部分ごとにちょこちょこ修理をくわえていくことに無理が出てきて、どんどん空き家が増えていったようですね。
1980年代には一部がホテルや市役所や図書館の出張施設として使われていたそうです。

第一級保存建築なので取り壊すわけにもいかず、1990年代以降は完全に空き家になった壮大なランドマークが崩壊しないよう応急措置を繰り返してきたそうです。

まだ改修工事が始まる前の30年ほど前にはじめてきた時は外壁はすすけ、板で覆われた窓が多く、ぼろっちく悲し気な印象でした。



そのうち改修する予定ではあったようですが、高額な修復費用の捻出に紆余曲折があったようです。
2003年に宝くじ文化振興基金からの修復予算を獲得して大掛かりな修復作業が始まりました。

それ以後、いつ行っても板囲いにぐるっと囲われていました。

建物の地下にある「バクストン・ミネラル・ウォーター」の源泉の所有権を持つネスレィ社 Nestle(瓶詰めして全国に手広く販売しています)が法的訴訟を起こしたりもしています。

予算の壁に何度もぶち当たって17年もの歳月を費やしてついに完成、2020年5月にグランド・オープニングが予定されていたものの、コロナウィルスのパンデミックのため、2020年10月まで延期になりました。

オープンして1年たっていますね。

バクストン・クレセント・ホテル Buxton Crescent Hotel は5つ星の豪華なスパー・リゾートホテルです。

ホテルなら広いロビーとだれでも利用できるバーやティールームでもあるのでは、と思ったのですが、けっこうプライベートな感じの目立たない狭い入り口でした。

(上から3番目の写真に、真ん中のアーチ奥に開いた扉が見えるでしょう? それがホテルの入り口でした。)

フロントは長い廊下の奥にあるようで、おそらくラウンジやロビーも表からは見えないところにあるようです。宿泊もしないのに見物するのははばかれる佇まいでした。

建物内に入場料を払って内部を見学できる施設がありましたが、誰かが訪ねてきた時にでもいっしょに行けば楽しいかも...と思い訪問は取っておくことにしました。

帰宅後、検索してみました。
2泊以上の宿泊と、スパー・トリートメントがセットになった豪華な美容健康パッケージのサービスを提供しています。

数種類のサウナやトルコ風呂、3つの鉱泉浴プールがあるようです。
プールに入る人は水着を着ています。

ヴィクトリア時代の、ステンドグラスやドームのあるプールが修復再現されていますが、客室などのインテリアはクラシックなムードを生かした退屈な現代風の豪華ホテルふうに改装されちゃっています。
消防法とか、いろいろ現代の安全規格に合わせなければならないからでしょうね。

けっきょく、修復にかかった費用は全部合わせると68、400、000ポンド(10,693,379、636円、うそでしょう?と思うような金額です)に上ったそうです。
18世紀に、建築にかかった9年は記録的な長さです。
それを上回る修復の(休み休みで)17年もスゴい長さでした!

続きは次回に!!
(バクストンの他の場所の写真が載っている以前の記事のリンクも次回貼るつもりです...なにせ、バクストンの記事の数はものすごく多いものですから収拾がつきません)






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人手に渡った怪しげな日本語が入りブランドの英国の人気衣料メーカー、ブランド名変更後に懐かしの不可解ロゴ発見。人知れず無意味な内側のラベルは初見

2021年10月24日 06時27分47秒 | シブい!日本語表記、日本関係なら何でもクール!
スーパードライ SUPERDRY という名の英国のお値段高めの高級カジュアルウェアブランドをご存知でしょうか。


肩や袖の中ごろに「 極度乾燥(しなさい)Superdry」というロゴが入っているので有名です。
あら、この写真のロゴは「しなさい」の部分がかっこの中に入っていません。

ふつう、かっこの中に入っているはずなのですが...



男性用のフィールド・ジャケット(あるいはレインコート)です。
週に一度、ボランティアでお手伝いしているチャリティ・ショップ、オックスファム Oxfam で見つけました。

パンデミック前に2年以上ボランティアをしていた、ストックポートタウンセンターのオックスファムではありません。
タウンセンターの支店は最初のロックダウンの時に店を閉めて以来閉店になってそのまま営業終了。
現在私は地元、ブラモールの商店街のオックスファムをお手伝いしています。

今まで見る機会がなかった、襟元の内側に縫い付けられた大きなラベルに書かれている文章が傑作でしたので...


そのまま書き写します;
極度乾燥(しなさい)
Superdry
Japan.
公式の二重黒いラベルの衣服。
補強された機械化の技術を使用してそして
独特な合わせた設計機械と作られる。
長寿および強さのため。
極度の乾燥した仕事の摩耗の会社の著作権をとりなさい。

スーパードライは1985年に Cult Clothing という珍しくもないブランド名で創業した時には、どちらかというとクリエイティブなタイプの人に好まれるブランドイメージだったようです。
人目をひく「極度乾燥(しなさい)Superdry」 のブランド名を使い始めたのは2004年だそうです。
同時に日本語(のつもりで実は中国語?も含む)グラフィックを多用したデザインが評判になりはじめました。

たしかにその頃からスーパードライのインパクトの強い(わけのわからない)ブランドロゴをよく見かけるようになり、正しいモノがひとつとしてない日本語を大書したティーシャツやトレイナーが流行り始めたように思います。

そのあたりからどうもイメージ的には「ブランド物でキメてスカしたい」タイプの労働者階級風の若い人たちが好んで着るお値段高めのカジュアルブランド...というイメージが定着しつつあるようです。
デイビッド・ベッカムも愛用したとかでベッカム風スタイルでかっこよくキメたい若者をとりこにしていたようです。

あら、知らなかった。会社が傾いて2018年にはブランドを他社に売り払っています。
以後、ブランド名が「SUPERDRY®︎冒険魂」に変わっていました。

そう言われてみれば極度乾燥(しなさい)ロゴを以前ほど見かけなくなっています。

「SUPERDRY®︎冒険魂」ブランドではめったやたらに間違い日本語を駆使したグラフィックはかげをひそめ、古典のキメフレーズ(もとのブランド名)「極度乾燥(しなさい)」がいくつかのティーシャツデザインや、バッグや帽子などの小物のラベルに残っているぐらい...

日本人の私を沸かせてくれた怪しげな日本語フレーズが見られなくなったスーパードライは「アメリカンカジュアル(日本的表現ですが)」風の品の好いカジュアルブランドに落ち着いてしまいました。

アサヒの生ビール、「スーパードライ」が英国で販売され始めたのは、極度乾燥(しなさい)Superdry ブランド名が採用される後のことです。
このブランド名とは無関係らしいです。

オックスファムでもクリスマス・カードを販売し始めました。


スーパーマーケット、他のチャリティ・ショップや文具屋、ギフトショップなどではもう10月の初めから店頭に並べています。

みるみるうちに売れていくのが不思議です。
もちろん12月に入ってから書いて郵送し始める人が多いのですが、気に入ったデザインを早く買っておかないとなくなるのだそうです。

私はもう何年もカードの郵送はやめて、テキスト・メールで済ませています。

仕入れ、品出しに遅れをとったことを店長(上の写真でコートを持っていてくれた人)はずいぶんストレスに感じているようです。
いえ、落ち着いて、まだ10月ですってば!



まだこれからなのに、複数箱入りが「二つ買えば三つ目は無料」のご奉仕価格にダンピングです。

チャリティショップは一般の人からの寄付品を売って、独自の慈善事業の基金を稼ぐ民間の慈善団体です。
オックスファムは発展途上国や紛争地域などの人々の支援に特化した活動をしています。



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まだ10月なのに店頭に並び始めたクリスマスのギフト用品、ネコはクリスマスなんて知りません!

2021年10月23日 07時12分40秒 | うちのネコ、よそのネコ
昨日行った、大きなスーパーマーケット、モリソンズ Morison's の、あ~あ、クリスマスのギフトの棚です。


まだ10月ですよ。
ウンザリ。

ずらっと...


ついでに、こちらは先週行ったテスコ Tesco のクリスマスのギフトコーナーです。


きれいな箱や缶、ポーチなどに入ったグルーミング(スキンケア等)やバス用品、パズルやジョーク小物、アルコール飲料やコーヒー、紅茶、ホットチョコレート一杯分にグラスやカップがついたもの、ビスケットやチョコレートなどが一般的なストッキング・フィラー srocking filler といわれる比較的廉価なプレゼント品を、買う人は実に20個も30個も買って、ちょっとした知り合いや職場の同僚やその他思いつく限りの人たちにあげているようです(やれやれ)

1日の休暇を取るお屋敷の奉公人に奥様がプレゼントを渡したというボクシング・ディ Boxing day(クリスマスの翌日)の伝統から、郵便屋さんやゴミ屋さんにプレゼントを上げる人もまだいるようです。


...この記事のカテゴリーを何にしようか迷った結果、「ネコ」にしました。


モリソンズのペットフード売り場で見つけたネコ用のアドベント・カレンダー advent Calender です。

アドベント・カレンダーというのは、チョコレートが25個入っている、壁にかけられるようになっている薄い箱です。
ミシン目を押して開ける小窓には1から25まで数字が印刷してあります。
12月になったら毎日クリスマスが楽しみで待ちきれない子供たちが、その日の日付の小窓を開けて小さいチョコレートをとりだし、クリスマス当日まで毎日ひとつづつ食べられる仕掛けです。

うちでも子供たちが小さい頃には毎年買っていたものでした...というか12月1日を過ぎると半額になるアドベントカレンダーを気まぐれで買ってきて16歳を過ぎた娘に買い与えたこともありましたっけ。
子ども用のは安い物では1ポンドぐらいから、高くてもせいぜい5~6ポンドが普通です。

ネコ用!10ポンド(1561円)!!...御冗談。
ネコ用のおやつが1から25の小窓の中に入っているみたいですね。

ネコはクリスマスを楽しみにしていません!
(私もしていませんが)
たんに飼い主の気分盛り上げ用ですね。

うちはネコが2匹です。


1匹だけにこっそりやるわけにはいきません。
2箱買わなくてはなりません。
買いません!
いえ、だってひと箱(1匹用)10ポンドですよ。

クリスマス・カードも店頭に並び始めました。

ハロウィーンと、それに厳粛な戦没者追悼記念日が終わるまではクリスマスの飾りつけははじめられない不文律があるようです。




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私も受けたインフルエンザの予防接種、感染者数がただ事ではない英国の意外にのん気な日常生活と日本での報道の「温度差」検証

2021年10月21日 05時10分56秒 | 気になる出来事、社会情勢
夫と昨日、ピーク・ディストリクトの真っただ中の「温泉町」(古代ローマ時代と18世紀に鉱泉の湧く湯治場として栄えました)バクストン Buxton に久しぶりに行ってみました。


ストックポート日報ではすっかりおなじみのバクストンの話題はまた後ほど...

今日の話題はインフルエンザの予防注射ともううんざり...コロナウィルスの感染拡大についてです。

ところで、バクストンです。






ハイストリートの商店街で目に入ったのがこの立て看板です。


全国展開の薬局チェーン店、ブーツ Boots が店内でNHS (国家保健サービス)のインフルエンザの予防注射を予約なしで無料でしてくれるということです。
同じ場所でまだ2回受けていない人にコロナワクチンの接種もしています。
3回目の「ブースター・ジャブ」はまだ今のところ優先順位に従って、連絡を受けて予約をした人のみが接種できます。

私たちの名前はNHSのコンピュータ・ベースに登録されているので、看護師のラップトップですぐに確認され、待つこともなくすぐに注射してもらえました。

私はそういえばインフルエンザの予防注射を受けたのは初めてです。
60歳以上でしかも特定疾患があり免疫力が低い夫はここ数年、毎年無料で受けています。

今年のインフルエンザは重い症状をもたらすおそれあり、ということで国をあげ接種が推奨されているらしいのです。
夫はNHSから接種の予約を取るようにとの連絡を受け、登録医に電話で予約を入れようと試みたのですが、今年はやはりとりわけ多くの希望者がいるらしくなかなか電話が通じなかったそうです。

で、まあ、フラフラ遊びに行った先の観光地で予約なし接種があっという間にできちゃいました!
今年は希望者全員が無料で受けられるとのこと、私ももちろん受けちゃいました。

前の冬にはロックダウンのために流行が回避されたため、インフルエンザの抗体がほぼ皆無なこの冬、感染者が激増しているコロナとペアになって猛威をふるえば「医療崩壊」を今度こそ起こす恐れが大ありなのだそうです。

たいへん!!

ところで、久しぶりに日本のオンラインニュースの海外情報を開けてみたら、けっこうびっくり!
英国の感染者激増ぶりが大きく報道されているではありませんか。

昨日の新規感染者数は49,139人。日本は302人ですって~?!

報道のあとに続く読者のコメント欄を見ていたら「ほら見たことか」論調のコメントがいっぱいでおかしかったです。

曰く、「マスクもしないで夜遊びや密になる集会解禁の」「手を洗わない、お風呂にもめったに入らない衛生観念の低いらしい」「ハグやキスが生活に根付いている」英国では当然の結果だ。
あるいはワクチン懐疑派の「ほーら、12歳以上の接種希望者がほぼ全員ワクチン接種を受けているらしい英国でこのありさまなんだから、ね、わかったでしょうワクチン打っても意味なんかないって?」論の根拠にまでなりつつあるではありませんか。

5万人近く新規感染者を毎日出し続けても入院が必要な発症者は新規で869人、ほぼ全員がワクチン未接種者です。
日本の夏に多くの感染者が自宅療養を余儀なくされ、重症になるまで放置されたのが世界中の話題になりましたが、英国では病院に軽症で搬送された多くの人たちは比較的短期間で症状が改善して退院しています。

ついでに言えば、現在たいていの英国人は私の知る限り手をよく洗いますし日に何度もシャワーをしますしパンデミック以後握手や挨拶ハグやキスはひかえる人がほとんどなようです。

第一、感染者が手を触れた場所を触っても実際感染する率は限りなく低いということが今ではわかっているので手洗いの習慣の有無は感染拡大とはなーんにも関係ないような。
マスクの習慣は法規制が撤廃されて以来たしかに完全に廃れましたが。

要するに感染者の数はおおくても重症化する人が少ないのでぜんぜん切迫していないのです。
今のところ心配ご無用。

日本と違って、最初から「ワクチン接種完了後も感染の可能性がある」ということが広く知らされていた英国では国民の大半がワクチン接種した後も感染拡大がとまらないのは想定していたことなので、ちっとも緊急事態ではないのです。重症者を低く抑えさえすればワクチンの効果は充分はっきされているということなので。
ですが...

たしかにワクチンの効果は6カ月(あるいは3カ月)たったら薄れると言われ始めているのが気になるところです。
私も夫も2回目をうってからとっくに6カ月をすぎています。

今のところ、重症者の数が抑えられてはいるものの、接種者に重症者や死亡者がいないわけではないのです。
ワクチン効果が薄れた結果、感染者の数が今よりさらに増えれば当然重症者や死亡者の増えてくる可能性があるらしいのが不安のもとですね。

ケアホームなど施設に入居している高齢者はすべて、70歳以上の人の大半も3回目の「ブースター・ジャブ」の接種を受け終わっています。

ご存知でしょうが、英国の検査数はすさまじいですよ。
2週続けて減っているものの、昨日87、7223人がテストを受けて NHS オンラインに申告しました。

30分で結果が出る無料のテストキットをもらってきて自分で検査した結果、陰性でも陽性でも申告しなければいけないことになっています。
陰性の場合かなりの数の人が申告しないでそのまま日常生活を続けていると思われます。
(実際にはもっともっとたくさんの人が受けているはずです)

陽性であれば、NHSに報告してより正確なPCRテストを受けなければなりません。


先週、私が薬局でもらってきた無料のテストキット2箱です。


ショッピングセンターの中にある図書館の出張所兼コミュニティ・ハブ(情報発信機関)の受付には「ご自由にお取りください」という札の横にこの箱に入ったテストキットが50個ぐらい積まれていました。
(写真を撮っていいか聞いたらダメと言われました!!!!なぜ?)

各地の大学内でも配りまわっているようですし、職場や学校で出勤、登校の際強制的にテストを受けさせるところもあるようです。

1箱に7回分入っています。


PCRテストが陽性なら一週間毎日受けなければならないからです。

中国語の検品合格証が入っていました!

風邪の症状のあった娘が大学の寮から週末に帰宅する際に家族で受けてみようともらってきたのです。
...ええ、まあ娘の風邪の症状はすっかり全快していたので受けずじまいでした。
大学に行った子供たちが実家とその周辺にコロナを持ち込むケースが新学期以来増えているそうですので、やってみるべきだったかもしれませんね。

冬まで取っておきます。

コロナ検査が無料で受けられない日本に住む皆さんは、本当に日本全国の1日の新規感染者数が驚きの200人台だと信じられますか。
検査を受けていないから数がでていないだけではありませんか。

英国のように1日100万回のテストを無料で受けられるようにするべきだとは、本当に思いませんか。

マスクの着用の義務化を復活する案も政府の医療アドバイザーの間で検討されているようです。
私はすぐ後ろの席でしゃべっている人がいれば少し気になるバスの中や小さな店に入る時にはマスクを着用するようにしていますし、人がたくさん集まる場所にはいかないように今でも気をつけています。

しかし、個人が気をつけても国家規模の感染拡大はとめようがないですね。
法規制が復活すれば喜んで従うつもりです。

それより「ブースター・ジャブ」計画の加速を切望しています。










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色づく木の葉でしみじみ実感いつの間にか季節は秋。満開のサクラの木をハロウィーンモチーフで飾るショッピングモールの鈍感演出

2021年10月20日 05時45分33秒 | 英国の、生活のひとコマ
となりの家の花壇のモミジがわが家の敷地内に散っています。


秋らしいいい風情です。

となりの家からもらってきたアストロ・ターフ astro turf というリアルな人工芝のきれっぱしの足ふきドアマットに散ったおち葉が絵のようにきれいでした。


いつの間にか、紅葉の秋です。


ストックポートのタウンセンターに行った時に見た...


満開のサクラの木にハロウィーン対応の秋色の飾りつけがしてあります。
もう、みっともない!

そう言えば去年の魔女はゴツゴツした異形で白目でもっと怖かったように思います。
父兄から苦情でも出たのかもしれません。

例の、春から夏にかけて「ウィッシィング・ツリー Wishing Tree 」としてショッピングモールの客寄せイベントに使われていたサクラの木です。
用意された荷札のような「短冊」に願い事を書いて備え付けのポストに入れておけば係の人が満開のサクラの木につるしておいてくれた、あの木です。

「医療従事者のささやかな願い(スパーにでも行ってゆったり贅沢にセルフケアでもしたいとでも書かれていたのでしょうか)をかなえるために協賛企業がいい匂いのするロウソクやバス・ボム、アロマオイル、ネイルケアのキットなどの詰め合わせを贈った」という地元の新聞のウェッブ版記事を見つけた以外、最終的には何百にもなった短冊の他の願い事は成就したのか追跡し損ねました。

奥のスィング・ベンチ(2人掛けのブランコ)のスタンドを飾った満開のサクラの花飾りを外さずに、紅葉とハロウィーンの飾りを重ねづけ!


「Sit here if you dare 怖れを知らぬ者め、座れるものなら座ってみろ」という札のさがったブランコに座ってガイコツと記念写真を撮りました。

ブランコに座って撮りました。


本当に季節感を何とかしてほしい。

ところでこのショッピング・モールに常設のブランコですが、あまり季節感を重要視しない英国にしては、例年手のかかった季節の飾りを施されています。

初夏にはフジ、去年の秋には蔓から下がるカボチャ、一昨年には赤や黄色のアイビーが絡まってさがっていましたっけ。

いずれも、ちゃちな造花でしたが結婚式や宗教儀式の時などに教会の通路を飾る伝統の花綱のテクニックを思わせる気の利いた演出だと思ったのですが...

今回の体たらくは何だ?!

4年前の戦没者追悼記念日(ポピー・ディ)を迎える11月のブランコの写真を見つけました。


英国は自然の季節の移り替わりを愛でるという繊細な心遣いを表現する習慣はないものの、自治体や商業施設ではクリスマス、イースター、ヴァレンタインズ・ディ、夏の海辺、戦没者追悼などなどイベントや慣習がらみの演出に力を入れているようですね。
(あぁ、まあ世界中どこでも同じでしょう)

ウィッシング・ツリーで使った、取り外し不能な満開のサクラが咲くニセモノの木をどうしても使い続けたくて、ブランコを飾ったサクラの花もバランスをとるために残しておいてハロウィーンの飾りをくわえて何もかも台なし!にしたというところでしょうか...?
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2日まるまる家にいてなじみになった、いい人らしい便利屋にネコも解いた警戒心、それでも仕事は期待したほどはかどらず

2021年10月17日 04時08分28秒 | 英国の、生活のひとコマ
前回の続きです。


翌日の金曜日にも便利屋さん handyman が来てくれました。


この日終了する予定の「となりの庭との境の板塀の、家屋に面したパネル1枚を取り換える」仕事は何とか終了しました。

(仕事にかかる前の写真です)



いちばん上の写真は、便利屋さんがもってきた板塀パネルの寸法が合わなかった(!!!)ため、庭先でうちにすでにあるコンクリートの柱の幅に合わせて切っているところです。
もちろん、この人が前日に寸法を測って注文してくれたのですが、測り間違えたようです。

な、なんともたよりない...
しかも、1時間半遅れてきましたよ。

新しいパネルを入れた後!


夏のあいだ、私が少しずつ貼り付いていたアイビーを取り除きました。
反対側(お隣の庭側)もびっしりとアイビーに覆われていたようで、すごい量の枯れた茎がボロボロに壊れた板塀とともに私たちサイドの庭に残りました。

取り外し作業のあいだ、私は出かけていました。

トラックやミニバンではなく、道具を運ぶための少し広めのトランクがついている普通のクルマで仕事にまわっている便利屋さんです。


大きな板塀のパネルはルーフ・ラックに載せてきました。

その日に終わるはずだった木工作業の(後述)ための板材も載せてきました。

交通規制で回り道をしていて遅れたそうです。
大掛かりな工事があることは前もってわかっていたはずなのですが...

それだけではなく、前日終わったはずの台所を入ったところの天井のハロゲンライトの配線にも不備がありました。
そのライトを点灯させるためのスイッチを押すと他のライトもすべて点灯してしまうのです!!!!!

前日の仕事終了後に私たちに指摘されて初めて気がつくうかつさ!!

最初の日だけいっしょに来た便利屋さんの相棒が切って貼ってくれた上階、バスルームのビニール床と床板を一部またはがして、電気工事のし直しです。


ともかく、電気も無事完了...。
夜に撮った写真です。


現在空き部屋になっている部屋の、5年ほど前に取り付けた新しいガス・ボイラーがとにかく見苦しいのです。


古いボイラーは壁の一部に隠れていたのですが規格が違うため、「隠し壁」も取り払い、銅の管もそのままずっとむき出しでした。
息子がこの部屋を使っていた時は前に整理ダンスをおいていたので、管は隠れていましたが。

ボイラーの操作が容易にできるように扉があけられる作り付けの収納棚で床から天井まですべて見苦しいボイラー装置を覆い隠すことにしたのです。

それとバスルームの...


トイレの後ろのこれまたひどく見苦しい排水管を覆う箱も必要です。

パンデミック前(去年の夏)のバスルームの写真です。


ひどく汚れているので、お目にかけるのは気がひける排水管を覆う木の箱がこの時はちゃんとありました。
(この時は、故障したトイレのみならずバスルームすべてを内装し直す予定だったので、便器と洗面台、浴槽の中以外、掃除をするのをやめていました...)

ここで、バスルームに関する事情を少しご説明します;
パンデミック後、最初のロックダウンがあけ始めた頃にバスルームの大掛かりな改装を決意しました。

内装を請け負う業者が見積もりに来た際に故障したトイレを持って行ってくれ、かわりに購入した3点セット(トイレ、洗面台、浴槽)の据え付け工事が始まるまでサービスの「レンタル便器」を取り付けてくれたのです。

便器を取り換える際、周りのビニール床がざっくり丸く切り取られ、排水管を覆う木の箱も取り壊されました。
数週間後に内装工事が始まるはずだったので気にしないことにしたのですが...



事情の説明が一切なしで、工事が無期延期になり、すったもんだはあったのですが改装工事は取りやめになりました。
サービスの「レンタル便器」は無料でもらえることになりました。
「やった~!」
私たちの不都合を訴える夫の強硬措置が功を奏したようでちょっと得した気分でした。

見積もりに来てくれた、内装工事をしてくれる予定の職人さんがコロナで亡くなったと聞いたのは少し後のことでした。
まだ50代ぐらいの働き盛りの人でした。
トイレがタダでもらえてはしゃいでいた私たちはしんみりしたことは言うまでもありません。

そのトイレは今でも使っています。

私たち2人で壁のペンキを塗りなおし、タイルの目地も2年ぶりぐらいにきれいに漂白して大改装はせずに見た目を向上させることに方針を転換したわけです。



いびつな穴があいているシャワーの温水が通っている管を隠す隠し壁の作り直しも今回してもらう予定でした。


トイレの故障のずっと前にシャワーの交換もしたのですが、いずれ大改装をと思っていたためとんでもない穴をあけたまま放置していたのです。

で、それはともかく、塀と木工仕事すべてこの日のうちに終了する約束だったのに...。

前日の電気の配線の不備と、塀のパネルのサイズのはかり間違い、それと大遅刻で木工仕事は全く手つかずでした。
2週間後にもう一度時間をやりくりしてきてくれるそうです。

便利屋さんの報酬は、電気技師や木工職人のように難易度に応じて仕事ごとに支払われるわけではなく、時給、日給が普通だそうです。
この日、彼は1日中いたのですが、この日と次回やり残した木工仕事のためにもう一度来てくれる時の報酬は「半日分」でいいと言ってくれました。
ええ、まあすべて彼のミスで遅れたのですから遅れを取り戻す分お支払いするいわれはないわけなのです。

たよりなくはあるけれど、誠実そうな人だったので助かりました。

木工も電気技能も職業資格としては充分な「レベル3」を取得しているそうです。

この便利屋さんは、最初の日に連れてきたビニール床貼りをした相棒にとって「命の恩人」なのだそうです。

寝室の窓のカビ取り作業のあいだ、夫が長い身の上話を聞くはめになりました。
アルコール依存で失業しホームレスになった相棒に、親友だった便利屋さんが仕事をあたえ禁酒にまで付き合って更生の手助けをしたそうです。

...いい話が聞けました。










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20年近くも住んだ後、突然始めた家のメインテナンス工事、大きな音と見慣れない人が出入りしてネコのストレスは最大限

2021年10月15日 05時36分37秒 | 英国の、生活のひとコマ
昨日から、家に工事の人が入っています。


ドリルでバスルームの床に穴をあけるなど、騒々しい工事の間中、リヴィーはリビングルームでお裁縫をしていた私のそばを離れませんでした。




どの家も約10年ごとにメインテナンスをし続けなければ不動産の値打ちが下がるらしいのですが、うちは長年、放置しっぱなしでした。

1971年にたてられた中途半端にモダンなこの家は18年前に購入しました。
内装の状態のあまりよくない家を比較的安い値段で手に入れたのはラッキーだったはずです。

キッチンは増改築して広く、私の好みに合わせて個性的にしましたし、クルマが2台とめられた汚らしいガタガタのコンクリート舗装の前庭の半分を細長い花壇にして、クルマをとめるスペース(ドライブ drive といいます)をレンガ風のコンクリート・タイルで敷き詰めました。(...クルマは1台しかとめられなくなりましたが見た目が向上しました)........職人を雇って大掛かりなタッチアップをしたのはこれぐらいですね。

ペンキを塗るなど表面上の見栄えは自分たちでちょくちょく手を入れてやっています。

英国ではボロい家を安く購入して住みながら手を入れて買った時よりも高値で手放すのが普通です。
日本では人が住んだ家屋、マンションは中古として新築よりも必ず安い値段で取引されるそうですが、全く逆なのです。

手入れの行き届いた古い家(400年、500年たっている家も全く珍しくありません。)は高嶺の花です。

子供が2人ついに家を出た今、部屋数の多いこの家を売って、便利な街の中の小さく機能的なフラット(マンション)に移ることも先々の考慮に入れて、重い腰をあげて見栄えの悪いぼろっちくなった部分の修復に踏み切ったわけなのです。
売りに出す時に買いたたかれないためなのはもちろん、この先数年、私たちがこの家に快適に住み続けるためにもとても大事なことだからです。

それはともかく...

1) 電気工事






2)木工、3)床貼り、4)庭の板塀のパネル1枚だけ取り換え、5)湿気を防ぐ措置、6)素人には難しい場所の壁のペンキ塗り、7)立て付けの悪いドアの修繕などなど、それぞれ別の専門職の人に来てもらうととんでもなく高くつくはずです。

夫が見つけたのはこの便利屋さん1人。


器用にすべてをひとりでやってくれます。
おしゃべり好きで、以前に日本人女性の恋人がいたとか聞いてもいないことをペラペラしゃべり、動物好きで休み時間に話がはずみましたが、夫に言わせれば電気の配線に関してはちょっぴりたよりない人なのだそうです(いえ、専門でもないのに便利屋料金でよくやってくれました)

いちばん最初の(お尻が少し見えている)写真ではバスルームの床下に階下の天井にはめ込むハロゲン灯の配線工事をしてくれています>

その人が連れてきたお友達が窓の周りの湿気とりとカビの除去...


...とバスルームのビニール床貼りを担当してくれました。

それまでバスルームの床を覆っていたビニール床をベロンとはがして玄関ホールの床に広げてあります。



家に寄りつかない怖がりネコのティブ。


それでも庭でこわごわと家の中のようすをうかがっていました。

便利屋さんたちが帰って、静かになった家の中でやっとくつろぐことができた2匹です。




今日作業が予定されている空き部屋から持ち出されたガラクタがいっぱいのリビングルームはネコにとって居心地がとてもいいようです。

昨日は私は出かけたりいろいろ忙しくあまり作業の写真が撮れませんでした。
家の工事等で人を雇う際、トラブルに備えて事前事後の写真を撮っておくのが普通なのだそうですが、そのことにも気が回りませんでした。

工事の経過は以下次号。



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秋深し、冬に備えて食いだめをするリスたちと姿は見えずとも地上に活動の軌跡を残すまだ見ぬ愛しきモグラたち

2021年10月13日 05時57分42秒 | 英国の動物


近頃よく見かける、伐採した木の下のほうを残して野生動物などの姿を彫り抜く、「ストリート・アート」ならぬ「公園 / 空き地 その他」アート。
国道A6沿いに入り口がある広大な公園、トーキントン・パーク Torkinton Park で見つけたリスの彫刻です。



今回の話題は木彫りのリスではなくモグラ!



...でもなく、モグラ塚。
「生きたモグラを白日の下この目で見てみたい」という私の悲願はいまだかなわず、です。

モグラ塚はモグラが押し上げた土の山です。
地下坑道を掘り進む際、土を時々地上に押し上げないと前が詰まっちゃって進めませんよね。



公園と、バス停のある歩道のあいだの限られたスペースの緑地に集中的に跋扈したモグラ塚の集合体。

モグラ1匹の仕業だと思われます。
モグラは単体で行動する習性があるそうです。
他のモグラにバッタリと出会うと殺し合いを始めるそうですから、ニアミスを繰り返しながら何匹ものモグラが「モグラたたき」のように代わりばんこに表面に顔を突き出したとは考えにくいですね。
(地下にモグラの団地でもあると考えるのは楽しいのですが)

よくよく見れば、こんもり盛り上がった突き上げて間もないほやほや塚もあれば誰かに踏まれてつぶれたもの、また、タンポポやバターカップの芽が出ているけっこうできて日がたっていそうな塚もあります。


1匹の元気なモグラが興奮して一晩で地面を突き上げまくったと考えるのも楽しいのですが無理がありそうです。

春に芝生の成長が始まればたちまち緑の芝生に覆われてモグラ塚は姿を消すでしょう。
そしてまた出来立てのほやほやのモグラ塚がいくつもボコボコ出現します。

茂みの奥が公園です。


モグラの代りにリスをいっぱい見かけました。


スマートフォンのカメラの望遠機能はショボいですね。





カクカクとコマ落としのような素早い動作で動く神経質なリスを写真に撮るのは至難の業です。

リスが落ち葉の上をカシャカシャ音をさせて木の実か何かを探しているようです。
秋だなー、何が落ちているのかなとつま先で落ち葉をかき分けてみたけれど、何も見つかりませんでした。

秋に食いだめをして体に脂肪をつけて不毛の冬をのりきるつもりのリスたちです。
英国郊外に住むこの灰色のリスは冬眠しないそうです。

最初の写真の木彫りのリスのクローズアップです。


素朴な表現が気に入っているのですが、それにしても素人くさいような出来栄えですね...

モグラの写真がないので、以前にもご紹介したオプティシャン(めがね屋)に企業マスコットとして起用されたメガネをかけたモグラオヤジをお目にかけます。


先週、同じ店で撮りました。

...前回の写真と同じポーズですね。
ただ、親指上げのポーズに「I like it !」発言の吹き出し付きなので写真に撮りました。
文字チャットの際にでも「いいね!」の親指上げ絵文字の代りに人に送信しようかと思って。

モグラオヤジ(命名、私)とモグラに関するその時の記事のリンクです☟
私が撮ったものでなくて残念ですが本物のモグラの写真が載っています!

視力矯正が必要か、モグラの図像学...都市に住み,メガネをかけて家族生活を営む憎めないモグラオヤジ


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パンデミックが一段落しそうな今、ガソリンはじめ物価が高騰、人手不足で社会が混乱、誰のせいだ?言わずと知れた...

2021年10月11日 04時40分25秒 | 気になる出来事、社会情勢
日常生活がほぼパンデミック以前の状態に戻ったここ数カ月、人出不足や物不足がおこっています。



写真はおなじみ、うちのネコ!
大学の寮に入ってネコを恋しがる娘に毎日送り続けているネコの写真の一部です。
娘のベッドルームは母ネコ、リヴィーの部屋になりました。
息子ネコ、ティブも時々訪ねてベッドを間借りしています。




燃料費と物価が高騰し、ジワジワと社会不安が広がっています。
(まだ私の周りには特に大きな不自由はありませんが)

スーパーマーケットの棚がスカスカになることがあります。
パンデミック初期の頃のような「パニック買い」のせいではなく、輸送が滞っているからだそうです。



昨日の英国の新規感染者数は34,574人。
あいかわらず減ってはいません。



感染拡大阻止のための行動規制が終わったあたりの4月、5月ごろには感染者とその家族など濃厚接触者がいっせいに自主隔離措置になったため、せっかく経済活動が再開したのに従業員が欠勤、多くの産業が一時的に閉鎖に追い込まれたりもしました。

今は同居者に感染者が出ても検査を受けて陰性なら、行動規制なしになったそうです。
外出も、出勤も、登校もオッケー。

すでに16歳以上の全人口が2回の接種を終えている(もちろん拒否者や接種できない人々も一定数います)ということなので、濃厚接触しても感染しない人はしないようですね。
接種を終えれば少なくとも重症化する可能性が極端に低いということなので感染していなければ普通に行動する(経済活動の優先)ことになっています。

そういうわけで、この人出不足とインフレの原因をコロナウィルスだけのせいにすることは今はもう難しくなっています。



今では原因はブレクシット(英国のEU離脱)にあると国民のほとんどが認めています。

多くの、特に東欧からの出稼ぎ労働者を追い出しちゃったんですから。
ブレクシットの決定後、すでに英国で定職を持つ希望者に永住権を与えたものの、その人たちの多くはパンデミックの時に自国に帰っちゃったのだそうです。

医療資格を持つ各国から来て働いていた多くのEU市民も(もちろん手続きを踏めば永住権を取ることは可能なはずなのに)嫌気がさして帰国してしまいました。



2週間前にガソリン不足で大さわぎになった時にとつぜん輸送トラックの運転手が足りないということに全国民が愕然としたのです。
ガソリンはどこかにたっぷりあるのだそうですが、輸送するトラック運転者が今でも圧倒的に足りないそうなのです。



それと、不足となると起こるのが買い占め!
買い占めがもちろん不足を促進させ、ガソリン切れで医療従事者が出勤できず大混乱を引き起こしました。

軍隊が出動してガソリンの輸送をはじめ、パニックは少し落ち着きましたがガソリン代は高騰しています。



海外で休暇を過ごす人が激減したこの夏、多くの英国人が国内旅行をしたそうですが、多くのホテルやレストランは去年1年をふいにしたあとの絶好のビジネスチャンスにもかかわらず圧倒的な人手不足で、殺到する客をフルで受け入れる態勢ができていなかったそうなのです。

収穫時に大量に雇われていた東欧からの季労働者の確保が見込めない農産業の打撃は壊滅的だと言われています。
ブロッコリーの収穫作業で出来高制で自給にすれば30ポンド(4590円)も稼げるという求人広告が話題になっています。

私も近所で募集があったらやってみてもいいと思ったぐらいです。

昨日のニュースではブタの、解体ができる人が不足して畜産農家と食肉産業が大打撃をこうむるというレポートを長々と紹介していました。

そういう産業に従事する英国人の若者は減っています。
特に高度な技術が必要とされるガソリン輸送の運転手や業者の定年退職者が相次ぎ、若者の志願者数が全く追いついていないらしいのです。

好待遇の新規募集と、一度退職したまだ元気な若年高齢者(と言う日本語はあっていますか)に高額の謝礼を用意して復職を求める呼びかけが続いているのですが反応は鈍く、特急ビザを発行して東欧からの出稼ぎにまた頼らなくてはならないそうです。

労働者の待遇や賃金が上がるのはいいことなはずですが、多くの産業が行き詰まり失業者が出て物価が高騰...というわかりやすい経済の仕組みが目の前で展開し始めています。

そんなことは最初っからわかっていたことではありませんか。
EU離脱しようって言ったの誰よ!?(首相、ボリス・ジョンソンをはじめズラズラ名前が上がります)
バーカ

それと投票した人もだ!(社会悪は何でも移民のせいにする教育のない人々と、昔はよかったね~と口にしてはばからない無邪気なお年寄りが多いということです)



EU離脱がきまってからの英国にはガッカリさせられることだらけです。

30年前に来たばかりの時は、異民族文化が融合した英国の社会のすばらしさ、居心地の良さに目を開かせられたものでした。
たしかにそれは、私が思い描いてあこがれていたイメージとは全く違ったのですが、福祉が充実していて、EUのリーダーシップをとる民主主義国家のお手本の国でもあった英国だったのです。



EUぬけて、そんなことはどうでもよくなっちゃった人が今、いっぱいです。
移民排斥が正当化できる世の中になり、さすがに大っぴらにではないものの人種差別も水面下でジワジワと拡張しているようなのです。
(もしかしたら来たばかりで何でもよく見えた当時、気がつかなかっただけかもしれませんが)

「EU離脱が国家の自主性を取り戻す絶好の機会だ」とか「住んでいるあなたもやっと英国に永住する意義が見いだせたでしょう」という意味のことを私に言う日本に住む人がいます。
「伝統ある英国には移民は必要ないはず」と思っている日本人も多いように思います。

ヨーロッパ共同体(EU)の一員である英国に永住したかったのです、私は!
国境をなくし国どうしの競争や争いをやめる、というEU理念は素晴らしいことなのに、「戦争放棄」がとっても大切なことである日本人にどうして通じないのか どこでコミュニケーションが断絶されているのかとーっても気になることです。

EUには、メンバー国が民主主義に違反するようなことをしていないか見張る機能があります。
戦前にドイツが経済的に困窮して悪い方へ爆走してしまったようなことを事前に食い止めるための援助と制裁の措置もあります。




...今や英国は自国の都合だけを考えて好き放題してもいい国になりました。

バカバカしいガソリン不足はEUを離脱した英国のお先真っ暗な長ーい道のりの第一歩のような気がしてなりません。

3回目のワクチン接種、「ブースター・ジャブ」とインフルエンザの予防接種計画が同時に進行しています。



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埋め草にぴったりのチーズ&オニオンパイの、今回は稀有な幸せな笑顔

2021年10月10日 06時01分13秒 | さがせば何処にでも顔はある
ブレクシット(英国のEU 離脱)と現在の混乱についていろいろ意見を書きたかったのですがまとまらないので...


ああ、またまた懲りずに昨日の夕食に夫が食べたチーズ&オニオンパイの非常に珍しい笑顔をお目にかけます。

何度も何度もチーズ&オニオンパイ!!ストックポート日報のマンネリ化を嘆かれる読者もおられるでしょう。
でも、笑顔は初めてですよね。

たいていは悲しい顔でディナー皿でふてくされています。

娘がサルフォードの大学の寮に入って以来、ベジタリアンの夫(正確には脚のない魚介類も食べるペスカトリアンですが)が食べられる、ベジタリアン料理とサカナ料理ばかり作ってお相伴に食べていた私です。
この家で肉を食べられないのは夫だけ...
昨日は出来合いを買ってきたイタリア風ミートボールをオーブンで温めて私が1人で食べました。

夫にはベジタリアンにも食べられる冷凍のチーズ&オニオンパイを温めました。
ミートボールは週末にかえってくる娘と一緒に食べようと買ってきたのですが、今週末は風邪気味で帰宅がかないませんでした。

こういう時には好都合、自宅からクルマでたったの30分の場所の寮生活です。
今日の午後ひとっ走り言って様子を見てきます。
食料品の差し入れと同時に、寮のそばの薬局でコロナの無料テストキットを配布していることも国民保健オンラインで確認!
数セットもらってくることにします。
ただの風邪だと思うのですが。
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若い牡ウシたちがのどかに遊ぶ美しい丘陵地の放牧場

2021年10月08日 06時15分11秒 | ピーク・ディストリクト

昨日に引き続き、ピーク・ディストリクトの観光地、カースルトン Casleton に行った時の話です。


...と言ってもカースルトンの話は昨日でおしまい。
今日は、ウシの放牧場の話です。



カースルトンの町はずれのなだらかな丘陵地に他ではあまり見かけない強烈な見かけのウシがいつも放牧されていました。
これこれ↓、ストックポート日報の6年前の記事から1枚写真を転載します。


黒い体に白いベルトを巻きつけたような、ベルテッド・ギャロウェイ Belted Garowey という種類のスコットランド原産の肉牛です。

最後に見かけたのはいつだったでしょうか。
そう言えばパンデミック前に通った時もその前も見かけなかったように思います。

夫も私も大好きなのです。

緑の放牧場に黒白のコントラストが強烈なウシをばあッと散りばめた光景は圧巻でした。
過去の記事のリンクを貼りましたので、ぜひご覧ください☟☟。
ピークディストリクトにスコットランドの肉牛、腹にさらしを巻いたベルテッド・ギャロウェイ

仔羊を見にピーク・ディストリクトへ・・・いたことはいたけど過保護母とすぐ逃げる、かわりにおなかにさらしをまいた牛を見て帰る



カースルトンをひと巡り、お手頃なカフェで昼食を食べ、ちょっと買い物をした後帰宅する途中でベルテッド・ギャロウェイ観測スポットに寄りました。
(行きは、眼下に広がる渓谷を見下ろす景観を堪能するために別のルートをドライブしてきたのです)

道路の脇に、クルマやトラクターの出入りする門も何もない入り口があります。
牧場の持ち主の私有地なのでしょうが、道を塞ぐことがないのを確認して車をとめ、牧場へ入る脇道を徒歩で歩きました。


ぱあっと視界が広がります。


牧場を突き抜ける舗装された道路(私道でしょう)は丘の向こうまで続いています。

ベルテッド・ギャロウェイの飼育はやめちゃったようですね。
いずれも黒や茶色の若い牡ウシばかりが放牧されていました。



やはり肉牛の飼育を続けているようですね。
ティーンエイジャーの牡ウシばかり。



まだ乳離れしていない子供の牡ウシを連れた牝ウシも数頭見かけました。
この茶色の親子の他...


柵のそばに大きなおっぱいをもつ黒いメス牛が1頭だけブラブラしていました。
もうほとんど乳ばなれした大きな息子がお友達と遊ぶのをやめてその母ウシの元へ走って戻ってきました。
おっぱいをねだる大きな息子に母ウシは何だか迷惑そうでした。

視覚的に美しいベルテッド・ギャロウェイが見られなくて残念でしたが、ウシが好きな私たちは眼前に広がるウシの放牧風景をじゅうぶん堪能できました。

若い牡ウシばかりというのも、うなずけます。
広大な牧草地でゆっくりのびのびと立派な成人ウシに成長するまで放牧して、いずれは肉ウシとして出荷するのでしょう。

タネウシとして残されるラッキーなウシもいるかもしれません。






ついでに...
カースルトンに行く際に通ったルートは、カースルトンの町の中までは通じていないので...







行き止まりの、この雄大な荒れ地(ムーア moor)の駐車スペースでクルマをまわし、いったん戻って町の中に入るルートに合流します。
ここもとても人気のあるハイキングコースです。

私たちの他にも、クルマを回すためにこの場所にやってきたカースルトンに向かう人たちに会いました。
クルマをとめて景色を眺めて写真を撮ってまた元の道へ戻っていきました。





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ピーク・ディストリクトの密のツボ、実に1年と8カ月ぶりの外出! ドライブとショッピングも楽しめ大満足

2021年10月07日 06時26分43秒 | ピーク・ディストリクト

天気のよい昨日、久しぶりにピーク・ディストリクト Peak District の 有名な景勝地、カースルトン Castleton に行きました。



夫と遠出をするのは実に...去年の2月に日本に行って以来1年と8カ月ぶりなのです!



ストックポート日報をパンデミック以前から読んでくださっている方は、夫の退職後、私たちがいろいろな場所に積極的に出かけているのをご存知でしょう。

パンデミックのあいだは本当にスーパーマーケットでの週ごとの買い物しか出かけていなかったのです。
...まあ、ご存知のように私は(もちろん主に感染状況が落ち着いて2人とも2回のワクチン接種を終えてからですが)ちょこちょこ出歩いてはいましたが。




一時期は週に1回はピーク・ディストリクトのハイキングルートを何時間も歩き回って自然の景観を堪能していた私たちですが(読者の皆様の英国旅行の際の参考にも...と書いたストックポート日報の過去の記事をお読みいただけます)ひさしぶりの外出で夫が長い距離を歩く自信が全くなかったため、クルマから遠く離れて自然の中へ深く踏み込むのは無謀と心得ていました。

...そういうわけで、町の中から自然の景観を楽しめる、ピーク・ディストリクトの「ハニーポット・ビレッジ honey pot village 」、カースルトン に行くことにしたのです。

クルマで約30分、私たちの日帰り外出の定番の行き先です。
いちばん下に過去の記事のリンクを貼りました。

「ハニーポット・ビレッジ」というのは、雄大な自然の景観が売り物の観光地の、過剰な観光化を阻止するために該当する広大なエリアに人集めのための設備をあえて一か所、あるいは数か所だけ集中して設けたスポットのことです。

英国ではこの「ハニーポット(蜜のツボ)」のアイデアが広大な自然を手付かずで残し、なおかつ観光客の需要にもこたえるという観光産業の理想的な実現にひじょうに効果をあげているそうです。

宿泊施設やお土産物屋や駐車場、パブ、カフェ、それにビジターセンターや駐車場、公衆便所など観光地になくてはならない設備を集中的にもうけた「ハニーポット」を拠点にすれば、訪れた人たちは観光設備がまったく何もない場所で自然を堪能することができるようになっているのです。

10年ほど前に完備された、ビジターセンターのある町のなかの広大な駐車場にクルマをとめました。


(カースルトンの名前の由来となった12世紀の古城が丘の上に見えています)

パーキング・チケットをおつりが出ない現金のみ受け付ける旧式の券売機で買わなければならないというのにうんざりしました。(8年前のロンドン・オリンピック以来、カード決済が急激に進む英国で今どき驚愕です!パンデミックでカード決済化はさらに促進しています)

券売機のとなりにあるスナック・カウンター (軽食やお茶などを観光地価格で販売していました )は大いに繁盛していました。
パーキング・チケットを買うピッタリの小銭がない観光客がお金を崩すためにしかたなくお菓子を買っていくためです。

この、パーキングチケットマシンを取り払った後もなぜか残る「(駐車料金を)ここで払ってください↓」という表示に...


「どこで?」と言い返したくなる、これでホントに「ハニーポット・ビレッジ」かというブザマな一面。



最初の写真の小川に沿って歩いたところに、夫が好んで立ち寄る古いガラス器を売る店があります。




夫が6ポンド(908円)で1910年代の古いワイングラスを買いました。

その向かいのガラクタ屋で(あら残念、写真がありません)私はエクササイズ用の重り(2個で1セット)を1個だけ2ポンド(302円)で買いました。
ずっと以前になぜか1個だけ息子にもらったのですが、バランスよくエクササイズするにはやはり2個必要だったわけです。(まさか1個だけ売ってくれる店があろうとは!!!)


最初の写真の小川沿いの左側の建物がガラクタ屋の側面なのですが...

絵になる風景なので最初の写真と同じ構図で写真を撮る人が多いのですが、小川に張り出したガラクタ屋の裏庭が半分ゴミ屋敷の延長みたいにガラクタでいっぱいなのです。


水深が浅く、カモの集結地でもあります。

ガラクタ屋が30ペンスでカモのエサを売っています。


明日の朝のパンを買うためにベーカリー(パン屋)の看板が出ていた食料品店に入りました。


スーパーマーケットの自家製パンよりは値段が2割増していどの値段の自家製パンを買いました。



遠く離れたへレフォード産の個性的なサイダー(シードル)のハリネズミの王様のラベルが気に入って写真を撮りました。



英国の古い田舎の村には無計画に増改築を繰り返してロマンチックで可愛らしいいびつな形の、築200年から400年もたつ古い古いコテージ(小さな田舎家)がたくさんあります。
カースルトンに数限りなくあるそんな不揃いの可愛い家の一つです。


正面にまわると意外に大きいのに驚かされます。




カースルトンの町に入るまでの景観が素晴らしいのですが、クルマのフロントスクリーン越しの写真ではきれいに撮ることができません。









帰り道では目の前を羊の群れが勝手に一匹ずつ行き来していました。
夫にとってはひさしぶりの雄大な自然の景観の中をのんびりドライブすることも外出の目的の一つだったのです。

ショッピングもできて満足です。


今回はあまり写真をたくさん撮りませんでした。以前の記事のリンクを貼りましたので見てください☟
(本当はもっともっといっぱいあるのですが)

ピークディストリクトの古城のある小さな町、カースルトン その1

ピークディストリクトの蜜の壷、カースルトン その2

ピーク・ディストリクトの丘陵をうろついて、羊のふわふわを拾いあさる、カースルトン その3


コメント (3)
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